木曜日, 12月 04, 2008

首相、来春の年金国庫負担引き上げを先延ばし


読売新聞2008年12月4日(木)23:10
 麻生首相は4日夜、基礎年金の国庫負担割合を現行の3分の1から2分の1に引き上げる時期について「(2009)年度中に対応できればいいわけですから、これは」と述べ、09年4月からの引き上げにはこだわらない考えを示した。
 首相官邸で記者団の質問に答えた。
 首相は10月2日、国会で、「2分の1への引き上げは、来年4月から実施することが基本だ」と答弁していた。
 首相は4日夜、「財源との関係もある。約束としては、来年度から始まるということになっていると思いますけどね」と述べ、引き上げ時期については、財源の確保を見極めた上で、判断するとの考えを示した。

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4月引き上げ先送り=基礎年金国庫負担、「来年度中に対応」-麻生首相(時事通信) 12月04日 20:30
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「中福祉・中負担」など3原則を合意=諮問会議 (トムソンロイター) 11月20日 23:04

また失言かよ....
4月実施を明言した以上、4月1日から導入が筋だろ!? 出来ないまでも4/30はリミットだよ。 コイツ学校教育一切受けてねぇとしか思えなねぇよな。 こんなの子どもたちが真似でもしたら、洒落になんねぇよ!

年金財源に「埋蔵金」活用へ=国庫負担増、財投準備金で確保-政府
時事通信 2008年12月5日(金)22:30
 政府は5日、2009年度からの基礎年金の 国庫負担割合引き上げの財源に、「霞が関埋蔵金」と呼ばれる財政投融資特別会計の金利変動準備金を充てる方針を固めた。具体的な充当額は引き上げ時期と併 せて、年末にかけての09年度予算編成で最終的に詰める。来年4月から引き上げる場合は約2.5兆円が必要。政府は来年の通常国会に関連法案を提出する予 定だ。
 国民年金法は「所要の安定財源を確保する税制抜本改革」を行った上で、国庫負担を09年度までに2分の1(現行3分の1)に引き上げると規定している。しかし、政府は経済情勢の悪化で、安定財源として想定していた消費税の来年度の引き上げを断念。今月中に策定する税制抜本改革に向けた中期プログラム(工程表)で、将来的な消費増税の道筋を示した上で、「つなぎ財源」として埋蔵金を活用し引き上げを実現させる考えだ。
 これに関連し、河村建夫官房長官は5日の記者会見で、「埋蔵金といわれるものも含めて、どういう形でやるか、これから最終的な決断に向かって検討を進める」と述べた。
 一方、引き上げ時期に関しては、麻生太郎首相が同日の衆院予算委員会で「(来年)4月実施という方向でやりたい」と述べた。

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埋蔵金は無かったんじゃねぇの? いつの間に「既成事実」にしてんだよ! 国の詐欺行為野放しなのも腹立つし....。

首相「4月実施の方向」=基礎年金国庫負担上げ、前言撤回-衆院委
時事通信2008年12月5日(金)18:30
 衆院予算委員会は5日午後、麻生太郎首相と中川昭一財務・金融担当相ら関係閣僚が出席し、金融・経済と年金・医療に関する集中審議を続行した。首相は、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げる時期について「(来年)4月実施という方向でやりたい」と述べた。民主党菅直人代表代行への答弁。
 首相は4日に「2009年度中に対応できればいい」と述べ、来年4月引き上げを明言した従来方針を軌道修正したばかり。わずか1日で再び前言を撤回した格好で、首相の発言のぶれに批判が強まりそうだ。
 首相は「国庫負担の2分の1への引き上げは、国民に対する約束だ。4月にやらないなんて言ったことは1度もない」と強調。その上で「(年末の)09年度の予算編成に当たって(結論を出す)ということだ」と述べた。

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桝添の「そーゆー方向」もふざけんな!って思ったけど、それ引用した挙句、この手の悦に入った表情されると、虫唾が走るって言葉がピッタリなくらいだな。 人を小ばかにすることにかけては、天才的だよな、この馬鹿!

たばこ増税の方向で合意 財務、厚労両相


共同通信 2008年12月4日(木)22:41
 中川昭一財務相と舛添要一厚生労働相は4日、2009年度予算編成をめぐり閣僚折衝し、医療や介護などの社会保障費について抑制額を圧縮する原資として、たばこ税引き上げを検討、調整を本格化させることで合意した。舛添氏は、社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制する政府方針について「安定的な財源が確保できないと予算編成作業は難しい。少なくともたばこ税の引き上げで財源を確保すべきだ」と強調した。

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厚労相が財務相に要求 「社会保障費にたばこ増税を」(産経新聞) 12月06日 12:28
たばこ増税検討で合意=社会保障費見直しで-財務・厚労相折衝(時事通信) 12月04日 22:30
厚労相がたばこ増税要請、社会保障費の圧縮幅削減に(トムソンロイター) 12月04日 19:40
「財源」4つのハードル 歳出抑制を転換 来年度予算方針決定(産経新聞) 12月04日 08:05


とりあえず、似たり寄ったりの記事並べてみますが....

たばこ増税検討で合意=社会保障費見直しで-財務・厚労相折衝
時事通信 2008年12月4日(木)22:30
 中川昭一財務相と舛添要一厚生労働相は4日、2009年度予算編成での社会保障費の取り扱いについて事前折衝した。社会保障費の伸びを2200億円抑制する政府方針の見直しに関して、舛添厚労相がたばこ税の増税で対応するよう求めたのに対し、中川財務相は一定の歳出削減を条件に了承。たばこ税増税の検討で両相が事実上合意した。
 中川財務相は「与党税調の推移を見守る必要がある」とする一方、増税してもなお社会保障費を抑制する必要があることを念頭に「残りの部分の(社会保障費)削減については達成できるようお願いし
たい」と述べた。
 これに関連して、舛添厚労相は、財務省が検討している雇用保険の国庫負担削減について、雇用情勢が厳しいとして反対の立場を強調。中川財務相は「国庫負担削減は一つの考え方で、よく調整をお願いしたい」と理解を求めた。

厚労相がたばこ増税要請、社会保障費の圧縮幅削減に
トムソンロイター2008年12月4日(木)19:40
 [東京 4日 ロイター] 中川昭一財務相と舛添要一厚生労働相は4日、財務省内で2009年度予算編成に関して協議を行った。
 財務省幹部によると、社会保障費の自然増から2200億円を圧縮する政府方針について、舛添厚労相から、たばこ税の引き上げによって圧縮幅を削減するよう要請があり、中川財務相は与党税制調査会の議論の推移を見守りたいと応じた。
 09年度予算の概算要求基準では、社会保障費について「年金・医療などに係る経費など特定の経費に関連して、新たな安定財源が確保された場合の取り扱いについては予算編成過程で検討する」としており、舛添厚労相の要請は安定財源としてたばこ税の増税分を充当するもの。
 会談で舛添厚労相は「社会保障費の2200億円の削減については、給付削減や負担増を伴う方策は理解が得られない」とし「まずはたばこ税について引き上げをお願いし、削減幅を圧縮したい」と要請。
 これに対して中川財務相は「たばこ税の引き上げは与党税調でも賛否両論があり、推移を見守りたい」と語った。
 また、舛添厚労相は、2009年度の基礎年金の国庫負担割合引き上げを09年4月から開始し、そのための安定財源が確保できるまでの間は、つなぎ的な財源で対応することも要請。
 中川財務相は「要望は検討する。しかし、安定財源確保の道筋がなければ、つなぎ財源の検討も難しい。社会保障の安定財源確保に向けて政府・与党が結束して取り組む必要がある」と回答した。
 このほか、舛添厚労相からは、雇用保険の国庫負担削減について「困難な状況にある」との認識が示されたという。

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5割強で記録誤り確認=年金改ざんの訪問調査で-厚労省


時事通信2008年12月4日(木)14:30
 厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額の改ざん問題で、舛添要一厚生労働相は4日、戸別訪問調査を実施した2524人のうち、56%に相当する1408人について記録の誤りを確認したことを明らかにした。社会保険庁職員の実名を挙げるなど、同庁職員の改ざんへの関与を疑わせる回答をした人も140人いたとしている。参院厚生労働委員会で、蓮舫氏(民主)の質問に対して答弁した。

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<年金問題>厚生年金記録改ざん 従業員の記録にも関与 戸別訪問で判明(毎日新聞) 12月05日 13:00
社保庁戸別訪問調査 年金記録56%「改竄」 140人は職員関与指摘(産経新聞) 12月06日 12:28
<年金問題>厚生年金記録改ざん 「事実と違う」56% 改ざん疑い調査で厚労相(毎日新聞) 12月04日 18:00
年金記録 2500人調査 半数超で改竄 厚労相発表 職員関与疑い140件(産経新聞) 12月04日 16:15
年金記録改ざん140件で社保職員関与 厚労省調査(朝日新聞) 12月04日 12:48




社保庁戸別訪問調査 年金記録56%「改竄」 140人は職員関与指摘
産経新聞 2008年12月5日(金)08:05
 厚生年金記録の改竄(かいざん)問題について、社会保険庁は 4日、戸別訪問調査ができた2524人のうち、56%にあたる1408人が「記録が改竄されている」と回答していたことを明らかにした。回答者の10%の 140人が社保庁職員の関与を指摘、このうち25人は具体的な職員名などを挙げた。今回明るみに出た事例のほとんどが、社保庁職員側が虚偽の届け出書類を 作成したり、事業主に虚偽記載のやり方を教える悪質な手口だったことも分かった。
 舛添要一厚生労働相は同日、記者団に対し「具体性を持っているものが25件もあるのだから、深刻に受け止めないといけない」と述べ、被害者救済とともに、関与した職員を厳正処分する考えを示した。社保庁は、被害者救済を急ぐため、従業員が対象の定型的ケースについては、総務省年金記録確認第三者委員会に申し立てなくても、社保事務所で訂正する方針だ。

 戸別訪問調査は、社保庁のオンライン記録の中で、標準報酬月額(月収)引き下げ処理とほぼ同時に厚生年金脱退処理も行われるなど、改竄の疑いが強い約6 万9000件のうち、年金受給者2万2255人を対象に10月から順次実施している。今回は11月9日までに訪問できた2524人分の調査結果を公表し た。

 改竄の有無について確認したところ、56%にあたる1408人が改竄されていると回答。「記録は正しい」との回答も836人(33%)あった。残りの280人(11%)は「分からない」と答えた。

 ただ、改竄されていると回答した1408人のうち記録訂正希望者は半分の685人にとどまった。改竄されていると回答した従業員の62%が訂正希望なの に対し、事業主は38%しか希望していないことなどから、社保庁は「事業主自らが改竄にかかわったり、記録訂正すると保険料納付を求められることを懸念し たためではないか」と分析している。社保庁側の作業の遅れで実際に記録が訂正された人はいない。

 訪問できた2524人のうち、改竄が疑われる時期に会社の事業主だった人が1107人(44%)と最も多く、次いで従業員795人(31%)、役員 568人(23%)-の順。社保庁職員の関与を証言した140人の大半は会社経営に携わる事業主や役員で、従業員は7人だけだった。


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<年金問題>厚生年金記録改ざん 従業員の記録にも関与 戸別訪問で判明(毎日新聞) 12月05日 13:00
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<年金問題>厚生年金記録改ざん 組織的改ざん認める--厚労相年金調査委(毎日新聞) 11月29日 13:00
年金記録 組織的改竄認める 調査委報告書 現場レベルで関与(産経新聞) 11月29日 08:05

あぁ

<地域医療の危機>揺れる県立病院再編案/1 地元の反発 /岩手


毎日新聞 2008年12月4日(木)13:00
 県立沼宮内病院など6県立病院・地域診療センターで入院ベッドがなくなる無床診療所化を柱にした県医療局の新経営計画案が、地元自治体や住民の反 発を招いている。県は全体で病床396床を削減する計画だが、医療サービスの低下を懸念する声は強い。一方で慢性的な医師不足や病院間の業務量の偏在、約 138億円の累積赤字(07年度末現在)を生み出すコスト高……と、地域医療を取り巻く環境は厳しい。一元的なサービスカットしか道は残されていないのだ ろうか。「県下にあまねく医療を」と掲げる県立病院の理念と経営のはざまで揺れる住民や現場の医師らの声を伝える。【山口圭一】

 ◇がん対策20年「水の泡」 検診で医療費抑制--沼宮内病院

  岩手町は、町民を対象に大腸がんや胃がんの無料検診を実施、早期発見や医療費削減で成果を収める。その中核を担うのが、県立沼宮内病院だ。今回の突然の無 床化案に、厚生労働省がん対策推進協議会委員でもある町健康福祉課の仁昌寺幸子課長は「長年の取り組みが水の泡になる。国や県のがん対策にも反している」 と憤る。

 計画案によると、同病院は05年度68・2%、06年度55・9%、07年度48・3%と、3年連続で病床利用率が70%を下回り、総務省の「公立病院改革ガイドライン」の基準に達しなかったとされる。そのため、計画案では現在60床ある病床が10年に無床化される。

  85年の町の循環器系がん検診受診率は、県平均50・5%に対して28・1%。町はてこ入れしようと87年4月、沼宮内病院と町内の開業医で構成する検診 推進委員会を設置、89年には、がん検診の無料化を始めた。90年には全国に先駆けて大腸がんの集団検診を開始。06年度の受診率は県平均25・0%に対 し、町は70・7%と大幅に上回った。

 高い1次検診受診率を生かすため、町は病院と連携。町の保健師らが、2次検査が必要な町民に精密検 診を受けるよう個別に促す。05年度には対象者のうち、精密検査を受けた割合が胃がんで90・3%と県平均83・5%を超えた。この結果、最多の03年度 は31人、07年度も11人の早期がん患者を発見した。

 こうした取り組みは医療費削減にもつながった。町の03年度調査によると、患者1 人あたりの年間医療費はポリープ段階だと32万円にとどまるが、早期がんで127万円、進行がんだと278万円にも膨らむ。早期発見によって、00年5月 は2137万円だった町のがん関連医療費は、07年5月には1300万円まで減少したという。

 県医療局は「がん検診は日帰りでも可能だ」と説明するが、仁昌寺課長は「早期のポリープこそ、腸壁や胃壁を取って検査するため、数日の入院が必要だ」と反論。「病床稼働率70%以下という基準だけでなく、果たしている役割を見てほしい」と訴える。


 ◇九戸は夜間・休日「無医村」

  開業医が不在の九戸村。現在19床ある九戸地域診療センターは、計画案が実施されると来年度には無床化する。それに伴って夜間医師が不在になると、「『午 後5時』以降は無医村になる」(岩部茂村長)と危機感を示す。過疎化を食い止めようと、村は今年9月、県内で初めて中学生までの医療費を無料化し、従来の 小学生から対象を拡大したばかりだった。

 同村の会社員、中村幸男さん(57)の長男夫婦と孫3人は今春、小学校の統廃合もあって滝沢村に引っ越した。中村さんはつぶやいた。「子供を育てるには心配なのだろう。この村は、暮らすのがどんどん大変になっていく」=つづく


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<札幌・未熟児受け入れ拒否>市立札幌病院、NICU6床増へ 北大3増計画 /北海道(毎日新聞) 12月05日 13:00
<地域医療の危機>揺れる県立病院再編案/2 高コスト体質 /岩手(毎日新聞) 12月05日 13:00
国立大で新生児ICU増設=周産期医療強化、文科相が表明(時事通信) 12月05日 12:30
<無床診療所計画案>反対意見を--「命を守る連絡会」 /岩手(毎日新聞) 12月02日 13:00

つづきもんらしいから、ちゃんと追いたいかな....。

軍を律する文民統制とは何か


民主国軍と非民主国軍の違い

 田母神俊雄前航空幕僚長の論文と、彼の一連の言動が発端となって「文民統制(シビリアンコントロール)」という言葉が取り沙汰されている。「前航 空幕僚長の論文には2.26事件のような決起の心が潜んでいる」とか「自衛隊がまた暴走するのでは」という不安を口にする識者もいる。
 筆者はこれまで、国際協力の現場で各国軍の活動を取材してきた。スウェーデンの国防軍で軍と文民(非軍人)との共同オペレーションを学んだこともある。民間の軍事専門会社の経営者の知己も多い。軍人と軍を律するものが何か、ということをこの十数年追い続け、意思命令系統をつかさどる人とそれに従う 軍人との両方を見てきた者としては、今回の問題は捨て置けない気がしている。
 前航空幕僚長の論文で示された歴史解釈の是非については、既に多くの識者から論考がなされているので、ここでは「文民統制」の定義と、軍を律することに関する筆者の独自指標を述べてみたい。


 文民統制は「意思」と「力」の分離
 「文民統制」とは担当する大臣、つまり防衛大臣の意思に全面的に従ってオペレーションも人事も行うという意味である。「文民(シビリアン)」とは、国民のことだ。軍事力の行使を、国民の代表である担当大臣に一任するのである。
 なぜ統制せねばならないかというと、「軍」とは「力」そのものだからである。「力」そのものが、その組織を構成する人間だけの企図で行使されるこ とは、はなはだ危険だ。だから、国民の代表が「意思」を担い、軍人が「力」を持つというように、「意思」と「力」とを分離して機能させることで、力の暴走を止め、要所要所でその存在を示す。そして「意思」は、1本の綱で伝達される。つまり防衛大臣の手にのみ握られる。これが「文民統制」の形態だ。
 ほとんどのメディアで誤解があるのは、指示を出すのは「政治家」だとしていることだ。すべての政治家の意思に個別に従っていては、オペレーションは進まない。政治家の中でも、「意思」は担当する防衛大臣にある。そして、さらに上層の最高指揮官が総理大臣である。
 文民統制の真意は、「政治優先」である。軍人が法律を作成することはないし、オペレーションが法律より優先されることもない。軍人が政治家になったために、太平洋戦争の愚が起きたわけだ。
 とはいえ現実には、オペレーションを知らずに法律を作るのは極めて困難で、作成の責任者である大臣は、自衛官から業務の中核をなす知恵を得なけれ ばできないだろう。だからこそ法律の草案を作成する文官も、文官の知恵を基盤に君臨する防衛大臣も、法律や予算案の作成の際に、“制服組”(ここでは軍人 のこと)の意見を聞いている。
 昨年秋に問題が表面化した守屋武昌前事務次官の疑惑では、“背広組”(ここでは文官のこと)たる非軍人が、組織の運営もオペレーションでの武器使用の許可は合法かどうかの判断も行っているという現実が明らかになった。つまり、文官が「文民」であるかのような行動を取っていたわけである。これも、文 民統制の曲がった形態であった。
 もう1つ、意思をつかさどる総理大臣と防衛大臣が、それに従う軍人に対してなさねばならぬことがあると筆者は思っている。それは、制服を着た自衛官の愛国心を高く保ったまま、士気を高揚させる言葉を発することである。自衛官のみならず、軍人が最も欲するのは地位でもお金でもなく名誉であり、それを 語る言葉なのである。
 歴代の総理大臣も防衛大臣・長官も、自衛官の名誉を語るためのまともな言葉を伝えてこなかった。福田康夫前首相に至っては、退陣表明後、自衛隊の 最高指揮官であるにもかかわらず、大事な自衛隊高級幹部会同を欠席した。言葉どころか態度で自衛隊を無視したのである。言葉による自衛隊の鼓舞は、法律には不記載の業務だが、「力」に君臨する宰相に最も望まれる行動である。

◇ 軍人が高い士気を維持できる政治とは
 文民統制が取り沙汰されて、改めて筆者は映画「宣戦布告」(東映:麻生幾原作)をビデオで観た。以前、ある陸上自衛隊員が「このような総理大臣がいてくれたら、われらは全員死んでもいい」と言っていたのを思い出したのである。
 物語は、福井県の敦賀に潜水艦が打ち上げられ、乗組員が日本に上陸したところから始まった。上陸者の人数も目的も分からぬまま、SAT(特殊急襲部隊)を含む警察の対応では手に負えないと分かり、陸上自衛隊が派遣された。
 ところが、手榴弾の使用すら許可をいちいち得なくてはいけない。死者続出。進まぬ事態に、内閣では官房長官の裏切りが始まり、内部から崩壊しそう になる。古谷一行演ずる総理大臣が、最終的には自衛隊の最高指揮官は自分だと腹をくくり、自衛隊に射殺の許可、バルカン砲の使用許可を与えた。
 そこに至るまで法律の壁にさえぎられたり、外務大臣の危惧が足かせになったりと、法律と現実との乖離が映画の見せ場になっていた。国家安全保障の有事ですら、国民の命より政権の維持に関心が向くという政治家の在り方にも、警鐘を鳴らしていると感じた。
 ところで、制服を着た自衛官が文民統制に従う理由は何か。それは、彼らは自分たちが「力」そのものだということを自覚し、平時には無用だが、有事には自分たちの力が必要だという自負心があるからである。これを裏づけるのが、人権思想と「人々のために」という人道の精神である。
 不思議なのは、田母神前航空幕僚長が統合幕僚学校で創設した「歴史観・国家観」講座にこれまで異を唱える文官も大臣、長官もいなかったことだ。創設のための法律が必要なかったために関与をしなかったと彼らは言うかもしれないが、いかにもそれは「縦割り意識」であり、本来の文民統制がなぜ必要かとい う筋をはずしている。
 筆者には、今回の事件に関して総理大臣と防衛大臣が他人顔をしていることが、どうにも腑に落ちない。政権への不信任につなげようと本件を利用する 野党の姿勢も、もちろん筋をはずしている。国民の代表たちは、何をすれば彼ら自衛官を律することができるか、本当は分かっていないのではなかろうか。
 文民統制の原則は、他の国でもほぼ同様に唱えられている。しかし実施体制が本当に文民統制に適っているかどうかは、兵士への教育プログラムを見れば、おおむね判断できると筆者は考えている。
 筆者はこれまでの経験から、「軍」を見る時には以下の4つの指標を当てはめている。実戦に関連する「最新鋭装備」とその運用のための「実戦訓練」、そして、頭脳に関連する「理論教育」と「倫理教育」である。この4つの指標の程度と内容が、文民統制の成否を分けていると認識している。
 どの国にも、政治体制や国家予算の規模を問わず、「軍」が存在している。そして、兵士育成のため精一杯国家予算をつぎ込んでいる。自衛隊は軍では ないというものの、それは建前で、有事の際に命を賭して国民と国家を護るために戦うのであるから「軍」であると、筆者は理解している。


◇ 軍を律する教育と装備
 ところで「軍」といっても、民主主義国のそれと人民解放軍のような非民主主義国のそれとは、大いに異なる。さらにまた、近年では非正規軍が台頭しているし、民間の企業で軍事に関連する業務を行う組織もある。
 そこで筆者は、「軍」を下記のように種類と所属によって分け、教育訓練や装備への重点の置き方を分類してみた。

軍の種類と教育、訓練、装備などの有無
種類
所属 理論教育 倫理教育 実践訓練 最新鋭装備
正規軍
民主国家軍 △~○

非民主国家軍 △、○ ×
非正規軍
武装勢力(armed forces) × × △~○

ギャング × × ×

ごろつき × × × ×
民間
民間警備会社(PSC) ×、△ ×、△ ×~○
【凡例】
○:実行している、または所有している
△:一部実行している、または一部所有している
×:実行していない、または所有していない
表作成:筆者
 自衛隊の用語で筆者が面白いと感じたのは、彼らは訓練のことを「教育訓練(education and training )」と表すのである。筆者のような文民の世界では、ただ「研修(training)」と言うだけだ。なぜ「教育訓練」という言葉を使うのか聞いてみたのだ が、長年の呼び習わしに従っているだけで、彼らもそれ以上のことはよく分からないようだ。
 さて、非民主主義国軍と民主主義国軍との違いが鮮明になるのは、理論と倫理の教育にある。それが軍の質を決定づける。
 理論とは、地形や地理から作戦を練るといった、いわゆる兵法だ。倫理とは、兵士以外の住民の命を尊重することを中心とする、哲学だ。人権思想はそ の中心となる概念だ。倫理教育を受けた兵士は、現地の人々に人格と人権を感じる。ところが、近年は倫理教育がかえって兵士にダメージをもたらすことが増え ている。というのも、第2次世界大戦後の戦争は、市街戦が多くなったからだ。誰が兵士かの区別がしにくくなったために、非作為によって民間人を攻撃する局 面が増えてしまった。
 これに関する微妙な状況についてよく表しているのが、映画「英雄の条件(Rules of Engagement」(2000年、米国)であった。地元民が銃を向けてきたために米軍兵士らが交戦を始めたのだが、少し時間がたって見てみると無防備 な一般人に変身していたという設定で、兵士らの心の葛藤が表れていた。国際協力の現場で出会う軍人たちが、議論の材料に使う1つの映画だ。
 米国のイラク帰還兵がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥るなど、精神に異常をきたす理由は、市街戦で一般人をあやめてしまった自責の念を覚 えるからである。非民主主義国で鍛えられた軍人ならば、感じ得ない苦しみであろう。人権とオペレーションの狭間で、民主主義国の軍は葛藤している。倫理、 人権は、軍にとって目には見えにくいが大きなコストであることは間違いない。言い換えると、民主主義国の軍は、自らあえてコストを負っているわけだ。
 最新鋭装備は軍に予算があれば容易に備えることができる。非民主主義国家と民主主義国家との対立が鮮明になりつつある現在も、非民主主義国家同士 で最新鋭の武器兵器を融通し合っている。資源国は国家予算が豊富なだけに、そのような行動をとりやすい。売買される兵器の中に核も含まれているために、欧 米は躍起になってイランやベネズエラなどを抑え込もうとしているわけだ。
 非民主主義国の軍は、最新鋭の装備を使いこなすための訓練も怠りなく行っている。最新兵器を使いこなす軍が最強の軍だと信じている。
 文民統制がなされた最強の軍とは、上記の項目がすべて○の軍だ。本来、自衛隊はその部類に入る。ただし、残念ながら法律の規制があり容易に武器を使用してはならないことから、存分な働きをするには遠いかもしれない。前述の映画「宣戦布告」はそれを物語っていた。
 他方、最悪の軍は最新鋭の装備と実戦訓練が○で他の2項目を重視していない場合である。容易に殺人集団と化してしまうからだ。もちろん文民統制な ど口ばかりで、文民(国民と為政者)自体が人権を知らないのだから、軍と一体化して殺人鬼になり得る。国威発揚だけを教え込まれ人権思想教育がない軍がこ れで、非民主主義国に用心せねばならないと筆者がしばしば主張するのは、ここに理由がある。特に核保有の非民主主義国は脅威だ。
 スウェーデンで机を並べた友人である各国軍の軍人らは、自衛隊を「最高に尊敬すべき平和な軍」と称えた。初めは「まさか」と思っていたが、皆が皆 そう言うのであった。田母神前航空幕僚長は、自衛隊に対する世界の賞賛の声を耳にしていただろうか。もし、彼が耳にしていれば、歴史よりも現在の在り方に もっと注視して教育訓練を施していたのではなかろうか。
 もしかすると、であるが、航空自衛隊は陸上と違って、敵兵の顔、特に目を見て人格と人権を感じてしまう危険性をひしひしとは感じないのだろうか。 いやいや。非軍人たる民間人が訳知り顔で、陸、空、海、と組織文化を色分けすることはやめよう。国家のために存在することでは自衛官はどこの部隊でも同じ なのだから。そして、相手の目を見てしまったがためにためらいを感じてしまうという、心の葛藤は、民主主義国の軍はどこであれ同様に抱いているものであ る。
 文民統制が利いた軍とはコストがかかるものなのである。言い換えると、民主主義国は軍事国家になれない。米国とスウェーデンは軍事産業が国内にあり、納税、雇用、外貨収入を引き受けてくれる。だから軍事大国ではある。
 中国の人民解放軍はスーダンなどアフリカに出兵して資源確保を促進して、雇用と外貨収入に貢献している。だから国内で存在が大きく、ますます文民 統制が利きにくくなる。軍事予算を抑えて経済活動に国家予算を振り向けることが貿易と投資を促進し、マクロ経済もミクロ経済も繁栄させる、とは経済の鉄則 である。しかし、中国はいまだ、軍事力の助けを借りて経済発展を遂げている段階のようだ。これではまだ、政治的にも社会的にも軍を抑制する意見が大勢を占めることはないのである。


「憲法改正は望んでいない」。元自衛隊幹部は答えた
 陸上自衛隊を最近退職されたある方(仮にA氏とする)とお会いする機会があった。
 田母神前航空幕僚長の論文について、現場の自衛官たちはどう考えているのかを知りたく、知り合いの自衛官数人に連絡を取ったのだ。しかし残念ながら、皆忙しくて時間をいただけず、代わりにA氏にお目にかかったのである。
 「前航空幕僚長の真意はどこにあるのだろうか」とA氏に尋ねたところ、「それは、私にも誰にも分からない」との答えだった。「それでは、田母神さんとあなたは憲法改正を望みますか?」と聞くと、彼は否定した。 これは従来筆者が知る、自衛官の多数派と同じ意見であった。現行憲法に異存はない。それよりも、彼らだからこそ持っている情報や意見を、公式に具申する 定期的な機会を欲しているようだった。もし田母神さんがいわゆる「男気」というか、「大義のために自分を投げ打つ覚悟」を持っている人だったら、「一肌脱 ごう」と思ったかもしれないのだが…。

◇ 軍政は政策担当の文官に、軍令は作戦担当の制服組に
 このコラムで文民統制について書く契機となった、田母神前航空幕僚長の論文。汚職が取り沙汰された守屋前事務次官とは違い、事は「力」そのものの 行き先に関わる。「力」に意思があったことに改めて気づき、不安を抱いた人もいただろう。文民統制を機能させるために、日本はいかなる法律(省令)と運用体制を取っているのかが問題だ。
 航空幕僚長の任務について、自衛隊法第9条は次のように規定する。

9条 統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)は、防衛大臣の指揮監督を受け、それぞれ前条各号に掲げる隊務及び統合幕僚監部、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の隊員の服務を監督する。
2.幕僚長は、それぞれ前条各号に掲げる隊務に関し最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する。
3.幕僚長は、それぞれ、前条各号に掲げる隊務に関し、部隊等に対する防衛大臣の命令を執行する。

 つまり防衛大臣への最高の専門的助言者、補佐官である。助言の対象は文官(“背広組”)ではない。
 防衛省には「軍令」と「軍政」の2本柱が立っている。いざという時には、自衛官がオペレーションに専念できるよう環境を整えるためである。有事には、他の省庁との調整のような書類を挟んでの調整業務には文官が当たるというすみ分けだ。
 「軍令」は作戦担当の“制服組”(自衛官)の領域。ここのトップが幕僚長だ。「軍政」は政治のことだから、政策担当である文官が担当する。このトップは事務次官。陸海空の幕僚長3人と事務次官が防衛大臣を補佐する体制を敷いているわけだ。米国は常に国務長官と国防長官とが同行して3人並んで政務を仕切っ ているが、日本では国防長官に相当する防衛大臣は、閣僚の中でも(失礼ながら)地位は高くない。その防衛大臣の補佐官としてあらゆる決め事に関与したり、 肝胆相照らす関係にあったりするかというと、全く事情は違う。
 防衛参事官制度によって、防衛参事官会議で何事も決まるのだが、そこに幕僚長は入ることができないのだ。文官と大臣とで何事も判断してきたのである。しかしようやく、今年8月発表の改革方針によって、新体制になるようである。
  つまり来年度以降この防衛参事官制度を廃止して新たに防衛補佐官を任用し、非公式だった防衛会議を公式にするようだ。肝心の現場の声を大臣に伝えるシステ ムが、不安定なのだ。オペレーションを行う権限は“制服組”にあるというのに、彼らの情報や意見が発令に反映されないのは、文民統制というより文民優先。 少し度が過ぎる感がある。
 筆者は想像した。田母神前航空幕僚長は、この現状が我慢ならなかったのか? 自分が制服を着ている間に、後輩のために世間と政府に話しておこうと思ったのか?…と。
 こうした思いを抱きながら、現場の自衛官に連絡を取ることになり、その結果冒頭のA氏に話を聞くことになったのだ。
 地位が高い軍人というのは、表情は明るいが言葉には慎重だ。将校と呼ばれる幹部は20代の時から年長者を部下に持ち、訓示によって相手を唸らせる経験を してきている。名将の言葉が歴史に残るのは、兵士たちが戦いを全うする気力を、その言葉によって得てきたからだ。どの軍でも、軍人は言葉を大事にする。自衛隊幹部は、同期生1000人以上の中から激烈な競争を経て地位を上り詰めてきたわけだから、ふてぶてしいくらい胆力が備わるのも当然である。

◇ 非正規軍には人権教育がない
 軍の人材を育成するのは、日々の部隊での訓練と訓示、実戦、昇進レース、そして教育である。これは日本だけではなく、世界のほかの軍でも同様である。成長段階に合わせて試練があり、それを乗り越えた者が他人よりも前に出る機会を得ていくセオリーに国境はない。
 前回、 軍を律する文民統制が実際に機能するかどうかは、彼ら軍人への教育プログラムを見ればおおむね判断できる、と書いた。実戦に関連する「最新鋭装備」とその 運用のための「実戦訓練」、そして、頭脳に関連する「理論教育」と「倫理教育」の4つの指標の程度と内容が、文民統制の成否を分けている、と。
 各国の政府が設立し保有する軍が、民主国のものか非民主国のものかによって、「倫理教育」と「理論教育」に差異が生まれる。この2つは正規軍であることでは、外交上同じ地位を持っている。
 ところが、昨今軍を持つのは政府ばかりとは限らない。これが今日の世界を脅かしている。非政府軍に、この4つの指標を当てはめてみよう。
 グルジア紛争は、珍しく国家の正規軍が衝突したが、それですら実際の戦闘はどうやら非正規軍が開いたようである。ソマリア、スーダン、コンゴ民主共和国 などで治安を脅かしているのも、こうした「OAG: other armed group」と呼ばれる、実態不明な非正規軍である。現在世界で平和を脅かしているのは、OAGである。ソマリアでは海のOAGもまた跋扈している。
 非正規軍が信用できないのは、倫理教育と理論教育がないからだ。文民統制はおろか、もともと司法がしっかりしていれば必要性がなかった存在である。非正規軍が法の支配が成立しない国で生まれるのには、こうした理由があってのことである。
 非正規軍の中には、コミュニティーが自衛のために創設した、自警団のような発生の仕方で誕生した「軍」もある。コソボがその典型例だ。民族のすみ分けが複雑で、小さな地域がそれぞれに防衛手段を持った。とはいっても、AK47程度の装備ではあるが。
 村民自身が「軍人」であるため、倫理教育は受けていないが、自分たちのコミュニティーの住民の命を最大に尊重する姿勢は守られている。政治的メッセージ といっても、独立国家の樹立を求めるようなものではなく、ゆるやかな自治、平和なコミュニティーの維持で済む程度であるのが、自警団かどうかの分かれ道 だ。
 コソボではNATO軍が武装解除のために武器回収を試みたが、うまくいかなかった。作戦に参加していたドイツ軍の少尉(当時)によると、「1つの村に行 くと、ここにはないけど隣の村にはたくさんあるよ、と教えられる。そこで隣の村に行くと、同じことを言われる。皆、口が固かった。現地の実情は現地人にし か分からない」と語っていた。
 読者のコメントの中に、コロンビアの反政府ゲリラの“善行”があった。非人道的な行為は米軍と政府軍の方にこそある、というご指摘だ。筆者が述べたかったのは、システマティックに倫理教育を施す仕組みの有無である。倫理教育はすぐには目に見えないうえに、前回書いたように、非常に軍に負荷をかける。
 政権打倒などコストがかかる目標を成就するには、彼らは自軍に倫理を求めただろうか? ただ考えられることは、反政府ゲリラはコミュニティーを大事にし たかもしれない。なぜなら、それが彼らの拠点だから。拠点の住民を守っているという大義名分が必要だったから。そうでなければ、潜伏している隣国からコロ ンビアに越境してきて、姿を隠す場所がなくなる。

◇ 政治体制と軍の民主性は一致せず
 政治体制が民主主義だから軍も文民統制が取れているかというと、残念ながらそうではないようである。Rule of Engagement(交戦規定)が徹底されておらず、すぐに発砲すると有名なのがスリランカ軍である。スリランカ軍は英国の旧植民地ゆえに英語も通じる上、政治は民主主義体制。PKOで現地に派遣されていることもある軍なのだが、危険を察知するとすぐに撃つと評判だ。
 筆者が見た範囲であるが、パキスタン軍は現地住民からは好かれないし、働き者ではないが、発砲には一応慎重で、装備もまあ整っていた。なぜなら、途上国軍がPKOのために装備を使用するとそのたびに使用料がチャージされて国庫に入る仕組みだからである。
 パキスタンでは優秀な人材を吸収するのも軍であり、軍は有望な産業でもある。英語圏の紛争地ではパキスタン軍をよく見かける。筆者も、昼食にカレーをご 馳走になったり栄養失調改善のために寄らせていただいたりしたが、煮炊きをする人間も全て男性で、これでは、現地の社会的弱者である女性に対応することは 到底無理だと思った。
 前回掲載した表では、非正規軍の欄に、武装勢力とギャング、ごろつきまで挙げた。テロリストのカウンターパートになったり、あるいは呼応型のテロ行為を自ら行ってみせたりしている人たちだ。
 この3者に共通しているのは、政治的メッセージがないこと、しかし武装だけは軍隊並みであること。いや、軍隊以上である。麻薬や人身売買など、違法行為で資金を得て、住民を脅してコミュニティーを牛耳っている。
  テロリストと区別しておきたいのは、政治的メッセージが明確にあり、それが独立国家の樹立のような、明らかな領土と主権を求める非正規軍の場合である。筆 者は彼らを「ゲリラ」と呼称してゲリラとテロリストを区別している。取り締まりに当たるのは、テロリストには警察、ゲリラには軍だ。11月27日にインド のムンバイで多数の死傷者を出した事件は、領土と主権を要求せずいきなり一般人を殺傷するのであるから、典型的なテロ事件である。
 スリランカのLTTE(タミール・イーラム)や、フィリピンのミンダナオ島でのモロ・イスラム解放戦線(MILF)など、独立を求めて国家主権に挑戦す る「軍」は、筆者は「ゲリラ」と称して、単なる武装勢力とは区別している。LTTEの拠点はスリランカ政府軍によって陥落寸前だ。20年以上も続いてきた 内戦が終わる日が近いかもしれないと、期待しているところだ。テロリストとゲリラの違いについての筆者の所見は、別の機会に書いていきたい。

◇ 資金源、ゲリラ、民間警備会社が揃った内戦
 国家予算がない国では、警察官に一丁ずつ拳銃が支給されていても、弾丸が支給されていなかったり、訓練を受けていない、連絡する通信手段がないなど、笑い話にもならぬ国がある。
  筆者が滞在したシエラレオネは、その典型例だった。警察や政府軍よりも、反政府ゲリラの方が隣国の政権の実質的な支援を得て武器を揃えていたため、強かっ た。政府を応援する「親政府ゲリラ」も生まれ、親政府と反政府のゲリラが戦いを繰り広げた。ダイヤモンドを原資にしていたことでは双方同じで、同地で取れ るダイヤモンドが「ブラッド・ダイヤモンド」と呼ばれ、2000年にはこれを忌避するキャンペーンも起きている。国際社会の介入によって停戦合意がなさ れ、資金源が途切れるまで、内戦は12年続いた。
 さてこの内戦を幇助したのが、実は民間警備会社(PSC:private security company)であった。シエラレオネ政府は、上記の4つの指標に当てはまる訓練を一切受けていない自国の軍隊の限界を感じて、南アフリカのPSCに代 理の戦闘行為を依頼した。ゲリラもまた、同様にPSCを雇った。ところが、PSCは支払いが途切れるとさっさと戦闘を中止し、本国に帰ってしまった。これ が2度、あったのである。
 戦争を終わらせるために雇ったPSCが、戦争の激化をもたらした。敵に対する容赦のない戦いぶりといい、人権思想が後に大いに疑われた。このPSCの1 つは、Executive Outcomesといい、メディアでずいぶんと批判され、後に解散してしまったが、これを契機にPSC業界でも議論が沸き起こった。そして、「兵士以外の 一般人を殺傷しない」「防衛に徹する」など、Code of Conduct(行動指針)を設けるPSCが米国と英国で相次いで誕生した。1カ国での失敗が軍事の現場に大いなる変化をもたらした事例として、シエラレ オネの内戦は歴史的な意味がある。
 しかしPSCもまた、恒常的に倫理教育を授ける企業はどうやら少ないようだ。“入社”する前に軍人として教育を受けているからと、簡略化している傾向が ある。先進国ではない国から“入社”した元軍人が、「security officer」として配置されたとすると、仕事を発注した方は不安ではなかろうか。いや米国のPSCにすら、筆者は不安を感じなくもない。副社長やオペ レーション・マネジャーの肩書きを持つ人さえも、きちんと議論ができない、といったこともある。
 読者からご指摘があったアブグレイブ収容所は確かに、およそ先進国が行っている行為とは思えない悲惨さであった。予備兵や自発的に手を上げた兵士を、十分な教育プログラムを施さぬうちに戦場に送り出し、雑な戦いをしていたのかと推測する。
  また、収容所の監理を預かっていた民間警備会社がずさんな体制を敷いていたうえ、社員教育も行っていなかったのではないかと考えている。軍費削減のために 大胆に業務の外注をしすぎたのではないか。軍の質を決めるのは人材だ。ラムズフェルド国防長官(当時)は、人材に対して費用を惜しんだ。コストはかけるべ きところにかけねば、取り返しがつかない。

◇ 個性を重んずる、現代における教育訓練の方針
 海外の現状について長く書いたが、話を自衛隊に戻そう。
 筆者は、陸上自衛隊の仕事には「コミュニティーサポート」が 含まれていると認識している。地域住民が平常の生活を送れるよう支援するという意味だ。筆者が英国軍やアイルランド軍の士官と話していた時、彼らの専門性 の中に「コミュニティーサポート」があると知ったことに由来している。これこそ、まさにこれまで自衛隊が国内で行って来た役割である。
 そして「コミュニティーサポート」の概念は、国際協力の現場でこそ、大いに実感されるべきだ。地元の人々を護るために軍が派遣されるのだから。いまや、 幹部候補生として自衛隊に入隊する若者の約半数は、国際貢献と災害救助を志望動機にしている。防衛大学卒業生のみならず、一般大学の卒業生もずいぶん入隊 するようになり、学生も多様化してきている。
 筆者は1年前に、陸上自衛隊の幹部候補生学校を取材した。「軍人に育てること」「オフィサーに育てること」の2つを目的に、春に大学を卒業したばかりの 300人超を、戦闘戦技、戦術、国際法など法制と国際関係、戦史、語学、体育などを、座学と実践にて教えている。防衛大学卒業生ばかりではなく、一般大学 を卒業した人も増えているようだ(参考記事はこちらhttp://blog.5012.jp/nikkeiwoman/essay2/archives /2007/12/post_22.html)
 そこでは、驚くことに「議論」と「個性」を重視するという。ゴールは同じに与え、そのためのアプローチを競わせることに教育の主眼を置いているとか。昨 今の国家安全保障の現場では、従来の想定を超える事態が起きており、現場で即応できる体制を築かねばならない。そのためには、いつも通りのアプローチを繰 り返す軍では不足なのである。
 どうやら、思いもよらぬ作戦、外部の助太刀を得意とするような新しい軍人を目指さねばならないと、校長は考えているようだ。教官たちは皆、筆者に「一般 大学卒の個性をつぶしていないだろうか」と案じた様子で尋ねるのである。自衛隊に「モノカルチャー」を想像していた筆者だったが、この時に自衛隊への興味 はいや増した。
 実は自衛隊の幹部たちは皆、現役の3分の1以上を教育訓練で過ごしている。この幹部候補生学校を卒業した後、内外の一般大学で非軍事分野での修士課程、 中堅幹部としての哲学、見識を養う内部の学校、担当する武器の操作、所属連隊の構成員としての訓練等、成長と役割に応じてそのつど受ける。一貫して、シビ リアン(国民)からの付託を受けて自分たちの任務があることを教官に当たる先輩から教え込まれている。
 世界各地で、国家対国家という戦争の形が崩れつつある。日本の戦争は、もしかすると、亡命を装って侵略されることから始まるかもしれない。海上保安庁が戦端を開く可能性も否定できない。
 どんな形で戦争が始まるのか、想定できない。肝心なことは「今が有事だ」と判断できる内閣であること、国民に配慮したオペレーションを実施する防衛体制を整えておくこと、つまり文民統制を敷いておくことである。
 そして筆者は、軍の役割を知る者として、美しい人道と人権の思想が、軍に他方で苦しみをもたらしていることを、心に留めねば、と思っている。


この人の言う「名誉」とやらを確保するためには、自衛官は何やってもイイのか?
国のためには死ねるって純粋さが、如何に危険なのか、前の世界大戦で実感してないのか? 存在意義について、きちんと議論せずに、何となく「そこにある」的な位置付けのまま放置した政治の責任を棚上げするつもりは毛頭ないが、議論する前に、かかる思想をもった制服側の「権力」の存在を、このまま放置して良いのか!というのが、最も問題とされるべきじゃないのか?

大阪府、独法など84団体への補助金・負担金を原則拒否へ

読売新聞2008年12月4日(木)00:34
 大阪府の橋下徹知事は3日の定例記者会見で、歳出削減策として、国所管の独立行政法人など84団体への補助金や負担金(今年度約217億円)について、2009年度から原則、予算計上しない方針を表明した。
 国の事業の一部支払いを義務付けられている直轄事業負担金(09年度見込み約425億円)についても、優先度が低い事業は予算化しない考えを示した。定められた財政負担を都道府県が拒否するのは極めて異例で、国からの反発は必至だ。

 府によると、今年度の府負担の補助金や負担金は、大阪・伊丹空港の騒音対策を行う空港周辺整備機構への8432万円など。支出内容を精査し、府として利益がある場合は予算計上する。

 府の直轄事業負担金については、橋下知事は「地域の実情に応じて優先順位をつける。払いたくないものは払わない」としており、府単独の建設事業費を原則2割カットしていることから、同程度の削減を目指す。


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こんな話がニュースになること自体、おかしいと思うべきだろう。
大体破綻しかけた地方公共団体が、国のごり押しを受け入れることの方が変だ。

<地上デジタル放送>チューナー無償支給、260万世帯に拡大
毎日新聞 2008年12月4日(木)13:00
 政府・与党は3日、11年7月の地上デジタル放送完全移行に向け、受信に必要な専用チューナーの無償支給対象を拡大することを決めた。これまで生活保護受給世帯(約120万世帯)を対象にする方針だったが、生活保護世帯を含むNHK受信料の全額免除世帯全体(約260万世帯)に広げる。景気が悪化するなか、完全移行の実現には低所得者への支援を拡充する必要があると判断した。自民、公明両党でつくるワーキングチームが3日、方針をまとめた。今週中にも政府・与党方針として正式決定する。
 新たに支給対象になるのは、市町村民税非課税の障害者世帯(約120万世帯)と社会福祉施設の入所者(約20万世帯)。対象拡大によって、必要な予算は当初想定していた400億円(09年度からの2年間)から600億円程度に膨らむ見通し。【前川雅俊】


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こうやって、国は勝手にワーキングチームとか組んで、勝手に決める。 この話にしても、実際に動くのは地方だったりしないか? 取組が評価できる/できないをしっかり判定して、いらん話は地方で受けないのは、当然なんじゃないのか?

「財源」4つのハードル 歳出抑制を転換 来年度予算方針決定


産経新聞2008年12月4日(木)08:05
 政府は3日夕の臨時閣議で、平成21年度予算編成の基本方針を決定した。歳出削減をうたった「骨太の方針2006」に基づき7月に閣議了解された概算要求基準(シーリング)は、原案で「堅持」としていたのを「維持」とした。「重要課題推進枠の活用」などで「果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」と明記することで、公共事業費の削減などを抑える方針を盛り込み、歳出抑制の方針を事実上転換した。
 社会保障費は、「安定した財源を確保する必要がある」とすることで、自然増分を毎年2200億円抑制する方針を事実上修正した。麻生太郎首相は社会保障費抑制分をたばこ税増税などで補填(ほてん)する考えだ。
 23年度までの基礎的財政収支プライマリーバランス)の黒字化という政府目標については「努力するが国民生活を守ることを最優先し、必要な対応を図る」と後退させた。
                   ◇
 平成21年度予算編成の基本方針が決まったことで今後、予算編成作業が本格化する。麻生太郎首相は、経済情勢や与党の歳出圧力を受けて、小泉政権以来の 歳出抑制路線からの転換を図ろうとしている。だが、予算案決定が予定される24日までに、財源確保をめぐる大きな4つのハードルを乗り越えなければなら ず、厳しい局面が続きそうだ。

 ■公共事業
 公共事業費は毎年、前年度比3%以上削減されてきたが、次期衆院選を控え自民党内で不満が爆発し、削減凍結に転じる方針だ。政府・与党はシーリング外の 「重要課題推進枠」で公共事業費を追加する方針だが、20年度並みに予算確保となると約2000億円の追加財源が必要となる。
 だが、財源の手当ては決まっていない。自民党の笹川堯総務会長は3日の臨時総務会後、「多少借金をしても内需拡大するしかない」と述べ、建設国債発行も辞さない考えを示したが、党内からは削減凍結だけでなく支出増を求める声が出ている。

 ■雇用対策
 与党は3日、新雇用対策プロジェクトチーム(座長・川崎二郎元厚労相)の会合を開き、追加の雇用対策を検討した。「3年間で1兆円規模」の雇用対策をま とめ、「100万人の雇用の創出をめざす」(川崎氏)方針を確認した。住宅投資減税や公共事業の実施による雇用増や医療・福祉分野での新規雇用の創出策な どが浮上している。
 「100年に一度の危機だから(財源など)とやかくいっていられない」(幹部)との声も上がっているが、肝心の財源については不透明なままだ。

 ■社会保障
 社会保障費の2200億円抑制は、たばこ税の引き上げで抑制幅を小さくする考えだ。試算によると、たばこ1本1円の増税で約500億円の税収増。厚労族 議員は、「値上げによる売り上げ減を考えても、5円上げれば2200億円をすべて賄える」と皮算用するが、たばこ農家に与える影響を懸念する農水族議員ら が大幅増に反発し、3円増案が有力になっている。
 ただ、3円増では2200億円の半分強の財源しか確保できない。そこで、残り分として検討されているのが、雇用保険への国庫負担(約1600億円)の削減だ。ここ数年の景気拡大で失業者が減り、失業給付に備えた積立金が約5兆円に膨らんでいるためだ。
 だが、雇用情勢は急速に悪化しており、今後、積立金の大幅取り崩しも予想される。与党内では「新たな雇用対策をまとめる一方で国庫負担の削減では、政策の一体性がないと批判される」(自民党中堅)との懸念も強い。
 「雇用保険以外に有力策はない。たばこ税をどこまで上げられるかが勝負」(厚労省幹部)との見方は強く、厚労族と農水族の綱引きが続きそうだ。

 ■基礎年金
 基礎年金の国庫負担割合を現行の「3分の1」から「2分の1」に引き上げることは法律で定められており、財源確保策は待ったなしだ。ただ、政府・与党が当て込んでいた消費税率引き上げが困難になったことで、当面の財源をどう確保するかが焦点だ。
 与党内では特別会計の積立金、いわゆる「埋蔵金」を活用する方法が検討されているが、消費税を上げるまで取り崩しを続けなければならない可能性もある。このため「安定財源とはいえない埋蔵金を年金財源とするのはおかしい」(若手議員)との批判が強い。
 自民党の細田博之幹事長は3日の臨時総務会で「社会保障費削減の是非、基礎年金の国庫負担2分の1、道路財源の一般財源化、雇用対策の4つは、首相のイニシアチブで決断してもらう」と強調した。


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厚労相が財務相に要求 「社会保障費にたばこ増税を」(産経新聞) 12月06日 12:28

たばこ増税検討で合意=社会保障費見直しで-財務・厚労相折衝(時事通信) 12月04日 22:30

厚労相がたばこ増税要請、社会保障費の圧縮幅削減に(トムソンロイター) 12月04日 19:40

来年度予算 歳出抑制を転換 自民、公明が基本方針了承 (産経新聞) 12月03日 16:25

たばこ増税充当 社会保障費抑制などで政府方針 首相、事実上の骨太凍結(産経新聞) 12月03日 08:05

消費増税、成長確認後に実施を

(時事通信) 12月 3日(水) 22時15分
 経済財政諮問会議であいさつする麻生太郎首相(右手前から2人目)。張富士夫トヨタ自動車会長ら民間議員は消費税の増税は、十分な経済成長が確認された後に行うよう提言した(3日午後、首相官邸)

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消費増税「成長率1%台後半になったら」 政府原案
朝日新聞2008年12月9日(火)03:02
 消費増税など将来の税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」の政府原案が、明らかになった。消費増税の時期については具体的な年度を明記せ ず、物価の変動を除く実質成長率が1%台後半に回復した時点で踏み切ることにする。ただ与党内には総選挙をにらみ、消費増税の時期に触れることに反発も多 く、与党との調整は難航する可能性もある。
 原案は8日の自民党税制調査会の幹部会合で示された。麻生首相が「消費増税は景気回復後」などと発言したことを受け、実質成長率が潜在成長率を上回る見通しになった時点で改革に踏み切ることを盛り込んだ。

 潜在成長率は、国内の労働力や設備などを活用すれば、達成できる成長率。現在は「1%台半ばから後半」と言われている。実質成長率が落ち込んだ後、再び 潜在成長率を超えると景気が順調に拡大し始めたことを表す。03年度から5年連続で超えたが、金融危機を受け、08年度は下回ることが確実だ。
 政府関係者によると、景気回復を確認してからだと準備に時間がかかり、増税時期が景気後退にかかってしまう恐れがある。このため、潜在成長率を超えた時点で、自動的に増税に踏み切り、景気回復期を逃さないようにする。
 中期プログラムは消費増税や法人減税、所得税改革への道筋や社会保障の将来像などを示す。10月末に政府がまとめた新総合経済対策に策定が盛り込 まれた。今月12日にまとまる与党税制改正大綱で税制関連法案を決定する。消費増税では引き上げ幅を盛り込まないことが決まっている。

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なんだかなぁ....。