土曜日, 12月 20, 2008

日銀 追加利下げ0.1%に 景気「悪化」に下方修正


産経新聞2008年12月20日(土)08:05
 日銀は19日、金融政策決定会合を開き、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0・3%から0・2%引き下げ、0・1%にすることを7対1の賛成多数で決め、即日実施した。利下げは10月末に続くもの。事実上のゼロ金利とした米連邦準備制度理事会(FRB)に追随した。また、コマーシャルペーパー(CP)の買い切りなど資金供給システムの拡充も打ち出した。
 日銀は景気判断も下方修正して、「停滞色が強まっている」から約6年半ぶりに「悪化している」とした。日米の政策金利逆転による円高が景気悪化に拍車をかけることを懸念。景気を金融面から下支えする必要があると判断した。
 日銀内では、政策金利がゼロに近づけばその後の金融調節の手段が限られるため、追加利下げへの慎重論も根強かった。しかし、FRBが、事実上のゼロ金利という予想を上回る利下げや資金供給策を打ち出したことで、外国為替市場では一時1ドル=87円前半まで円高が進み、長期金利も急低下。日銀が利下げを見送れば、円高が一段と進む可能性が指摘され、早期の対応を迫られていた。
 ただ、金利がゼロになれば金融機関が資金を融通しあう短期金融市場の機能を損なうとして、0・1%を残しゼロ金利は回避した。
 一方、同日の会合では、年度末に向けた資金繰り支援のため、企業が発行するCPの買い切りを実施するほか、金融機関が保有する長期国債などの買い入れを増額することを決めた。

■関連ニュース

日銀追加利下げ0.1%に 政策会合、賛成が多数(産経新聞) 12月19日 17:05
危機対応へ、内外に強い姿勢示す=円高進行の回避も-日銀(時事通信) 12月19日 16:30
日銀0・2%追加利下げ ゼロ金利の米に追随(北海道新聞) 12月19日 14:39
日銀決定会合 資金供給の拡充策検討 CP買い切りも(産経新聞) 12月19日 08:05



未踏の策“もろ刃の剣” CP買い切り 日銀に貸し倒れリスク
産経新聞2008年12月20日(土)08:05
 日銀が19日、利下げに加えて決めた企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)の買い切りは、倒産した場合に損失を被るリスクを中央銀行自らが負うという未踏の領域に踏み込んだことを意味する。伝統的な金融政策で は、取引先である銀行を通じて資金を供給する間接的な手法を用いてきたが、金融危機によりお金の流れが目詰まりを起こす中、直接的に介入する。だが、損失 が過度に膨らめば財務の健全性が損なわれ、日銀の損失は国民の負担になる。中央銀行としての信認が揺らぎかねない“もろ刃の剣”でもある。(本田誠)
 「中央銀行が信用リスクの補完に踏み込む措置は異例中の異例だ」。日銀の白川方明(まさあき)総裁は19日の政策委員会・金融政策決定会合後の会見で、今回の決断の重さをこう表現した。
 CPの買い切りはあくまで時限的な措置で、金融機関を通じて一般企業が発行したCPを買い入れる方向だ。これまでも日銀は、銀行が取引先企業から引き受 けたCPを買い入れてきた。ただ、一定期間以内に銀行が買い戻す条件を付けており、企業が倒産した場合のリスクは、あくまで銀行が負っていた。
 しかし、買い切れば、そのリスクは日銀に移る。その結果、銀行は、貸し倒れリスクから解放されるため、日銀による買い切りを前提に積極的に取引先企業のCPを引き受けることができるようになり、資金供給の円滑化につながる。
 このほか、日銀に先立ってCPの買い入れに乗り出す日本政策投資銀行を資金供給の対象に追加することも決めた。
 日銀は日本経済がバブル崩壊後、平成13年から5年にわたって、金融政策の目標を金利から資金量に転換した「量的緩和政策」を導入した。
 民間金融機関が決済のために日銀に開設している当座預金口座の残高目標を設け、目標額に達するまで大量に資金供給する措置だ。その結果、銀行からあふれた資金が企業向け融資に回り、経済の活性化につながることを狙った。
 今回の金融緩和策も資金量は増大するが、白川総裁は「当座預金に目標を定めて資金量を拡大するという意味での量的緩和策は採用されていない」と違いを強調した。
 すでに米連邦準備制度理事会(FRB)もCPの買い切りに踏み切っているが、欧州中央銀行(ECB)は、直接介入には慎重な姿勢を崩していない。
 世界同時不況で資金の目詰まりが深刻化するなか、日銀はFRBに加え、政府・与党の期待に押されて買い切りに踏み込んだ。
 だが日銀の資産が劣化し、政府に損失を穴埋めしてもらう事態となり、信認が失墜するリスクも抱え込んだ。日銀の金融政策は正念場を迎えている。
                   ◇
 ■日銀決定のポイント
 ・政策金利を年0.3%程度から年0.1%程度に引き下げ
 ・政策変更は賛成7人、反対1人。反対は野田忠男審議委員
 ・補完貸付制度の適用金利を年0.5%から年0.3%に引き下げ
 ・企業が発行するCPの買い切りを実施し、資金繰りを支援
 ・長期国債の買い切りオペを年間14兆4000億円から16兆8000億円に増額
 ・国内景気は悪化しており、当面厳しさを増す可能性が高いと判断
                   ◇
【用語解説】コマーシャルペーパー(CP)
 大企業や中堅企業が短期的な資金を調達するために発行している。企業が運転資金などを確保する手段として広く使われている。最近は金融市場の混乱で、機 関投資家や金融機関がCPの引き受けを敬遠し、資金繰りに苦しむ会社が増えている。日銀はこれまでも、一定期間以内に売り戻す条件を付けて金融機関から CPを買い入れていた。今回はこの条件をなくし、日銀が買い切るため、金融機関は買い戻す必要がなくなり、CPの発行企業が破綻して資金を回収できなくな るリスクを回避できる。

■関連ニュース

日銀が大胆に政策変更、高く評価=与謝野担当相(トムソンロイター) 12月19日 21:36
プラス金利維持でぎりぎり市場機能維持=白川日銀総裁(トムソンロイター) 12月19日 18:49
情報BOX:日銀が発表した政策決定内容一覧(12月19日)(トムソンロイター) 12月19日 15:48
日銀決定会合 資金供給の拡充策検討 CP買い切りも(産経新聞) 12月19日 08:05
金融円滑化策で広がるTIBOR先安観、「迫力ある対策」には懐疑的見方も(トムソンロイター) 12月02日 19:38


よいしょっと....。

0 件のコメント: