木曜日, 1月 10, 2008

官邸官僚の前に潰えた独立行政法人改革のお粗末

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ダイヤモンド・オンライン

 2007年12月に閣議決定された独立行政法人(独法)の整理合理化計画。現在102ある独法は86まで減るものの、その実態は、すべて同じ所管省庁内での統合にすぎない。福田内閣の一大テーマであった独法改革は骨抜きにされ、単なる数合わせに終わった。

 渡辺喜美行政改革担当相のひとり相撲となった「独立行政法人改革」は、年の瀬も迫った12月24日の整理合理化計画の閣議決定でようやく幕を引い た。結果は、官僚側の大勝利といってよい。マスコミの援護射撃のみを頼りにした渡辺行革相だったが、官邸を動かす内閣官房の「官邸官僚」の前になすすべは なかった。

 福田康夫内閣にとって今回の独法改革は、安倍晋三前内閣のいわば“置き土産”である。農林水産省所管の独法、緑資源機構の談合事件摘発、同事件へ の関与を疑われた松岡利勝農水相(当時、以下同)の自殺という安倍政権を直撃した激震のなかで、安倍首相は緑資源機構の廃止を決定。同時に独法全体の「ゼ ロベースからの抜本見直し」を佐田玄一郎行革担当相に命じたが、その佐田氏も架空の事務所費計上問題で辞任、後任に起用した渡辺氏に委ねたのである。

 渡辺行革相は、行革担当相就任直後から新人材バンク(官民人材交流センター)設立をめぐり霞が関の中央省庁と“戦闘状態”に入ったが、安倍首相、塩崎恭久官房長官などの「安倍チーム」のバックアップでなんとか乗り切った。

 しかし、このときの渡辺行革相に対する霞が関の抵抗は前例がないほど執拗だった。財務省が新人材バンク案に反対する冊子を公然と配布しただけでな く、経済産業省は行革担当相の事務局である内閣官房・行革推進本部事務局に出向していた審議官を異動させ、後任を出すのを拒否。また、財務、経産両省は行 革担当大臣室に出向させていた事務官を引き揚げるということまでしている。

 小泉純一郎内閣では、「官邸」に睨み殺しにされた霞が関だったが、安倍内閣ではほぼ完全に息を吹き返したのである。

◇ 渡辺行革相は蚊帳の外 官邸主導で改革骨抜き

 2007年7月の参院選での自民党惨敗から1ヵ月後、安倍首相の突然の辞意表明で政権は崩壊し、代わった福田内閣でも渡辺氏は行革担当相として留任。そして新人材バンクの次の一大テーマとして打ち上げたのが「独法整理」である。

 しかし、霞が関の全府省は行政改革推進本部のリスト提出の求めに、8月、9月の2度とも「廃止すべき法人はない」とゼロ回答で応じた。これに対し 渡辺行革相は、2004年に行革推進本部内に設置され、独法改革を検討してきた「行政減量・効率化有識者会議」(座長は茂木友三郎・キッコーマン会長)の 「報告書」提出を機に一気に反転攻勢に出ようとした。

 報告書には国土交通省所管の都市再生機構、住宅金融支援機構、経産省所管の日本貿易保険など「11法人の廃止・民営化」が明記されていた。また国 民生活センター(内閣府)、国立女性教育会館(文部科学省)など7法人の統合・移管や、統計センター(総務省)、国立病院機構(厚生労働省)の非公務員化 なども盛り込まれていた。

 2007年11月27日、渡辺行革相はこれら11法人の名を明記した関係資料を用意し、記者会見で「報告書」をぶち上げる算段を固めていた。とこ ろが茂木座長の会見寸前になって、資料は回収されてしまった。差し替えられた資料からは11法人の名が削除されていたのだった。渡辺、茂木両氏は記者会見 の前に町村信孝官房長官、その後、福田首相の執務室を訪れ「報告書」を説明している。官邸筋は、町村官房長官の段階で法人名公表にストップがかかったと見ており、福田首相もそれに同意したと考えてよい。

 記者会見に臨んだ茂木座長は、「この段階で特定の法人名を出さないほうがいいという政府の判断だ」と説明した。これは「独法改革」が渡辺、茂木両 氏から取り上げられ、官邸主導で行なう方向が動かしがたいものになったことを認める発言でもある。この段階ですでに勝敗は決していたのである。

 その後、渡辺行革相と関係省庁の大臣との交渉が相次ぎマスコミも連日のように派手に取り上げたが、それは「抜本改革はしない」という官邸が決めたシナリオの下での茶番劇だった。

 閣議決定された整理合理化計画の最終調整を実際に行なったのは、町村官房長官(旧通商産業省出身)、二橋正弘官房副長官(元自治事務次官)が取り 仕切る官僚の牙城・内閣官房である。小泉、安倍内閣時代の官邸主導、政治主導が、福田内閣では「官邸官僚」主導となったことを如実に示している。

◇ 単なる数合わせで実態に変化はなし

 そもそも独法は、2001年の中央省庁再編で、事務・事業にかかわる「現業部門」を分離し、透明で効率的な運営をするということで57法人が新設された。

 だが、小泉内閣の「特殊法人改革」でその性格は著しく変質した。小泉首相は石油公団、道路公団など各省の大黒柱ともいうべき大型特殊法人の「解 体」を行なったが、それら特殊法人の旧来の業務のほとんどが独法として生き残った。つまり、看板がかけ替えられたにすぎない。「独法は行政改革のゴミ 箱」(総務省幹部)とするボヤキが出るのも当然で、現在、その数は102法人、2007年度には約3兆5000億円の国費が投入され、約13万人の職員がいる。

 今回、閣議決定した整理合理化計画では、廃止・民営化や統合によって削減が決まったのは16法人、国費の投入も約1500億円縮減できるとしている。

 しかし、それらはあくまでも官僚お得意の“数合わせ”にすぎない。最終局面で福田首相は、“改革の本丸”とされた国交省所管の都市再生機構が行な う賃貸住宅事業の民営化と、住宅金融支援機構の組織見直しについて2~3年後に結論を出すと裁断したが、これは問題の先送りで、空手形に終わるだろう。経 産省所管の日本貿易保険も、政府全額出資の特殊会社化されるが、政府が持ち株放出を行なわないことが前提条件になっており、実態は変わらない。

 結局、今回の「独法改革」で実現した大型法人の廃止は、安倍内閣で決定ずみの緑資源機構だけだ。しかも、その緑資源機構にしても、水源林造成は農 水省所管の独法、森林総合研究所に吸収されて生き残る。まさに“モグラたたき”と同じで、たたかれて一時的に姿を消したようでも、衣装を変えて再び頭をも たげてくるのである。そして官僚たちは再び独法に対する批判が強くなると見れば、次なる新たな衣装(組織形態)を考え出すことだろう。

 経産省で「改革派」とされた有力OBは古巣への絶望を隠さない。

「優秀な官僚は見切りをつけて辞め、“でも・しか官僚”が国費を食い尽くすという最悪の状態だ」

(ジャーナリスト 生田忠秀)

」

ここまでなめられても、なお、自公政治にしがみつく心理って、一般的じゃないと思う。
民主党に代わって、何が変わるんだ?って、少なくとも、官僚との癒着にメスをってなら、これまで接点のなかった人間に対応させた方がイイに決まってるじゃん。

情報を握る者に「富」が集中する中国

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「一党独裁」と「市場経済」の矛盾
ダイヤモンド・オンライン

 新年明けましておめでとうございます。私は、年末年始を東京で過ごしました。東京の元旦の青空は、本当に鮮やかな青でした。中国で長い間生活している私にとっては、中国では先ずお目にかかれない晴れ晴れとした青空でしたので、特に印象深いものでした。

 東京という日本の首都におけるこの青空は、経済と環境の両立への努力の結果として、積極的に評価していいのでしょう。この面では、日本は一歩も二歩も中国の先を行っているのだと思います。

 一方、経済の活力はあるけれど、混沌として、いつでもスモッグに覆われている中国。発展の段階、その特性の違う両国、新年はどんな展開、交わりをみせるのでしょうか。

◇ 共産党が情報を独占しながら市場経済化を進めることの歪み

 さて、本題にはいりますが、その中国の発展にとって諸刃の剣となっているのが、共産党の一党独裁です。独裁による強権に基づき、自らの方向性をダ イナミックに推進できるというプラスの側面があります。一方、マイナス面は、いうまでもなく、官僚の腐敗、社会の調整弁機能の弱さ、そして一党独裁と市場 経済とが結びついた経済の歪みがあります。

 この内、「一党独裁と市場経済とが結びついた経済の歪み」は、我々ビジネスマンにとって非常に重要な視点であると思います。ここで「一党独裁と市 場経済」を考える前に、そもそも、80年に改革開放が叫ばれるようになるまでの中国において存在した社会主義計画経済というものを見直してみると、この問 題が分かりやすくなります。

 社会主義計画経済とは、共産党が情報を独占することが肝になります。共産党が絶対神であるがごとく、まずは、共産党と共産党員が情報を独占する。 そして、市場の裁量ではなく、共産党員の恣意で全ての財が分配されるというのが計画経済なのです。何を言いたいかというと、現在の社会主義市場経済の「社 会主義」の意味は、すなわち「情報の独占」ということです。情報の独占は、引き続き共産党が維持し、一方で市場経済を導入していることです。

 本来、市場経済の前提は、先ず情報の公開があり、公開された情報を各プレーヤーが享受したうえで、競争し、社会全体が発展するということであると 思います。従って、社会主義市場経済は、同時に情報の独占が存在するという意味で大いなる歪みがあるわけです。中国のその歪みが、いたるところに噴出して いるのが、現在の中国ということです。

 中国共産党も、当然この問題を認識していると思いますし、どんどん情報の透明化をしようと体制を整えております。ただし、私が見ている限り、まだ まだ肝心な情報というのは共産党が握っていますし、それを入手できるのは、やはり周辺の共産党員であったり、その親族であったり。やっと公開されるころに は、ある程度既成事実になっているようなことがまだまだ多いと思います。

◇ 情報操作、市場操作は当たり前富める者がますます富む構造

 そんな状況のなかで、一方で市場があり、裏で最初に情報を得られる人が市場を操作したら、これは絶対勝てますよね。今、世界の商品相場で波乱要因は中国だと言われていますけど、それは需要が膨大という意味で当然だと思います。

 ただ、一方で、中国では、商品相場で何億ドルと運用する個人がいます。これは私の推測ですが、彼らはそれだけ資金を持っているから、共産党から内部情報を得られていることは想像に難くないと思います。彼らは、これから当面勝ち続けると思います。

 なぜかというと、中国の来年の需要がどうだとか、農作物の作付けがどうだとか、そんな情報は、多分、世界のだれよりも先に共産党から聞いている可 能性があるからです。ですから、中国に個人のスタープレーヤーがいるということは、そういう背景があるのではないかと推測されます。

 上は1つの極端な例ですが、さまざまな局面で情報の偏在が一部の富に結びついているというのが今の中国の現実です。誰かが先に豊かになるという、 先富論からすればいいのかもしれませんが、程度が過ぎると社会全体の発展の阻害要因となることは誰もが知っています。もちろん、日本でも米国でも、本当に 価値のある情報というのは、少数の人が握っているものかもしれません。ただし、この傾向が激しいのが今の中国と考えていただければいいと思います。

 結果、こうした情報を得られる人、企業は、当然、独占的な利益が得られますから、その力に乗って、世界戦略にも乗り出そうとしている。一方、そう いった情報に接することができない人は、やはり高度成長のメリットに浴することができなくて格差になってしまう。これが行き過ぎたので、そういう意味も含 めて情報の透明化を図らなければならない。情報の透明化というのは法制の運用面での安定化でもありますから、そういうことを一生懸命やろうとしているの が、今の胡錦濤さんの一連の動きであるというふうに見ていただければいいと思います。

◇ 西側並みの情報公開が可能になる日はいつか

 情報の透明化において、1つのターニングポイントは、2002年から2003年にがけて発生した、例のSARS問題だと思います。中国当局が、情 報を隠蔽したがために問題が大きくなってしまって、結局、衛生部長が解任されました。これは、おそらく、共産中国建国以来、役人が情報を公開しなかったこ とによって処分された初めての事例ではないかと思います。

 それまでは、情報を公開することによって処罰されてきました。それが、初めて情報を公開しないことによって処分をされたという意味で、あの SARS事件というのは、中国の情報公開元年じゃないかというふうに思います。そうすると情報公開元年からまだやっと5年あまりで、まだまだ緒についたと いうことかと思いますが、中国でビジネスする者としては、この勢いがこれからも少しずつ進んでいってもらえればと思います。

 では、どういうふうに進むかというと、これも私が体験的に感じているのですけど、やはり、いい情報というのは、人の周りから少しずつ出てゆくも の。共産党員の同僚だったり、その家族だったり。また、共産党の高官、次は国有企業があります。家族もビジネスをやっていますし、国営企業も当然その情報 を利用して儲けようとする。そして、情報が少しずつ伝わっていって、周辺の人からどんどん豊かになってくる。

 そして、情報がいつ西側並みに公開されるかというのは、おそらく、中国全体の富裕層がもう少し増えた段階。要するに、権力者の周りの人たちがおなかいっぱいにならないと、多分、情報の共有化、透明性というものは進まないのではないかと感じております。

 さらにその時は同時に、民主化を進めるうえでの機が熟した時期といえるかもしれません。そして、一党独裁が徐々になくなってくるのだと思います。 ただ、その時は、中国も安定成長に入り、リスクは減りますが、人民元も、人件費も高くなり、外資にとっても中国の位置付けが変わってくるというのが将来の 姿であると思います。

」

現代中国は掴み切れない....。

金曜日, 12月 21, 2007

福田政権、官僚に敗北! 骨抜きの独立行政法人改革 【町田徹の眼】

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ダイヤモンド・オンライン

 政府の独立行政法人改革が、すったもんだの末、成果があったかのように装う「数合わせ」の幕切れを迎えようとしている。本稿の執筆段階(20日 夜)では、国土交通省傘下の都市再生機構と住宅金融支援機構の2つについて、福田康夫首相が預かって21日中にも最終判断を下すことになっているが、その 選択肢に早期の民営化などの抜本策は含まれていない。

 先の年金問題を巡る首相自身の失言もあって、内閣支持率はすでに急落の様相をみせている。年末の独立行政法人改革の失敗は、官僚に弱く、経済政策に疎い福田政権の力量を改めて浮き彫りにしており、来年の政局運営に大きな影を落としている。

◇ 目玉になる大改革は無く数合わせのお粗末な結果に

 独立行政法人改革が大詰めを迎えた12月19日。この最後の最後の局面まで、渡辺喜美行革担当大臣は、はしごを外され続けていた。町村信孝官房長官に主導権を奪われ、5省の大臣との3大臣折衝で敗退を繰り返したのである。

 最初は、午前10時20分過ぎからの渡海紀三朗文部科学大臣との3大臣折衝だ。まず、町村長官が、学位授与機構と国立大学財務経営センター、国語 研究所と人間文化研究機構、防災科学研究所と海洋研究開発機構の統合を提案して合意を取り付けたものの、渡辺大臣が主張してきた青少年機構や学生支援機構 の他の法人との統合は見送られた。

 次いで、若林正俊農林水産大臣との3大臣折衝でも、渡辺大臣の研究6法人の統合要求が退けられた。

 午後のトップバッターとなった舛添要一厚生労働大臣との折衝でも、町村官房長官は換骨奪胎を繰り返した。労働健康福祉機構の統合相手を、国立病院機構から、労働安全衛生総合研究所に差し替えたのだ。

 そして、甘利明経済産業大臣は、「政府保有株を売却しない」という条件、つまり、「民営化しない」という趣旨の条件を突き付けて、これを認めさせたうえで、日本貿易保険を政府の100%出資会社にすることを受け入れた。

 極め付きは、この日、最後の3大臣折衝の相手となった冬柴鐵三国土交通大臣だ。町村官房長官は、渡辺大臣が今回の独立行政法人改革の最大の目玉と して要求してきた都市再生機構と住宅金融支援機構の早期民営化案を取り下げ、民営化を含めた経営形態のあり方を「3年かけて検討する」という代替案を提 示。冬柴大臣と押し切ろうとしたという。しかし、これに、渡辺大臣が納得せず、「5年以内の株式会社化」を求めて噛み付いたことから、両案の間での裁断 を、首相に仰ぐことになったとされる。いずれにせよ、こうして、早期民営化という抜本策は見送られてしまったのだ。

 できあがった改革案は、現在、102ある独立行政法人を、16減らして86に減らすというものだが、目玉になるような民営化は存在しない。それど ころか大半が、職員数十人規模の小さな法人の統合にとどまっており、「抜本的な天下りポストの削減などは望むべくもない」(関係者)と言うのだ。

 福田首相は24日に、この改革案を閣議決定する構えだが、政権として官僚に敗れたとの印象を拭えないお粗末な内容だ。

 いったい何故、こんなお粗末な結果になってしまったのだろうか。

◇ 渡辺大臣は諮問会議に全く出席できず

 振り返れば、一連の独立行政法人改革が俎上に乗ったのは、今年5月のこと。舞台は、安倍晋三前政権が議長をつとめていた経済財政諮問会議だった。 この場で、民間代表の議員が、看板の掛け替えだけに終わった特殊法人改革の反省を踏まえて、天下りの温床とされる独立行政法人の整理・合理化を年内に行う ように提案。これを受けて、安倍政権は、独立法人改革を公務員改革と並ぶ行政改革の目玉にする方針を打ち出し、渡辺行革担当大臣が、民間でできるものは民 営化することを大原則として、改革がスタートした経緯がある。

 しかし、小泉政権の後半から、経済財政諮問会議の主導権が官邸官僚の手に移っていたため、この改革には、当初から、暗雲が漂っていた。本来なら ば、渡辺大臣が折に触れて、この会議に出席し、主要閣僚に協力を求め、首相がそれを後押しすべきにもかかわらず、官邸官僚に阻まれて、5月の会議以降、渡辺大臣は一度も諮問会議に出席できないという事態に陥ったからだ。

 渡辺大臣に、焦りや苛立ちがなかったとは考えにくい。同大臣は頻繁にテレビ番組に出演し、世論に訴える手法で独立行政法人改革を進めようとした。しかし、これが、他の主要大臣の反発を買い、逆に、実現を困難にするジレンマを招いてしまった。

 こうした状況がくっきりと浮かびあがったのが、本来ならば、集中的に、渡辺大臣が所管大臣とサシの大臣折衝を進めるべき時期にあたった12月10日から12日の3日間の動きだ。驚くべきことに、一つも大臣折衝が入らなかったのである。

◇ 官邸官僚が諮問会議を牛耳り渡辺大臣を締め出した

 そこで、異例のことながら、渡辺大臣は局面を打開しようと、自ら、各省の大臣室に電話を入れた。ところが、電話に応対した大臣は、額賀福志郎財務大臣一人だけ。ほとんどの省は秘書官が対応したが、中には、秘書官まで居留守を使った役所があったという。

 12月13、14日になって、渡辺大臣は、ようやく2順目の大臣折衝に漕ぎ着けたが、どの大臣もゼロ回答ばかりで、進展はなかった。そして、迎えたのが、冒頭で記した町村官房長官を交えた3大臣折衝だったのである。

 実は、こうした表舞台の大臣折衝の不調を背後で演出した人たちがいる。財務省出身の坂篤郎官房副長官補を頂点とする官邸官僚の一群だ。彼らは、早くから、経済財政諮問会議の議事を牛耳り、渡辺大臣を締め出しただけではない。

 ある経済官庁の中堅幹部は、「坂氏ら官邸官僚たちは、12月に入ってからも『閣僚折衝は成果なしでよい。あとは官邸が引き取るので、悪いようには しない』と、我が省にも指示してきた」と証言する。こうした指示によって、まず渡辺大臣のサシの折衝を不調に終わらせておいて、町村官房長官を入れた3大 臣折衝で、骨抜き・数合わせの幕引きを図ったというのである。

 こうした官邸官僚の跋扈を許し、指導力の乏しさを露呈した町村長官と福田首相の責任が重いことは、言うまでもないだろう。

 共同通信が12月15日、16日に実施した世論調査によると、福田内閣の支持率は11月上旬より11・7ポイント低い35・3%に急落した。初めて、内閣を「支持しない」が内閣を「支持する」を上回ったのも、この時である。この急落の原因は、直接的には、年金記録問題の全面解決を事実上断念したこ とについて、福田首相が「公約違反というほど大袈裟なものか」と発言したことが大きいとみられている。

 しかし、今回の独立行政法人改革の失敗は、福田政権が、厚生労働官僚に限らず、お膝元の官邸官僚を含む全官僚に対して指導力を欠いていることを裏 付けてしまった。しかも、森喜朗内閣以来、旧清和会系の首相の経済政策オンチぶりは、定評のあるところ。来年、2008年の福田内閣の政策運営には、一段 と暗い影が立ち込めてきたと言わざるを得ない。

」

ため息しか出てこないね。
そのうち、官僚に天誅が下るぞ!

火曜日, 12月 11, 2007

道路特定財源-一般財源化を断固阻止する“抵抗勢力”

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ダイヤモンド・オンライン

 道路特定財源とは、自動車の利用者等が負担する揮発油税(基本的にガソリンに課される税金)や自動車重量税など、あらかじめ道路の建設や維持のた めに使われることが決められている税金のことを指す。この制度の基本には、当該施設を利用する受益者が、それを作ったり、維持するために必要なコストを負 担する、受益者負担の考え方がある。

 戦後の1950年代以降、道路という社会インフラの整備が遅れていたわが国は、道路特定財源の制度を使うことによって道路整備を進めた。その後、 道路網の整備が進んでも道路特定財源の制度が残り、その財源は、しだいに“道路族”と呼ばれる政治家が、自分の裁量に基づいて使うことの出来る一種の“資 金源”になっていたとの指摘もある。

 こうした状況を改革し財政の建て直しに貢献するため、特定使途の縛りをはずして、他の目的の支出にも使うことができる、いわゆる“一般財源化”が検討されている。

◇ 日本の道路整備の歴史は税金制度創出の歴史

 戦後の復興期、わが国の道路整備は遅れていた。道路を整備したくても、財源=資金がなかったことが最も大きな制約になっていた。その財源を捻出す るために、後の総理大臣・田中角栄議員(当時)が議員立法として作ったのが、「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」であった。

 翌年、揮発油税が道路特定財源化され、第1次道路整備5ヵ年計画がスタートした。58年には、臨時措置法が「道路整備緊急措置法」に改訂され、第 2次道路整備5ヵ年計画が策定されると同時に道路整備特別会計が創設された。このころから、わが国の本格的な道路整備が開始されたと考えてよいだろう。そ れに伴い、財源確保のために、66年に石油ガス税、68年に自動車取得税、71年に自動車重量税が相次いで創設された。

 こうした流れを振り返ると、わが国の道路整備の歴史は、新しい税金制度創出の歴史とも考えられる。しかも、74年以降、ほとんどの税金に関する税 率で、租税特別措置法によって、本来の約2倍近い税率が適用されている。揮発油税の本来の税率は1リットル当たり24.3円に対して、現行は同48.6円 になっている。この特別措置は、2007年度末に期限切れとなる。今後の国会の審議が注目される。

 積極的な道路整備の結果、わが国の道路整備はかなり進展したといわれている。その一方、数十年前に作られた道路に関する特定財源制度が残っており、「郵政の民営化と同じように、道路関係の特定財源制度を改革することが必要」との指摘が出てきた。

 この背景には、いわゆる“道路族”議員が、既得権益として、道路予算を支配しているとの批判が出ていることもある。そうした状況を改革するために は、族議員や一部地方の反対を押しきり、財源を“一般財源化”することによって、財政の効率化を図ることが必要になると見られる。

◇ 官僚と族議員の抵抗で“一般財源化”の議論は後退

 一応、郵政民営化の結果を出した小泉政権は、次の課題として道路特定財源問題を安倍政権にバトンタッチした。安倍政権下で様々な議論が戦わされた 後、2006年12月7日、政府・与党は、2008年の通常国会で、特定財源制度を全面的に見直す方針で合意した。具体的には、「道路歳出を上回る税収を 一般財源化する」ことが決められた。

 元々、道路特定財源の制度は、インフラ整備が遅れていた時期に、道路を作る財源を確保することを目的に作られた仕組みであり、整備の進んだ現在の 状況には適合しない部分が多い。その制度が残っているため、既得権益に固執する“道路族”や官僚などが上手く利用しているという面もある。そうしたデメ リットを改善するためには、制度自体の改革の必要性が生じることは避けられない。2006年末の合意は、相応の意義を持つものと考えられる。

 ところが、最近、そうした改革の動きが怪しくなってきた。

 まず、経済格差が進む地方や族議員から反対意見が出された。また、今年7月の参院選挙で、地方中心に安倍政権に対する批判が高まり、安倍首相率いる自民党が惨敗したこともあって、このところ、反対勢力の声が勢いを取り戻している。

◇ 不要不急の道路建設は続き増税も避けられない

 国土交通省も、今後10年間の道路建設に関わる中期計画の中で、税収をすべて道路建設等に使うことを素案としている。それが現実のものになると、一般財源化する対象がゼロということになってしまう。国土交通省は、道路特定財源の既得権を守る姿を鮮明化しているのである。

 さらに、一般財源から道路建設費用を捻出している地方公共団体や道路族議員の反対もあり、福田首相も、一般財源化には消極的といわれている。“一般財源化”の議論が大きく後退することは避けられないと見られる。

 そうした状況が続くと、これからも不要不急の道路建設が続き、道路族議員やそれに関連するファミリー企業等の既得権益が手厚く保護されることになるだろう。それでは、財政の効率化を図ることは難しい。

 その結果、増え続ける社会保障費負担を賄うため、消費税の引き上げが避けられなくなるのは明らかだ。友人の一人は、「最近、海外投資家が日本の改革に期待を抱かない理由がよく分かる」と指摘していた。残念だが、その通りだろう。 

」

水曜日, 11月 21, 2007

福田首相に聞く

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フィナンシャル・タイムズ

(フィナンシャル・タイムズ 2007年11月12日初出 翻訳gooニュース) FT東京支局長デビッド・ピリング

福田康夫首相は11月12日、首相官邸でフィナンシャル・タイムズの単独インタビューに応じた。以下はその一問一答 (gooニュース訳注:以下は英語記事からの翻訳です。福田首相自身が使った日本語表現ではありません)。

フィナンシャル・タイムズ(FT):
 最近の政局の動きについておうかがいする前に、今日の経済の動きに ついて質問させてください。今日、円が対ドルで110円をつけました。ずいぶん円が強くなってきています。町村内閣官房長官によると、円高は日本にとって 特に問題ではなく、むしろ「国の価値を上げることで良いこと」とおっしゃいました。首相もそう思われますか?

福田首相(以下、福田): 短期的には、円高は確かに問題となります。為替レートの急激な変化は、どういう形でも好ましくない。しかし長期的な視点に立つと、必ずしも円高に拒否反応を示すこともない。しかしこれはあくまでも、長期的な話です。

FT: でも今回の円高はかなり急激にやってきました。私が先週に日本を離れたときは対ドル115円だったのに、帰国したら110円になっていました。これは急すぎますか?

福田: はい、急すぎます。

FT: それについて、日本は何ができるでしょうか。

福田: 実際には、ただ日本経済の問題ではなく、米国経済の状況が反映されているわけです。私たちにできることは限られています。ただし、投機的な動きは抑える必要があると思います。

FT: どう抑えるのでしょうか。日本は介入に踏み切ることができますか。

福田: 私は「慎重に」と言っているのです。

FT:  しかし危機的な状況になれば、介入のおそれもあるということですか?

福田: 私が言っているのは、そういうことにならないよう、慎重に、ということです。

FT: ほかの話題に移る前に、経済についてもうひとつだけお聞かせください。ご承知の通り、米国では今サブプライ ムローン問題が起きていて、これが日本にも波及しつつあると一部で指摘されています。輸出の問題があるし、穏やかではあるけれどもデフレは続いているし、 GDP(国内総生産)の数字もあまり良くない。このサブプライム問題のせいで日本のとても長い景気拡大が打撃を受けて、拡大がついに終ってしまうかもしれ ないという懸念が、外国では起きています。その点について心配なさっていますか。

福田:
 米国や欧州ほど、サブプライム問題の影響は日本にはないだろうと考えています。もちろん、一部の企業は打撃を受けるでしょうが、全体的な影響は限定的なものにとどまると思っています。

もちろん、世界経済がこれからどう展開するだろうという疑問はあります。世界経済が下振れする可能性はもちろんあって、国際貿易と金融に日本がこれだけ深 く関わっている以上、日本が影響を受けるのは必至です。しかしほかの国と比べれば、日本への影響はそれほどひどくならないだろうと思います。

FT: それでは政治の話に移ります。先週の東京の動きを私はロンドンから見ていたのですが、周りからはさかんに 「これは昔への逆戻りなのか?」と言われました。日本は統治不可能なように見えます。このこう着状態はどうやって打開できるのでしょう? 早めに選挙に踏 み切って有権者からの支持基盤を固めるのか。衆院の3分の2議席を押さえている、その数の力を使うのか(それで法律を通していくのか)。あるいは民主党に 歩み寄って、大連立ではないにせよ、何らかの形で時には協力していくのでしょうか。

福田: ご承知の通り、衆院と参院ではねじれ現象がおきています。衆院では与党が過半数を占めるが、参院では野党が過半数です。こういう状況は私たちの予想外のことで、しかもしばらくは続く見通しです。これは戦後日本で初めてのことです。

なので私たちは今、かつてない経験をしているわけで、これからどうやって進むべきかまだ検討中」と首相はFTに語った。「連立を組む試みにはすでに失敗したので、当面できることは、個別案件ごとの政策協調くらいです」

なので私たちは今、前例のない経験をしているわけで、これからどうやって進むべきかまだ検討中です。個別の政策ごとに野党と協力することは、あり得るでしょう。いずれは、ドイツのような連立が生まれるかもしれません。

私たちはすでに一度、連立づくりに失敗しているので、当面は政策ごとの協力を模索するしか方策はない。法案ごとひとつひとつ、野党の合意をとりつけて政策を施行するのが、政権与党の役割です。

FT: 次の選挙のタイミングというのは、重要な秘密事項です。もしかしたら当の総理ご自身、まだ決めていないのか もしれません。しかし、主要8カ国(G8)の国の間には、これだけ政治が混乱している状態では、一体どの政府が来年の洞爺湖サミットを主催するのか予測も つかない、と懸念する声があがっています。洞爺湖サミットの時点でご自分がまだ政権を率いている、あるいは洞爺湖サミットが終るまで総選挙は行わないと保 証できますか? それを世界に約束できますでしょうか。

福田: ええ、かなりの確度で保証できますよ。総選挙の時期を決める権限は、私がもっているからです。言い換えると、衆院解散がない限り、G8サミットを主催するのは私たちだということです。

FT: おっしゃることはつまり、総理は早い選挙よりも遅い選挙の方がいいと考えていらっしゃると、そうはっきり示唆されたように聞こえますが。

福田: 全ては、野党がどう行動し、どう考えるかによります。もし野党が普通に行動すれば、あなたが今おっしゃったような展開になるでしょう。しかしいずれにしても、選挙がいつになろうと、私たちが勝てばいい。それが大事なポイントです。

FT: 総理は今週末にワシントンに行らっしゃいます。いざとなれば衆院の3分の2議席を使って対テロ法案を可決させる用意があると、ブッシュ大統領に言うことができますか。

福田: それは国内の政治問題なので、話題にするつもりはありません。言う必要があるのは、新法可決のために努力していくということだけでしょう。

FT: 民主党の小沢一郎代表は、日本は国際情勢に積極的な役割を果たすべきだが、それは米国流の善か悪かという枠組みによってではなく、国連の枠組みの中でやるべきだという立場です。総理はこれに共感なさいますか?

福田: 小沢さんは国連決議、あるいは国連決議に容認された活動という意味で、話をされています。これについて日本 国内ではさかんに議論されており、小沢さんの主張が大きな支持を集めているというわけでは、必ずしもない。それに、国連決議の下で果たして日本がどれだけ 活動できるのだろうか、という問題もあります。

ご承知の通り、日本には(平和)憲法がありますから、国連がどんな活動を認めたとしても、それが日本国憲法上どうか、という問題がある。また小沢さんはどうも、日本の憲法よりも国連決議が優先すると言いたいような、そんな印象を受けています。

日米安保で定められた色々な取り決めが、実際に速やかに実行できるのかという問題もあります。ですから私たちは、小沢さんが本当に何を考えているのか詳細に把握しない限り、彼の提案に同意することはできません。

FT: 今回の訪米では当然、北朝鮮について議論することになります。首相の訪米期間中にも、ブッシュ大統領が米国は北朝鮮をテロ支援国家リストから外すと言う可能性もあります。これは北朝鮮の核武装解除という大きな合意の利益を考慮して、日本が容認できることでしょうか。

福田: もちろん私たちは、米国が核武装解除を巡って北朝鮮と手緩い交渉をしているとは考えていません。北朝鮮の核 兵器は明らかに日本にとって大きな脅威であり、我々は米朝交渉の方向性を支持しています。我々はこうした交渉ができる限り完全な形で成立することを強く期 待しています。

FT: 拉致問題という観点から、日本が反対し、「交渉はやめるべきだ。我々は気に入らない」と言うことはないのでしょうか。日本が立場を後退させ、拉致問題が完全に解決されないままでも、交渉プロセスの続行を認めることはあり得ませんか。

福田: もちろん、北朝鮮の核開発計画が破棄されるのは望ましいことだし、我々は北朝鮮のミサイルの脅威が取り除か れることも非常に重視しています。そして拉致問題も解決する必要があります。我々としては、日本はこうした3つの問題をほぼ同時期に解決すべく、北朝鮮と 交渉する必要があると考えています。

FT: 選挙がいつになるかというのは極秘事項です。実際、総理ご自身もまだ分からないのかもしれません。しかし、主 要8カ国(G8)のメンバーの中には、これだけ政治が混乱する中で、一体どの政府が北海道のG8首脳会談(来年7月の洞爺湖サミット)を主催するのか分か らないという懸念があります。

あなたがその時点でまだ政権を率いている、あるいは洞爺湖サミット後まで総選挙は行わないと保証できますか?これは世界に向けて確約できることでしょうか。

福田: ええ、かなりの確度で保証できますよ。総選挙を行う権限は私にあるからです。言い換えると、衆院解散がなければ、我々がG8サミットを主催するということです。

FT: 選挙の時期は早いよりも遅い方が望ましいという、かなり強いヒントのように聞こえますが。

福田: 野党の動きと考え方次第です。もし野党が自然に振る舞えば、あなたが今おっしゃったような展開になるでしょうね。しかし、いずれにせよ、問題の核心は、選挙がいつになろうと、我々が勝てばいいということです。

FT: 総理は今週末、ワシントンを訪問されます。状況が差し迫れば、衆院の3分の2議席を使って対テロ法案を可決させるとブッシュ大統領に言うことができますか。

福田: これは国内の政治問題なので、話題にするつもりはありません。私が言わねばならないのは、我々は新法を可決するために最大限の努力をするということだけでしょう。

FT: 民主党の小沢一郎代表は、日本は国際問題に積極的な役割を果たすべきだが、それは米国の是か非かという枠組みではなく、国連の枠組みの中でやるべきだと主張しています。小沢氏のそうした立場に共感できますか。

福田: 小沢さんは国連決議、あるいは国連決議に容認された活動という観点で話されている。これについては日本で大きな議論があり、必ずしも彼の立場が大きな支持を得ているわけではありません。そして、国連決議の下で日本がどれだけの活動を行えるのか、という問題もあります。

ご承知の通り、日本には(平和)憲法がありますから、国連がどんな活動を認めようとも、それが日本国憲法にどう関係してくるかという問題がある。また、私が受けている印象では、小沢さんはどうも国連決議が日本国憲法より上であると言いたいようです。

日米安保で定められた様々な条項が実際スムーズに実行できるかどうかという問題もあります。ですから我々としては、小沢さんが本当に何を考えているのか具体的な内容が分からない限り、彼の言っていることに同意することはできません。
日米首脳会談で議論する北朝鮮問題

FT: 言うまでもなく、今回の訪米では北朝鮮について議論なさるでしょう。総理の訪米中にブッシュ大統領が、米国は 北朝鮮の「テロ支援国家」指定を解除する方向で動いていると発言する可能性もあります。北朝鮮の核武装解除という大きな合意実現のためになら、日本として も容認できることでしょうか。

福田: 北朝鮮の核武装解除について、米国が手緩い交渉をしているとはもちろん思っていません。北朝鮮の核兵器はもちろん日本にとって大きな脅威です。私たちは米朝交渉の方向性を支持しています。この交渉が、できるだけ完全な形で合意にたどりつくよう、強く期待しています。

FT: ということは、拉致問題を抱える立場から日本が米朝交渉について、「これはよくない。やめるべきだ」と反対したりしないということですか? 拉致問題への十分な対応がなくても、米朝交渉の継続を容認するということですか? 譲歩するというほどではなくても。

福田: もちろん、北朝鮮の核開発計画が廃棄されるのは望ましいことだし、北朝鮮のミサイルの脅威が排除されることも 重視しています。さらに、拉致問題は解決されなくてはならない。この3つの問題をほぼ同時に解決するためにも、日本は北朝鮮と交渉しなくてはならないと考 えています。

FT: 国内の問題に移ります。総理は小泉政権で大きな役割を果たされました。小泉時代に何が根本的に変わったとお考 えですか。そして後悔していることは何ですか。悪化したことは何だと思いますか? 総理はここ最近の演説で、小泉時代の悪影響に言及していらっしゃいま す。何が悪影響だったと考えていらっしゃるのか、そしてどうやって対処できるとお考えか、お聞きしたいです。

福田: 小泉改革と呼ばれているものは、日本でそれまで普通だった物事のやりかたを変えた。それ自体は、私はいいこと だったと思っています。当時、「官から民へ」や「中央から地方へ」というキャッチフレーズをよく聞いた。内容について言えば、方向性は間違っていなかっ た。しかし時によっては、(小泉元首相は)急ぎすぎたかもしれない、それによるマイナス影響がいくらかあったかもしれないと、私は思っているます。

日本はここ数年、大きく変化しています。人口が減っている。ご承知の通り、第2次世界大戦が終わってからの60年間、日本の人口は年々増え続けましたが、数年前にその流れが変わりました。

高齢者人口が急増する一方で、労働力人口はこれから減っていく。こうした変化に対応するために、やらなくてはならないことがたくさんあります。小泉改革は、こうした問題を念頭に行われたものです。

私たちは、いや、あなたもそうです。今生きている者は皆、環境とエネルギーの問題において、大きな変化に直面している。挑戦に打ち勝つため、私たちは自分たちを変えていかなくてはならない。そういう大きな変化が必要とされる時代に、私たちは生きているのです。

改革は進める必要がある。もしかしたら、もっと大規模な改革が必要になるかもしれません。

FT: どういう改革でしょうか。改革というのは、かなり曖昧な言葉です。具体的に何を想定されていますか。

福田: 日本人を見ると、今言ったように労働力人口が減っていきます。それはつまり、女性と高齢者を労働力人口に取り込んでいく必要があるということ。労働力が減るに従い、内需も減る恐れがある。とすると経済の規模も恐らくは縮小する。

その一方で私たちは、返済が必要な巨額の公的債務を抱えています。もし経済が縮小し続けたら、債務返済は簡単にはできなくなる。ですから私たちは経済を拡大し、国民の生活水準を向上させるという目的を維持しなくてはならない。そのためには、諸外国との絆を深めるしかない。

つまり私たちは、日本経済の国際化を今後も推進していく必要がある。これは基本的に、日本からの対外投資と、海外からの対日投資の両方をもっと促すという ことです。そして海外からの対日投資を促すためには、日本市場をもっと開かれたものにするため、大いに努力をする必要がある。大きな障害がいくつもありま す。障害を取り除くため、私たちは戦わなければなりません。

FT: 質問があと1つしかできないので、何をお聞きするのがいいか。そうですね、参院選で怒りをもって行動した有権 者をなだめるために、総理がやろうと考えていることには、お金がかかるものがあるかもしれません。そうなると、今はいったん棚上げされている、消費税の増 税問題が出てきます。数週間前と比べて野党が弱まっている今、増税への動きを加速させられるでしょうか? 必要だと考えていらっしゃる消費税引き上げにつ いて、発言しはじめられますか? タイミングの問題だと思うのです。以前よりも、議論開始を前倒しできる状態になったと思いますか?

福田: 日本国民は、消費税率引き上げの必要性を感じているし、理解しています。とは言っても、政府の無駄遣いに不満ですし、自由競争入札ではない随意契約が多すぎると不満満を抱いています。現時点で私たちが消費税の問題を持ち出したら、国民は激怒するはずです。

今しなければならないことは、まず私たちが、政府支出の削減にできる限り努力し、その後に、消費税引き上げを認めてもいいかなと国民が思ってくれる、そういう雰囲気作りを目指すことです。

そしてもう1点。高齢化社会において、社会保障に必要な出費が増え続けますから、今後どれだけの追加コストが必要になるのか計算しなければなりません。日 本国民は、個人個人が将来どれだけの社会保障を必要とするのか、議論をしなければならない。そして政府は、国民に選択肢を示す必要があります。

FT: 総理はすでに決まっていた歳出削減措置を一部撤回しました。いや、今はまだダメだとおっしゃったわけです。歳出削減策の中には、行きすぎたものもあったということですか。

福田: 政府が歳出削減を強調すると、どうしても横断的な削減案になってしまった。それを実行すると、すでに苦しんでいる人たちがいっそう苦しむことになる。なので、歳出削減には限度があると思っています。

」

ぼっちゃんよりは、まともでしょ?

土曜日, 11月 17, 2007

日本の新首相、国と党の進む道を見据える

「
フィナンシャル・タイムズ

(フィナンシャル・タイムズ 2007年11月13日初出 翻訳gooニュース) FT東京支局長デビッド・ピリング

日本の安倍晋三前首相が今年9月にいきなり辞意を表明して世間を驚かせた後、自民党は大急ぎで後任として、福田康夫氏を首相官邸に押し込んだ。そのとき新首相は、トレードマークのドライな調子で「貧乏くじをひいた」とコメントしたものだ。

福田氏は実際、危機的状況の最中に首相となった。戦後初めて参院が野党に支配され、自民党の評判は7月の参院選以来どん底にあった。有権者は参院選で、所得格差の拡大と農村部を置き去りにする政策は、自民党のせいだと批判票を投じたのだ。

就任から1カ月半、福田新首相はテロ特措法をめぐる政局の膠着への対応にひたすら追われた。米国主導の「対テロ戦争」への日本式貢献としてのインド洋での 補給活動の継続に野党が反対したため、新首相は、海上自衛隊の撤退を命令せざるを得ないという、屈辱的な立場に立たされた。この給油活動を部分的に継続す るための新法案が衆院委員会で認められたが(訳注・13日には衆院本会議も通過し、参院送付された)、参院では否決される見通しだ。

その一方で先週には、びっくりするような大展開があった(結局は茶番で終わったのだが)。その中で福田首相は、国を治められるようにするためにと、対立する民主党に大連立をもちかけたのだ。

この申し出は結局、拒絶された。その過程において民主党の小沢一郎代表は、一時でも連立を検討したことの責任をとるためとして、いったんは辞意を表明し、そして撤回。民主党はほとんど内部崩壊しかかった。

この展開は、福田氏による見事な一手のなせる技だったのか、それとも単に運が良かったのか。いずれにしても野党の半崩壊状態によって、首相の立場は強化さ れた。それでもなお、福田首相は依然として、野党が(今回のことで勢力は弱まったが)あと6年は参院を支配するという問題を何とかしていかなくてはならな いのだ。

フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで福田首相は12日、今のこの困難な状況の中でどうやって首相として国を導くつもりか、そして自民党の支持を回復するために何ができるか、見通しを語り始めた。

「かつてない経験が始まっていて、どうやって進むべきかまだ検討中」と首相はFTに語った。「連立を組む試みにはすでに失敗したので、当面できることは、個別案件ごとの政策協調くらいです」

もっと長期的な話としては(たとえば衆院選の後に。衆院選は2009年までには必ず行われるが、来年実施の可能性が強い)、大連立を再度提案してみるかもしれないという、その可能性は否定しなかった。

福田氏は一部では、急場しのぎの一時的な総理大臣と言われている。しかしもし、自分はそれ以上の存在だと示すことができたとしても、福田氏は今や非常に不 人気になってしまった小泉改革の諸策について、国民の怒りを鎮めなくてはならない。福田氏は小泉政権の内閣官房長官として、小泉純一郎元首相の右腕だった のだから、なおさらだ。

「小泉改革と呼ばれているものは、日本でそれまで普通だった物事のやりかたを変えた。それ自体は、私はいいことだったと思っています。当時、『官から民 へ』や『中央から地方へ』というキャッチフレーズをよく聞いた。内容について言えば、方向性は間違っていなかった。しかし時によっては、(小泉元首相は) 急ぎすぎたかもしれない、それによるマイナス影響がいくらかあったかもしれないと、私は思っている」と福田首相は話した。

福田氏は、公共投資の拡大路線には戻らないと約束しているが、その一方で、計画されていた高齢者や身体障害者への給付削減は一部見送ると強調もしている。 高齢者社会で就労人口が減少していく中で日本は、規制緩和を進めて生産性を拡大する方向を、追及して行かなくてはならない。首相はこう言う。「改革は進め る必要がある。もしかしたら、もっとずっと大規模な改革が必要になるかもしれない」

福田首相は、日本をさらに外国投資に開く計画を追及するかもしれないと、示唆した。これはこれまで長いこと話題には上りつつも実現になかなか結びつかずにきたテーマだ。「大きな障害はいくつかある。障害物を除くために努力しなくてはならない」と首相は話した。

やはり前々から提案されては先送りされてきた、消費税引き上げについては(これは財政改革に必要な政策だという意見が多 い)、首相は、公共事業の不正入札に関する政府関与の疑惑に国民が怒っている今、そんなことを持ち出したら国民を「激怒させる」と説明。その上で首相は、 歳出拡大が必要だということは国民にも理解されているとの見解を示した。

「まず私たちが、政府支出の削減にできる限り努力し、その後に、消費税引き上げを認めてもいいかなと国民が思ってくれる、そういう雰囲気作りを目指す必要がある」と首相は話した。

」

志半ば...ってのも、強ち外れてないかもね。 この人のスマートな雰囲気は、悪くなかったのに....。

木曜日, 11月 01, 2007

守屋氏退職金返納よりも公務員を解雇できる制度を

「
ダイヤモンド・オンライン

 守屋前防衛事務次官の問題で、政府が守屋氏に、給与と退職金の一部について自主返納を求める方針を決めたという報道が、少し前の新聞に載っていた。

 確かにゴルフ接待を200回以上も受ける神経は度し難く、懲戒に相当する不祥事とは思うので、自主返納を求めること自体は理解できる。しかし、そもそも自主返納という形式であることがおかしいのではないだろうか。

 現行の仕組みでは自主返納しか無理だというのなら、規定を一から作り直したほうがよい。一旦払った退職金は絶対に取り返せないという今の制度は、明らかに公務員法の不備であろう。

 守屋氏に返納を求めた今回のケースは、確かに納得できないこともないが、世間から批判を浴びたから返納を求めるというのは、いかがかと思う。その 時の世論のムードや政治家の気分によって、公務員の経済的条件が左右されるのは、中立忠誠を求める公務員法の精神にも反する。やはりこの際、懲戒規定を しっかりと作って、何年でも遡って懲戒を適用できるように法改正すべきだろう。

 規定の不備を正すことは、罰則を厳しくする方向でも必要であるし、公務員の権利を守るという意味でも必要である。

◇ 事務次官の生涯賃金5億円は高すぎるか

 また先日、夕刊紙に「守屋、生涯賃金5億円」という見出しが躍っていた。守屋氏が公務員として支給を受けた生涯給与・賞与の合計が5億円ほどにな るらしい。ちなみに記事によると、退官前までの事務次官の月給は136万8000円、ボーナスが年間651万5000円、年間給与が2293万5000円 ということだ。

 果たして公務員の5億円の生涯賃金は、高いのか安いのか。

 まあまあ出世した大企業のサラリーマンと比較すると、それほどは高くはない。仮に、30歳で年収1000万円、35歳で1500万円、40歳以降 60歳まで毎年2000万円稼いだサラリーマンの生涯賃金は30歳以降で5億2500万円になる。その程度の額は、大手商社で順調に出世したり、テレビ局 のキー局に勤めていれば、そう難しくなく確保される。そう考えると、公務員として出世のトップを走ってきてこれくらいなら、そう高くもないのかとも思え る。

 ただ、守屋氏の場合、50歳過ぎまで官舎に住んでいたらしい(その後、新宿区内に家を建てたそうだが)。官舎は公務員としてのフリンジベネフィッ ト(給与所得者が受ける経済的利益)でもあるし、おそらく接待漬けで飲食代が掛かりにくいこともあっただろう。その意味では、給料をそれほど生活費に回さ なくてもよい。つまり"丸貰い"だったにちがいない。

 通常だと、退職後も天下りがある。役人時代の最後の給与に近い額が確保され、3、4年に1度の割で退職金を2000~3000万円も、ほぼ無税で受け取れることをカウントすると、あと2、3億円は楽に稼げる計算になる。生涯収入で考えると、やっぱり"厚遇"に違いない。

◇ 倒産もクビもないでは民間とのリスクは桁違い

 しかし、キャリア官僚というのは結構忙しい仕事であるし、もう少し給料を貰ってもよいのではないか、という言い分が当事者の側にはあるらしい。こ れはキャリア官僚全員に話を聞いたわけではないが、民間企業の役員クラスの条件がないと、なかなかいい人材が集まらないではないかと、キャリアたちは主張 する。

 筆者は、この主張はいかがなものかと思う。大前提として、官僚には「倒産」がない。言ってみれば、国債と社債の利回りを比べるようなもので、民間のサラリーマンとはそもそもリスクが違うのだ。

 さらに、もう一歩突っ込んで考えると、キャリア公務員に原則的に「クビ」がないのも大いに問題である。政府は最近、ようやく公務員の給与に成果主義を反映させるようなことを不器用にやり始めてはいる(安倍内閣時代に始めた政策なので今は頓挫している感じだが)。

 ちなみに成果主義には、いわゆる“陽気な成果主義”と“陰気な成果主義”がある。日本の成果主義は、配分するパイが決まっていて、人事評価で差を つける陰気な成果主義だ。本来の成果主義というのは、たくさん働いたら、それは会社にとっても喜ばしいことだから、1億円でも2億円でも払ってあげようと いうものだ。陰気な成果主義をやっても、組織の空気が重くなるだけだ。

 もう一つ、公務員の弊害として、長く勤めようというインセンティブが強烈に生じることがある。長いこと勤めれば高額の退職金を受け取ることができ るし、天下りもある。退職金で貰うと税金が安くなり、さらに年金も貰えるわけで、定年まで勤めたほうが圧倒的に有利だ。勤務が長期化するおかげで保守的に もなるし、ごく短期間しか関わらない大臣との関係は、むしろ官僚側が強くなる。

◇ 官僚人事を自由化する仕組みが必要だ

 キャリア官僚の採用や解雇は、本来は自由であるべきではないだろうか。そして、そのとき払いの支給にして適材適所を常に図るべきだし、クビもあるというのでなければ、ボスである政治家の言うことを聞かないだろう。

 もちろん、言ってみればモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスに勤めるような解雇リスクが生じるわけだから、それなりの高給を支払い、個別に評価し個別に雇用していく。

 官民の人事交流ができる制度も作るべきだろう。現在の制度だと、片方をやめてもう片方にいくと、そこで退職金や年金を相当程度無駄にしないといけないが、短期間にその時々の働きに対する適正な賃金が支払われる形とし、人事交流しやすい制度を確立すべきだ。

 アメリカ式の、民間から公務員、公務員から民間という、回転ドアのような制度をやっていくと、日本とは別の形で官民の癒着は出てくるだろう。それ はそれで厳しく規制を設けないといけないとは思う。ただ、メンバーが固定していても入れ替わっても癒着は生じる。何れにせよ、公務員の不正に対する処罰は もっと厳罰であっていい。これは、人事制度の変更以前に必要なことだ。

 少なくとも政策の意思決定に関わる集団である以上、キャリア公務員人事の自由化は必要ではないだろうか。

◇ 実権を握り身分も安泰官僚は政治家より強し

 人材長期固定型の現行の人事制度では、仮に今、民主党が政権を取っても、官僚のトップを変えることはできない。

 今の政治の実態というのは、公務員が政治を動かし、あるいは政治が変わることに公務員が抵抗するという、公務員の意思が強固に反映されたものだ。身分が退職後まで確保され、かつ情報も権限も持っているとなると、明らかに集団としての公務員は政治家よりも強くなる。

 本来であれば、キャリア官僚は、政治的判断によって取り替える必要があるし、要職にあるべきトップ官僚はよほどの能力が必要なのだから、適材適所で人材を配置しないといけない。

 会社の経営に置き換えて考えてみると、管理職の人事をまったく自由にできない状況で経営者が交代していっても、会社の実質を変えることはできな い。つまり政権が変わろうと総理大臣が変わろうと何の意味もないわけで、生涯所得5億円うんぬんよりも、キャリア公務員がクビもなければ入れ替えもないと いう形で管理されていることが最大の問題ではないだろうか。

 守屋氏の国会証人喚問を見ながら、そんなことをしばし考えてみた。

◇ マスコミは接待疑惑をなぜ今まで報じなかったか

 それにしても、守屋氏のような“ガードの甘い”人がわが国の防衛を担う背広組のトップだったとは、冗談みたいな話である。相手が、たとえば敵国の工作員でなかったのは幸いというべきだろう。

 ところで、もう一点、本論とは関係ない話を付け加えたい。守屋次官の200回以上に及ぶ接待ゴルフを防衛省(かつては防衛庁)に出入りしていたメ ディアの記者が知らなかったということは、あり得そうにない。取材先の組織のトップが日々何をしているかを、見てないはずがない。例の偽名にごまかされた というのでは、素人同然で、記者落第だ。

 彼らの多くは、公務員の懲戒規定に十分引っ掛かりそうな防衛次官の行ないを知りながら、今まで報じないでいたのではないか。これは、たぶん、次官へのゴルフ接待を報じると、防衛省向けの取材がやりにくくなるだろうという配慮に基づくものだろうが、不適切な配慮だ。

 メディアのチェック機能というものは、しょせんこの程度のものだ、ということを心に留めておきたい。

」

ごもっとも

火曜日, 10月 30, 2007

公共事業だけが地方を救える術なのか

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ダイヤモンド・オンライン

 憤懣やるかたない口調だった。

前回このコラムで、「道路特定財源を応能税として捉えなおし、一般財源化せよと書いたら、北海道と九州の市長、町長二人から、「地方の惨状、東京との格差を知らぬ者の一方的主張だ」と、強烈なお叱りの電話をいただいた。

「道路特定財源の一般財源化」に火をつけたのは、小泉純一郎元首相である。族議員、地方自治体、自動車工業会などの関連業界の猛烈な反対を受けて 果たせず、引き継いだ安倍晋三前首相は昨年一二月、「道路整備に必要な財源を上回る税収分だけを一般財源化する」という妥協の産物で決着させた。

 しかし、福田康夫首相はそれさえも慎重な姿勢に後退している。それだけ抵抗勢力の勢いが増している、ということだ。福田内閣が打ち出した地域格差是正の目玉だ、とすら意気込んでいる。

 電話をいただいた市町長とは、それぞれ30分ほど問答を繰り返した。

 第1に、「熊しか通らない道路」の例えどおり、もはや道路整備は有効な社会資本形成には結びつかない。第2に、公共事業を全国にいくらばらまいて も経済活性化、景気回復には役に立たず、借金がかさむだけであることは小渕政権の失敗で証明されている。第3に、地方の公共事業は“国内ODA”と揶揄さ れるほど族議員、建設会社社長などの有力者による中抜きが多く、地元の人々におカネは回らない。第4に、公共事業を行なうならば都市部のほうがはるかに効 率的だ――縷々説明する私に、相手はついにキレた。

「じゃあ一体、国は代わりに何をしてくれる」――。

 世界でも類を見ないスピードで進む日本の少子高齢化は、地方で先行する。例えば、65歳以上が人口の過半数を占める「限界集落」は全国で7800 あり、年間約300増える。税収は少なく、介護保険など年金生活者に負担を強いる。さまざまな制度を維持できない。「暮らしを守れない。安全も守れない。 その苦しさは、東京に住むものには分からない」、そう訴える市町長にとって、公共事業は効率悪かろうが、虎の子の所得再配分機能なのだ。

奪われてたまるか――電話口から、東京への怨念すら伝わってきた。民主党の幹部は、「今、地方は東京へのルサンチマン(他人や差異への憎しみ)が覆っている。われわれが参議院選挙で大勝したのは、そこに火がついたからだ」と言う。

 ルサンチマンの増大は、社会の不安定化をもたらす。といって、道路整備や公共事業のばら撒きに戻ってはならない。公共事業に代わる、より有効な所得配分機能を、社会保障政策として考えるべきときだろう。

経済学的に言えば、最も効率がいいのは直接おカネを配ることである。地方に産業構造転換や町興しの努力を迫るとともに、暮らしを脅かされている人 々には、「最低保証年金」とでも呼ぶべき制度をつくる。そのとき、増税のみに頼らず、歳出構造を抜本改革し、公共事業から社会保障への転換を宣言すること が必須であることはいうまでもない。

」

日本経済と小泉神話

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フィナンシャル・タイムズ

(フィナンシャル・タイムズ 2007年10月17日初出 翻訳gooニュース) FT東京支局長デビッド・ピリング

東京の日興シティグループのエコノミスト、村島帰一氏はロンドンから戻って来たばかり。ロンドンはあまり楽しくなかったという。日本の国債や証券をもつ投資家たちと何度か会合した結果、村島氏はこう結論した。「日本への関心が薄れている」

関心が薄れている一因は、わくわくするとは言い難い日本の経済成長がいまだに、外需依存だからだ。しかもその外需依存は、ますます不安定さを増している。 しかしそれよりも根深く、日本経済にがっかり落胆する気分が広まっている原因は、9月の安倍政権崩壊をきっかけにした政治膠着が、そのまま政策の麻痺につながるのではないかと懸念されているからだ。

こうした懸念は、表面的にはよく理解できる。9月には与党・自民党の派閥領袖数人が集まって、自分たちで決めて、灰色スーツを着た71歳の福田康夫氏を総裁室に押し込んだ。この人選方法はまさに、小泉政権の前にさかのぼるオールドスタイルな日本そのもの。小泉元首相は国民に直接訴えかけて支持を集め、そう やって旧弊や因習を覆したものだが、今回のこれは……という不安を、多くの人が抱いたのだろう。

さらに不安なことに、福田氏というコンセンサス重視型の政治家が首相になったと時を同じくして、日本ではまさにその党内コンセンサスを飛び越えて実施され た「小泉改革」への反発が噴出している。与党は今年7月、5年間にわたる景気回復の具体的成果をほとんど得られていない、日本の最貧地域の有権者に、手痛いしっぺ返しをくらった。

2001年4月から2006年9月まで総理大臣だった小泉氏は、「改革なくして成長なし」と訴え続けて、有権者だけでなく、少なくない数の外国人投資家を 見事に説得した。小泉氏の在任期間がちょうど、日本で戦後最長の景気拡大と時期が重なったため、この成長は改革のおかげなんだろうと多くの人が考えたの だ。この単純な分析をつきつめるとつまり、改革がいま止まれば成長も止まる、ということになる。

構造改革がどういう性質のものだったか。日本経済の回復に構造改革が具体的にどういう役割を果たしたのか、それとも関係なかったのか。誤解されている部分がある。最も好意的に解釈したとしても「改革」というのはせいぜいが「良い変化」という曖昧な意味しかもたない、ある意味でいい加減な、政治家にとっては便利な言葉だ。特に、自分が施行する法律が全て好ましいものだとは限らないという事実を、はっきり認めたくない政治家にとっては、便利な言葉だ。日本では この「改革」という言葉は、「財政再建」と「規制緩和」の両方を意味してきた。それだけに、意味はますます良く分からなくなる。

小泉政権下での予算削減や規制緩和の推進はいったい、経済成長にどういう効果があったのか? ほとんど何もなかった。2001年の金融危機の最中に政権を とった小泉氏は、政府借入金を大幅削減すると約束した。しかし幸いにして、元首相はそんなことをしなかった。あの時に政府の借金を大幅に減らしていたら、 ただでさえデフレ状態にあった経済がさらにひどい景気後退に陥っていただろう。小泉氏は確かに公共事業予算を削った。また任期末期に向けては、支出全般を 抑制し、課税されていることが分かりにくい巧妙な隠れた税によって歳入を増やした。これは日本の将来の長期的な健康のためには、良いことだったかもしれな い。しかしこれらの施策が景気回復のきっかけになっただなどと主張する経済学者は、たとえいたとしても、きわめて少数派だ。

規制緩和は成長を促進させることはできる。しかし日本で行われたほとんどの規制緩和は(たとえば金融や小売り部門での緩和は)、小泉氏が首相になる前に実施されたものだ。

小泉内閣の官房長官だった福田氏は、小泉政権による規制緩和の功績について質問されると、風邪薬が薬局以外でも買えるようになったことを例として挙げた。 確かにこの措置は、ハンカチとティッシュを手放せないあまたのサラリーマン諸氏にとってきわめて便利な、津々浦々まであまねく影響力をもつものだったかも しれない。しかし、これが経済成長の根源だったとはほとんど誰も言わないだろう。

小泉政権の下で日本経済が回復した、その本当のカギとなったのは、輸出業に恩恵となった中国の好景気と、金融機関の建て直し成功だ。円安基調を維持するた めに金融当局が行ったすさまじい為替介入によって、輸出業はさらに助けられた。しかしさすがに、いくら日本で「改革」論争がごちゃごちゃに混乱しまくった とはいえ、この為替介入を「改革」に分類する人は誰もいなかった。

小泉改革の中で、最大かつ本物の改革だったのは、郵政民営化だ。これは小泉氏が辞任した1年後にならないと始まらなかったし、完成するには 2017年までかかる。しかし外国人投資家は2005年末の時点で早くも、郵政民営化を理由に日本の株式を買いまくった。おかげで当時の株価は一気に 40%近く高騰したのだ。

リーマン・ブラザーズは最近、こういうコメントを書いている。「小泉時代、興奮や派手なレトリックはともかくとして、構造改革のペースはとりたてて速くはならなかった」

そもそも小泉氏が、めくるめく新世界を実現できなかったのだ。小泉時代の財産を福田首相が全部なかったことにしてしまうのでは? などと心配するのは的外れだ。

財政面でいえば、よくも悪くも新首相は、赤字削減を大事なテーマとして抱えているようだ。辛い目に遭っている農村部に国家予算をつぎ込むべきだという圧力が、政治的にはあるのかもしれない。しかし福田氏は、公共事業拡大を否定し、2011年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させるという (達成可能な)政府目標を改めて表明している。そしてこれまでのどの前任者よりも、消費税引き上げ議論に積極的なように見える。

規制緩和については確かに、野党が参議院をコントロールしている限り、大した前進は期待できなさそうだ。もしも農産品関税引き下げや外国人労働者の規制緩 和を期待している人がいるなら、考え直した方がいい。とは言えそもそもからして、これといってろくに何も起きていなかったのだ。すでに実現したものを新政権がむやみに解体してしまうなどというおそれは、ほとんどない。コンビニやスーパーから総合感冒薬を撤去しろ、などと言い出す政治家は、今のところはまだいないのだし。

日本に関しては、確かに心配に値する材料が色々ある。たとえば給与水準が伸び悩んでいることとか、消費需要がなかなか活気づかないとか。しかしながら、福田氏が小泉氏の改革マニュアルを破り捨ててしまうかもしれない、などという心配は無用の長物だ。

」

よく分析してるよね。
小泉さんが、結果なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんにもしてないことを、よく分かってらっしゃる。
マネーゲーム冗長させたことを、功績と呼ぶなら呼べばイイだけのことで、実態経済が上向いていたなんて話は、嘘っぱちでしかない。
それでも、郵政民営化に踊らされたツケは、じわじわと国民にしわ寄せてくるだろうね。

火曜日, 10月 16, 2007

「応能税」か「応益税」か 【辻広雅文 プリズム+one】

「
ダイヤモンド・オンライン

 税には、2つの基本的な考え方がある。「応能税」と「応益税」である。「応能税」は、個人の負担能力に応じて課す租税で、累進課税である所得税が 典型だ。国税の多くは「応能税」で、社会保障、防衛などの用途幅広い一般財源となる。一方、「応益税」は、さまざまな行政サービスの受益者が、その負担を する。受益と負担の関係が明確であり、地方税がこの考えに立つ。ゴミの回収費用は、住民が負担するのだ。

 道路特定財源の一般財源化に、福田康夫首相は慎重である。道路族、地方自治体、自動車工業会は猛反対している。彼らの本音は横に置こう。その論理 は、道路整備を目的とする税をその他の分野に使うのは筋違いだ、という一点にある。目的税なのだから当然、「応益税」だという主張である。 

 待って欲しい。そもそも5兆6000億円の道路特定財源のうち、揮発油税、自動車重量税など3兆円強は国税なのである。実は、その揮発油税は 1953年に特定財源化される前は、一般財源だったことは知られていない。多くの人が誤解し、政府もあえて説明していないのだろうが、「揮発油税は道路整備のために創設された目的税」ではない。戦前から存在していた国税であり、目的税ですらない。道路が未整備だった当時、田中角栄らによって緊急の立法措置 がなされ、特定財源化されただけなのである。以来、半世紀を経て、必須の道路建設は減り、財源は余剰となった。

 本来の趣旨に戻って、「応能税」として捉えなおすべきときだろう。「応能税」の負担能力に応じて課税するという考え方は、有り体に言ってしまえ ば、取れる人、取りやすいところから取って、幅広く国民に役立てるということである。税の原理原則であり、たばこは60%が税金だが、喫煙者のために使えとは誰も言わない。揮発油税も同じであろう。

 自動車工業会は、財源が余剰なら税率を下げるべきだ、と主張する。筋は通っている。一理ある。だが、現に、国民の大多数が自動車を利用し、揮発油 税などを納税しているのだ。負担できる能力があるということだ。他方では、日本のあちこちに財源不足の穴が開いている。有効に利用できれば、国民の支持は 得られる。

 問題は用途である。道路特定財源を一般財源化して、無駄の多い道路予算を5000億円だけ削減し、喫緊の課題である基礎年金再構築のために国庫負担分を5000億円増すという政策を打ち出したら、どれほどの国民が反対するだろうか。

」
反対しないぞ