火曜日, 12月 02, 2008

低金利効果、浸透しないリスク高まる=日銀総裁


トムソンロイター2008年12月1日(月)17:39
 [福岡 1日 ロイター] 白川方明日銀総裁は1日、福岡市内で講演し、国内の金融環境について、このところ緩和度合いが急速に低下しているとして、低金利効果が実体経済に浸透しなくなるリスクが高まっている、との厳しい認識を示した。
 金融政策運営については「経済・物価の見通しとそのがい然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、適切に行っていく」との方針を繰り返した上で、「当面は景気の下振れリスクに注意を払うことが重要」と強調した。 

 <停滞色が急速に強まっている>
 白川総裁は、国内景気について「ここにきて停滞色が急速に強まっている」と指摘。「先週末に公表された経済データは、鉱工業生産指数をはじめ、厳しい経済動向を示すものだった」と危機感をあらわにした。先行きについても「当面、停滞色が強い状態が続く」と厳しい見方を示し、10月末に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で触れていた成長経路に戻る時期については明言しなかった。
  米欧の金融市場に比べ相対的に落ち着いていた国内金融市場については「米リーマン・ブラザーズの破たん以降、状況が大きく変化した」と指摘。「現在でも日 本の短期金融市場の状況は相対的に恵まれているが、日本でも金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性について、十分な点検が必要な情勢になってき ている」と述べ、警戒感を一段と強めた。
 こうした状況を受け、国内ではコマーシャルペーパー(CP)の発行環境が急速に悪化しているが、 白川総裁は発行金利について「1998年から99年に企業金融が大きくひっ迫し、クレジット・クランチと呼ばれた時期と比べると、まだ水準は多少低いもの の、金利上昇スピードなどは、当時と概ね同じ動きを示している」と厳しい見方を示した。
 その上で、国内の金融環境に関して「特に資金のア ベイラビリティ面を中心に、国際金融資本市場の動揺の影響などから、緩和度合いがこのところ急速に低下しているようにうかがわれる」と指摘。「現在の低金 利の効果が実体経済に浸透しなくなるリスクが高まっている」と懸念を示した。
 白川総裁は「国際金融資本市場がさらに動揺した場合には、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まり、市場からの資金調達が一段と困難になるリスクがある」として、「今後の動きを十分注視していきたい」と語った。

 <国内物価は一時マイナスも>
 白川総裁は、国内物価について「この先、前年比上昇率はかなり急速に低下すると見込まれる」とした上で「石油製品等の価格動向にもよるが、2009年度中には一時的に物価上昇率がマイナスとなる局面も予想される」と、再び水面下に入ることもあり得るとの見方を示した。
 今後の金融政策運営については「経済・物価の見通しとそのがい然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら適切に行う」との方針をあらためて説明した上で、「当面は景気の下振れリスクに注意を払うことが重要」と強調した。
 (ロイターニュース 志田義寧記者)

■関連ニュース
低金利下では市場機能に様々な問題生じる可能性=日銀総裁(トムソンロイター) 12月01日 18:28
金融環境、「緩和度合いが急速低下」=日銀総裁(トムソンロイター) 12月01日 16:31
白川日銀総裁、「追加利下げは様々な問題生じる」(トムソンロイター) 11月21日 19:20
成長経路に復するタイミングは後ずれ=日銀決定会合議事要旨(トムソンロイター) 11月06日 11:00
利下げは金融市場の機能維持にも十分配慮する必要=日銀総裁(トムソンロイター) 11月05日 16:37

低金利下では市場機能に様々な問題生じる可能性=日銀総裁
トムソンロイター2008年12月1日(月)18:28
 [福岡 1日 ロイター] 白川方明日銀総裁は1日、追加利下げに関する質問に対し「極めて低い金利水準の下では、短期金融市場の円滑な機能の確保という観点から、さまざまな問題が生じる可能性があることには留意が必要」と述べ、引き続き慎重な姿勢を示した。
 その上で、先行きの政策運営については「どのような政策対応を行っていくかは、その時々の経済・物価情勢や金融市場動向を十分に点検した上で判断していく」と繰り返した。
 白川総裁はこれに先立つ講演で、国内の金融環境について「資金のアベイラビリティを中心に、このところ急速に緩和度合いが後退しており、現在の低金利の効果が実体経済に浸透しなくなるリスクが高まっている」と警戒感を示していた。

 <下振れリスク含め、次回会合で点検>
 白川総裁は、景気の下振れリスクに関して「先週末に公表された一連のデータは、経済の厳しい現状をあらめて示す内容だった」と指摘。「どの程度の下振れリスクであるかということも含めて、次回の決定会合で丹念に点検したい」と語った。
 先行きの金融・経済情勢が一段と悪化した場合の対応については「中銀としてどのような対応をとり得るかについては、常に幅広く検討を行ってきている」と述べるにとどめた。
 (ロイターニュース 志田義寧記者)

■関連ニュース
白川日銀総裁会見の一問一答(トムソンロイター) 12月01日 19:03
低金利効果、浸透しないリスク高まる=日銀総裁(トムソンロイター) 12月01日 17:39
金融環境、「緩和度合いが急速低下」=日銀総裁(トムソンロイター) 12月01日 16:31
成長経路に復するタイミングは後ずれ=日銀決定会合議事要旨(トムソンロイター) 11月06日 11:00
利下げは金融市場の機能維持にも十分配慮する必要=日銀総裁(トムソンロイター) 11月05日 16:37

手詰まり

0 件のコメント: