月曜日, 11月 03, 2008

「定額給付」政局の焦点に 関連法成立へ高いハードル 支給は4月以降?


産経新聞  2008年11月3日(月)08:05

 麻生太郎首相が追加経済対策として打ち出した総額2兆円の定額給付金。平成20年度内に支給するための第2次補正予算案と、その財源のための関連法案の扱いが政局の焦点に浮上している。関連法案の前には、ねじれ国会おなじみの「60日ルール」が立ちふさがり、臨時国会で処理するにしても、来年1月召集の通常国会で処理するにしても、日程は極めてきつい。支給が来年4月以降にずれ込むことは避けたい政府・与党。果たして…。

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 給付金の年度内支給は、次期総選挙で自民党が選挙協力を期待する公明党が強く求めてきた。

 「減税方式に比べ、より効果が多い方式だと、私自身は思っております」。麻生首相が10月30日の記者会見で、追加経済対策の筆頭に挙げたのも、早期の支給を前提条件と受け止めているからだ。

 ネックになるのは、給付金財源だ。政府が念頭に置くのは「財政投融資特別会計」の準備金。国債費に充当することはできるが、給付金のような景気対策に振り向けるには、特別措置法などを制定し、使途を拡大しなければならない。

 だが、首相は会見で2次補正予算案と関連法案の国会提出時期を明言しなかった。事情がある。ねじれ国会の行方が見えないためだ。

 補正予算案は、野党が参院審議引き延ばしで採決に応じなくても、憲法の規定で衆院から参院に送付後30日で自然成立する。だが、関連法案は参院送付から60日が過ぎなければ、衆院の3分の2以上の賛成で再議決できないのだ。

 補正予算を早期に成立させても、特措法が成立するまでは財源が手当てできない状態となる。

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 給付金を年度内で支給するには、どのタイミングで成立させるかが鍵となる。

 今の臨時国会で成立を図ろうとすると、まず2次補正の予算案を編成しなければならないが、国会提出は「早くても今月20日ごろ」(財務省幹部)。衆院可決後、参院に送付するのは、衆院審議を急いでも11月末になる見通し。だが、それも野党の抵抗があれば保証はない。

 臨時国会は今月30日までのため、会期延長せざるを得ないが、国会法では次期通常国会は1月中に召集しなければならず、最大限延長しても来年1月29日まで。衆院再議決の「60日ルール」を織り込むと、日程は極めて厳しい。

 与党には財投特別会計以外の財源を模索する動きもあるが、政府内では「これから2兆円もの予算をかき集めるのは困難」(財務省幹部)と否定的な見方が強い。

 給付金の処理を来年の次期通常国会に先送りするのはどうだろう。

 通常国会の召集を1月初旬に“前倒し”して成立を目指すほうが現実的だ。ただ、こちらもハードルが低くはない。年度末ギリギリの成立では、給付金の支給 事務を行う市町村の準備に支障が出かねない。臨時国会よりは、スケジュールは楽とはいえ、「60日ルール」の衆院再議決を想定すると、ゆとりはない。

 しかも、2次補正予算案と関連法案をめぐる与野党対立で国会審議全体が遅れれば、本来審議するはずの21年度本予算の年度内成立ができず、4月以降の暫定予算編成に追い込まれる恐れもある。

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 こうした事情を見透かして、民主党は第2次補正予算案と関連法案を「最大の争点となる。これでヤマ場を作ればいい」(国対幹部)としている。徹底抗戦に出て早期衆院解散・総選挙に追い込もうという作戦だ。

 民主、社民、国民新の野党3党の国対委員長が10月30日の会談で、2次補正予算案の今臨時国会への提出要求で一致したのも、揺さぶりをかけるためだ。

 与党には「野党も『経済対策つぶし』と批判を受けるので徹底抗戦できまい」(閣僚経験者)との楽観的見方もあるが、「イバラの道でも乗り越えなくてはならない」(伊吹文明前財務相)といった波乱国会を懸念する声が強まっている。

関連ニュース


結果、意味のない景気対策になんじゃねぇの?

麻生内閣総理大臣記者会見 平成20年10月30日

所信表明以来、久々の官邸カットかな?

 平成20年10月30日、麻生総理は総理大臣官邸で記者会見を行い、景気不安や世界的な金融不安に対応するため、新しい経済対策「生活対策」の概要を発表しました。

 発表した対策では、「生活者対策」「中小・小規模企業等企業活力向上、金融対策」「地方」に重点を置き、「生活者対策」では定額減税や住宅ローン 減税など、「中小・小規模企業等企業活力向上、金融対策」では資金繰り対策や株式配当等の軽減税率の延長など、「地方」では高速道路料金引き下げや道路特 定財源の一般財源化に際して1兆円を地方に振り分けることなどが盛り込まれています。

 また、国際金融問題への対応についても麻生総理の問題意識と改革案を示し、金融機関に対する監督と規制の国際協調体制、格付け会社に対する規制の在り方、会計基準の在り方を、11月15日に行われるG8首脳会議で議論するとしました。

 会見で麻生総理は、「かつてない難しいかじ取りですが、日本政府の総力をあげて取り組んでまいります。」と述べました。

関連リンク


「生活対策」-国民の経済対策の概要-
平成20年10月30日
1.生活者対策
 ①定額減税等(給付金方式) 2 兆円
 ②介護・子育て
  ・ 介護報酬 月2 万円アップ・介護人材を10 万人確保
  ・ 3 歳未満児の保育サービス利用率5 割増
  ・ 第二子から、年間3.6 万円の「子育て応援特別手当」
  ・ 妊婦健診の無料化(14 回分)
 ③雇用
  ・ 雇用保険料を大幅引下げ (標準世帯で年約2 万円還元[21 年度])
  ・ 雇用強化対策
  - 年長フリーターの正規雇用を奨励
  - 新規雇用を創出(地場産品販売、高齢サービスなど)
 ④住宅ローン減税等
  ・ 過去最大級(控除可能額)の住宅ローン減税、リフォーム減税
  ・ 省エネビル建設などに容積率緩和
 ⑤電気・ガス料金の引上げ幅圧縮・平準化の要請
2.中小・小規模企業等企業活力向上、金融対策
 ①資金繰り対策 総額30 兆円のセーフティネット
  ・ 緊急信用保証 6 兆円→20 兆円に拡大
  ・ 政府系金融緊急融資 3 兆円→10 兆円に拡大
 ②成長力強化税制
  ・ 新エネ・省エネ投資の即時全額償却
  ・ 中小企業法人税引下げ
  ・ 海外所得(17 兆円)の国内への還流促進
 ③金融機関への資本参加枠(現行2 兆円)の拡大
 ④株式配当等について軽減税率を延長
3.地方
 ①高速道路料金引き下げ
  ・ 「休日はどこまで行っても1,000 円」、「平日昼間も3 割引」
 ②道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方に
 ③「地域活性化交付金」で、きめ細かな地域のインフラ整備
4.財源及び財政の中期プログラム
 ①対策の財源は、赤字国債なし。特別会計積立金等を活用。
 ②中期プログラムの基本骨格
  ・ 3 年以内の景気回復期中は減税等を時限的に実施。
  ・ 経済状況好転後に、財政規律、安心な社会保障のため、消費税を
   含む税制抜本改革を速やかに開始。2010 年代半ばまで段階的に
   実行。
  ・ 本年末に、税制全体について「抜本改革の全体像」を提示。
以 上