土曜日, 12月 20, 2008

日銀、金利0・1%に利下げ…CP異例の買い切り


読売新聞 2008年12月20日(土)02:05
 日本銀行の白川方明総裁は19日、政策金利の引き下げを決めた金融政策決定会合後の記者会見で、「我が国の経済、景気は悪化しており、当面厳しさを増す可能性が高い」と述べ、景気の先行きに強い危機感を示した。
 政策金利の利下げ幅を0・2%にして、年0・1%にとどめた点については、「景気刺激効果と、(取引の極端な減少による)短期金融市場の機能低下は避けたいという、両者のぎりぎりのバランスの中で判断した」と
、苦渋の判断だったことをにじませた。
 今回の決定会合では、利下げに加えて、企業が短期資金を調達するために発行するコマーシャルペーパー(CP)を将来的に売り戻す条件をつけず、買い切ることを決定した。
 これとは別に、CP買い入れを実施する取引金融機関として、新たに日本政策投資銀行を加えるほか、長期国債の買い切り額も増額し、対象となる国債の種類も増やす。
 来年1月8日からは、金融機関に低利で資金を供給する新型オペ(公開市場操作)も実施するなど、市場への新たな資金供給策を繰り出すことで、事実上の量的緩和政策へ ( かじ ) を切った形だ。
 白川総裁は、「我々の持っている(金融政策の)手段の中でどれだけ貢献できるかを考えた結果だ」と述べ、日銀が政策総動員で景気を下支えする姿勢を強調した。



日銀、政策金利を0・1%に…量的緩和も実施
読売新聞2008年12月19日(金)22:21
 日本銀行は19日、金融政策決定会合を開き、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の年0・3%から0・2%引き下げて、年0・1%とすることを決め、即日実施した。
 利下げは10月31日以来、2か月ぶりだ。
 企業が短期資金を調達するために発行するコマーシャルペーパー(CP)の買い切りなど、市場への新たな資金供給策も決定し、米国に同調する形で事実上の量的緩和政策へかじを切った。
 決定会合は、議決権を持つ8人の政策委員(正副総裁3人と審議委員5人)で構成される。政策金利の利下げは賛成7、反対1で決まった。白川方明総 裁はその後の記者会見で、「我が国の経済、景気は悪化しており、当面厳しさを増す可能性が高い」と述べ、追加利下げが不可欠だったとの認識を示した。
 景気判断についても、これまでの「停滞色が強まっている」から、「悪化している」に下方修正した。
 白川総裁は今回の措置について、「我々の持っている(金融政策の)手段の中でどれだけ貢献できるかを考えた結果だ」と述べ、日銀が中央銀行として政策を総動員し、金融面から景気を下支えする狙いを強調した。
 新たな資金供給策では、年度末に向けて企業の資金繰りが悪化する恐れもあるため、CPを将来売り戻す条件なく買い取る(買い切り)方策を時限的に 行う。さらに、社債やCPなどの担保の範囲で、金融機関に低利で長期資金を供給する新型オペ(公開市場操作)を1月8日から実施することを決めた。

 長期国債の買い切り額を月1・2兆円から月1・4兆円に増額するほか、買い入れ対象の国債に、変動利付き国債、物価連動国債、30年債を追加した。日本政策投資銀行を新たに日銀の取引銀行に加え、同行が保有するCPを売り戻す条件なく買い入れる方針も示した。
 日銀は当初、前回の利下げ効果を見極める必要があるとして、早急な追加利下げに慎重な姿勢を示してきた。しかし、12月の企業短期経済観測調査 (短観)で大企業・製造業の景況感が33年ぶりの下落幅となるなど、景気の悪化が急速なことや、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げで日米の政策金利 水準が逆転し、急激な円高が進行したことから、利下げは不可欠と判断した。


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白川日銀総裁記者会見の一問一答
トムソンロイター2008年12月19日(金)21:54
 [東京 19日 ロイター] 白川方明日銀総裁は19日、政策金利の引き下げを決めた金融政策決定会合後に記者会見を行った。詳細は以下の通り。
 ──本日の決定会合の結果を景気認識を踏まえた上で説明してほしい。
  「(前略)こうした決定の背景について説明すると、まず我が国の景気については、悪化しており、当面厳しさを増す可能性が高いと判断した。すなわち輸出は 海外経済の減速を背景に減少している。企業部門では企業収益が減少を続けており、業況感も悪化している。こうしたもとで、設備投資は減少しており、短観の 設備投資計画も下方修正が目立っている。家計部門では雇用・所得環境が厳しさを増す中で、個人消費は弱まっている。こうした内外需要のもとで、生産は大幅 に減少している」
 「物価面では生鮮食品を除くベースの消費者物価は10月の前年比がプラス1.9%となっており、石油製品価格の下落を主 因にプラス幅が縮小している。先行きは石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して低下していくと予想される。経済・物価の先行きについては、物 価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくとの見通しに関する不確実性は高まっている」
 「こうした見通しに関するリスク要因をみると、景気については引き続き下振れリスクに注意する局面にあると判断している。これまでの各国政府や中銀による対策を受けて、短期金融市場で はいくぶん改善が見られているが、国際金融資本市場は全体として依然強い緊張状態にある。こうしたもとで、世界経済には下振れるリスクがある。また、我が 国の金融環境についても、CP・社債市場での資金調達環境が悪化しているほか、中小・零細企業に加え、大企業でも資金繰りや金融機関の貸し出し態度が厳し いとする先が増えており、全体として厳しい方向に急速に変化している。こうした状況が一層厳しさを増す場合には、金融面から実体経済への下押し圧力が高ま る可能性がある。物価面については景気の下振れリスクが顕現化した場合や国際商品市況がさらに下落した場合には物価上昇率が一段と低下する可能性がある」
 「以上の情勢判断を踏まえ、政策金利を引き下げるとともに、本日決定した長期国債の買い入れにかかる措置や企業金融の円滑化に向けた措置により、緩和的な 金融環境の確保を図ることが必要と判断した。日銀としては我が国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復していくために今後とも中銀としてなしうる最 大限の貢献を行っていく方針だ」

 ──日銀も米連邦準備理事会(FRB)同様に、事実上のゼロ金利、事実上の量的緩和に踏み込んだと考えて良いか。
 「FRBの措置だが、他国の中央銀行の金融政策なので、私から論評は差し控える。日本の経験に照らして、今回FRBの措置に対する印象を申し上げたい。そ のことが質問に対する答えとなろう。まず誘導目標金利だが、かつて日銀が採用したゼロ金利政策と異なり、金融調節によって、市場金利をできるだけゼロ%に 近づけるという決定は行われていない。FRBについて事実上のゼロ金利導入という見出しが多かったと思うが、必ずしもそういう決定は行われていないと思 う。既にフェデラル・ファンド金利は準備預金の対象外の機関であるGSEの影響によってゼロから0.25%のかなり低い水準で推移しており、それに沿って 誘導目標が設定されているといえる。市場金利については、極めて低い水準ながら、プラスの金利水準を維持しつつ、誘導を図るという方針であることは、今回 FRBが準備預金の付利金利を0.25%に設定したことに表れていると思う」
 「私自身はゼロ金利と比べると、今回FRBが0.25%に設 定したということを興味深く思った。金融機関にすれば、FRBというリスクの無い金融機関に運用すれば0.25%の金利が得られるので、マーケットでは 0.25%以下で運用するインセンティブが無い。勿論、やろうと思えば付利金利をもっと下げることができたわけだが、0.25%にしたということの背後 に、FRBがどういうことを考えたのかについては興味がある。FRBのバランスシートについては、仲介機能が大幅に棄損したさまざまな金融商品の買い入れ を行うなかで、FRBのバランスシートの規模が約2兆ドルまで膨らんできている。今回、こうした政策の継続が改めて示されたが、かつて日銀が行ったような 中央銀行の当座預金量にターゲットを設けて流動性を拡大していく、そのことのマクロ的な景気刺激を狙うという手法はとられていないと思う。これが今回 FRBがとった措置だ。日銀は今回、コールの誘導目標金利を0.1%、当座預金の付利金利を0.1%とした。大きくとらえれば、ゼロに近い水準だが、かつ ての量的緩和の元で実現したゼロ金利というのは、徹底して量を出し、その結果、金利が徹底的にゼロに近づくことを追求したが、そうした意味での量的緩和、 ゼロ金利政策は採用されていないと理解している」

 ──当座預金目標を設定しないまでも、事実上の量的緩和ではないか。
 「言葉の定義の問題だ。定義は自分の好みですれば、色々な定義ができるが、とりあえず従来日本で言われていた量的緩和というのは、先ほど言ったように、当 座預金の量にターゲットを定めて、これを大幅に拡張することで、流動性がどこかでマクロ的な景気刺激効果を生むことを期待する政策、それを量的緩和と呼ん だ。当時、海外の学者が提案したのは、そういった意味での量的緩和だった。今回は米国はそういう意味での量的緩和は採用していないし、日銀もそうした意味 での量的緩和は採用していない。ただ、何度も言ったように、金融市場の安定維持のために、それから市場金融の円滑化ということで、流動性を積極的に供給す ることは続けている。ただこれは、金融市場の安定化とか、個々の企業金融の安定を図っていく、その結果として、当座預金が増えていくというもので、少し意 味合いが異なっていると思う」

 ──金融機能強化法が成立したが、これについての日銀の見解は。
 「金融機能強化法は、金融 機関等の業務の健全、かつ効率的な運営や地域における経済の活性化を図ることによって、信用秩序の維持と国民経済の健全な発展に資することを目的としてい るというふうに理解している。一方、わが国の金融システムの現状を見ると、国際金融資本市場の動揺が金融機関経営や、金融仲介機能に影響を及ぼしつつあ り、金融機関経営における資本基盤の充実があらためて重要になってきているというように思う。こうした状況を踏まえ、金融機関が自らの自己資本基盤を強化 していく際、この制度を利用していくことが資本政策上、1つの有力な選択肢になりうると思う。日本銀行としては、現在の金融経済情勢において、わが国の金 融機関が十分な自己資本基盤の下で、金融仲介機能を適切に発揮していくことを期待している」

 ──翌日物金利を今回0.1%へと引き下げたが、その水準が適切と判断したその理由は。
 「まず今回、経済・金融の情勢について、非常に厳しいという判断でどのメンバーも一致している。そういう状況の下で、金利面から景気の刺激効果を狙ってい くということであるが、その際、出発点の金利水準が0.3%なので、おのずとその低下の余地というのは限られてくる。その時に意識したことは、短期金融市 場の市場機能を維持しておきたい、日本銀行の政策的な手段によって短期金融市場の機能がさらに低下していくということは避けたい──その両者のぎりぎりの バランスの中で、0.1%という水準が適切であるというように判断した」

 ──野田委員は利下げに反対したのか、利下げ幅に反対したのか。
 「詳しい議論の内容は議事要旨で発表するが、利下げに反対されたということ」

 ──CPの買い取りは国会等では慎重な発言をしてきたが、ここに来て行うことを決めた要因は何か。また、公表文の中には「政府との関係を含め」との文言もあるが、これは政府によって損失を保証してもらうというようなものを含んでいると考えていいのか。
  「国会を含めていつも申し上げてきたのはこういうこと。中銀の基本的な役割は流動性の供給ということ、これが第1点。第2に、信用リスクを取る施策につい ては、これはさまざまな観点から検討を行った上で物価安定と金融システム安定という日銀に課せられた使命を達成するため、その実施の適否を経済・金融の状 況に即して判断すべきということと申し上げてきた。現在の金融市場、企業金融の状況は足もと急速に悪化している。そういう中で中銀としては極めて異例のこ とだが、しかしこの現在の厳しい状況の中で、中銀としてぎりぎりどのような貢献ができるかということを考えた結果だ。主要国で個別の信用リスクを取った政 策というのは、全てを承知しているわけではないが、私が記憶している限りでは日銀がABCPの買い入れを行ったこと、あるいは金融政策ではないが銀行保有 株式を買い入れたことにに続いて、今回のFRBの措置がある。今回、欧米の金融資本市場の状況は日本に比べるとより状況が厳しいと思うが、欧州の中銀はそ こにはまだ踏み切っていない。そういう意味で今回、日銀にとって非常に重たい決定ではあるが、しかしこれは中銀としての主体的な判断として行った方がいい と思ったものだ」
 「政府との関係だが、CPを買い入れることは、結果として個別企業の信用リスクを負担するので損失が生じる可能性はあ る。その場合には、最終的に国庫納付金が減少するということになる。したがってこうした措置から生じうる損失については最終的に日銀としての会計処理や決 算上の取り扱いの面で政府との関係を含めた検討が必要になるということ」
 「一点補足すると、中銀の財務の健全性、通貨への信認ということ の意味について少し話をしたい。中銀の財務の健全性という言葉を使うと、時として中銀が庭先をきれいにしておきたいというふうな意味合いで語られることが あるが、決してそういうことではない。どの中銀もそうだが、一国の中でお金を無制限で発行できるという権能を与えられているのは中銀だけ。こういう権能は 中銀に付託されている。その見合いにどういう資産を取得するかということは最終的にこれは国民から預かっているお金をどういうふうに運用するかという側面 があり──運用という言い方は必ずしも適切ではないが──しかし、これは中銀が国民からの信任を受けてそういったことをやっている。もし財務の健全性に疑 念が生じると、通貨への信認が失われる。そうした場合にはロスが発生し、その結果、例えば中銀が財務的に政府に依存せざるを得ないというふうに人々が思う と、金融政策の運営自体についても、信認が揺らぐ可能性があるし、もう少し素朴な意味でも信認が失われる可能性がある。FRBは今回、いろいろな措置を講 じているが、あればほとんどいずれもいろいろな信用補完措置をとっている。このことは新聞報道等でFRBがCPを買い入れたということだけが割合報道され ているが、同時にFRBが十分な信用補完措置をとっているということは比較的知られていない事実だと思う。それが財務の健全性ということが決して抽象的な 念仏ではなくて、非常に重要な考えだと思っている」

 ──翌日物金利を0.1%に引き下げたが、今までと比べてどれ程の変化があるのか。今後一段と引き下げる可能性はあるのか。
 「景気の刺激効果と市場機能への配慮、そうしたことも含めて、総合的に勘案して0.1%に決定をした。金利引き下げを0.1%まで行うと、さすがに一部で 市場機能が低下する現象が起こるかもしれない。しかし、金融取引に伴う諸コストや手数料をカバーし得るかどうかという点では、プラスの金利を維持すること により、ぎりぎり金融活動の基盤や取引インセンティブが残るというように考えている。いずれにせよ、景気と金融市場の機能のバランスを図った」
 「一段の引き下げの可能性は、金融政策なので、将来の政策について絶対にこういうことがないとか、絶対にこういうことがあるということはもちろん言えな い。ただ、今回金利を引き下げる時に、短期金融市場の機能を維持していくということについてずいぶん議論を行い、その結果、当座預金の付利を0.1%にし たいうことである。ゼロに近い世界はあまり例がないので、比較することが難しいが、FRB(米連邦準備理事会)の場合は今回、当座預金金利を0.25%に して、しばらくの間この水準を続けるという形で判断をした。正確に言うと、市場機能を考えた場合に0.1%がいいのか、0.25%がいいのか、そこの証明 はできないが、さまざまな要素を考慮した上で日本についてはこのような判断を今回行ったということだ」

 ──長期国債買い入れの増額幅を、今回2000億円とした理由は。
 「従来2000億円刻みで引き上げたため、2000億円は自然な刻みだというように思う。長期国債について、銀行券と長期国債の残高の格差というのが問題 になってくる。国債の買い入れオペについては、このところ短期の買い入れが非常に増えていたということと、政府の国債買い入れ償却に日銀が応じたことで国 債が減ってきた。今回、期間の長い国債も買い入れて、かつ期間別の買い入れを行うということになると、同じ買い入れ金額であっても、期間の長いものが入る と、日銀のバランスシートにそれだけ長く残る。少し長い先の姿を想定しながら、この程度の買い入れであれば、銀行券との関係でその範囲に収まるし、資産サ イドの期間の構成という面でもバランスが取れるということで、今回2000億円にした。当面、この2000億円を増額するということは考えていない」
 「CP以外の面でどのような対応を考えているかについては、今回、基本的な検討のポイントを執行部に対し指示し、それを踏まえて執行部がこれから検討をするということなので、現時点ではそれ以上のことはない」

  ──かつての量的緩和はベースマネーを増やすことを狙ったが、そういう発想は今回はとらないということか。FRBは長期国債を買って長期金利を押し下げ、 それに加えて色々な民間資産を買うことでリスクプレミアムをつぶしていくという姿勢と思うが、日銀の今回の決定はそういう発想があるのか。
 「ベースマネーについての質問だが、量的緩和の経験について日銀はこれまで何回か総括的な評価を展望リポートその他でしてきた。経済現象について完全な実 験はできないが、これまでの経験に基づいての、暫定的評価はベースマネーという量の増加、それ自体の効果については、金融システムの安定という点について は、相応の効果があったということだ。他方、景気・物価を刺激するということでは、厳密に効果が無かったという証明もできないが、明確な効果を判定し難 かったというのが暫定的評価と思う。将来どうかというと、政策委員会のメンバーも変っているので、私が将来の政策委員の議論までここで、どうこう言うこと はできないが、本日の議論を含めて、ベースマネー拡張によって、景気刺激を狙っていこうというような考え方の人はいなかったように思う」
 「長期金利押し下げを狙ったものかという質問だが、そうした効果は狙っていない。今回の措置はあくまでも、長めの資金を供給する際に、長期国債オペを活用 することにより、短期のオペを頻繁に繰り返す、その結果、短期の金融市場に対する影響が大きくなるという事態は是正したほうが良いということであって、こ れはあくまでも金融調節上の話であって、長期金利を下げることを狙ったものではない」

 ──リスクプレミアムの縮小についてはどうか。
 「結果として国債の需給のバランスがあるゾーンで変化することは、勿論あり得ると思うが、リスクプレミアムの変化、引き下げを狙ってやっていくというもの ではない。今回、期間別管理を行うが、あるゾーンだけ買っていくということではないので、したがって、ある特定のセクターだけ集中的に買うとかいう話では ない」

 ──FRBが政策金利を下げたことでドル円相場で円高が進んだ。金利差逆転したことが意識されているという報道もあったが、この点 で、今回の政策決定が為替相場をどのように意識したのか。もう1点。利下げを織り込むような動きがこの2日ほどみられたが、市場とのコミュニケーションに ついてどう感じていたか。
 「為替相場の変動は経済に対して、さまざまなルートを通じて影響を与えていくということはご承知の通り。輸出入 や交易条件、投資採算、それからマインドなどいろいろな面で為替相場の変動は影響を与える。今回、円高は短期的には景気を下押す要因としてもちろん作用し ていると思う。足元の景気悪化のひとつの要因として円高は影響していると思う。ただ、われわれの景気判断は円高のその部分だけを取り出して議論しているわ けではないので、全体の景気悪化の背景のひとつとして円高は考慮されているということ」
 「コミュニケーションの質問だが、市場参加者は中 銀の金融政策の先行きについて常に予想して、そのことが長期金利にも反映されてくるということは、これは市場の自然な姿と思う。中銀からすると、自らの経 済情勢の判断と経済情勢に対する中銀の政策運営の考え方が市場に対して十分説明されることによって、できるだけ円滑な金利形成がなされることが中銀によっ ての理想だと思う。個々の長期金利の形成のされ方について私の立場でコメントすることは差し控えたい」

 ──ベースマネーを増やすことで景気刺激を狙うという議論はないと言っていたが、前回の量的緩和政策では時間軸政策があったが、今の政策委員会メンバーで、時間軸政策について議論、評価があるのか。
 「当時の政策委員会メンバーが行った時間軸政策の評価は既に展望リポート等で公表している。その評価というのは、景気が持ち直してくる過程、その局面にお いて、低金利を維持するという約束が中長期金利を引き下げる効果が若干あるという評価だと思う。今のメンバーがどう考えているかは、私が今ここで答えるの は筋違いかなという感じがする。私の印象は若干あるが、ここで答えるのは不正確になるので控えたい。時間軸というのが意味を持つのは、前回の経験でいく と、景気が悪いときにはいずれにせよ中央銀行が金利を引き上げるとは誰も思っていないので、その時に時間軸効果というのは、それほど大きなものではないと 思う」

 ──量的緩和という言葉はかつての日銀政策を表すものとして定着していると思う。今回、採ろうとしている政策をどう呼んだらよいのか。
 「質問に答える前に、今回の措置だが、目標金利を0.1%に設定して、その上でいろいろな資産を買ってバランスシートを拡張していくということを必ずしも 狙っているものではない。金融市場の安定は勿論図っていくし、企業金融の支援も行うし、CP買い入れは行うが、これはあくまで、そうした目的に沿って実行 していくものであり、バランスシートの規模拡張自体に目標を置いているわけではない。結果として拡張することはあるかもしれないが。ネーミングだが、日銀 はそういうことが不得意な組織で、キャッチーな言葉があるわけではない」

 ──夏場まで商品市況が上昇していたがその後大幅に下落している中で、物価の大幅な変動がないよう日銀としてどのようなメッセージを考えているか。
 「振り返ってみると、世界的にこの半年でずいぶん様子が変わったとあらためて思う。この夏場まで国際商品市況が上昇、インフレリスクの高まりが議論になっ たが、足もとでは物価上昇率が急速に低下してきている。上がる過程を考えて見ると、多くの中央銀行が注目したのは、価格転嫁を超えていわゆるセカンド・ラ ウンド・エフェクトが起こるかどうかという点。言い換えると中長期的な予想物価上昇率が上がっていくのかどうか。これが上がっていけばセカンド・ラウン ド・エフェクトが起きてしまうことになる。これは結果的にはなかった」
 「これから逆のプロセスが始まるのだが、価格転嫁が起きた前年との 比較でみれば物価上昇率が大幅に低下する。これは物価指数の上昇率が低下し場合によってはマイナスになることはあるが、上昇局面と同じようにこのことがセ カンド・ラウンド・エフェクト、物価の中長期的な下落予想が起きるかどうかが最大のカギだと思う。どういうメッセージを送るのかという質問だが、中央銀行 としては中長期的に物価が上がっていくとか下がっていくとか予想が生まれないように注意深く政策運営をしていくことが大事だと思っている」

 ──国会答弁で、流動性リスクと信用リスクの区別が難しい状況になってきているとおっしゃっていたが、その意味を詳しく説明していただきたい。
 「まさに今そのことが各国の金融市場に起きている。世界の短期金融市場で非常に短い金利は低下してきたが、ターム物はある程度下がってきたがまだ高止まっ ている。なぜ高止まっているかというと、ある部分は流動リスクであり、ある部分は流動性リスクであり、これらは非常に分かちがたいという気がする。内容的 にはこれは分かれるものだが、現実にはこれを数量的に分解することは難しい」

 ──現時点での日本の財政政策をどうみるか。
 「財政運営について経済理論がどう変遷を遂げたかを、まず言いたい。戦後間もなく、ケインズ経済学の影響から、徐々に財政政策を活用するという思想が入っ てきたが、1960年代から70年代前半にかけて、そうしたケインズ的財政政策が結果としてスタグフレーションを生んだという反省から、財政政策を景気安 定化政策としては使うべきでないという考え方がずっと支配的であると思う。ただ最近は、若干の変化があり、金利水準が非常に低下して金融政策を活用する余 地が乏しい、あるいは金融システムの機能が低下している、そういう状況で、財政政策を一定の範囲で使うケースはあるというのが、これは私の意見でなくて、 経済理論の世界での変遷だと思う。財政について難しいのは、こうした理論的な整理は整理としてあるが、財政政策の運営というのは、国会のプロセスを経て実 現するものなので、理想的な形で運営されないと、結果として財政の赤字が拡大してしまうということ。先ほどの財政の考え方、つまり金利水準が非常に低い、 あるいは金融システムの機能が低下している時に、財政政策を活用する余地があるという考え方自体は、私はそういう面があると思っている。ただし、それはあ くまで財政政策を適切に運営して、財政規律を維持していくことが大きな大前提だ。その中で、適切な形で運営できるかどうかということが、各国に問われてい る課題だと思う」

 ──10月31日の決定会合で政策金利を引き下げて、今月2日には新たな企業金融の円滑化措置の導入も決めた。それから 時間もたっていないので、ある程度その効果を見極めたいとの思いもあったと思うが、今回の措置に至った短期間の変化についてどのような背景があったのか。 今回の措置を決定した時期についても。
 「経済が普通の状態の時にはある政策を実施して、その効果をある程度見極めて次の政策をとっていく ということだろうと思う。この数カ月間の変化は日本に限らず世界中がそうだが、非常に急激だったと思う。これは企業経営者の方にお会いしても、金融機関の 方にお会いしても、それから海外の方にお会いしても、どなたもがこの数カ月間の変化は急激であって、自分の人生の中でこれだけ急激な変化というのは経験し たことがないという感想をよくおっしゃっているが、私自身もそういう感じを持っている。それだけ変化が激しかったから、われわれの方の対策の方も矢継ぎ早 になったと考えている」
 「いつ判断を固めたのかについては、私はいつも金融政策決定会合で何かを決定するときには、ぎりぎりまで考えると いうふうにしている。ある段階で決めるということは、その段階以降起きた変化を無視することを自動的に意味している。中銀としては、そういう硬直的な態度 は取るべきではない。最後の最後まで、だんだんに判断は固まっていくわけだが、その意味で、決定はきょうであるということ」

 ──以前に量的緩和やゼロ金利政策を行った時とのリスクや景気状況の違いをどう分析しているか。この局面を打開するためには今、何が必要なのか。
 「前回の日本の金融危機は、日本のバブル崩壊後のさまざまな不良資産の積み上がり、その下で生じた金融システムと実体経済のマイナスの相乗作用という性格 が強かった。今回の足元の日本の金融問題は、震源地としては世界的なクレジットバブルの崩壊の影響が、日本は当初は相対的には小さかったが、その影響が及 んできたという感じがする。ただ、ある段階からはマイナスの相乗作用が働くという点では共通していると思う。前回は、世界経済が拡大をしていたということ が1つの大きな違いとしてある。今回は、世界経済が同時に景気後退に入っているように思う。それ以外にも差は色々あるが、とりあえずそういうような気がす る」
 「(欧米は)政策的な対応という面では、既に取るべき対策を取ってきていると思う。金融システムの動揺が広がった時に流動性を供給す る、公的資金を注入する、金融機関の債務を保証するという3つの措置が基本的に取られた。もちろんこれで十分かという点は国によってはあるし、必要であれ ばそうした線に沿って対策が取られるべきだろうが、メニューとしては取られてきていると思う。財政政策、金融政策の面でも、それぞれ各国の当局は必要な方 向には踏み出していると思う。現在の厳しい景気の後退は、それに先立つ2004年から2007年の世界的な経済の拡大が非常に大きなものであったというこ との裏返しだと思う。この間に、色々な過剰が蓄積されたため、その過剰の調整は避けて通れない。過剰の調整が単に調整という域を超えて、深い調整に陥ると いうことは防ぐ必要があるため、先ほど申し上げた一連の措置がそこに講じられていくと思う」

 ──日銀が次にどういう政策を出してくるか何か怖さを感じるが、総裁はそうした恐怖を感じていないか。
 「中央銀行が信用リスクを負担するという世界に踏み込むのは異例中の異例。これは経済金融情勢がそれだけ厳しいという認識からとった措置。だた怖さという のが日本銀行に対する信認の低下につながるようなことがあれば絶対に避けたいと思っている。財務の健全性、通貨への信認に配慮したいと申し上げたのはそう いうこと。ただ今のこの経済情勢の中で我々の持っている手段の中でどれだけ貢献できるか考えた中で真摯に考えた結果、先ほど申し上げたような結果になった ということ」

 ──今回政府からさかんに金融政策への期待が示されたが、プレッシャーを感じた局面はあったか。
 「我々自身 は常に日本銀行の目的に照らして何が望ましいのか考える以外にない。この原点を踏み外すと経済や通貨に対して大変な圧力となる。色々な発言があった事実は 認識しているが、それに対して応えようとかいう気持ちではなく、中央銀行として何ができるかということだけを考えたということ」

 ──1930年代の大恐慌当時との比較だが、今回も各国で利下げによる通貨の切り下げ効果を意識させる場面があると思うが、どうみるか。
 「1930年代は固定相場時代だったが、固定相場を切り下げるという形で通過の切り下げ競争がおきて、その過程で、関税率引き上げの影響もあったが、国際 貿易に対して非常な悪影響があった。今回、そうした意味で、固定為替相場を切り下げるという形での為替の切り下げ競争は起きていないと思う。自由な資本移 動のもとで変動相場制を採用しているので、金融政策の変更によって為替は変動はしているが、切り下げ競争が起きているとは思っていない」

 ──中長期的な経済の回復シナリオが今回の声明では相当後退して、ほとんどそれについては放棄したようにもみえる。認識は。
 「来月1月の決定会合では展望リポートの中間評価を行う。中間評価の時にはさまざまな予測の指標を使って体系的な点検を行うので、だからこそ中間評価には 意味がある。いま時点ではきょうの発表にもあるように、経済の先行きについて厳しい見通しを出している。その意味で、前回の展望リポートはもちろん下方修 正されているということだが、数量的なイメージも含めて体系的な点検は1月にさせていただきたいと思っている」

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ちゃんちゃん

日本経済の悪化は想像絶する速さ、あらゆる手段を=財務・金融相


トムソンロイター2008年12月20日(土)13:16
 [東京 20日 ロイター] 中川昭一財務相兼金融担当相は20日の臨時閣議後の記者会見で、日本経済は想像を絶する速さで悪化しているとの認識を示し、「やるべきことには、あらゆる手段をとる」と語った。
 一般会計総額や歳出規模が過去最大となった2009年度予算の財務省原案について、効果が発揮されれば日本経済が反転上昇に向かう「歴史的な予算になる」と強調した。
 20日に内示した09年度予算の財務省原案は、一般会計総額88兆5480億円、一般歳出51兆7310億円とともに過去最大規模となる一方、大幅な税収の落ち込みで新規国債発行額は33兆2940億円と4年ぶりに30兆円を突破する。
  中川財務・金融相は最近の日本経済について「(年末にかけて)これほど急激に景気が悪くなるのは想像を絶する状況」との認識を示し、財務省原案はこうした 厳しい経済情勢に対応したものと説明。「この予算が経済悪化を食い止め、世界に先駆けて上向きになるとの願いを込めた。効果が出れば、(経済が)反転する という意味で歴史的な予算になる」と期待感を表明した。
 その上で「やるべきことには、あらゆる手段をとる」と述べ、今後の経済情勢などをにらみながら柔軟に対応していく姿勢を示した。
  予算では、景気対策にあてる財源に財政投融資特別会計の金利変動準備金などを活用する。厳しい財政事情の中で、いわゆる「霞が関埋蔵金」を使って財源をね ん出するが、中川財務・金融相はこうした対応について「(日本経済の)非常事態という状況の下で臨時・異例の措置」と指摘。
 政府が掲げる2011年度の基礎的財政財政収支(プライマリーバランス)の黒字化については「そうした原則は維持している」と語った。


一般会計は過去最大、新規国債33兆円台に=09年度予算原案
トムソンロイター2008年12月20日(土)09:43
 [東京 20日 ロイター] 中川昭一財務相兼金融担当相が20日の臨時閣議に提出した2009年度予算財務省原案では、一般会計の総額が88兆5480億円と08年度当初予算から5兆4867億円拡大し、過去最大に膨らんだ。
 厳しい経済情勢のなか税収の大幅減に加え、景気対策に伴う一般歳出が膨らみ、新規国債発行額は33兆2940億円と4年ぶりに30兆円の大台を突破。公債依存度も37.6%に悪化し、着実に進展してきた財政健全化路線に急ブレーキがかかった格好となった。
 歳出面では、政策的経費の一般歳出が、社会保障費の増加などに加え、「生活防衛のための緊急対策」に盛り込まれた1兆円の「経済緊急対応予備費」の新設や、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げなどで、08年度当初比4兆4465億円増加し、過去最大の51兆7310億円に膨らむ。
 その他の歳出項目では、国から地方に配分する地方交付税等は16兆5733億円で、麻生太郎首相が地域の雇用創出を理由に「1兆円増額」を決めたことから、3年連続の増加となった。
 国の借金返済に充てる国債費は、微増の20兆2437億円。想定金利は2.0%で横ばい。
 一方、歳入面では、景気が後退局面入りするなかで、税収は08年度当初比13.9%減、額にして7兆4510億円と過去2番目の大幅な落ち込みを見込み、46兆1030億円にとどまる見通し。
  景気対策に充てる財源には財政投融資特別会計の金利変動準備金などを活用するが、税収の大幅な落ち込みはカバー出来ず、新規国債発行額は08年度当初比 31.3%増、額にして7兆9460億円大幅増の33兆2940億円となり、デフレ経済下の05年度(34.4兆円)並みの水準まで逆戻りした。
 この結果、09年度予算における国の基礎的財政収支プライマリーバランス)は13兆円程度の赤字となり、08年度当初の5兆円程度から大幅に赤字幅が拡大する。
 財務省原案は各省に内示された後、24日に政府案を閣議決定する見通し。原案内示後に行われていた「復活折衝」を廃止し、各省が力点を置く施策に充てる「重要課題推進枠(3330億円)」について麻生太郎首相が配分を決定する。



09年度一般会計は過去最大の88.5兆円=中川財務・金融相
トムソンロイター2008年12月19日(金)22:37
 [東京 19日 ロイター] 中川昭一財務相兼金融担当相は19日夕の予算省議後の記者会見で、2009年度予算について、一般会計総額が過去最大の88兆5500億円程度になるとの見通しを示した。08年度に比べて5.5兆円程度拡大する。
 基礎年金の国庫負担割合引き上げや景気対策などで一般歳出が膨らむ一方、厳しい経済情勢のなか税収が46兆1000億円程度と同7.5兆円の大幅減になる見込みで、新規国債発行額は33兆2900億円程度と4年ぶりの30兆円台に拡大する。
 中川財務・金融相は09年度予算を「世界の経済・金融情勢が危機的状況にある中で、日本国民の生活と日本経済を守るために極めて重要な予算」と位置づけた。
 こうした状況に対応するため、政府が19日に決定した「生活防衛のための緊急対策」に盛り込まれた1兆円の「経済緊急対応予備費」の新設や、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げ、道路特定財源の一般財源化などで一般歳出は前年度比4兆4500億円程度増加し、過去最大の51兆7300億円に膨らむ。
 その他の歳出項目では地方交付税が16兆5700億円程度で、同9600億円程度の増加。国債費も20兆2400億円程度と微増となる。
  一方、歳入面では、景気が後退局面入りする中で、税収は同7.5兆円程度の大幅減となる見通し。景気対策の財源には財政投融資特別会計の金利変動準備金な どを活用するが、税収の大幅な落ち込みはカバーできず、新規国債発行額は33.3兆円程度と4年ぶりの30兆円台に増加する。
 この結果、09年度予算における基礎的財政収支プライマリーバランス) は13兆円程度の赤字となり、08年度当初の5兆円程度から大幅に赤字幅が拡大。政府が目標に掲げる2011年度の黒字化は一段と厳しさを増すが、中川財 務・金融相は「2011年度の黒字化という原則は変更していない」と強調。その上で、「世界的な危機の影響が日本にも及んでいる。臨時・異例的な対応で、 日本経済がますます悪化することを防止したいとの観点で予算を組んだ」と説明した。
(ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫記者)
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<第三国定住>ミャンマー難民、10年度から政府受け入れ


毎日新聞 2008年12月19日(金)13:00
 紛争などで他国に逃れた難民をさらに別の国が受け入れる「第三国定住」について、政府はタイで生活するミャンマー難民30人程度を10年度から受 け入れる方針を決めた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携し09年度中に受け入れる難民を選定する。第三国定住を受け入れるのはアジア初。 11省庁による19日の難民対策連絡調整会議で正式決定する。
 入管法が難民認定の可否を日本国内でしか審査できないのと異なり、第三国定住は、現住地で面接などを行って審査できる。
  政府が受け入れるのは、UNHCRが事前に面接などをして政府に保護を推薦した難民で、社会適応できると判断した家族。政府は定住支援に向け、日本語の研 修や職業の紹介・訓練を実施する。状況を見ながら受け入れを増やす方針。難民申請の約6割がミャンマー人であることを背景に、選んだとみられる。
 UNHCRによると07年に第三国定住で受け入れられた難民は7万5300人。受け入れ国は14カ国で、うち米国が4万8300人。出身国はミャンマーやソマリアなどが多い。【石川淳一】



<解説>第三国定住受け入れ 問われる生活支援
毎日新聞2008年12月19日(金)13:00
 日本政府がアジアで初めて、「第三国定住」の形で難民の受け入れを決めたことは、“難民鎖国”とも言われてきた日本が、人道面を重視して大きな転 換を図ったと言える。政府開発援助(ODA)が落ち込み、国際社会での日本の存在感が低下する中、難民受け入れによる国際貢献は重要なメッセージにもな る。
 タイに逃れたミャンマー難民は約12万人とされ、日本が当初受け入れる30人はそのわずかにすぎないが、「国際社会での 責任を分担する」(外務省幹部)意味は大きい。タイのような別の国を経由せず、ミャンマーから直接来日して難民申請した人は07年だけで500人に上る が、難民認定は35人にとどまる。今回の決定が、こうした「条約難民」の受け入れ拡充につながる可能性もある。
 課題は難民を日本社会にど う定着させるかだ。日本は70年代後半以降、家族を含め1万人以上のインドシナ難民を受け入れたが、日本語が不自由なため進学や就労ができず困窮する例も 多い。こうした教訓をふまえ、語学指導を含めた難民への幅広い生活支援のあり方が問われる。【鵜塚健】


<第三国定住>ミャンマー難民受け入れ 難民高等弁務官、日本に拡充期待
毎日新聞 2008年12月20日(土)13:00
 来日中のグテーレス国連難民高等弁務官は19日、日本外国特派員協会で会見し、ミャンマー難民30人程度の第三国定住受け入れを政府が決めたことについて「試験的だが、成功させることで、日本の難民受け入れが拡充することを期待する」と話した。
 また、夫を亡くした女性ら特に立場の弱い難民受け入れを検討することや、すべての難民が日本社会へ溶け込むために必要な言語や教育、就労への支援の重要性を強調した。【花岡洋二】


<第三国定住>ミャンマー難民受け入れ決定 国連高等弁務官、毎日新聞報道を評価
毎日新聞 2008年12月19日(金)13:00
 来日中のグテーレス国連難民高等弁務官は18日、東京都内で開かれたパーティーで、政府がミャンマー難民の第三国定住の受け入れを決めたことにつ いて「これを機会に日本が庇護(ひご)を必要とする人々にとっての恒常的な再定住国となることを願う」と評価。また、毎日新聞の「世界子ども救援キャン ペーン」が今年で30年目を迎えたことにも触れ、「難民問題に取り組もうという意思の表れだ」と評価した。【隅俊之】

ニュースソースもさることながら、関連ニュースを、全て網羅したのは、コイツが初めてだ。

ミャンマー難民受け入れ 「第三国定住」を適用
共同通信 2008年12月18日(木)17:48
 政府は18日、タイに避難しているミャンマー難民約30人を10年度に受け入れる方針を決めた。母国から近隣国に逃れた海外の難民をめぐり、いず れの国にも定住できないと判断された人を受け入れる「第三国定住制度」を適用する。この制度による受け入れはアジア諸国で初めて。関係11省庁の担当者が 19日に首相官邸で「難民対策連絡調整会議」を開き、ミャンマー難民の受け入れ施設など具体的な対応を決定する。


一般会計、最大の88・5兆円 財務省原案きょう内示


産経新聞 2008年12月20日(土)08:05
 中川昭一財務相は19日、平成21年度予算の財務省原案の概要を明らかにした。一般会計総額は経済対策や基礎年金の国庫負担引き上げなどで過去最大となる88兆5500億円。歳入不足を補う新規国債の発行額は33兆2900億円で当初予算ベースで財政再建への目安としてきた「新規国債発行枠30兆円」を4年ぶりに超え、財政健全化路線からの転換を印象づける予算となりそうだ。
 一般歳出は51兆7300億円に拡大して初めて50兆円を突破。地方交付税等は16兆5700億円と今年度比9600億円増となった。
 歳入面では、税収見込みが景気悪化による法人税収の低迷などで今年度当初に比べ7兆円以上の減少となる46兆1000億円。その他収入は財政投融資特別会計の積立金などから9兆1500億円を捻出(ねんしゅつ)する。
 中川財務相は19日の記者会見で、国の借金となる新規国債の発行を減らすため特別会計の財源活用で「かなり無理をした」と強調した。それでも新規国債発行額は今年度に比べて7兆9500億円の増加となった。
 政策的経費を国債発行による借金に頼らず、税収などでどれだけ賄っているかを示す基礎的財政収支プライマリーバランス)の赤字幅は、今年度の2倍以上となる約13兆円に拡大。政府が目指す23年度の黒字化達成はさらに難しくなった。
 財務省原案は20日に内示され、24日に政府案が決定される。

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一般会計は過去最大、新規国債33兆円台に=09年度予算原案(トムソンロイター) 12月20日 09:43
一般会計、過去最大88.5兆円に=20日に財務省原案内示-来年度予算(時事通信) 12月20日 00:30
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財政再建路線の転換鮮明=一般会計、過去最大の88兆円-09年度予算原案
時事通信2008年12月20日(土)10:30
 深刻な経済情勢下で麻生政権が編成した2009年度予算の財務省原案が20日午前の臨時閣議で各省庁に内示された。国の予算規模を示す一般会計の総額は、来年4月の基礎年金国 庫負担割合引き上げや景気急変に対応する緊急予備費の新設などで08年度当初予算比6.6%増え、過去最大の88兆5480億円となった。一方、景気悪化 で税収は大幅に減少。財政投融資特別会計の「埋蔵金」4兆円規模を投入しても国債増発は抑えきれず、財政運営は極めて厳しい状況だ。
 財政赤字を穴埋めする新規国債の発行額は、同31.3%増の33兆2940億円。当初予算での30兆円超えは4年ぶりで、国債依存度は37.6%と7.1ポイント悪化する。「埋蔵金」での穴埋めがなければ、国債発行額は過去最大の04年度を超える水準だ。

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【解説】来年度予算原案 財政再建振り出しに 国債残高、税収13年分
西日本新聞 2008年12月20日(土)17:30
 【解説】2009年度政府予算の財務省原案は「日本経済は全治3年」とする麻生太郎首相の方針に沿い、積極財政に大きくかじを切った。ただ、財源は特別 会計積立金などの「霞が関埋蔵金」をかき集めても足りず、新規国債の発行額は過去4番目の規模に膨らんだ。一般会計の歳出と税収の差額は過去最大の42兆 円に達し、小泉純一郎政権から引き継がれてきた財政再建は振り出しに戻った。
  9月中旬の「リーマンショック」以降、景気後退に伴う深刻な税収減が予想され、09年度の赤字国債の発行額が膨らむのは避けられないとみられていた。税収 見込みは減税分を含めて08年度当初比13・9%目減り。それでも政府は財源を度外視し、財政出動による景気回復にかけた。
 最も力を入れたのは雇用対策だ。追加的な雇用対策を想定した1兆円の緊急予備費は、国会審議を経ずに機動的に使うことができる。自治体の工夫による雇用創出に期待し、地方交付税も支出ベースで1兆円増額した。
 しかし、そうした歳出増で借金依存体質は進む。一般会計の国債依存度は前年度の30・5%から37・6%に上昇。09年度末の国債残高は税収の約13年分にあたる581兆円に達する見込みだ。
 財政の健全度を示す基礎的財政収支の赤字額も、前年度の5兆円から13兆円に拡大する。11年度に黒字化する政府目標について、与謝野馨経済財政担当相は「客観的に、冷徹にみなければならない時期が来る」と見直しを示唆する。
 基礎年金の国庫負担率引き上げの財源などに充てるため、特別会計積立金などの「霞が関埋蔵金」も使い込む。家計に例えれば、貯金を取り崩して生活費に回す格好で、安定財源とは言い難い。
 麻生首相は、社会保障財源の確保へ3年後の消費税増税を描くが、政府はその前に膨らんだ歳出を絞り、減税を元に戻さなければならない。景気回復が急務とはいえ、財政規律を棚上げした代償は極めて重い。
(東京報道部・植田祐一)

実を言うと、めまぐるしい動きについていってない....。

21年度予算財務省原案 国債残高581兆円 国民1人あたり負担455万円


産経新聞2008年12月20日(土)15:45
 平成21年度予算の財務省原 案によると、21年度末の国債残高は約581兆円に達する見通しだ。国民1人当たりを計算すると約455万円、4人家族で約1820万円の借金を抱えるこ とになる。一般会計税収の約13年分に相当し、国・地方を合わせると債務残高はさらに大きくなる。政府・与党は23年度に消費税増税を伴う税制改革に着手する「中期プログラム」の策定に向け最終調整しているが、財政健全化の道のりは依然として険しい。
 21年度予算は、景気後退を 色濃く反映した内容となった。法人税をはじめ税収が大きく落ち込んだ一方で、経済対策を実施したため、新規国債発行額は前年度当初予算と比べて31・3% 増の33兆2940億円と大幅に増えた。一般会計の歳入に占める国債依存度は前年度の30・5%から37・6%に跳ね上がり、歳入の4割近くを借金である 国債に頼る不健全な構造だ。
 国債残高は20年度末を18兆円上回る581兆円。地方の197兆円などと合わせた国・地方の長期債務は804兆円となる。
 元本を除いた借金の利払い費も膨らんだ。21年度は前年度を1兆1000億円上回る9兆4000億円。これは1日当たり258億円、1分当たりでは 1792万円も利払いが増える。一般会計の歳出に占める利払い費の割合は前年度比1・3ポイント増の10・6%。歳出の1割以上を借金の利払いに充当せざ るを得ない状況となっている。



21年度予算財務省原案 一般会計88兆5480億円 景気浮揚へ大胆に舵 
産経新聞2008年12月20日(土)15:45
 中川昭一財務相は20日、平成21年度予算の財務省原 案を閣議に提出し、各省庁に内示した。予算全体の規模を示す一般会計総額は、20年度当初予算比5兆4867億円増の88兆5480億円で、90兆円台に 迫る伸びを示した。世界的な経済悪化で落ち込む国内景気を下支えするため、財政再建よりも財政出動を重視した予算案となった。
 麻生政権は21年度予算で、歳出削減などの財政再建から、雇用対策や経済活性化への積極的な国費投入へと舵(かじ)を切った。閣議後に記者会見した中川 財務相は「基本方針を原則守りつつ、危機対応などにめりはりをきかせた予算だ」と自信をみせた。さらに霞が関の埋蔵金といわれる財政投融資特別会計積立金 の積極活用について「臨時、異例の措置だ」と語った。
 財務省原案では、政策経費に充てる一般歳出が、基礎年金の国庫負担引き上げや経済緊急対応予備費を盛り込んだことなどから51兆7310億円に膨らみ、初めて50兆円を突破。一般歳出の伸び率としては平成元年度以降最大の9・4%となった。一般会計総額は12年度の84兆9871億円を上回り過去最大。
 地方交付税等は、麻生太郎首相による地方交付税の1兆円積み増し指示などで、9597億円増の16兆5733億円。国債費は今年度と同水準の20兆2437億円とした。
 歳入面は、景気悪化による企業業績の低迷などから税収見込みが7兆4510億円減の46兆1030億円と大幅に落ち込んだ。
 また、その他収入は財政投融資特別会計の積立金などから9兆1510億円を捻出。4兆9917億円の増加となった。特別会計の活用でも足りない歳入不足を補うための新規国債の発行額は33兆2940億円。当初予算ベースでは4年ぶりに30兆円を超えた。
 予算編成にあたり自民党内では、次期衆院選を意識し、支持拡大に向けて財政出動を求める声が噴出した。財務省幹部は「経済状況に応じた非常時の予算」として経済対策費の増加を容認するが、景気低迷が長引けば財政再建の取り組みがさらに後退することになり、国家財政の悪化が懸念されている。
 一方、今回の予算編成では、原案で内容が明示されなかった約3300億円の重要課題推進枠について、麻生首相が原案内示後に決定し、24日に政府案をま とめる。このため、原案段階で社会保障費や政府開発援助(ODA)など分野ごとの予算配分が示されない異例の発表となった。首相周辺は「重要課題推進枠で 予算の麻生カラーを出す」としている。


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一般会計、最大の88・5兆円 財務省原案きょう内示 (産経新聞) 12月20日 08:05


よいしょ....。

麻生首相には、靴投げつけも笑いにするブッシュほどの余裕もない【上杉隆コラム】


ダイヤモンド・オンライン 2008年12月19日(金)08:40
 ブッシュ米大統領に、靴を投げつけるという「ゲーム」が世界中で流行っているという。「AFP・時事」の配信記事によれば、次のようなものだ。
〈このゲームは英国のアレックス・チュー氏が立ち上げ、米軍のフセイン・イラク大統領打倒の「Shock and Awe(衝撃と畏怖)」作戦をもじって「Sock and Awe(靴下と畏怖)」と名付けた。演壇の後ろで30秒間、頭を出したり入れたりして身をかわし続けるブッシュ大統領の画像に向けて靴を投げつけるもの で、チュー氏が16日語ったところによると、既に140万回のアクセスがあった〉

 早速、筆者もトライしてみた。結果は12回。イラク人記者のように、腕や肋骨を折られたり、逮捕されたりすることもなく、ブッシュ米大統領の顔面に靴を命中させることができた。どうやらゲームの中のブッシュ大統領は、実物の大統領よりもずっと反射神経が鈍そうだ。
 靴を投げたイラク人記者は、エジプトのテレビ「アル・バクダディア」と契約していたムンタデル・アル・ザイディ氏だ。この事件後、ザイディ記者に 対して、アラブ連盟各国で釈放を求めるデモなどが発生している。サウジアラビアでは、ブッシュ大統領に投げつけられた「靴」に10億円の懸賞金がかかり、 リビアでは、カダフィ大統領の娘が、記者への「名誉勲章」の授与を発表した。
 ただし、記者会見中にジャーナリストが靴を投げるという行為自体は許されるべきではなく言語道断の行いだ。取材会見に応じた人物が、いかなる「極悪非道」な者であろうと、了解して会見に臨んでいる以上、物理的な危害を加えるということは絶対にあってはならないことだ。
 そうした意味で、靴を投げたザイディ記者はジャーナリストとして失格であり、二度と取材活動を行わせるべきではないという意見に筆者も賛同する。
 とはいえ、現実問題として、彼、ザイディ記者の政治目的は十分に達成されたとみていいだろう。なぜなら、靴を米大統領に投げつけたという行為によって、イラクは決して米国を歓迎していないという印象を世界に植え付けることに成功したからだ。
 また、退任直前の「イラク電撃訪問」というブッシュ政権にとっての大ニュースを、少なくとも「イラクの靴」と「大統領の反射神経」という問題にすりかえることには成功している。

◇ 大統領が自らの災難をジョークにできる国
 一方で、米国内では、大統領の身辺を案ずる真摯な意見よりも、今回の事件そのものをネタにしようという声が圧倒的に多い。すでにテレビ、ラジオ、 またウェブ上でも盛んにジョークが飛び交っている。それらは、「風刺」という意味以上に、ブッシュ大統領の不人気を示す例として参考になる。CNNを中心 に各メディアからジョークをいくつか拾ってみよう。
・「靴に対して失礼だ」(アラブ世界では「犬」「豚」「靴」は侮辱的なモノとされる)
・「あのイラク人記者はとんでもない野郎だ。なにしろ2度も的を外したんだ」
・「みなさん、就任8年目にしてやっと大統領の特技がみつかりました。それは……、ドッジボールです」
・「イラクを訪れていたブッシュ大統領は、当地で外交政策変更を行いました。大きく左に傾いたのです」
・「クリントン前大統領から、ブッシュ大統領に激励文が届きました。『あなたは、私以上に、靴や、皿や、家具を除けるのがうまい』」
 こうした「靴に失礼だ」的なジョークは、ブッシュ大統領周辺にも広がりをみせている。ペリーノ米大統領報道官は、事件後初の会見でこう語っている。
「記者のみなさん、本日の会見の前にひとつお願いがあります。どうか、靴を脱いでください」
 こうしたジョークを最初に発したのは、ほかでもない当事者のブッシュ米大統領だ。靴を投げつけられ、ザイディ記者が拘束された直後、「靴のサイズは10だな」と語り、その後、こう続けている。
「結構、身をかわすのがうまいだろう。もちろん、君たち(記者)の質問に対してだが……」
 米大統領の危機に際した時のこの種の余裕は、ブッシュ大統領だけのものとは限らない。かつて、レーガン元大統領が狙撃された時、心配して病院に駆けつけたナンシー夫人に向かって、最初に投げかけた言葉も見事だった。
「ナンシー、ごめん。弾をよけそこなったよ」

◇ “未曾有”すらジョークで流せない麻生首相の偏狭
 驚くのは、大統領側近がこうした事件の一部始終を隠すことなく映像に残していることだ。その理由は、大統領は24時間の公人であり、その存在が国家自体を体現し、いかなる場合であっても、国のトップの情報は国民に知らせるべきだという姿勢があるからだろう。
 だからこそ、ジョークも活きるわけである。生命の危機に晒されている大統領が、余裕を持ってジョークを語る姿を知って、どれほどの国民の不安が解 消されただろうか。実際は、かなりシビアな状態にあったレーガン元大統領だが、こうして米国民は「安心」という何よりの政治的恩恵を受けるのである。
 翻って日本はどうだろう。漢字の読みを指摘され、ホテルのバー通いを咎められた首相は、ジョークで返す余裕もなく、本気になって若い記者たちを叱 り飛ばす。景気対策、第二次補正、給付金――、自らが宣言してみせて、自らが取りやめたものを国民から批判されて、逆に怒っている始末だ。
 なぜ、同じ不人気ながら、日米のトップが国民に見せる姿にはこんなにも差があるのだろうか。
 自己の危機にですら余裕を失う偏狭な人物が、国家の危機に際してどういった対応をするのかということは容易に想像がつく。些細なことで余裕を失い、他者を攻撃する政治家を、いったい国民の誰が支持するというのだろうか。
 景気は落ち込み、世知辛い世の中だからこそ、せめて、自国のリーダーくらいは超然とあって欲しいものだ。そしてそれこそが国民がもっとも望むリーダー像ではないか。
 麻生首相と親しい藤本順一氏(ジャーナリスト)は、事務所を通じて、首相本人にこう進言したという。
「正月の書初めは、『未曾有』とか『踏襲』で決まりですね。それが宰相の余裕ですよ」
 果たして、麻生首相にこうした進言を受け止める余裕はあるのだろうか。
 国家のリーダーにとっては、「風刺」も「批判」も等しく、政権運営に必要な「情報」に他ならないである。欧米のリーダーにはそうした余裕があり、危機の時こそユーモアのセンスを忘れないという「矜持」がある。
「矜持」という言葉が何より好きな麻生首相にこそ、そうした余裕が必要なのではないだろうか。

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まぁ変に自信持たれるより、ジリ貧のまま退陣願った方が、日本のためかもね....。

日銀 追加利下げ0.1%に 景気「悪化」に下方修正


産経新聞2008年12月20日(土)08:05
 日銀は19日、金融政策決定会合を開き、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0・3%から0・2%引き下げ、0・1%にすることを7対1の賛成多数で決め、即日実施した。利下げは10月末に続くもの。事実上のゼロ金利とした米連邦準備制度理事会(FRB)に追随した。また、コマーシャルペーパー(CP)の買い切りなど資金供給システムの拡充も打ち出した。
 日銀は景気判断も下方修正して、「停滞色が強まっている」から約6年半ぶりに「悪化している」とした。日米の政策金利逆転による円高が景気悪化に拍車をかけることを懸念。景気を金融面から下支えする必要があると判断した。
 日銀内では、政策金利がゼロに近づけばその後の金融調節の手段が限られるため、追加利下げへの慎重論も根強かった。しかし、FRBが、事実上のゼロ金利という予想を上回る利下げや資金供給策を打ち出したことで、外国為替市場では一時1ドル=87円前半まで円高が進み、長期金利も急低下。日銀が利下げを見送れば、円高が一段と進む可能性が指摘され、早期の対応を迫られていた。
 ただ、金利がゼロになれば金融機関が資金を融通しあう短期金融市場の機能を損なうとして、0・1%を残しゼロ金利は回避した。
 一方、同日の会合では、年度末に向けた資金繰り支援のため、企業が発行するCPの買い切りを実施するほか、金融機関が保有する長期国債などの買い入れを増額することを決めた。

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日銀決定会合 資金供給の拡充策検討 CP買い切りも(産経新聞) 12月19日 08:05



未踏の策“もろ刃の剣” CP買い切り 日銀に貸し倒れリスク
産経新聞2008年12月20日(土)08:05
 日銀が19日、利下げに加えて決めた企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)の買い切りは、倒産した場合に損失を被るリスクを中央銀行自らが負うという未踏の領域に踏み込んだことを意味する。伝統的な金融政策で は、取引先である銀行を通じて資金を供給する間接的な手法を用いてきたが、金融危機によりお金の流れが目詰まりを起こす中、直接的に介入する。だが、損失 が過度に膨らめば財務の健全性が損なわれ、日銀の損失は国民の負担になる。中央銀行としての信認が揺らぎかねない“もろ刃の剣”でもある。(本田誠)
 「中央銀行が信用リスクの補完に踏み込む措置は異例中の異例だ」。日銀の白川方明(まさあき)総裁は19日の政策委員会・金融政策決定会合後の会見で、今回の決断の重さをこう表現した。
 CPの買い切りはあくまで時限的な措置で、金融機関を通じて一般企業が発行したCPを買い入れる方向だ。これまでも日銀は、銀行が取引先企業から引き受 けたCPを買い入れてきた。ただ、一定期間以内に銀行が買い戻す条件を付けており、企業が倒産した場合のリスクは、あくまで銀行が負っていた。
 しかし、買い切れば、そのリスクは日銀に移る。その結果、銀行は、貸し倒れリスクから解放されるため、日銀による買い切りを前提に積極的に取引先企業のCPを引き受けることができるようになり、資金供給の円滑化につながる。
 このほか、日銀に先立ってCPの買い入れに乗り出す日本政策投資銀行を資金供給の対象に追加することも決めた。
 日銀は日本経済がバブル崩壊後、平成13年から5年にわたって、金融政策の目標を金利から資金量に転換した「量的緩和政策」を導入した。
 民間金融機関が決済のために日銀に開設している当座預金口座の残高目標を設け、目標額に達するまで大量に資金供給する措置だ。その結果、銀行からあふれた資金が企業向け融資に回り、経済の活性化につながることを狙った。
 今回の金融緩和策も資金量は増大するが、白川総裁は「当座預金に目標を定めて資金量を拡大するという意味での量的緩和策は採用されていない」と違いを強調した。
 すでに米連邦準備制度理事会(FRB)もCPの買い切りに踏み切っているが、欧州中央銀行(ECB)は、直接介入には慎重な姿勢を崩していない。
 世界同時不況で資金の目詰まりが深刻化するなか、日銀はFRBに加え、政府・与党の期待に押されて買い切りに踏み込んだ。
 だが日銀の資産が劣化し、政府に損失を穴埋めしてもらう事態となり、信認が失墜するリスクも抱え込んだ。日銀の金融政策は正念場を迎えている。
                   ◇
 ■日銀決定のポイント
 ・政策金利を年0.3%程度から年0.1%程度に引き下げ
 ・政策変更は賛成7人、反対1人。反対は野田忠男審議委員
 ・補完貸付制度の適用金利を年0.5%から年0.3%に引き下げ
 ・企業が発行するCPの買い切りを実施し、資金繰りを支援
 ・長期国債の買い切りオペを年間14兆4000億円から16兆8000億円に増額
 ・国内景気は悪化しており、当面厳しさを増す可能性が高いと判断
                   ◇
【用語解説】コマーシャルペーパー(CP)
 大企業や中堅企業が短期的な資金を調達するために発行している。企業が運転資金などを確保する手段として広く使われている。最近は金融市場の混乱で、機 関投資家や金融機関がCPの引き受けを敬遠し、資金繰りに苦しむ会社が増えている。日銀はこれまでも、一定期間以内に売り戻す条件を付けて金融機関から CPを買い入れていた。今回はこの条件をなくし、日銀が買い切るため、金融機関は買い戻す必要がなくなり、CPの発行企業が破綻して資金を回収できなくな るリスクを回避できる。

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よいしょっと....。