月曜日, 12月 22, 2008

各国外交団、民主党に接触攻勢 政権交代視野に「値踏み」


 各国の駐日大使ら外交団が民主党幹部と面会するなど同党と接触する動きが増えている。次期衆院選後の政権交代を視野に「民主党政権」の外交戦略を値踏みするとともに、同党幹部とのパイプをつくっておきたい諸外国の思惑が見え隠れする。
 民主党関係者によると、鳩山由紀夫幹事長は12月に入って英国、フランス、豪州の3カ国の駐日大使らと相次いで会談し、意見交換した。各国からの申し入れ によるもので、中国の駐日大使も小沢一郎代表への早期面会を求めているという。同党関係者は「他の外交団の面会希望も後を絶たない」としている。
 19日には、米国のジョセフ・ナイ元国防次官補やマイケル・グリーン元国防総省アジア太平洋担当特別顧問ら米民主党の国防・アジア担当専門家が菅直人代表 代行、岡田克也副代表らと都内のホテルで会談し、「日米の民主党が互いに交流を深めることが大事だ」との認識で一致した。
 同席した鳩山氏は会合後、「アフガニスタン政策について意見交換し、オバマ次期大統領の考えの概略を聞いた」と述べており、米政府が増派を決めたアフガン政策を中心に意見調整したとみられている。
 関係者によると、ナイ氏が「オバマ次期政権下で(日本の)民主党が安全保障政策でインド洋での給油活動をやめ、日米地位協定や普天間飛行場の移転問題も見直しに動いたら反米と受け止める」とクギを刺す場面もあったという。



民主党幹部と米民主党国防関係者 政権交代見据え会談

 民主党の菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長ら同党幹部は19日、都内のホテルで米民主党の国防関係者らと会談した。 来年1月20日のオバマ米次期政権の正式発足と日本での政権交代を見据え、両国の民主党が親交を深めるとともに、今後の日米関係の方向性などついて意見交 換するのが狙いだったという。
 会談には米側から、ジョセフ・ナイ元国務次官補、マイケル・グリーン元国家安全保障会議(NSC)日本・朝 鮮担当部長、ジョン・J・ハムレ元米国防副長官、ジョン・ケリー上院議員らが出席した。日本側は岡田克也、前原誠司両副代表、岩國哲人国際局長らも同席 し、オバマ政権発足後の米国の国防戦略についても協議した。
 この日の会談について鳩山氏は記者会見で「米国の民主党と日本の民主党でお互 いに交流を深めることが大事ではないかという貴重な示唆を具体的にいただいた」と説明した。そのうえで「アフガニスタン政策について意見交換を申し上げ、 オバマ次期大統領がどのように考えているかということの概略のお話をいただいた」と語った。


どうなんでしょ?

重要課題枠、社会保障に775億円 09年度予算政府案固まる


共同通信2008年12月22日(月)20:25
 2009年度予算で焦点となっている重要課題推進枠3330億円の配分が22日、中川昭一財務相から関係閣僚に内示された。麻生太郎首相の指示を受け、医師不足対策、雇用促進など社会保障関係に総額775億円を確保、地域活性化につながる公共事業や、食料自給力向上のための農業予算も原案段階から上積み。これで政府案が固まり、24日閣議決定する。財務相は記者団に「限られた予算でめりはりを利かせた」と強調した。


妊婦健診無料化などを重要課題推進枠に、09年度予算
読売新聞 2008年12月22日(月)16:18
 麻生首相は22日、中川財務・金融相と会談し、2009年度予算編成で麻生首相が使い道を決める「重要課題推進枠」(3330億円)と、使い道が決まっていなかった「調整財源」(200億円)の配分を最終決定した。
 推進枠には、「生活防衛策」として、妊婦健診に対する国費負担を増やして健診の実質無料化を図ることや、出産育児一時金の引き上げ、医師不足対策 などが盛り込まれた。また、外交力の強化を図るため、政府開発援助(ODA)の予算を財務省原案から上積みするほか、雇用対策や科学技術振興策などに重点 配分することになった。



09年度予算 埋蔵金と赤字国債が頼りとは
読売新聞2008年12月21日(日)01:32
 景気下支えや膨らむ社会保障費の手当てのため出費は増える。一方で税収は大幅に減少する。金融危機の直撃を受けた予算編成は、例年にない厳しいものになった。
 2009年度予算の財務省原案は、一般会計の歳出総額が88・5兆円と、08年度当初予算に比べ5・5兆円増える。基礎年金の国庫負担増加分や、景気対策の予備費1兆円などを計上したことで、過去最大を記録する。

 ◆国債発行額は33兆円◆
 逆に税収は、企業業績の悪化による法人税の落ち込みなどで約46兆円にとどまる。今年度当初予算より7兆円以上も少ない。
 08年度予算の第2次補正で、税収が7兆円減額修正され、その傾向が09年度も続くと想定した。
 この結果、国債の発行額は、08年度当初予算を約8兆円上回る33・3兆円となり、4年ぶりに30兆円の大台を超える。歳入に占める国債比率は4割に近づいた。
 政府は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を11年度に黒字化する目標を立てている。今回、財政赤字が一気に拡大し、目標達成は事実上不可能になったといえよう。
 これ以上、その目標にこだわる必要はあるまい。達成年度を先送りしてしかるべきだ。
 だが、巨額な財政赤字を放置しておいて構わないということではない。当面は国債発行でしのぐとしても、いずれ安定財源を確保し、財政再建に取り組むとの目標まで失ってはいけない。
 その場合、消費税に頼らざるを得ないのは明白だ。景気の動きを見れば、消費税率を直ちに引き上げる状況にはない。だが、今から議論を進め、景気回復後に速やかに引き上げが実現できるよう環境を整えておく必要がある。
 その点、与党の来年度税制改正大綱は消費税率引き上げの時期や幅に触れなかったが、政府・与党が近くまとめる中期プログラムでは、せめて税率引き上げの時期を明確にすべきだ。

 ◆目立つ埋蔵金の流用◆
 一連の予算編成で目立つのは、「埋蔵金」の流用だ。まず、今年度の第2次補正予算に4兆円投入する。09年度予算にも4兆円以上つぎ込む。さらに10年度予算でもあてにされている。
 景気対策の目玉とされる定額給付金や、基礎年金の国庫負担増に伴う09、10年度の2年分の財源になる。地方交付税の積み増しなどにも使われる。
 埋蔵金の大半は、財政投融資特別会計の積立金と毎年の余剰分だ。積立金は今年度末で約10兆円とされる。余剰分は、過去の高い貸付金利と現在の低い調達金利の差で生じるもので、今年度に約2兆円、来年度もそれに近い額が見込まれている。
 こうしたお金は本来、国債償還に回すべきものだ。流用は赤字国債の増発と変わらない。ある程度の流用は許容範囲だが、景気が回復すればすぐにやめるべきだ。
 来年度予算の焦点の一つだった道路特定財源の一般財源化は、実質、骨抜きに終わった。
 今年度予算で7000億円計上された「地方道路整備臨時交付金」を、新設する「地域活力基盤創造交付金」に衣替えし、9400億円に増額して地方に配る。8割が道路整備に使われるという。
 地方交付税等は、首相の指示で約1兆円近く増額され、16・6兆円となった。地方では公務員の割高な人件費など、まだ無駄な出費も多い。自治体は一段の歳出削減に取り組む必要がある。
 09年度予算では、歳出削減のための概算要求基準(シーリング)が7月末に決められた。
 社会保障費については、自然増分を2200億円抑制する例年通りの目標が課せられた。これをクリアするため、たばこ税の増税などが検討されたが、結局、埋蔵金などから財源をひねり出し、なんとかつじつまを合わせた。
 だが、実際に歳出を抑制するのは、後発医薬品の利用促進による200億円余りにとどまった。

 ◆限界に来たシーリング◆
 そのほかの歳出項目でも、きしみが生じている。これ以上、シーリング方式を続けるのは無理だろう。10年度予算では新しい手法を考えるべきだ。
 どうすればいいのか。自民党の財政改革研究会が昨年出した提言が参考になる。まず予算を、社会保障部門とその他部門に大きく2分割する。
 社会保障部門は、国民生活の不安解消のため、必要な伸びを認め、将来的には、社会保障目的税にする消費税で財源を確保する。その他部門は出来るだけスリム化を進めるというものだ。
 その他部門では、政府開発援助(ODA)など、戦略上、重要な予算は増額を認めるなど、柔軟に対応する姿勢が肝要となろう。

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【竹中平蔵 ポリシー・ウオッチ】最も失われた1年


 ■誤った政策がもたらす三重苦
 日本経済が大変な危険水域に突入した。経済成長はマイナス、企業は大 幅減益、雇用減少が鮮明化し、家計消費が大幅に悪化している。日銀短観も悲観一色となった。そうした中、政府の経済政策が不適切な方向に向かっている。現 状は、確かに100年に1度の金融の嵐が吹き荒れている。しかしより深刻なのは、現内閣の経済政策が迷走を続けていることだ。
 あまりの迷 走ぶりに、メディアの評価も厳しさよりはあきらめムードが漂う。しかし政策を糾(ただ)すために、何が問題なのか明確に指摘しておこう。不適切な経済政策 が、いったんは復活した日本経済の蓄積を食いつぶしつつある。首相からは、予算規模を拡大する一方で、増税時期を中期プログラムに明記するという一貫性を 欠く指示が出され、予算編成はそのような方向で進んでいる。このままでは、景気は回復せず、財政再建は遠のき、そして増税だけが残るという姿になる。まさ に、誤った政策による三重苦だ。1990年代の日本経済は失われた10年と呼ばれたが、平成20年秋に始まった麻生政権下での政策混乱が来年秋まで続け ば、日本は「最も失われた1年」を経験するかもしれない。
 三重苦の第1は、この政策のままでは経済が回復しないという点だ。経済の現状をかなり深刻にとらえる必要がある。金融は大幅に逼迫(ひっぱく)しており、過去2年間で3倍に増えた倒産件数は今後さらに増加するだろう。何より重要なのは、中小企業のみならず上場企業が多数倒産(年初からすでに30社超)していること、しかも黒字倒産がみられることだ。金融機関のバランスシートは欧米ほど傷んでいないのに雇用情勢の悪化は着実に進んでいる。現状では、非正規雇用の問題ばかりが注目されるが、正規雇用の削減も進むと考える必要がある。一部の企業は、金融経済危機をエクスキューズ(言い訳)にして、日本から海外に大幅に活動拠点を移すのではないか。本格的な空洞化だ。構造改革が停滞したために規制緩和が進まず税率も高いままの日本からいかに撤退するか、グローバル企業はしたたかに考えていよう。
  三重苦の第2は、財政再建が大きく遠のいた点だ。そもそも成長なくして財政再建はない。日本の財政健全化は「23年基礎的収支の黒字化」を目指して苦しい 道のりを歩んできた。結果的に過去5年間で基礎的収支は28兆円の赤字から8兆円の赤字へと、大きく改善した。この改善を、本格的な増税なしに実現したのである。このまま改革を続け経済を活性化し(税収増を確保し)、一方で歳出健全化を続ければ23年の黒字化目標達成は決して難しいことではなかった。
 しかし今回の予算編成で、基礎的赤字は再び13兆円へと拡大する。これまでの改革の成果は一気に食いつぶされることになる。

 ■諮問会議は金庫番か
 財政悪化の理由として、しばしば100年に1度の危機、そのために財政拡大が必要という論理が展開されている。たしかに経済は厳しい状況であり財政拡大による刺激策は必要な局面だ。しかし、目の前にあるのは危機をエクスキューズにした安易な財政拡大だ。
 そもそも従来、開放経済の下では財政拡大は大きな効果を持たないことが知られてきた。財政で内需を増やしても、一方で金利上昇・通貨高・輸出減と いうメカニズムが働き、財政の効果がキャンセルアウトされるためだ。その中で日本は、ロジック(論理)を無視して常に財政拡大を指向してきた数少ない国 だった。
 にもかかわらず今回、各国が財政拡大に踏み切ったのは、理由がある。それは、金融機関のバランスシートが傷んでおり金融政策が効かないことと、経済の悪化が極めて大きいことである。しかし日本の場合、金融機関のバランスシートは欧米ほどには傷んでおらず、金融政策の効果が相対的に は期待できる状況にある。したがって、まず金融政策を積極的に展開し、そのうえで効果は限定的であることを前提に必要な財政拡大を行う、という位置づけが必要だった。しかし日銀の対応は、今回も遅れた。
 財政政策については、将来的に必要になる財政支出を前倒しで行うことが基本であり、現実 にアメリカもヨーロッパ諸国もそうした財政政策を掲げている。しかし日本は、2兆円の定額給付金に象徴されるように、将来の財政支出とは関係のない支出、 効果が期待されない支出を行おうとしている。まさに、経済は回復せず財政赤字だけが残る、という構図である。
 三重苦の第3は、増税を行う ことだけが明確にされている点だ。政府の「中期プログラム」では、首相指示に基づいて「3年後の増税」が明記された。このプログラムは興味深い内容になっている。消費税を引き上げるという「マクロ」の財政赤字を削減するための項目と、所得税の見直しや法人税引き下げなどいわゆる「税構造」見直しが混在している。しかしマクロについては、いったいなぜ3年後に増税が必要なのか経済的背景が全く分からない。経済がどれほど成長し、どれだけの歳入欠陥があるから 3年後に増税が必要なのか、明確な説明がない。金庫番的発想で増税することを書きたかった、という内容なのだ。
 しかもこれが、経済財政諮問会議で決定された。そもそも諮問会議は、マクロ経済と財政の整合性を議論することが最大の役割であり、だからこそ財政審や税調とは違う重要な役割を担ってきた。しかし今回、諮問会議はマクロ経済との関係を示すことなく、3年後の増税を決めた。諮問会議本来の役割を自ら放棄したように映る。
 残念ながら現状は、何でもかんでも金融危機のせいにしてなし崩し的にロジックを無視した政策が行われている。結果的に、規模も内容も中途半端で安易な財政ばらまきだけが繰り広げられようとしている。このままでは、経済は改善せず、財政赤字のみが深刻化するという90年代の二の舞いになりかねない。そして国民には増税の負担感のみが残る。日本経済の「最も失われた1年」を回避する正しい政治的リーダーシップが求められる。


論理的に悲観的になられると、先行き暗くしか思えない....。
どーしろってーの?

景気判断「悪化」…ITバブル崩壊以来6年10カ月ぶり 12月の月例経済報告

 与謝野馨経済財政担当相は22日の関係閣僚会議に、12月の月例経済報告を提出した。景気の基調判断について前月の 「弱まっている」から「悪化している」にあらためられ、3カ月連続の下方修正となる。「悪化」の表現が使われるのは、IT(情報技術)バブル崩壊後の平成14年2月以来、6年10カ月ぶり。輸出の不振が企業収益や設備投資の大幅な調整を招いており、米国の金融危機に端を発した景気後退が日本の実体経済に押 し寄せ、本格的な不況突入の様相を見せ始めている。
 基調判断の下方修正は今年に入って7回目で、経済状況は急速に厳しさを増している。 「悪化している」との表現に変えた根拠は、景気を判断する主要11項目のうち設備投資、住宅建設、生産、企業収益、企業の業況判断、雇用情勢の6つが下方 修正され、企業活動を中心とした経済の悪化が鮮明になったからだ。

 中でも、生産と企業収益はそれぞれ「減少」から「大幅に減少」に変わ り、設備投資も「弱含んでいる」から「減少している」にあらためられた。さらに、雇用についても「悪化しつつある」から「急速に悪化しつつある」へと修正されたのが目を引く。ただ、個人消費は「おおむね横ばい」としている。
 世界経済の悪化も鮮明となった。アジアについては「景気減速の動き がみられる」としていたのを、「減速している」と下方修正。特に、中国については月例で判断を始めた平成6年以降、初めて「減速している」と認定した。今 年第3四半期(7~9月期)の国内総生産(GDP)成長率が10%を下回ったほか、輸出が急減速していることなどを判断の根拠とした。

 こうした経済状況から、日本経済の先行きについては「当面、悪化が続く」と厳しい見方を示している。

 このところ相次いで発表された主要経済指標も、 7~9月の法人企業統計で設備投資と経常利益の大幅な悪化が示され、日銀短観(短期経済観測調査)でも大企業製造業の業況判断指数は過去2番目の悪化幅と なった。雇用環境は有効求人倍率が0・8倍と低水準にある。とりわけ、社会問題化しつつある非正規労働者のリストラや、学生の採用内定取り消しも「今後の雇用者減につながる」(内閣府)と判断材料の一つにしている。

 このため、今回の月例報告では「(企業の)急速な減産の動きが、雇用の大幅 な調整につながることが懸念される」と指摘されている。雇用情勢の悪化がいずれ、個人消費の冷え込みを招く「負の循環」に陥る可能性さえ高まっており、 「景気をさらに下押しするリスクが存在する」と警戒を強めている。

この期に及んで、甘い見通しが立つ訳ないにしろ、政局しか睨んでない政治家の動きが、相変わらずなのはどーしたもんなんだろ....。 記事を少しでも読み下して把握できるように、ない知恵絞って足掻いてきたが、結局のところ、何がどーなれば「可」なのか?さっぱり掴めないまま、入ってくる情報に振り回され続けてる....。

現段階で、政権交替が成ったところで、生活が上向く保障は何もない。
とは言え、この人たちに、いつまでも任せておきたくない。

情報を積んで、自らの「理解」が伴えば、これに対する「論拠」が得られると、浅はかな考えを抱いていた。 米金融危機が起きなければ、お気楽に「解散しろぉ!」とお題目を唱えていられたんだろうか? それ以前に、麻生氏は、持論の通り解散総選挙に打って出ていたんだろうか?

資源大国・日本の誕生:北野幸伯(国際関係アナリスト・ロシア在住)


Voice2008年12月20日(土)15:30
世界的に石油不足が深刻化

 現在「エネルギー市場」といえば、もっとも重要なのが原油価格の動向である。原油価格は2008年年初から上昇を続け、7月に史上最高値の1バレル=147ドルを記録した。その後は約3分の1の50ドル台まで下げた。
 2010年の時点で原油価格はどうなっているのだろうか? 2つの動きがあり、予測は難しい。
 1つは原油価格を下げる動き。アメリカ発の危機が波及し、世界的金融危機が深刻化している。景気が悪化し、原油の需要が減少すれば、当然原油価格は下がっていく。現在の状況を見ると、2010年に景気が回復しているとは思えない。
 もう1つは原油価格を上げる動き。アメリカとイスラエルは、何度もイラン攻撃の可能性に言及している。実際に戦争が起こり、イランが原油輸送ルートの要所 ホルムズ海峡を封鎖すれば、原油は200ドル以上になるかもしれない。事実08年1月には一触即発の事態も起こっている。

〈 ホルムズ海峡でイラン高速艇が米軍艦船を威嚇=米国防総省――08年1月8日7時28分配信
[ワシントン 7日 ロイター] 米国防総省は7日、ペルシャ湾のホルムズ海峡で現地時間5日夜から6日未明にかけイラン革命防衛隊の艦船5隻が、米海軍艦船3隻に至近距離まで接近し、威嚇行為を行ったことを明らかにした 〉

 結局、「原油価格の動向を短期で予測するのは難しい」という結論になる。
 しかし、日本の行くべき道を知るためには、もう少し長いスパンで未来を考えてみればいい。
 数年先を知るのは困難だが、長期で未来を予測するのは、逆に簡単である。長期的に見ると、世界的エネルギー危機が起こる可能性が高い。
 第1の理由は、世界の人口が年8000万人ずつ増えていること。つまりエネルギー需要は1年間に8000万人分ずつ増えていくのだ。米商務省の予測によると、世界人口は2013年に70億人、27年に80億人、45年に90億人を突破する。
 第2の理由は、世界経済の拡大により、エネルギー需要が増加していくこと。
米エネルギー省によると、1日当たりの世界石油消費量は、2000年の約7700万バレルから、05年には8500万バレル、10年9400万バレル、 15年1億200万バレル、20年1億1000万バレルと増加しつづけていく。石油消費量がとくに急増していく見通しなのが、中国とインド。
 第3の理由は、新エネルギーの普及が進まないこと。
「石油の話ばかりするが、新エネルギーが普及していくのではないか?」と疑問を抱かれる人もいるだろう。しかし、現時点での見通しは暗い。
 2000年の時点で、石油は世界のエネルギー消費の39%を占めていた。2位は石炭で24%、3位は天然ガス(22%)、4位原子力(6%)。
 20年になるとどうなるのだろうか?
 37%が石油。20年間で2%しか減らない。減るといっても、エネルギー消費全体内の割合が減るだけで、量は前記のように増加しつづけていく。
 2位は天然ガス(29%)、3位石炭で22%。残り12%のなかに原子力、水力、風力、太陽エネルギー、燃料電池などが含まれる。
 新エネルギーと期待される、風力・太陽エネルギー・燃料電池を全部合わせても、20年の段階で全エネルギー消費の5~6%にしかならない。
 第4の理由は、石油が枯渇する日が近づいていること。世界を牛耳るイギリス・アメリカの油田がすでに枯渇しつつあるのは、よく知られた事実である。そればかりか、遅くても2040年ごろには世界的に石油不足が深刻化していくと予想される。
 以上4つから、長期的に石油価格は上昇しつづけていくとの結論に行き着く。

 もう1つ重要なのは、石油の供給が減少していく過程で、石油獲得戦争が起こる可能性がある。
 そういえば、フセインのイラクには「大量破壊兵器」も「アルカイダとのつながり」もなかった。では、アメリカがイラクを攻撃した真の理由は何なのか?
 あのグリーンスパン氏は、「イラク開戦の動機は石油」と断言している。

〈 「イラク開戦の動機は石油」=前FRB議長、回顧録で暴露――17年9月17日15時0分配信
[ワシントン 17日 時事]18年間にわたって世界経済のかじ取りを担ったグリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長(81)が17日刊行の回顧録で、2003年春の米軍によるイラク開戦の動機は石油利権だったと暴露し、ブッシュ政権を慌てさせている 〉

 事実、アメリカはイラク占領後、先に進出していた中国・ロシア・フランス企業を追い出し、石油利権を独占した。この3国が国連安保理で、イラク戦争に最後まで反対したのも偶然ではないのだ。今後、この手の紛争は増えていくだろう。
 まとめると、(1)石油の需要は長期的に増加していく、(2)石油は枯渇する方向で、長期的に供給は減少していく、(3)石油をめぐる紛争は増加していく、(4)エネルギー危機が起こる可能性は高い、となる

エネルギー自給率100%へ

 日本の進路を語るとき、排除されなければならないのは、「石油争奪戦」に参戦することである。米中ロは現在、熾烈な資源獲得競争を繰り広げている。いずれ も、自国の利益のためなら何でもありのワイルドな大国である。日本は第2次大戦時、この3大国を敵に回して敗れた。同じ過ちを繰り返してはならない。
 では、日本はどうすればいいのか?
 エネルギー自給率100%をめざすべきなのだ。
 「不可能だ!」
 そんな声が聞こえてくる。しかし、これは可能なのである。
 メタンハイドレートという新エネルギーがある。簡単にいうと、「凍結状態のメタンガス」。メタンハイドレートは、メタンを中心に周囲を水分子が囲んだかたちになっている物質で、ほとんどは海底にある。
 見た目は氷と同じ。しかし、火を付けると燃えるので、「燃える氷」と呼ばれている。一立方メートルのメタンハイドレートを解凍すると164立方メートルのメタンガスになる。
 石油、石炭と比較すると、燃焼時の二酸化炭素は半分ほど。温暖化対策にも有効な新エネルギーなのだ。
 米地質調査所とエネルギー省のデータによると、世界のメタンハイドレートは、陸域で数十兆立方メートル、海域で数千兆立方メートル。これは、世界天然ガス 確認埋蔵量(145兆立方メートル)数十倍。天然ガス、原油、石炭の総埋蔵量の2倍以上といわれている。まさに世界を救う新エネルギーといえる。
 ここからが重要。メタンハイドレートは日本周辺にたっぷりあることがわかっている。
 米エネルギー省によると、南海トラフ(東海地方沖から宮崎県沖)北側に4200億~4兆2000億立方メートル。地質調査所の調査では、南海トラフ、北海道周辺海域に、6兆立方メートルが存在する。これは、日本の天然ガス使用量の100年分に匹敵する。
 日本近海は、なんと世界最大のメタンハイドレート量を誇っている。そのため、日本は石油枯渇後、世界最大のエネルギー資源大国になる可能性がある。
 実際、政府、東京ガス、三井造船、三菱重工、日立製作所、新日本石油などが、すでに研究開発に取り組んでいる。
 最近では、こんな情報もある。

〈 燃える氷をすくい取れ 「メタンハイドレート」試験採掘へ――MSN産経ニュース08年8月19日0時36分
経済産業省は資源価格の高騰を受け、天然ガスの代替エネルギーとして期待される「メタンハイドレート」の日本近海の海底での産出試験に平成21年度から着 手する。同省によると日本近海には国内の天然ガス消費量の100年分に相当する大量のメタンハイドレートが存在するとしており、成功すれば日本のエネル ギー政策に大きな影響を与えそうだ。19日に開催する同省「メタンハイドレート開発実施検討会」で試験計画の内容を説明し、了承を得たい考えだ。計画では 30年度までの商業生産を目指す 〉

 エネルギー革命を起こす可能性があるのは、メタンハイドレートだけではない。たとえば、二酸化炭素削減効果があるバイオエタノール。これまでは、主にトウモロコシやサトウキビを原料に生産されているため、穀物価格を暴騰させる原因になっている。
 しかし、ゴミからバイオエタノールをつくれば、インフレは起きない。
 静岡油化工業株式会社は、「おから」を使ったバイオエタノールを開発した。「おから」とはご存じのように、豆腐の生産過程でできるカス。食べることもでき るが、年間72万トンが捨てられている。同社の長嶋社長は、「100%おからエタノール」で自動車を走らせる実験に成功。排気ガスはまったく無臭だった。
 同社長は今後、じゃがいもの皮・うどんやパンの残飯など、ゴミからバイオエタノールをつくる研究を続けていくと意気込んでいる。ちなみに、「おからエタノール」は静岡県庁で使用されることが決まった。
 もう1つ、「バイオ水素」という面白い技術もある。
 自動車メーカーは現在、水素を燃料とする「燃料電池自動車」の開発に取り組んでいる。燃料電池自動車は、水だけを排出するので「究極のエコカー」と呼ばれ るが、問題もある。それは、水素をつくる過程で、石油やガスを使うこと。結局「化石燃料の呪縛」からは逃れられないのか?
 玉川大学工学部の小原宏之教授は、「バクテリアがつくった水素」で車を走らせる実験に成功した。
 バクテリアのなかには、水素を発生する水素生成菌がいる。同教授は静岡県佐鳴湖から水素生成菌を採取。菌は300リットルの水素を生成し、自動車はこれを燃料に時速40キロのスピードで走った。
 水素生成菌は、枯渇する恐れのある石油などとは違い、無尽蔵で究極のエコエネルギーといえるだろう。
 このように、日本にはとんでもない技術が雨後のタケノコのように現れてきている。世界的金融危機と景気の悪化で世相は暗い。しかし、危機の向こうには、エネルギー大国日本の姿が見えている。


メタンハイドレート その他 (環境goo)
凍った天然ガス「メタンハイドレート」:米で採掘調査開始 (WIRED VISION)


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資源大国・日本の誕生:北野幸伯(国際関係アナリスト・ロシア在住)(2)(Voice) 12月20日 15:36
米原油・ガソリン・留出油在庫が増加=EIA週報(トムソンロイター) 12月18日 07:24
米原油在庫は予想外の40万バレル減=EIA週報(トムソンロイター) 12月04日 01:48
止まらぬ原油下落 需要減、上昇は期待薄 OPEC減産見送り(産経新聞) 11月30日 08:05
米原油在庫は輸入増で予想以上の増加=EIA週報(トムソンロイター) 11月27日 12:00


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