月曜日, 12月 15, 2008

出先機関3万5千人削減要求、分権委が再確認へ


読売新聞2008年12月14日(日)03:04
 政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は16日に緊急の会合を開き、第2次勧告に盛り込んだ国の出先機関の職員約3万5000人の削減目標について、政府に具体的な対策を求める要求事項であることを再確認する。
 各省からの出向者らが集まる分権委の事務局が最終的に作成した勧告の文章では、数値目標部分が「政府に措置を求める対象」から除外されるような文章が挿入されていることがわかったためだ。
 分権委が第2次勧告を決定した8日の会合では事務局が中心となって作成した勧告原案に対し、丹羽委員長が、出先機関職員約3万5000人の削減 (このうち地方移譲2万3100人)を勧告に盛り込むよう提案。各委員が了承した。その後、事務局が「突貫工事」で原案を修正し、丹羽氏が麻生首相に勧告 を手渡した。
 最終的な勧告には数値目標を盛り込んだ「出先機関の改革の実現に向けて」(第2章の4)
の最後の部分に、「政府に対して具体的な措置を求める事項 は、5及び6のとおりである」との一文が挿入されていた。「5」と「6」は、出先機関の組織改革などに関するもので職員の削減目標には触れていない。この ため政府内では、勧告後、「職員数の数値目標は、政府が来年3月末までに策定する統廃合計画に入れる対象ではない」とする見方も広がっている。

 ある分権委の委員は「事務局の官僚は姑息 ( こそく ) な手段を使った」と批判している。

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名前を伏せて報道する意味があるのかどうかはともかくとして、行政の「あり方」みたいなもんに関しては、もう少し見とくべきなんだろうね。 付け焼刃だけど、こんなコラム添付したりして....

地方分権論議に逆行する役人の無神経さ
国の出先機関が入る合同庁舎の建設計画にはあきれる
 世の中は不景気だというのに、合同庁舎として高層ビルを建設する計画が宮城県仙台市で持ち上がっていた。114億円をかけて、地上20階、地下2階のビルを建設する計画だ。
 現在、仙台市内にある国の出先機関は、5階建ての仙台第1地方合同庁舎(仙台市青葉区)に入っている。18階建ての宮城県庁舎の真向かいにあり、合同庁舎の西側にはテニスコートが設置されている。
 2008年春に着工する予定だった仙台第1地方合同庁舎の「増築」計画では、現行庁舎の西側に隣接する土地に高層ビルを「増築」。新しく建てられたビルには、東北地方整備局、東北財務局、東北経済産業局など国の出先機関が入る予定だった。


◇ 合同庁舎の建設計画は、なんと2000億円以上
 じつは仙台市には、9月に地方分権改革推進委員会の丹羽宇一郎委員長(伊藤忠商事会長)が視察に行っていた。そこでの役人の説明は、あくまで「増 築」であり、たいしたものではないという話だった。だが、5階建て庁舎の横に20階建て庁舎を建てるのは、「増築」ではなく「新築」と言うべきだろう。丹 羽委員長に事実を伝えれば反対されることがわかっていたから、役人はわざと曖昧な言い方をしていたのだ。
 しかし、最近になって河北新報が事実をつかんだ。河北新報からコメント取材を受けて、僕もその事実を知り、早速、11月26日の地方分権改革推進 委員会でこの問題を取り上げた。仙台以外にも、同じような建設計画が隠されているのではないかと思い、合同庁舎の建設計画をリストアップするよう要求した のである。
 12月2日の委員会に提出された一覧表(右の表を参照)を見ると、案の定、仙台以外にも全国に数多くの建設計画があることが判明。次から次へと巨額な予算消化の実態が見えてきた。
 まず事業採択年度が07~08年の建設計画を見てみよう。既に着工済みか、これから着工して数年後に完成する建設計画である。
 仙台第1地方合同庁舎を含む建設計画は全部で15件。仙台第1地方合同庁舎の114億円をしのぐものとしては、地上10階、地下1階で、総事業費 148億円の東雲合同庁舎(東京都江東区)がある。そのほかにも、大津地方合同庁舎(滋賀県大津市)が地上12階、地下2階で、総事業費82億円。熊本地 方合同庁舎A棟(熊本県熊本市)が地上12階、地下1階で、総事業費82億円。熊本地方合同庁舎B棟(熊本県熊本市)が地上10階、地下2階で、総事業費 90億円、などとなっている。
 これら07~08年の建設計画を合計すると、総事業費は940億円になる。
 つづいて事業採択年度が09年の建設計画。全部で21件の建設計画があり、仙台第1地方合同庁舎を超える大型プロジェクトがならぶ。地上10階、 地下2階で、総事業費134億円の横浜地方合同庁舎(神奈川県横浜市)。地上7階、地下1階で、総事業費133億円の新宿若松地方合同庁舎(東京都新宿 区)。また、地上20階、地下1階の大阪第6地方合同庁舎(大阪府大阪市中央区)は、なんと総事業費172億円である。大都市圏以外でも、和歌山地方合同 庁舎(和歌山県和歌山市)は、地上11階、地下1階で、総事業費は80億円もかかる。
 これら09年の建設計画を合計すると、総事業費は1109億円。07~09年の建設計画を合わせると、2049億円にものぼる。ちょっと信じられない金額だ。高齢者医療が問題だというなら、このお金を福祉に回せと言いたい。

◇ むしろ学校の地震防災対策を優先すべきではないのか

 合同庁舎建設には、事業目的が必要だ。ところがその事業目的を見てみると、ほとんどが「地震防災機能を発揮するために必要な合同庁舎」という内 容。もっともらしい理由をつけたつもりなのだろうが、仙台第1地方合同庁舎を例にとれば、現行の合同庁舎はすでに耐震基準を満たしている。地震防災のため に20階建てのビルをわざわざ「増築」する必要はないのだ。
 そもそも、地震防災のためというなら、全国の学校について優先すべきだろう。子どもたちや地域住民の安全を守るために、学校の地震防災対策をしなければいけないときに、なぜ必要性のない合同庁舎にお金をかける必要があるのか。
 2日の地方分権改革推進委員会では、これら事業計画の凍結を要望した。丹羽委員長も「常軌を逸している」と計画を批判。すると、金子一義国土交通大臣があわてて計画は見合わせると言ってきた。
 役人は予算を消化することしか頭にない。だから、必要性とは関係なく、出先機関の合同庁舎を機械的につくろうとする。同じことは、参院議員宿舎問題についても言える。

◇ 国の建物を無駄につくることはだれも望んでいない

 これまでも書いてきたように(第52回「参院宿舎に6000人の反対署名」参照)、東京・紀尾井町にある参院清水谷宿舎の立て替え計画が問題になっている。現宿舎に隣接する建設予定地の自然を守るべきだとして、地元住民が反対。石原知事も、「森をつぶしてまで建設することには絶対に反対」と発言し続けている。
 なんとか計画を進めたい参院の議員宿舎プロジェクトチームは、新しい建設計画案を11月21日に東京都へ提出してきた。しかし、その頃、石原知事 はクアラルンプールに、僕はテヘランにそれぞれ出張中。2人とも不在のときに計画案を持ってきて、26日の期限までに回答しろというのだが、そんなことは 無理に決まっている。結局、期限は延び延びになっていて、まだ結論は出ていない。
 景気、不景気に関係なく、次から次へと建物をつくる。そういう無駄なことを当たり前のようにやっているのが、民間の発想からは理解できない。つくる必要がないものをつくるために、参院は結論を先延ばしにして粘っているのだ。
 出先機関の合同庁舎も、とりあえず今は見合わせると言っているが、もし結論を先延ばしにして計画再開の機会をうかがっているのだとしたら、そんなことは許されない。国の建物をこれ以上無駄につくることを、国民はだれも望んでいないはずだ。

◇ 二重行政をやめて出先機関を減らせば、広いオフィスは必要ない

 役人が合同庁舎の建設計画をひそかに進めているなか、地方分権改革推進委員会では第2次勧告の内容を詰めていた。12月8日に出た第2次勧告では、出先機関の数を減らすことを提言している。
 国の出先機関には、大規模な人員、予算が集中している。しかし、国と地方の間で宙ぶらりんな存在であるため、住民の監視の目が届きにくい。二重行政になっているのだ。
 二重行政の弊害は、具体的に現れている。たとえば道路特定財源の無駄遣い。出先機関とその外郭団体で、豪華な車が購入されるなど無駄遣いが横行していた。出先機関を舞台とした官製談合事件も多発。いわゆる事故米の不正流通問題では、出先機関の杜撰な対応が批判された(第57回「米農政は社会主義のようだ」参照)。
 これら出先機関の人員、予算を地方自治体に移すことで、議会を通して住民が監視することができる。地域の民主主義によるガバナンス(統治)に任せ て、スリムで効率的な行政を実現する。具体的には、たとえば地方農政局の農業統計部門、地方整備局の道路・河川、厚生労働省労働局のハローワークなどを地 方自治体に移管・縮小する。
 二重行政をやめて、出先機関を減らすという第2次勧告が出ることは、役人も知っていたはずだ。出先機関をできるだけ地方に移せば、残った出先機関 の規模は小さくなる。小さくなった出先機関に、広いオフィスは必要ないから、合同庁舎の建設計画も大幅に見直されなければならない。
 にもかかわらず、役人は計画通りに合同庁舎を建てようとしていた。そのなかには、ハローワークが入る予定の横浜地方合同庁舎も含まれている。第2 次勧告が移管・縮小するといっているハローワークのために、存続を前提とした合同庁舎を建設するのだから、これは嫌がらせに等しい。地方分権論議に逆行す る役人の姿勢は、あまりに無神経だ。

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