月曜日, 12月 15, 2008

予備費1兆円でシーリング変更へ 予算上限額突破


朝日新聞2008年12月15日(月)21:44
 麻生首相が新たな経済対策で1兆円の「経済緊急対応予備費」の新設を打ち出したことを受け、財務省は15日、09年度予算の概算要求基準(シーリ ング)を変更する方針を明らかにした。予備費新設により、今夏のシーリングで決めた予算上限額を突破するためだ。変更は村山政権の96年度予算以来で、歳 出増の歯止めを守れない異例の予算編成になる。
 シーリングは財務省が主な分野ごとに予算の上限額を定める仕組み。夏に閣議了解し、これに沿って12月後半に予算案を決める。
 09年度予算のシーリングは、公共事業費や社会保障費などの政策的経費である「一般歳出」の上限を47.8兆円(基礎年金の国庫負担引き上げなどは除く)とし、このうち災害発生などに備える予備費は、前年度と同額の3500億円までとしていた。
 政府は3日に閣議決定した09年度予算編成の基本方針でもシーリングは「維持」としていたが、麻生首相は12日の記者会見で1兆円の予備費追加を発表。シーリングを守れなくなった。
 財務省の杉本和行事務次官は15日の記者会見で「予備費は(7月の)閣議了解の際に想定されなかったものを新たに措置した。新たな閣議了解の必要があ る」と指摘。政府は予算編成作業が大詰めを迎えるなかで、従来の一般歳出の上限額に1兆円を加えた新しいシーリングを近く閣議了解する。
 追加の予備費は雇用対策や公共事業などに使うことが想定されている。政府は「骨太の方針06」に基づき、シーリングで「公共事業費3%削減」や 「社会保障費の伸びを2200億円抑制」などを定めているが、予備費から支出されれば、これらの歯止めは崩れたことになる。シーリングの変更は95年末、 村山内閣がバブル崩壊後に経営悪化した住宅金融専門会社(住専)を処理するため、96年度予算で約7千億円を追加した例がある。(五郎丸健一)

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首相「消費増税」中期計画の法制化見送り 与党の反対で
朝日新聞2008年12月15日(月)22:13
 麻生首相は15日、3年後の消費増税を明記すると宣言した「中期プログラム」について、法制化までは行わない考えを示した。政府内には、財政規律 維持のため、あらかじめ消費増税に向けた具体的道筋を法制化することを求める意見があるが、公明党は消費増税の時期を盛り込むこと自体に反対で、法制化に こだわれば、深刻な対立を招きかねないと判断したとみられる。
 首相は15日の参院決算委員会で、「安定財源の確保をきちんとやっておかな いと対応できない。消費税を考えておかないと中(レベルの)福祉をやっていくには耐えられない」と述べ、中期プログラムに3年後の消費増税を明記する意欲 を改めて示した。ただ、法制化については、同日夜、記者団に「必要性はあんまり感じない」と語った。12日決定した与党税制改正大綱は消費増税に関して 「必要な法制上の措置をあらかじめ講じておく」と法制化に含みを持たせていたが、首相自ら封じたことになる。
 経済財政諮問会議は11月、「多年度の減税増税を一体的に法定し、実施時期を明示しつつ、段階的に実行する」ことで大筋合意。前提条件が整えば、政治状 況に左右されず速やかに増税できるようにする狙いがある。与謝野経済財政相はプログラム法の制定などを例示し、「諮問会議としては法定化する方向で議論し ていく」と述べていた。
 しかし、増税時期の明示には公明党が強く反対。中期プログラムのもとになる09年度与党税制改正大綱への盛り込みも見送られた経緯がある。自民党 内にも「3年後の増税を掲げて選挙を戦うのか」(中川秀直元幹事長)との異論があり、首相としては、中期プログラムへの明記は譲らない一方、法制化にはこ だわらないことで、この問題を決着させたい考えだ。

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 [東京 12日 ロイター] 12日決定した2009年度与党税制改正大綱で明示されなかった消費税引き上げ時期について、麻生太郎首相は今夕の記者会見で「2011年度から消費税を含む抜本税制改革を開始したい」と明言。
 政府が年末に閣議決定する「中期プログラム」への抜本改革開始時期の明記を言明した。
 首相発言は「大もめにもめることも承知で、堅固な社会保障制度を構築するための首相の強い決意表明」(政府筋)との声が上がっている。ただ、与党大綱のてん末は選挙を意識して、自民党公明党の主張に大きく譲歩した結果だ。中期プログラムをめぐる衝突は政局の火種にも発展しかねない危うさをはらんでいる。 
 与党大綱は増減税一体の改革の方向性と段取りを丁寧に描き出した。橋本龍太郎政権下での財政改革法の失敗を省みて「経済動向の変化に弾力的に対応する」と いう弾力条項の重要性を盛り込み、実施に備え「必要な法制上の措置」を事前準備する必要性に踏み込んだ。改革の実効性を担保するために「抜本改革の道筋を 立法上明らかにすること」が将来世代に付け回しせず中期的課題に応える政治の「責任」とも述べ、増減税一体の法定化の必要性にも踏み込んだ。いずれも、政 府の経済財政諮問会議が積み重ねてきた税制抜本改革の方針と重なる考え方だ。
 唯一異なったのが、消費税を含む抜本改革の開始時期をあいまいにしてしまった点だ。どんなに遅くても来年秋には実施される衆院選を意識した議論の先送りが 優先されてしまった。大綱は「経済状況の好転後に速やかに実施し、2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」とするにとどまり、増大する社会 保障費の安定財源確保に向けた歩みは、停滞を余儀なくされる事態とみられている。
 これに与謝野馨経済財政担当相や麻生首相が一石を投じて いる。麻生首相は中期プログラムへの消費税引き上げ時期明記は「2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」とした与党の税制改正大綱に反して いないと説明。あらためて「基本的に3年後に消費税を引き上げる方針でやっていく」と表明した。
 与謝野担当相も12日の会見で与党大綱の 表現ぶりへの失望感を「自民党が責任政党として最後まで踏ん張れなかった」ことと評した後、中期プログラムについて「政府と与党の言うことが異なることは 十分あり得る」と踏み込み、同プログラムに増税時期を明記したい考えを示した。「景気が回復してから議論を始めていたのでは時期を逸する。二の矢、三の矢 を放っていく」(政府筋)──。その決定打の1つが首相の決意表明だったのかもしれない。
 (ロイター日本語ニュース 吉川 裕子記者;編集 田巻 一彦)

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結局....よくわかってないな....

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