世界的な金融・経済危機の克服には、先進国だけが話し合っても不可能だ。新興国の首脳らが加わって協議したことに歴史的な意義がある。
日米欧と中国、インドなど、20か国・地域(G20)の首脳が参加し、ワシントンで開かれた金融サミットは、首脳宣言と「行動計画」を採択して閉幕した。
米国型の行き過ぎた市場万能主義に歯止めをかけ、新たな金融秩序をどう構築するか。明確な方向性を示せるかが焦点だったが、首脳たちがなんとか足並みをそろえ、試練を乗り切るためのメッセージの発信にこぎつけた。
首脳宣言でうたわれた金融規制の具体策などをまとめることが、来年4月までに開く次回金融サミットの課題となろう。
宣言は、金融市場改革を促す原則を打ち出すとともに、国際通貨基金(IMF)の改革、景気刺激を目指した財政出動など、今後取るべき措置を明記した。
◆財政出動で景気刺激を◆
行動計画は、来年3月末までに実行する施策と、中期的な課題に分けたのが注目される。
目先の危機拡大阻止を最優先し、中期的なテーマにも取り組む2段構えだ。首脳たちの決意が本物かどうか、今後の行動で問われることになろう。
当面の施策で注目されるのは、財政出動が強調された点だ。
金融危機の拡大と市場の混乱に対応し、日米欧の中央銀行が協調利下げを実施したが、これ以上、金融政策を発動する余地は少なくなってきた。
こうした中、日米欧が景気対策をまとめ、中国も、サミット直前に大型の景気刺激策を決めた。しかし、世界経済の底割れを防ぎ、同時不況の深刻化を回避するには、さらなる財政のてこ入れ策が重要だとの認識で一致した。
景気後退入りしたと見られる日本は、事業規模で約27兆円の追加景気対策を決めたが、もう一段の対策を迫られる可能性もある。
◆金融改革の具体策は難題◆
IMFの機能強化や金融市場改革は、原則で一致したものの、具体策は先送りせざるを得なかった。各国によって利害が大きく異なっており、調整が必要だ。
IMFの資本増強については、日本の提案が議論をまとめた。加盟国全体の出資額を現在の3200億ドル(約32兆円)から倍増させるとともに、最大1000億ドル(約10兆円)を日本が融資するとした内容である。
IMFは、世界銀行とともに、第2次世界大戦後の世界経済秩序を築いた「ブレトンウッズ体制」の中心的存在だ。これまでは、米欧主導で運営されてきた。
だが、経済力が増大した新興国の発言力を高めるべきだとの声が強まっている。IMFの出資比率や組織をどう見直せば、こうした課題を解決し、機能を強化できるのか。「ブレトンウッズ2」を目指す協議は容易でない。
戦後の経済体制を支えてきたドル基軸通貨体制の在り方については、サミットではほとんど話し合われなかった。
「強いドル」を支持し、現体制の継続を求める米国に対し、フランスなどは、大幅な見直しを主張しており、今後の議論の焦点になるのは間違いない。
金融市場改革に関しては、「健全な規制」をうたい、国際的に活動する金融機関、世界に販売される複雑な金融商品や、格付け会社に対する規制・監視の強化が盛り込まれた。金融監督の国際連携も明記された。
金融危機の再発防止を図るには当然の措置だ。だが、厳しい規制・監督を求める欧州と慎重な米国の主張には依然、隔たりがある。「健全な規制」の具体化には時間がかかりそうだ。
◆懸念される米国経済◆
金融危機の震源地である米国経済の現状に対し、懸念が高まっている。株価の下落や失業の増加などで、成長の
加えて、サブプライムローン問題の根源である住宅価格の下落が続いている。これが下げ止まらない限り、金融機関が抱える損失が膨らみ金融危機は終息しない。
それによって実体経済が一段と悪化し、さらなる金融危機を招く悪循環に陥る恐れがある。
オバマ次期米大統領は、今回のサミットに合わせた演説で、追加景気対策の前倒しを求めた。
オバマ氏は、ブッシュ政権に比べ、保護貿易主義的な主張を続けてきた。しかし、世界経済を活性化し、成長を加速するには、自由貿易の推進が重要だ。オバマ氏の考え方はいずれ、修正を迫られる公算が大きい。
来年1月20日に新政権をスタートさせてから、どのような政策を打ち出すか。次回サミットでは、それが最大の焦点になろう。
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サミット日本でやろうって、二回言って二回無視されたんでしょ?
やっぱり相手にされてないんじゃないの?
けど、落ち着いて考えてみれば、米国市場を写しただけの日本市場なんて、ゲームだけ終わらせりゃ危機だ何だと騒がずに済むんと違うの?
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