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土曜日, 12月 20, 2008

麻生首相には、靴投げつけも笑いにするブッシュほどの余裕もない【上杉隆コラム】

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ダイヤモンド・オンライン 2008年12月19日(金)08:40
 ブッシュ米大統領に、靴を投げつけるという「ゲーム」が世界中で流行っているという。「AFP・時事」の配信記事によれば、次のようなものだ。
〈このゲームは英国のアレックス・チュー氏が立ち上げ、米軍のフセイン・イラク大統領打倒の「Shock and Awe(衝撃と畏怖)」作戦をもじって「Sock and Awe(靴下と畏怖)」と名付けた。演壇の後ろで30秒間、頭を出したり入れたりして身をかわし続けるブッシュ大統領の画像に向けて靴を投げつけるもの で、チュー氏が16日語ったところによると、既に140万回のアクセスがあった〉

 早速、筆者もトライしてみた。結果は12回。イラク人記者のように、腕や肋骨を折られたり、逮捕されたりすることもなく、ブッシュ米大統領の顔面に靴を命中させることができた。どうやらゲームの中のブッシュ大統領は、実物の大統領よりもずっと反射神経が鈍そうだ。
 靴を投げたイラク人記者は、エジプトのテレビ「アル・バクダディア」と契約していたムンタデル・アル・ザイディ氏だ。この事件後、ザイディ記者に 対して、アラブ連盟各国で釈放を求めるデモなどが発生している。サウジアラビアでは、ブッシュ大統領に投げつけられた「靴」に10億円の懸賞金がかかり、 リビアでは、カダフィ大統領の娘が、記者への「名誉勲章」の授与を発表した。
 ただし、記者会見中にジャーナリストが靴を投げるという行為自体は許されるべきではなく言語道断の行いだ。取材会見に応じた人物が、いかなる「極悪非道」な者であろうと、了解して会見に臨んでいる以上、物理的な危害を加えるということは絶対にあってはならないことだ。
 そうした意味で、靴を投げたザイディ記者はジャーナリストとして失格であり、二度と取材活動を行わせるべきではないという意見に筆者も賛同する。
 とはいえ、現実問題として、彼、ザイディ記者の政治目的は十分に達成されたとみていいだろう。なぜなら、靴を米大統領に投げつけたという行為によって、イラクは決して米国を歓迎していないという印象を世界に植え付けることに成功したからだ。
 また、退任直前の「イラク電撃訪問」というブッシュ政権にとっての大ニュースを、少なくとも「イラクの靴」と「大統領の反射神経」という問題にすりかえることには成功している。

◇ 大統領が自らの災難をジョークにできる国
 一方で、米国内では、大統領の身辺を案ずる真摯な意見よりも、今回の事件そのものをネタにしようという声が圧倒的に多い。すでにテレビ、ラジオ、 またウェブ上でも盛んにジョークが飛び交っている。それらは、「風刺」という意味以上に、ブッシュ大統領の不人気を示す例として参考になる。CNNを中心 に各メディアからジョークをいくつか拾ってみよう。
・「靴に対して失礼だ」(アラブ世界では「犬」「豚」「靴」は侮辱的なモノとされる)
・「あのイラク人記者はとんでもない野郎だ。なにしろ2度も的を外したんだ」
・「みなさん、就任8年目にしてやっと大統領の特技がみつかりました。それは……、ドッジボールです」
・「イラクを訪れていたブッシュ大統領は、当地で外交政策変更を行いました。大きく左に傾いたのです」
・「クリントン前大統領から、ブッシュ大統領に激励文が届きました。『あなたは、私以上に、靴や、皿や、家具を除けるのがうまい』」
 こうした「靴に失礼だ」的なジョークは、ブッシュ大統領周辺にも広がりをみせている。ペリーノ米大統領報道官は、事件後初の会見でこう語っている。
「記者のみなさん、本日の会見の前にひとつお願いがあります。どうか、靴を脱いでください」
 こうしたジョークを最初に発したのは、ほかでもない当事者のブッシュ米大統領だ。靴を投げつけられ、ザイディ記者が拘束された直後、「靴のサイズは10だな」と語り、その後、こう続けている。
「結構、身をかわすのがうまいだろう。もちろん、君たち(記者)の質問に対してだが……」
 米大統領の危機に際した時のこの種の余裕は、ブッシュ大統領だけのものとは限らない。かつて、レーガン元大統領が狙撃された時、心配して病院に駆けつけたナンシー夫人に向かって、最初に投げかけた言葉も見事だった。
「ナンシー、ごめん。弾をよけそこなったよ」

◇ “未曾有”すらジョークで流せない麻生首相の偏狭
 驚くのは、大統領側近がこうした事件の一部始終を隠すことなく映像に残していることだ。その理由は、大統領は24時間の公人であり、その存在が国家自体を体現し、いかなる場合であっても、国のトップの情報は国民に知らせるべきだという姿勢があるからだろう。
 だからこそ、ジョークも活きるわけである。生命の危機に晒されている大統領が、余裕を持ってジョークを語る姿を知って、どれほどの国民の不安が解 消されただろうか。実際は、かなりシビアな状態にあったレーガン元大統領だが、こうして米国民は「安心」という何よりの政治的恩恵を受けるのである。
 翻って日本はどうだろう。漢字の読みを指摘され、ホテルのバー通いを咎められた首相は、ジョークで返す余裕もなく、本気になって若い記者たちを叱 り飛ばす。景気対策、第二次補正、給付金――、自らが宣言してみせて、自らが取りやめたものを国民から批判されて、逆に怒っている始末だ。
 なぜ、同じ不人気ながら、日米のトップが国民に見せる姿にはこんなにも差があるのだろうか。
 自己の危機にですら余裕を失う偏狭な人物が、国家の危機に際してどういった対応をするのかということは容易に想像がつく。些細なことで余裕を失い、他者を攻撃する政治家を、いったい国民の誰が支持するというのだろうか。
 景気は落ち込み、世知辛い世の中だからこそ、せめて、自国のリーダーくらいは超然とあって欲しいものだ。そしてそれこそが国民がもっとも望むリーダー像ではないか。
 麻生首相と親しい藤本順一氏(ジャーナリスト)は、事務所を通じて、首相本人にこう進言したという。
「正月の書初めは、『未曾有』とか『踏襲』で決まりですね。それが宰相の余裕ですよ」
 果たして、麻生首相にこうした進言を受け止める余裕はあるのだろうか。
 国家のリーダーにとっては、「風刺」も「批判」も等しく、政権運営に必要な「情報」に他ならないである。欧米のリーダーにはそうした余裕があり、危機の時こそユーモアのセンスを忘れないという「矜持」がある。
「矜持」という言葉が何より好きな麻生首相にこそ、そうした余裕が必要なのではないだろうか。

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まぁ変に自信持たれるより、ジリ貧のまま退陣願った方が、日本のためかもね....。

木曜日, 12月 18, 2008

「外国人台帳制度」創設へ 総務省有識者懇 自治体と情報一元化

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産経新聞2008年12月18日(木)16:05
 現在の外国人登録制度に代わる仕組みを検討している総務省の有識者懇談会(座長・藤原静雄筑波大教授)は18日、日本人の住民基本台帳のように世帯単位で管理する「外国人台帳制度」を創設する内容の報告書を公表した。法務省が行う外国人の入国、在留許可と地方自治体が担う外国人登録に分散された現行制度を一元化することで、正確な在留外国人の把握や行政サービスの向上を図る。総務省は、準備作業や周知期間を経た平成24年の導入を目指し、来年の通常国会に関連法案を提出する。
 国内に215万人が在留する外国人は現在、入国時に法務省の在留許可を得て、居住する自治体で外国人登録を行っている。
 だが、住所変更などで外国人登録の内容を変更しても法務省への報告義務がないため、同省と自治体の間で情報が共有されないとの問題が生じていた。また、 日本人の家族と同居する外国人は別々に登録されることになり、自治体が生活状況を正確に把握できず、教育や福祉という行政サービスや徴税などで支障を来す 現状があった。
 外国人台帳制度は、自治体が個人単位で作成している外国人登録原票を、日本人同様に世帯単位にした「外国人住民票」に移し、国籍や在留資格、在留期間などの情報も記載する。


外国人台帳制度に関する懇談会(総務省)

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外国人台帳制度を創設 世帯単位に管理一元化 (共同通信) 12月18日 12:02
定額給付金 ホームレス、DV被害者…困窮者に届かず (河北新報) 12月07日 09:00
再入国阻止846人 (産経新聞) 11月28日 16:05
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こう事実だけ並べると、何か問題あるの?と、勝手に訝しむ。
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外国人住民票の創設提言 転出入の手続き簡素化
朝日新聞2008年12月18日(木)19:55
 外国人の在留管理制度見直しを検討してきた総務、法務両省の「外国人台帳制度に関する懇談会」(座長=藤原静雄・筑波大法科大学院教授)は18 日、「外国人住民票」を新たに作るよう求める報告書をまとめた。これを踏まえ、両省は来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
 現行法では、市町村は日本人については住民票、外国人は外国人登録原票で情報を管理。日本人と外国人が同じ世帯であっても、転居や証明書発行の届け出、申請は別々にする必要がある。住民票には外国人は「備考欄」に任意で記されるだけだ。
 報告書では、氏名や住所、国籍、在留期間などを記した外国人住民票を作成。転出や転入は日本人と同じ手続きでできるように簡素化。外国人を含む世帯は全 員が載った住民票記載事項証明書を発行できるようにするとした。また、登録した住所と実際の住所が違う外国人が多いことから、市町村長が実態調査などで住 所を確認し、職権で住民票の内容を修正、削除できるようにすることも提言した。

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簡単にすることが問題?
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不景気で雇用調整が広がる中、外国人社員だけ急増の“なぜ”
ダイヤモンド・オンライン 2008年11月27日(木)09:15
 こんな時代だからこそ、世界で活躍できるグローバル人材を、国籍や職種に関係なく積極的に採用していこう――。
 現在、世界的な金融危機による景気悪化不安に怯え、派遣・契約などの非正規社員ばかりか、来春の正社員採用さえ見合わせようとする日本企業が続出している。
 1400人にも上る工場の非正規社員を解雇するいすゞ自動車や、1000人の希望退職者を募る日本IBMなど、直近では、大幅な人員削減に踏み切 るケースまで出始めた。昨年まで売り手市場だった就職戦線は、今や完全に逆転。今後、日本の失業率の増加は避けようがないと見られている。
 ところが、そんな不況にもかかわらず、日本企業による外国人採用の動きだけが、ますます加速しているのをご存知だろうか?
 「そういえば最近、オフィスビルのエレベーター内や昼食時のビジネス街で、外国人ビジネスマンの姿を見かけることが特に多くなった」と感じるサラリーマンも多いだろう。現状を分析すると、企業の外国人採用は確かに増加の一途を辿っている。
 法務省入国管理局の統計によると、2006年の在日外国人労働者数は75万5000人と、10年前の37万人と比べて約2倍に増加している。なかでも特に増えているのが、人文知識・国際業務、技術ビザなどで来日しているホワイトカラーの人々だ。
 中国、韓国、ベトナム、インドのほか、欧米の人材も少なくない。日本に住む留学生でそのまま就職した人数も、1995年の約2600人から、06 年には約8200人と3倍以上になった。政府も今後、ビザや在留資格の緩和を通じて、専門的・技術的分野で受け入れる外国人を増加させる考えだ。

◇ 雇用調整に躍起な業界で唯一増え続ける外国人
 たとえば、今後かなり大規模な雇用調整が起きると見られている電機業界では、パナソニックが日本、アメリカ、アジアなど世界5拠点でそれぞれグ ローバル人材の発掘に力を入れている。国内の主要製造会社で働く7万2000人のうち、2007年3月時点で外国人社員は140名に上る。
 同社広報部によると、今後も変わらず採用を続け、3年後の2010年までに研究開発、技術、本社の管理部門などで計240人にまで増やしたい考えだという。日本に住む留学生向けの就職説明会にも積極的だ。
 三井化学でも、外国人社員の増加に伴い、07年に「社員の異文化マネジメント力強化研修」を立ち上げた。同社によると、今年4月には7人の外国人を採用、今後も増やしていく予定だ。
 こういった海外人材採用の動きは、自動車メーカーや大手商社など、従来から外国人採用に積極的だった企業はもちろんのこと、外国人採用にはどちら かというと消極的だった金融機関などでも顕著になっている。大和証券では、今春採用した新入社員約150名のうち13名が外国人だった。
 特に金融業界においては、今後、金融危機のあおりで危機に直面した金融機関などをターゲットに、人材争奪戦が本格化する可能性もあるという。破綻 した米リーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門を引き継いだ野村證券が、「優秀な人材の確保を目的とした買収」を強調していることからも、それは明らか だろう。
 それでは、不況のなか企業がこれほどまでにグローバル人材の確保に躍起になっている目的は、いったい何なのか?
 グローバル人材の採用に特化した人事コンサルティング会社、ジェイエーエスの小平達也社長によると、その目的は主に3点に集約されるという。
(1)国籍不問で人材の能力を重視したい
(2)海外の営業拠点や販売拠点とのブリッジ要員として活用したい
(3)社内にダイバーシティ(多様性)を確保したい

◇ 減り続ける優秀な日本人社員もはや外国人に頼るしかない?
 このような考え方をする企業が増えてきた背景には、日本全体の労働人口の減少という「悩みのタネ」がある。それにより、優秀な新卒社員の減少、既存社員の高齢化、理系離れによるエンジニアの不足などが顕著になっているのだ。
 特に、昨年から技術開発を支えてきた団塊世代の大量退職が始まっているエンジニアの場合、人材不足はかなり深刻だ。
 小平氏によると、「バブル期のように、ただ欧米人を採用しただけで『うちもついに国際化した』と満足したり、ITブーム時のように外資系企業や中堅IT企業だけが外国人エンジニアを採用した時代と、昨今の流れは明らかに違う」という。
「現在は海外売上高比率が高い自動車や精密機械メーカーだけでなく、幅広い業種の企業が一般の日本人と同じ土俵で働ける外国人の新卒者を普通に 採用するようになって来た。外国人社員を一時的な“助っ人”人材として見るのではなく、将来の企業経営におけるリソース(資源)として長期的に取り入れようとしている」(小平氏)
 とはいえ、外国人採用に関する日本企業の経験は、欧米と比べればまだ浅いだけに、失敗も少なくない。
 その人の出身国や地域によって、価値観や志向性、性格、異文化適応力などが少しずつ違うからだ。それを踏まえたうえで面接、採用しないと、失敗する確率は高くなる。むろん、日本語が堪能な人ばかりではないため、現地や来日後における日本語教育にも、相当な時間とお金がかかるだろう。
 このようなトレンドもあって、現在、人材派遣会社などでは、続々と中国やアジア各地にエンジニア向け日本語教育と日本のビジネスマナーを専門的に指導する会社を設立している。今や政府も、福田元首相の肝入りで「留学生30万人計画」を進めているほどだ。
 日本語が堪能なうえに日本のビジネスマナー、生産管理技術までも習得した人材を海外や国内で育成できれば、人口減少の一途を辿る日本にとって、こんなに心強いことはない。
 しかし、受け入れるからには責任も重い。外国人にとっては、自らが戦力として対等にみなされ、仕事に合ったキャリアパスを描けることが理想だ。日本型の年功序列制度や、日本企業独特の目に見えない「あ・うん」の呼吸の壁に阻まれれば、彼らは日本から去ってしまうだろう。

◇ 金融危機後の大再編でますます“職場のグローバル化”が加速か
 そもそも少子化は、なにも日本だけの現象ではない。シンガポール、ドイツ、フランスなど人口減に悩む先進国の企業は、優秀な人材確保のため、莫大な費用を投じてあの手この手の優遇策を用意している。今や世界規模で優秀な人材の争奪戦が繰り広げられているのだ。
 言い換えれば、優秀なグローバル人材を確保し、能力を発揮してもらうことができるかどうかが、企業が生き残って行くためのカギとなる。
 日本の人口は、2004年の1億2800万人をピークに下降し始め、2030年には生産年齢人口が1700万人も減少すると予測されている。このような状況下、今後は日本企業にとっても外国人の確保が「死活問題」となることは明白だ。
 そのプレッシャーは、景気後退不安による一時的な雇用調整の波など覆すほどのインパクトをもたらす。金融危機後の企業再編のなかで、今後は外国人採用だけが急増して行く可能性もあるのだ。
 近い将来、典型的な日本企業のオフィスにおいて、あなたの席の両隣にフランス人や韓国人が座り、本社役員や幹部クラスのほとんどに外国人が就任するようなことも、珍しくなくなる日が来るかもしれない。
「うちは外資系じゃないから」などとたかをくくっている日本人社員は、優秀な外国人社員との競争に勝ち残れなくなるだろう。
(ジャーナリスト 中島 恵)
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・派遣会社の「名ばかり正社員」悪労働環境に苦しむ特定派遣が急増中
・劣悪な労働環境に悲鳴続出!外国人研修生の「現代版女工哀史」

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なるほど....需要を見越しての検討な訳か....。

土曜日, 12月 13, 2008

官僚の手当新設と、節度なき公的資本注入 呆れた麻生経済対策の中身【町田徹コラム】

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ダイヤモンド・オンライン 2008年12月12日(金)08:40
 メディアはあまり報じないが、「100年に一度あるかないか」の経済・金融危機が一段と深刻になる中で、麻生太郎政権は2つの“悪政”を目論んでいる。
 第一は時節をわきまえない“役人優遇”策だ。来年4月から東京・霞が関の本省に勤務する各省庁の若手国家公務員を対象に「本府省業務調整手当」を新設する。巷では失業者が溢れ始めたのに、この手当てが再来年4月から完全実施されると、30歳前後の若手官僚(係長クラス)で月額1万4000円程度の増収に なるという。
 第二が公的資金を使った金融機関への資本注入だ。社会的に必要な場合は現行法でも可能な枠組みが整備されているにもかかわ らず、「予防的」「中小企業の資金繰り支援」といった大義名分を掲げて、廃止するはずだった時限立法(「金融機能強化法」)をわざわざ復活。これに改正を 加えて、税金で救済する場合、これまでのような経営責任を問わないで資金を投入する道を開くという。
 周知の通り、麻生太郎首相は、企業 を経営した経験が売り物のひとつ。「政局より政策」と解散・総選挙を先送り、「経済」と「景気」を立て直すと広言してきた。ところが、効果が期待できる経済政策より、公務員優遇手当の新設や金融機関の経営者擁護を優先して、国民の血税をドブに捨てようとしているのが実態なのだ。これでは、とても経済通の宰相などと言えない。すでに20%台前半に落ち込んだ世論の支持率がさらに下がるのは確実な情勢だ。

◇ 官僚からの圧力を止められず麻生内閣が“昇給”実施を決定
 「本府省業務調整手当」の支給対象になるのは、東京・霞が関の内閣府本府や財務、経済産業、総務、外務などの本省に勤務している若手官僚たち約3万5000人。本府省での勤務は、国会における野党の質問攻勢に対応して、深夜・早朝まで政府の答弁などを作成する激務に追われ、人気が離散。近年は特に勤務希望者が減少していることから、激務に応える給与体系を構築する必要があるというのが、この手当を新設する理由だ。
 年金や居酒屋タクシー問題を追及する質問を連発した民主党の長妻昭衆議院議員に引っ掛けて、この手当を「長妻手当」と呼ぶ向きもあるという。
 ちなみに、手当は、来年度と再来年度の2回に分けて段階的に支給額を引き上げて完全実施することになるが、その再来年度以降の手当額の算出は、課長補佐が 基本給の9・4%(来年度も9・4%)、係長が4%(同2%)、係員が2%(同1%)となるという。実際の支給額は、課長補佐で月額4万円前後、係長で1 万2000円前後になる見通しだ。
 ちなみに、業務調整手当は政府内部、特に人事院で数年前から導入論議があった。一度動き出した流れには歯止めがかけられず、今年8月の人事院勧告に盛り込まれ、麻生内閣が11月14日の閣議で来年度からの実施を正式決定した経緯がある。
 ただ、国家公務員の給与は、長年にわたって、スト権を認めないなど労働基本権を制約する代償として、民間企業の従業員と比較して見劣りしないものとするよう、人事院が調査・比較して是正の勧告を出す仕組みを取ってきた。昭和50年代半ばには、政治主導で、その実施をほとんど見送った時期もあるが、 最近は、その勧告を不可侵のものとするムードが定着。2006年の見直し後も、比較対象の民間企業が従業員50人以上の大企業とされており、平均的な民間 の給与水準を推測するのに不適当ではないかといった批判を無視する形で、勧告の完全実施が続いている。
 この結果、人事院の公務員のモデル給与例をみると、係長(35歳、配偶者と子1人)の年間給与は479万3000円、本府省課長補佐(同じく35 歳、配偶者と子1人)は739万9000円、本府省課長(45歳、子2人)は1219万5000円、本府省局長は1790万6000円、事務次官は 2351万8000円などとなっており、一流企業と比べても遜色ないものとなっている。
 加えて、最近は、公務員には民間企業の従業員のような倒産やリストラクチャリングに伴う失職のリスクがないことから、「そもそも同水準の給与を保証する必要はない」といった批判の声が霞が関の内部からも起こっていた。
 実際、民間では、非正規雇用労働者を中心に給与カットどころか契約の更改打ち切りなどが横行しており、失業者が急増しているからだ。あのソニーでさえ、9日、全世界で1万6000人程度の人員を削減すると発表し、世間を驚かせたばかりだ。
 さらに考慮しなければならないのは、麻生首相が、当面の景気対策の代償として、「3年後には消費税の引き上げをお願いしたい」などと増税を持論と してきたことだろう。国民に重い負担を求めるのならば、まず、政府の側が、もっと機動的に、公務員給与を抑制できる枠組みを作り、それを断行するのが筋である。
 ところが、公務員の給与・ボーナス制度は実に硬直的。安倍晋三政権当時、消えた年金問題のけじめをつけるため、問題があった社会保険庁の職員の賞与をカットしようとしたら、そうしたカットについては、給与法(一般職の職員の給与に関する法律)の「19条の5」で、「懲戒免職」「禁固以上の刑」な ど、執行できる場合を限定列挙しており、結局実現できなかった。このため、効力のない自主返納しか打ち出せず、尻抜けになったのは、読者の記憶にも新しい ところだろう。
 にもかかわらず、麻生政権は先の公務員制度改革でも、こうした問題にメスを入れる方針を打ち出さず、同じ公務員である人事院に検討を委ねようとしているという。そこにあるのは、政策を作ってくれる官僚たちともたれあい、媚びるだけの指導力のない政治姿勢だけである。今回のような経済や景気の流れに逆らうかのように、公務員だけが“昇給”する施策が、幅広く国民の理解を得られるとは考えにくい。

◇ 経営責任を問わない資金注入で農中を救済するのか
 一方、25日の会期末を待たずに、12日にも成立すると見られている金融機能強化法も見逃せない問題を内包している。
 同法は、もともと国が地方金融機関などに公的資金を投入できることを定めたものだが、2004年の施行からの適用実績がわずか2件しかなく、今年3月には新規の申請を受け付ける期間が終了し、廃止に向かっていた。その背景には、欧米が迫られたような金融システム危機を回避するために公的資金を投入する枠組みは、我が国の場合、預金保険法や貯金保険法に規定があり、金融機能強化法が失効してもなんら支障がないという事情も存在していた。
 ところが、政府・自民党は今年秋になって、唐突に、同法の復活を目指した。貸し剥がしや貸し渋りに遭っている中小企業への資金供給を円滑にするというのが当時の名目。このため、中身の面で、公的資金投入の是非を決定する際に設けていた、財務内容の検証や経営責任の追及といった血税の浪費に歯止めを かけるための措置を削除した。つまり、本来ならば、破綻処理しかそぐわないケースでも「一律に拒まない」と公的資金の投入余地を作ったり、経営陣の辞任な どを求めないスキームの救済を可能としたのだ。
 10月後半には、農中を通じて各地の農業協同組合への資金投入に道を開くことや、投入できる資金の規模を当初想定していた規模の5倍に相当する10兆円に増やしたことが憶測を呼び、「農林中央金庫が債務超過に陥ったのではないか」との噂が永田町で駆け巡る事態も引き起こした。
 さらに10月22日(水曜日)の夜には、ある全国紙が同紙のホームページ上で、農中の経営危機を報じる記事を掲載し、約2時間後に消去する騒ぎも起きた。混乱は大きく、当の農中広報部に取材したところ「事実無根と抗議した」と憤っていたほどだった。
 債務超過と認定すべきかどうかとなると、政治的な判断もあろうが、農中がその後11月27日に発表した2008年9月中間期の業績は経常利益が前 年同期比で86・9%減の201億1300万円と悲惨な内容だった。しかも、資産内容はさらにひどく、純資産が2兆4473億円しかないのに、一般の証券 化商品を6兆8230億円保有し、その評価損が7584億円に達している。さらに、これ以外にも米政府が政府の管理下に置いた住宅金融公社2社などのモー ゲージ債を3兆4825億円も抱えている。
 農中は中間決算発表と同時に、1兆円を超える資本調達を行う方針を発表した。が、この調達先はほとんどが県信連や農協といった農中の系統機関に限定されている模様で、連結ベースで見れば、資本増強にはあたらないとの評価が一般的だ。
 このため、金融機能強化法で資本注入をするのは、農中ではないかとの噂はいまだに払拭されていない。同法の公的資金注入については、政府・与党だ けでなく、参議院民主党でも様々な議論があり、放漫経営の末、都民の税金を投入した新銀行東京や農中を救済対象から外すべきだとの議論が根強かった。しか し、修正が加えられたうえ、12日にも成立するとみられている同法では、農中は救済対象として存続する見通しだ。同法のこのお粗末な側面が放置されたのは、政府・与党の意向だけでなく、民主党も先の参議院選挙で勝因となった農中・農民票を失うことを恐れて筋論の主張を引っ込めてしまったことが響いている。
 また、政府・与党が、金融機能強化法のもうひとつの公的資金投入先として、地銀や信金を念頭に置いていることも重要だ。
 これらの地方金融機関に経営不振企業が多いのは事実。先の中間期決算をみても、宮崎銀行(111億円の赤字)、十八銀行(110億円の赤字)、八千代銀行(100億円の赤字)など30前後の地銀が連結純利益で赤字を記録した。
 問題は、こうした地方金融機関には、1990年代の不良債権処理すらきちんと償却せずに、処理の先送りを続けてきたとみられるところが多い点にある。
 今回、こうした地銀、信金に「予防的」に公的資金を注入して、中小企業への貸し渋り・貸し剥がしの解消に役立てるというが、いくら、経営責任を問わないと言っても、公的資金を受けるような金融機関にそれほど大きな融資の余力があるわけはない。しかも、真っ先に、貸し渋りや貸し剥がしの対象になるような企業は、融資先として極端にリスクが高いところが多いはず。
 血税を戻る見込みのない資本注入で大盤振る舞いすることなど、やってよいはずがない。麻生政権や与党は論外だが、そういう悪政を地方票や農業従事者票の欲しさから止めようとしなかった野党・民主党もおおいに批判されるべきではないだろうか。
なめられ過ぎだな。

火曜日, 12月 09, 2008

前空幕長更迭「本望ではないか」と会見のアパ代表

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読売新聞 2008年12月8日(月)22:58
  田母神 ( たもがみ ) 俊雄・前航空幕僚長(60)(先月定年退職)が昭和戦争などに関して政府見解に反する論文を投稿し、更迭された問題で、懸賞論文を募集したホテル・マンション経営「アパグループ」の元谷外志雄代表(65)が8日、東京都港区で記者会見を開いた。
 一連の問題が起きてからアパ側が会見を開いたのは初めて。
 会見は懸賞論文の授賞式に合わせて開かれた。元谷代表は、空自に対する論文投稿の働きかけはしていないと主張。
 前空幕長の論文が最優秀賞に選ばれた経緯についても、「審査委員全員が田母神氏の論文を評価した。私が主導したわけではない」と述べた。
 前空幕長の更迭については「職を 賭 ( と ) して書いており、本望ではないか。自衛隊にとって大切なことをした」と語り、「いつか大きく評価される時がくる」と擁護したが、政府の対応への言及は避けた。
 記者会見に先立つ授賞式で、前空幕長は賞状は受け取ったものの、賞金300万円は辞退したという。会見には元谷代表と審査委員の一部が出席し、前空幕長は姿を見せなかった。

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アパ代表「私の判断で賞あげてもいい」 田母神論文表彰(朝日新聞) 12月09日 01:29
田母神氏の応募、審査前から認識 アパ代表(朝日新聞) 12月01日 13:49
アパ代表のみ田母神氏に最高点 論文審査で(朝日新聞) 12月01日 03:05
空幕人事教育部長も投稿後押し 各部隊に懸賞論文の周知依頼(共同通信) 11月14日 19:10
田母神・前空幕長が指示否定「すれば1000人投稿」(朝日新聞) 11月11日 13:27

」
論文の要旨なんか問題じゃないんだけど....。 この要職にある人間が、妙な思想を持ってることを、公言して憚らないことが問題なんだ。 ついでに庶民感情だけで言えば、これだけの波紋を齎した張本人が、のうのうと国から「我が血税たる」退職金を受け取ってることが、癪に障って仕方がないだけだ。 賞金辞退は決して美談たり得ないし、それでも自説を曲げない態度は、国民に対する冒涜以外の何ものでもない。
「
田母神問題で思う、世界で通用しない保守派の内弁慶
ダイヤモンド・オンライン 2008年12月9日(火)08:40
 自衛隊元空幕長・田母神氏の書いた文章が世の中を騒がせていたが、今回この文章について初めて書いてみたい。しかし、その主張の内容の是非、及び文民統制 の問題は取り上げない。それらは、既に様々な識者が論じ尽くしているからではあるが、それ以上に、そもそも論じる価値がないからだ。
 田母神氏の文章には、彼の主張の根拠・理由となる参考資料・文献が一切明示されていない。つまり、田母神氏の主張は単なる思い付きだということだ。少なくと も、学問の世界ではそう看做される。たとえ、田母神氏が長年に渡って歴史を深く学んでいたとしても、それが文章上に示されていなければ意味がない。田母神 氏が私のゼミの学生で、この文章をレポートとして提出してきたら、私の採点は「不可」である。この文章は、大学の「レポート」にすらならない、ただの「作 文」なのだ。
 私はこの連載など、参考資料・文献を明示しない評論として書いた文章を「論文」とは呼ばない。それは研究者としての最低限の矜持である。田母神氏の文章を「論文」と呼ぶのは、我々研究者に対して失礼である。

◇ 保守派の「歴史認識」は世界の非常識となっている現実

 しかし、「田母神作文」は論じる価値がないが、田母神氏の傲慢な態度は少々気になる。それは典型的な「声高な主張をする保守派」の態度だからだ。私は英国 に住んでいた頃、保守派の主張の是非はともかく、その態度に違和感があった。なぜなら、今回の作文のような「歴史認識問題」について、保守派の「声高な主 張」と、欧米での認識が全く異なっていたからだ。
 「従軍慰安婦問題」を具体例として挙げる。「従軍慰安婦の徴用に官憲による誘拐といった強制性はなかった」「従軍慰安婦のほとんどは日本人の売春婦で植民 地出身者は少数でなかった」「従軍慰安婦が性奴隷であると主張しているのは中国・韓国の学者だけで、強制性がなかったのは世界の学者の常識」。これが保守 派の主張である。
 ところが、私が読んだ海外メディアではこんな風に報道されていた。「歴史学者達は、1930年から40年代にかけて朝 鮮半島と中国出身者が大部分の約20万人の女性がアジア全域の日本軍の売春宿において奉仕させられたと指摘している。多くの女性達は、自分たちが日本の部 隊に誘拐されて性的奴隷になることを強制されたと証言している」(ワシントン・ポスト)「歴史学者たちは、大部分が朝鮮半島と中国出身の少なくとも20万 人の女性が第二次世界大戦中に日本軍の売春宿で強制的に奉仕をさせられたと考えている」(BBCウェブサイト)「歴史学者たちは、大多数の中国や朝鮮半島 からの20万人の女性が2000箇所の慰安所で強制的に働かされたことを信じている」(ガーディアン)。
 つまり、世界の学者は「従軍慰安婦は性奴隷」と結論付けているというのであり、これは、保守派の主張と真逆なのだ。

◇ 海外の批判から逃げる保守派の怠慢

 私が問題視しているのは、保守派の主張そのものではない。正しい部分もあるとは考えている。政治学の研究者として、自分の研究の範囲内で日本人や 日本社会の性質を考えてみても、軍に一部の暴走があったとしても、大規模で組織的な誘拐というのは考え難い部分があるからだ。しかし、深刻な問題となって いるのは、そのような保守派の主張の是非以前のところにあるのだ。
 私は、保守派が日本国内で「声高な主張」を繰り広げる一方で、彼らの主張を外国に対してぶつけてみるという努力を全くやってこなかったことが問題 であると考える。例えば、一昨年の米議会での従軍慰安婦問題に対する謝罪決議の際、提案者のマイケル・ホンダ議員に対して日本の国会議員は誰も会いにいか なかった。ホンダ議員本人はともかくとして、せめて決議案を出している民主党に接触すればいいのに、自民党幹部が会いに行ったのは元々仲のいい共和党議員 だった。また、平沼赳夫氏らがワシントン・ポストに従軍慰安婦問題に対する保守派の主張を伝える広告を出したが、むしろホンダ議員の地元に近いロサンゼル ス・タイムスに広告を出すべきだった。
 つまり、保守派はこれまで外国の雑誌や新聞に論文を掲載することや、外国の政治家やマスコミを説得するなど、日本の理解者を増やす努力を怠ってい たのだ。いや、それだけではなく、保守派は海外の批判から目を背けて逃げ回ってきたとさえ言える。そのツケが噴出しているのだ。
 その結果、「従軍慰安婦は性奴隷であるというのが歴史学者の結論であり、世界の常識」となっている。保守派に対して「日本には一部、ヒトラーを肯 定するような主張をする者がいる」などと批判する海外メディアもあるのである。それに対して、保守派が「従軍慰安婦は性奴隷ではないというのが世界の常 識」という、ありもしないことを日本国内向けだけに声高に語り続けてきたことに対して、私は英国在住時代から違和感を持ってきたのだ。

◇ 「国際派保守派」の養成に取り組め

 私は保守派に1つ提案がある。それは、「国際派保守派の養成」に早急に取り組むことである。要は、英語で海外に対して保守派の主張を発することが できる人材を育成しないといけないということだが、重要なことは、政治家やジャーナリストレベルではダメだということだ。「田母神作文」のようなものを、 政治家やジャーナリストが中途半端な知識で適当に書いてしまっても、海外では全く相手にされない。「またヒトラーを肯定するようなことを言う奴が出てき た」と言われて無視されるだけである。
 だから、歴史学者のレベルで国際派保守派を要請しないといけないのだ。きちんとした資料を分析して、それを英語で論文にして発表し、世界中の歴史学者と議論して保守派の立場を理解してくれる仲間を増やしていくことができる人材を養成する必要がある。
 仮に保守派の主張にも一理あるとしても、それを世界に理解してもらうには50年はかかると私は考えている。それが現実であり、日本国内にしか通用しないで「声高な主張」をしても、なんの意味もないことを保守派はそろそろ自覚すべきなのだ。

」
中味に意味がない論文が、これだけ世を騒がせている現実が、この男を糾弾して然るべきとの声を、象徴的に示しているんじゃないの....?
任命責任云々なんて話も、そろそろ馬鹿馬鹿しくなってきてる。 とっとと懲戒免職にしちまえば良かったんだ!

土曜日, 12月 06, 2008

一時しのぎの雇用対策 産業界、助成・奨励金の効果疑問視

「
産経新聞2008年12月6日(土)08:05
 総額2兆円に上る与党の雇用対策案が5日、麻生太郎首相に提出された。派遣社員の正社員化に対する助成金の支給などが柱だが、一過性の助成金や奨励金が 民間企業の雇用拡大につながる見込みは少ない。金融危機の拡大に伴う景況感の悪化で、産業界の現場からは「受注減で仕事そのものがない」など、深刻な声が 上がっており、目先のばらまきよりも抜本的な景気刺激策の実現が不可欠だ。(内田博文)

 与党案に盛り込まれた非正規社員の正社員化に対する助成金支給をめぐっては、今月1日に麻生首相が、日本経団連の御手洗冨士夫会長、日本商工会議所の岡村正会頭を官邸に呼び、雇用対策を要請した際にも「(就職氷河期の)若者の雇用支援で、政府も補助金を出すので正社員
化をしてほしい」と強調している。
 だが、その際にも御手洗会長は「経済界も雇用維持に努めるが、景気回復が何よりの対策だとお願いした」と語っており、一層の景気対策を求める産業界とはかみ合っていない。
 実際に、日本商工会議所が行う早期景気観測調査(11月分)では、「雇用の不足」との回答割合から「雇用の過剰」との回答割合を引いた雇用DIはマイナ ス10・8と、就職氷河期だった平成15年に匹敵する水準。特に規模の小さい中小企業からは「雇用どころか受注減で仕事そのものがない」(建設業)との声 があがっている。
 それだけに「一時的な助成金の見返りに、正社員化による長期的なコスト増を負うのは難しい」(大手メーカー)、「払い切りではなく、継続的に助成が出るような制度でないと厳しい」(家電労組)のが産業界の本音だ。
 自動車業界で非正規従業員の解雇が、金融危機が始まった9月以降で1万人を超えるなど、既に多数の失職者が生じている一方、対策案の財源となる一般会計分の1500億円は、来年の通常国会に提出される第2次補正予算案で計上される予定。「雇い止めで年を越せない人もおり、一刻も早い実施が不可欠」と、政府・与党のスピード感を疑問視する声もある。
 JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「製造業を中心に戦後最大の減産が進んでおり、雇用情勢は年末から来年1~3月期にかけて急速に悪化する」とした上で、「与党の対策案は痛み止めに過ぎず、どれだけの効果があるかは疑問だ」としている。

 ≪与党の雇用対策案ポイント≫
 一、雇用安定に向けた対策を3年間実施、保険2事業で1兆円、一般財源で1兆円の計2兆円規模を確保
 一、中小企業が派遣社員を正社員として雇えば1人当たり100万円、有期雇用なら50万円支給。大企業は半額
 一、雇用保険の非正規労働者の適用基準を「6カ月以上の雇用見込み」に緩和。再就職が困難な場合の給付日数を特例的に60日分延長
 一、失業した非正規労働者や中高年者を対象に、自治体が一時的な就業機会を創出
 一、「ふるさと雇用再生特別交付金」を実施、安定的な雇用機会創出
 一、内定を取り消された学生を採用した企業に特別奨励金を支給

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」
「「派遣切り」は止められるのか~雇用不安の深層を湯浅誠氏(NPO自立生活サポートセンター・もやい事務局長)に聞く
ダイヤモンド・オンライン 2008年12月4日(木)10:50
 「派遣切り」という言葉が、頻繁にメデイアに登場する。新入社員の内定取り消しが、後を絶たない。雇用不安の深層を、湯浅誠氏に聞いた。NPO自立生活サポー トセンター・もやい事務局長として生活困窮者を支援しつつ、雇用問題に積極的発言を続ける湯浅氏は、「非正社員と正社員の労働条件の切り下げ競争が進んで いる」と指摘する。

―1990年代半ば以降、経済の低迷が長期化し、コスト削減圧力が高まる中で、企業は雇用形態の多様化を進め、パート、派遣、業務請負と非正規社員の雇用を拡大してきた。今、景気後退に直面し、非正規社員の雇用不安が非常に高まっている。

 経営者の本音は、こうした不況期のために非正規社員を増やしてきたということだろう。今も10年前も、非正規社員が雇用の調整弁に使われることに違いはない。

 だが、今と10年前とでは、仕事を失った人々が受けるダメージがまったく違う。今は、生活ができなくなってしまう人が増えている。

―この10年間に、何が変化したのか。

  非正規社員は、例えば、地元に帰れば親がいる、季節限定の出稼ぎで生活基盤は別にある、主婦のパートには十分な収入のある夫がいる、つまり、仕事を失って も、苦しくはなるだろうが生活はできる人々だ、と説明されてきた。その一方で、正社員は職場で重要な役割を果たし、家族を養う重責を担う、だから雇用は守 らなければならない――これが経営者の論理だった。
  だが、この10年間でわかったことは、いわゆるワーキングプアが非正規社員のなかに混じっていることだ。帰る親元などなく、住居を持たず、さまざまな理由から仕事を奪われたら即座に生活できなくなってしまう人々だ。彼等が増えてから、今回が初めての不況だ。

―だが、景気後退に対応するために、経営者は非正規社員の雇用に手をつけることに躊躇しないだろう。

 派遣切りの実態は、凄まじい。今日相談に来た派遣労働者は神奈川県の自動車部品工場で働いていたが、80人の派遣社員の9割が契約を打ち切られたそうだ。
 ここで重要なのは、正規社員がこの事態をどう考えるかだ。先ほど述べた非正規社員と正規社員に対する経営者の論理を、正規社員もこれまでは受け入れてきた。

―その経営者の論理は正規社員の雇用を守るためなのだから、受け入れるのは当然なのではないか。実際、 1990年代半ばからの10年間は、産業界は、正規社員の雇用を守るために新規採用を控え、ロストゼネレーション(ロスジェネ)と呼ばれる大量の若年層非 正規社員が生まれた。

 その結果、正規社員と公務員は既得権益にしがみつく悪のごとき存在とされ、社会的批判を浴びる
ようになった。とりわけ、ロスジェネたちの怨念は根深いものがある。世代間の対立は、社会に暗い影を投げかける。
 そして、雇用は守られたとしても、労働環境は劣化している。正規社員が減ったことで職場での責任が増し、労働量は増え、非正規社員のマネジメントの難しさに苦しんでいる。精神的不安定さが増す一方で、労働分配率は抑えられ、収入はいっこうに増えない。
 正社員が、政府と会社の雇用政策に守られていると信じてきたら、知らない間に労働条件が悪化していたのだ。

―正社員と非正規社員が対立し、墓穴を掘っているということか。

 そうだ。より重要な問題は、その正社員の労働条件の悪化が、非正規社員の労働条件のさらなる引き下げに利用されていることだ。
 「正社員もこれだけ厳しいのだから、非正規社員の雇用条件が下がるのは仕方がない」――こうした説明が繰り返され、あたかも切り下げ競争のようだ。 正社員が疑いもなく経営者に同調し、自分たちは勝ち組であり非正規社員を負け組として突き放すことは、結果的に自らの足元を切り崩すことになる。それが、 この10年間の教訓だ。そこを正社員に理解してほしい。

―連合はこの問題に気がつき、非正規社員の雇用問題にも取り組んでいる。

 そのはずだったが、連合の春闘方針(ミニマム運動課題)には正規社員のベースアップから始まって、パートの賃上げまでは入っているが、「派遣切 り」問題には触れていない。「派遣切り」が最も激しい自動車業界でも、自動車総連が記者会見を行ったというような話は聞かない。ここにきて、巨大労組が自 分たちの利益だけを考え、正社員クラブから一歩も出
ないとしたら、問題だと思う。

―彼らは、どんな声を上げるべきか。

 労組は春闘で、現在は景気が後退して業績が悪化していても、この5年間増収増益を続けた結果厚くなった内部留保からベースアップ原資を確保せよ、 という主張をするだろう。いったい何のために好況時に内部留保を厚くするのか、と迫るのだろう。その時、「派遣切り反対」と言うべきだ。
 一方、経営者は、非正規社員が失業することが社会不安につながることを認識すべきだ。いうまでもなく、企業も社会の一員であり、社会不安の高まりは自らに跳ね返る。

―だが、経営者はコストを抑え、国際競争力を維持しなければならない。経営者側に立って考えれば、正社員の 雇用、賃金体系を守らねばならないから、非正規社員にしわ寄せせざるを得ないのではないか。この問題を解決するために、労働法制度を改革して、正社員の労 働条件を変更できる権限を与える。例えば、正社員の賃金体系を下げ、非正規社員のそれを上げ、同一労働同一賃金という公平さを保つ。現実に、経済産業省や 連合が、経済学者、法学者を交え議論を進めている。

 その議論を進めるには、ある条件が欠かせない。賃金体系を変えるなら、支出体系を先に変える必要があるということだ。
 ある一つの賃金体系にさやよせしていくのだとすれば、非正規社員にとっては賃上げになるが、正規社員にとっては賃下げになる。基本給的賃金カーブはいまだに年功型が多いから、賃下げはとりわけ40代にきつくなる。
 年功型賃金が維持されてきたのには、それなりの理由がある。30代、40代になるにしたがって生活支
出が拡大するからだ。そもそも年収が 400~800万円の大多数を占める正社員は、さまざまな家計支出に追われ余裕がない。社会保障費の負担は重く、今後も増え続ける。いくら非正社員の雇用 を維持し、賃金水準を近づけるためでも、この支出を切り下げないまま賃金体系を切り下げれば、生活はたちまち苦しくなる。政府はまず、財政・税制を総合的 に見直して、社会保障費などの負担を下げることが労働法制度改革の必須条件だ。

―厚労省は、来年3月まで3万人の非正規社員の失業者が出ると発表した。政府は、非正規社員への雇用(失業)保険の適用基準を緩和することを検討している。

 これまで政府は、雇用保険をどんどん受けにくくしてきた。適用審査が厳しく、今や、10人に2人しか給付されない。だから、失業するとすぐさま生活に詰まってしまうのだ。
 給付を絞り込む一方で、雇用保険財政は5兆円もの余剰になっていて、緊急経済対策の一環として、労使折半で総賃金の1.2%の雇用保険料率を最大 0.4%引き下げようとしている。にもかかわらず、社会保険費2200億円抑制の財源として、国庫負担金を全廃しようとしている。なんとも矛盾する、付け 焼刃の政策だ。
 非正規社員の雇用保険対象化や住宅困難者対策について、政府は確かに言及している。だが、言及するだけでなかなか具体策が出ないし、現状の検証もおざなりだ。そもそも、第二次補正予算も組めない政府が、頼りになるだろうか。 

 雇用不安を深刻化させないために、世論の後押しがほしい。

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湯浅誠(ゆあさ まこと)
1969年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得後中退。在学中から養護施設ボランティア、 ホームレス支援、イラク復興支援などにかかわり、現代日本の貧困問題を現場から訴え続ける。現在、NPO自立生活サポートセンター・もやい事務局長ほか。 著書に『貧困襲来』、『反貧困』。
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」
大問題だって認識あんのかね、政府は?
こっちはパフォーマンスとしても....
「
ネットカフェを視察=雇用対策で与野党協議も-民主・菅氏
時事通信2008年12月4日(木)20:30
 民主党の菅直人代表代行は4日、埼玉県蕨市内のインターネットカフェを訪れ、店内に寝泊まりする「ネットカフェ難民」の現状を視察した。雇用対策を重視する同党の姿勢をアピールするのが狙い。
 菅氏は約40分かけて店内を見て回り、個室の中で実際に横になったり、派遣会社に登録しているという40代の男性客に「ここはもう長いんですか」などと話し掛けたりしていた。
 この後の記者会見で、菅氏は雇用対策に関して「命にかかわる緊急対策は、政府・与党も変なメンツを捨てて、国民に対する責任として対応してほしい」と強調、政府・与党から呼び掛けがあれば政策協議にも応じる考えを示した。

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」

日曜日, 11月 30, 2008

竹中氏、日本が落ちぶれた理由は....

「竹中平蔵 特別インタビュー
ダイヤモンド・オンライン 2008年11月22日(土)09:15
◇ 「麻生政権は評価できないほど無茶苦茶」

竹中平蔵・慶應義塾大学教授を中心とした改革派エコノミストの集団である「チーム・ポリシーウォッチ」は、2年前から活動を行っているが、改革の後退、政策 の偏向、それに伴う経済の悪化という現実を踏まえ、サイトを全面的にリニューアルして情報提供を強化した。そこで今回はポリシーウォッチの代表であり筆者 の元上司でもある竹中教授に、今の日本について率直に語ってもらった。正しい現状認識のための一助としてお読みいただければ幸いである(聞き手・岸博 幸)。


―日本経済の現状をどう見ていますか?
  日本経済は明らかにすごく悪くなっている。政府の調査の中で、経済の実態判断のために一番信頼できるのは景気ウォッチャー調査であるが、11月に公表され た最新の結果は、同調査の開始以来最も悪い数字になっている。これが事態の深刻さを表しているのではないか。日本経済は土砂降りに近い状況になっている。

―そこまでの危機感があるかは別にして、麻生政権は経済対策を発表しています。特に定額給付金については様々な批判が巻き起こっていますが、どう評価していますか?
  政策論の観点から考えると、ワイドショー的な次元以外でも問題が多いことが分かる。第一に、そもそもこの話は減税から始まった。税金を払っている人を対象 に、税金を安くするということである。それが、いつどのような理屈で定額の給付金に変わったのかについて全く説明がない。
 第二に、そもそも
定額給付金はマクロ経済政策なのか、貧困対策なのか。その意味付けによって政策の実行方法も変わってくるはずなのに、政策としての性格についての説明が全然ない。
また、もしマクロ経済対策を意識している場合、以前の地域振興券で配った金額の1/3しか消費に回らなかったという教訓をどう活かし、どう変えようとして いるのか。この点についても説明が全然ない。政策としてのそもそも論について何も説明がなされてないのは最大の問題である。
 第三に、どう実施するかという制度・体制の問題がある。地方に色んなことが丸投げされ、高額所得者への給付の是非が問題になっているが、マクロ経 済対策であるにせよ、貧困者に対する所得再配分の政策であるにせよ、どちらにしても国の政策である。国の政策である以上、国が制度設計しなくてはならな い。それを地方分権だから地方に任せるというのであるならば、財源2兆円そのものを税源移譲して地方に使い方は任せる方が、よっぽど筋が通っている。  ついでに言えば、この財源をどこから確保するのか。たぶん一部なりとも埋蔵金を使うはずである。としたら、経済財政政策担当大臣はこの前まで「埋蔵金はない」と言っていたのだから、どこで変わったのか、あるとすれば幾らあるのか、全て説明する責任があるのではないか。

―定額給付金の話
を離れて、麻生政権の経済対策についてはどのように評価しているのでしょうか?
 政策を作る際は、“what is the problem”(何が問題なのか)をまず明確にしなければならない。なぜ景気が悪いのか。一時的な理由で需要が不足しているのか、それ以外の理由があるのか。その“what is the problem”が見えない。
 今の景気悪化の要因は3つある。第一に、改革が止まって成長期待が低下し、消費と投資が下方修正される過程で不況になり、経済に勢いがなくなって いる。第二にコンプラ不況。政府のとんでもない規制で民間を縛り始めた。第三に金融がまた悪くなってきた。これが”problem”であり、それに対応し た”solution”があるべきなのに、”problem”が明確でないから思いつきの政策になっている。
 本来はこれら3つの問題に対応する対策を講じなければならない。改革については、羽田空港拡張などのナショナルプロジェクトを実施すべきである。 コンプラ不況への対応のため、消費者庁を設立するならばその中に規制見直しのための部署を作るべきである。金融については、銀行の預貸率引き上げを金融政 策、銀行行政の目的にすべきである。この3つの政策をやれば景気の状況は変わる。2兆円の定額給付金など止めて羽田拡張など別のところに使うべきだ。―それでは、麻生政権をどう評価していますか?
 評価できない位に無茶苦茶であり、評価しようがない。“problem”も“solution”もなくて、それについてのaccountability(説明)もないのだから、
よく国会もメディアも状況を放置しているなという気がする。
 2005年の総選挙のとき、当時の小泉政権は構造改革をすると言った。しかし、今は改革しない政権なのだから、本来はそれで良いのかを国民に聞く べきである。それが民主主義の大前提ではないか。総理が何人続いているからというのではなく、前の選挙のときとは違う政策をやっているんだから、選挙で問 うべき。これが本質的な問題ではないか。

―3年後の日本はどうなっていると思いますか?
 そのときのリーダー次第ではないだろうか。それは、国民というのはリーダー次第だと思うからだ。
 よく“政治家は国民の声を聞かないといけない”と言われるが、それは違う。国民はリーダーによって変わる。国民は、“それはこうじゃないか”とい うリーダーが出てくることで変わるのである。小泉政権誕生のときを思い出してほしい。2001年の時点で国民が急に変わったのではなく、小泉総理という ちゃんとしたことを言うリーダーが出て来た。ちゃんとしたこと言う総理が出れば、国民は理解力があるから、“ああ、そうだな”ということになる。
 国民はすごく実利的だと思う。“この人はばらまいてくれそうだ”というリーダーが現れると、みんな手を出す。逆に、“この人は絶対ばらまいてくれない、厳しい”と思う人がリーダーになると、自分でしっかりやるようになる。それが民主主義における国民ではないだろうか。
ダイヤモンド・オンライン 2008年11月29日(土)09:15
◇ 「日本が落ちぶれた本当の理由を語ろう」【岸博幸コラム】

前回に 続き、竹中平蔵・慶應義塾大学教授へのインタビューをお届けする。今回のテーマは、低下し続ける世界の中の日本の存在感。竹中教授は、政治の迷走もさるこ とながら、日本人一人一人の力が落ちてきていると警鐘を鳴らす。今回は、前回以上に公の場で言わないような発言がたくさんあるので、是非ご一読されたい (聞き手・岸博幸)。

―竹中教授は様々な国際会議で世界のリーダー達と意見交換していますが、金融危機を経て、彼らの最大の問題意識は何だと感じていますか。
 何層もあると思うが、最大の問題意識は、新たな世界の秩序をどう作っていくかということではないだろうか。
 G20などの場でも議論されるが、今の国際機関や国の枠組みでは限界が来ている。自分の国に有利になる形に持って行きながら、どのような世界秩序を確立できるか。それを5年、10年かけてやっていくというのが、一番高いレベルでのリーダーの関心事だと思う。
 次にリーダー達の関心事となっているのは、世界が進まなくてはならない方向と国内のポピュリズムの間での対立の激化である。
 どの国も、グローバル化の中で競争力を発揮して勝てるようにしようと努力している。その結果として国内で保護を受けている人々の既得権益が浸食される場合、ある程度ポピュリスト的な対応を取らないと政権が生き残れない。
 このような構図の下で、頑張っている政権ほど国内的には苦しい。例えば、サルコジが“強いフランスを作る”と言って頑張ると国内の人気ががーっと下がった。世界のリーダー達はそうした葛藤と困難に直面している。

―世界のリーダー達の間で、日本は存在感を発揮できているのでしょうか。
 はっきり言って、世界のリーダーの間で日本の存在感はすごく乏しい。日本が何をやろうとしているのかよく見えないのだから、当然だ。小泉政権が終わってから、日本はこういう方向に向かっているというメッセージがなくなった。
 加えて、改革が大きく後退して経済も悪くなっているので、経済が強いという意味での存在感もなくなった。実際に、今年の日本の株価の下落率は米国より大きい。この二つの意味で、日本の存在感はなくなってきた。
 ロンドンのエコノミスト誌が“Japain”――Japan(日本)とPain(痛み)を一緒にした造語――という日本批判の記事を出したのも、一体日本はどうするつもりだ、GDP世界第2位なのだからちゃんとやれよ、という世界からの厳しいメッセージだったと思う。

―なぜ日本はそこまで落ちぶれてしまったのでしょうか。
 日本の国益は何かという議論がしっかりと行われていないからだ。国会でもそうした議論は一切ない。麻生総理は、“不良債権処理の経験を教えてやる とかピントのずれたことを言ってG20に行ったが、そもそも日本としてG20の場で何を確保したいのか、どう持って行きたいかが全く見えない。
 アジアの中での日本の影響力を確保することを狙って、アジアワイドでの新たな組織を作るといったことを提案の軸にすべきだった。日本は、米国や欧州とは違う第三の途を行くことが大事である。

―来年1月にダボス会議が開催され、そこで世界レベルでの来年のアジェンダが設定されるでしょうが、ダボス会議のメインテーマはどうなると思いますか。
 おそらく3つのテーマが同時に出てくるのではないだろうか。第一に、金融の混乱をどうするのか。
 第二に、マクロ経済が悪くなり世界不況になっているから、不況対策をどうするのかというかなり具体的な話。
 第三に、金融を中心とした世界のシステムそのものが制度疲労を起こしていることから、新たな制度設計をどうやっていくのかという中長期課題も議論 されなければならない。この3つのどれが突出するというのではなく、3つのテーマが同時に議論されていかざるを得ないのではないか。

―それでは、今の日本の一番本質的な問題点は何だと思いますか。
 日本人一人一人の力が落ちているということである。力が落ちているからこそ、非常に安易に国に頼るグループがたくさん出て来る。政治家もパワーが 落ちているから。安易にポピュリズムに走る。そして、それをチェックすべきメディアや評論家も力が落ちていて、ちゃんと機能していない。その意味で、今は 福沢諭吉が百何十年前に言ったことがまさに問われているのではないだろうか。

―個人の力が落ちているというのは間違いない事実だと思います。その一方で、本当に先が見えない世の中になっている。そうした中で、一人一人の個人はどうすべきなのでしょうか。
 『学問のすすめ』という本を福沢諭吉が書いたが、明治維新の当時、国民の1割がこの本を読んだ。今で言うと1千万人が読んだのであり、これはすごいことだ。明治の頃を見習って、国民一人一人が自分のエンパワーメントをしようと決意して頑張るしかない。
 ところが、そのためには勉強が必要になるが、日本では勉強という概念そのものが歪んでいる。受験勉強が勉強と思われていて、受験勉強できた人が勉 強できると思われてしまっている。しかし、受験勉強などまったく関係ない。受験勉強ができたのに社会で役に立たない人は一杯いる。逆に、受験勉強につまず いたので自分は勉強できないと思ってしまっている人もたくさんいるが、そんなことははまったくない。自分の著書『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)では そういうことを伝えたかった。

―ところで、竹中先生のスケジュールを見ていると、凄まじく多忙な仕事漬けの毎日を過ごしていますが、何か日々の楽しみとか生き甲斐ってあるんでしょうか。
 これは自分の信念だが、日本はもっと良い国になれる。色んなところに行って色んな人と話していて、つくづくそう感じている。先日も八丈島に行って 中学生に講演したところ、子ども達がすごく熱心だっただけでなく、学校が知らせてもいないのに島の大人たちもたくさん聞きに来てくれた。
 日本人は捨てたもんじゃない。日本も必ず良くなれるし、そうなってほしい、自分も頑張って、経済学者としてそれに貢献していきたいと日々思っているんだ。

*最後にひとつ。麻生総理が先週、郵政民営化の見直しをほのめかす発言をしました。前回の衆議院選挙は郵政民営化が争点で、国民がそれに賛成して自民党が大勝したことを考えると、論外の発言です。この発言について、ポリシーウォッチのメンバーが厳しいコメントをたくさん出しているので、是非ポリシーウォッチでご覧いただければと思います(岸博幸)。

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」
コイツも好き勝手言うよな....。

木曜日, 11月 27, 2008

第二次補正予算案を先送りする日本が、世界から見捨てられる日【週刊 上杉隆】

「
ダイヤモンド・オンライン2008年11月27日(木)12:20
 おととい(11月24日)、英国政府は、景気刺激策として、VAT(付加価値税)の減税を発表した。総額200億ポンド(約2兆9000億円)、深刻な金融危機を受けて、英国経済を下支えするのが狙いだ。
 VAT(Value Added Tax)は日本の消費税に相当する。内容は、現行の17.5%から15%に税率を下げるというものだけあって、先月の銀行への公的資金注入と同様、国民からの反応は概ね良好だ。

 特筆すべきは、こうした政策の発表に当たって、首相自らが直接国民に訴えかける手法を用いていることだ。
 前日(23日)、ブラウン首相は、英大衆紙「ニュース・オブ・ザ・ワールド」に寄稿して、事前に減税案を示している。
〈必要とあらば、手を差し伸べる〉(”I'll give help when you need it”)
 こう題された手記は、低所得者層に向けて直接訴えかけるものとして、あえてタブロイド紙が選ばれたという背景がある。

「現在、家計で困難に直面しているすべての世帯に対して、私たちは手を差し伸べる用意があります。そして、政府はつねに皆さんの味方であることをわかってほしい」
 こうした発表方法は、日本では考えられないことだ。これは、政府のメディア戦術の一環であり、前政権のスピンドクター、アラステア・キャンベルがタブロイド紙の記者であったように、英政府の常套手段なのである。

 さて、話を戻そう。ブラウン首相は、24日の記者会見の中で、過去の日本の金融対策を引き合いに出し、名指しでこう批判している。
「わが英国は、日本のような悪い手本と同じ轍を踏んではならない。時間はない。少しの猶予もないのだ」
 ニューヨークでの金融サミットを終えて、参加各国は、早速、「内需拡大」に励んでいる。
 各々の国が、国内の景気を刺激すれば、それが全世界的な不況の“止血”となり、未曾有の金融危機を救う“国際協調路線”となりうる、これがサミットでの“合意”事項のひとつだ。つまり英国はその先頭を切ったというわけだ。


◇ オバマ氏をはじめ景気対策を急ぐ海外首脳たち
 同じ日(24日)、大西洋を隔てた米国でも、バラク・オバマ次期大統領が、新しい経済チームのメンバーを発表した。就任まで約2ヵ月、この時期の閣僚名簿発表は“歴史的な早さ”(CNN)である。
 その背景には、金融危機を引き起こした米国の焦りと、正式な政権移行まで待っていては、米国経済が本当に沈没してしまうという危機感があるのは想像に難くない。
 焦点の財務長官には、ニューヨーク連邦準備銀行のティモシー・ガイトナー総裁が起用され、国家経済会議(NEC)委員長にはガイトナーのかつてのボスでもあったローレンス・サマーズ元財務長官の就任が決まった。
 ふたりは共にクリントン政権時代のルービン財務長官の“愛弟子”でもあり、当時の好況を思い起こさせる心理的な戦略も見え隠れする。だが、経済政策自体は当時とまったく逆になると見られている。
 オバマ氏の“経済チーム”は、早速、大規模な雇用創出などを含む「経済再生計画」(新ニューディール政策)を発表した。オバマ氏自身も、景気回復には「1分の猶予もない」と述べて、さらなる追加対策を匂わせている。
 このように、金融サミット後、各国首脳は何かに追われるように、国内の景気対策を急いでいる。すでに中国は、サミット直前、総額4兆元(約57兆1360億円)の史上最大規模の景気対策を発表して、世界中から好評を得ていた。
 こうした中、なぜか日本だけが違う方向を向いている。それは、きのう(11月25日)はっきりとわかった。
 記者会見の中で、麻生首相は、第二次補正予算案の年度内提出を行わないことを明言したのだ。
 これには野党・民主党のみならず、自民党内からも批判の声が上がった。
 中川秀直元幹事長、塩崎恭久元官房長官、山本一太元外務副大臣などの“改革派”が、公然と麻生首相を批判し、それは党内抗争に発展する気配すらみせている。
 とくに山本議員は、自民党総務会のヒラバで麻生総裁を追及し、二次補正予算の提出を迫った。総務会での突き上げといえば、福田政権時の末期、また森政権時の最後を彷彿とさせる。

◇ 「政局よりも政策」では無かったのか?
 そもそも、「政局より政策」といって、追加の景気対策を優先するため、総選挙は見送ると断言したのは麻生首相ではないか。

 国際的な金融危機への対応こそが、日本に求められた責務だとして、金融サミットの成果を誇ったのは麻生首相自身ではないか。
 また、10月末の記者会見で、景気対策こそすべてに優先し、そのポイントは「スピードだ」と明言したのは他ならぬ麻生首相本人ではないか。
 金融サミットに出席したはずの麻生首相、いったい彼は何をしにニューヨークまで行ったのだろうか。

 得意の英語で、世界的な“合意”を確認してきたはずだが、どうも通じていないようだ。

 そもそもサミット直後、日本のメディアは「麻生首相、存在感示す」(読売新聞)と書いた。だが、筆者はいったいどこにそうした「存在感」を示したのか、ずっと疑問を抱いていた。(前回コラム参照)

 だが、今になってようやく氷解した。世界的な金融危機に直面して、共同歩調をとっている各国政府、その動きに逆行することで、麻生首相は日本の「存在感」を示していたのだ。


 世界が日本を見捨てないことを祈る。


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」
強烈な皮肉だけど、坊ちゃんにとっちゃ、馬耳東風ってトコなんじゃないかな。 とは言え、日本にとってこの危機感は、100年に1度の経済危機を超えちゃった気がする....。

水曜日, 11月 26, 2008

“バラマキ”日本とは大違い 独の“骨太”経済対策の中身

「
ダイヤモンド・オンライン2008年11月26日(水)09:15
 まさに日本とは好対照である。11月5日、ドイツは総額500億ユーロ(約6兆1000億円)規模の追加経済対策を打ち出した。
 メルケル首相は、この対策を「骨太で目標をはっきりさせたもの」であり、「不自然な需要刺激策とは一線を画する」と強調した。
 中身を見ると、中小企業への貸し渋り対策など日本と共通する項目もあるが、投資促進や省エネ・環境問題に関連する施策が目につく。
たとえば、企業に短期間での減価償却を可能とする税制改正、建物のエネルギー効率向上への支援、新車購入での税免除(環境性能の高い車種はより優遇)などだ。
  このような内容となったのは、「“藁の火のようにパッと火がついて消える”ような短期的な景気刺激策には、産業界が強く抵抗している」(ジェトロ・デュッ セルドルフの小谷哲也氏)ことも背景にある。技能の低い労働者の再教育支援も挙げられているが、「これもドイツが長らく抱える課題の一つ」(同氏)だ。

 他方、わが国の追加経済対策は、“目的が不明瞭”“選挙対策のバラマキ”と批判を浴びている。
「“ 思想”を持った政策であるか否かが、最大の違いだ」。元経済諮問会議員の八代尚宏・国際基督教大学教授は指摘する。「経済対策は“長期的な課題をこの機に やる”ものであるべきだ。各国の経済対策は、国際協調の一方で、いかに自国の成長力を高めるかという政策競争の面もある。日本はそれがまったく見えな い」。
 ドイツでも、専門家のなかには「規模が小さ過ぎる」などと今回の対策の効果を疑問視する声は少なくない。だが、国民の支持率は高い。11月7日に発表された世論調査では、68%がその内容に賛意を示している。

 対して日本では、生活支援定額給付金を「評価する」は31%、追加経済対策全体でも同37%(共同通信社の世論調査:11月8~9日)。差を生んだのは、“思想の有無”にほかならない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 河野拓郎 )

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やはり「ポリシー」の問題なんだと思う。 坊ちゃんの言うことには、中身がないのだ。 ブレインの差もあるだろうが、延いては、坊ちゃんに染み付いた「軽さ」が、国民の信頼を勝ち得ない最大の理由だと、断言したくもなる。 彼の中に、強力なリーダーシップは、どうしても見出せない。 規模の大きい/小さいの話ではない。 これまでの彼の発言の中に、「こうすれば、景気は良くなるんだ!まずはこれを成し遂げるんだ!」といった、国民を引っ張る魅力がないのだ。
衆院選挙を、国民投票に転じた元首相を賞賛するつもりはないが、少なくとも彼の中には、「俺はこうしたいんだ!」が常に見え隠れしていた。 かつて自民総裁の中に、派閥力学に拠らず、議員一人ひとりの清廉潔白さを第一の基準に、大臣の人選に当たることが出来る人物がいただろうか? 尤も以前は、そんな考え方自体が不要だったのだから仕方がないが、少なくとも、状況が以前と異なるにも関わらず、元に戻ってしまった自民党を、まとめる力のない人間に、日本国を治める資質があるとは思えない。

土曜日, 11月 22, 2008

内閣人事局、来年度見送り=各省抵抗し調整付かず

「
時事通信 2008年11月22日(土)16:30

 政府は22日までに、各府省の幹部人事を一元管理する「内閣人事局」について、これまで目指してきた2009年度の設置を見送る方針を固めた。有識者らで構成する国家公務員制度改革推進本部顧問会議がまとめた報告書は、人事院や財務、総務両省などの人事担当部門の一部を人事局に移管するよう求めているが、役所側が抵抗しているため、年末の予算編成までに制度設計の結論を得ることは困難と判断した。

 政府は、設置先送りで公務員制度改革が後退したとの見方が広がることを懸念。改革全体のスケジュールを示す「工程表」を08年度末にも策定し、08年から五年間としてきた改革期間を四年間に短縮する方針だ。

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公務員制度改革なんぞが、未だ続いていたなんて、この記事を見るまで知らなかった。 
今更ながら、追ってみることにした。

「 内閣人事局への移管、13部局が拒否 公務員制度改革

朝日新聞2008年11月12日(水)20:26

 国家公務員の幹部人事を一元管理する内閣人事局について、制度設計を担う有識者会議の作業部会が12日、現在人事や給与を担当している14部局か ら聴取した結果、12部局が移管に明確に反対し、1部局が難色を示した。「問題ない」としたのは総務省人事・恩給局だけだった。

 反対の理 由は「公務員の労働基本権が制約されている代償措置として、中立第三者機関が設けられている」(人事院)、「国庫大臣の機能は一元化しておく必要があ る」(財務省主計局)など。「各省庁が責任をもってやることが一番だ」と人事局の意義そのものを否定する声も上がった。

 14日にも有識者会議がまとめる報告を受けて、政府は内閣人事局の設置法案の検討に入るが、省庁の反発で法案作成が難航する可能性もある。

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」

「「内閣人事局」の論点整理要旨

 国家公務員制度改革推進本部のワーキンググループが14日まとめた「内閣人事局」の組織に関する論点整理の要旨は次の通り。

 【基本的な役割】
 内閣人事局は、国家公務員の人事管理に関する企画立案機能と制度の改善・改革を担うこととし、制度の運用は各府省が、検証は各府省や内閣人事局が行う。

 【内閣人事局への機能移管】
 〔人事院〕試験、任免、給与、研修の企画立案機能は人事局に移管する。試験、研修の運用は人事局が担うが、民間や人事院へ委託できる。分限、懲戒処分については基本的な企画立案機能を移管する。
 〔総務省〕人事・恩給局のうち人事行政に関する機能を人事局に移管する。行政管理局は、移管すべきだとする意見と移管すべきでないとの意見が出た。
 〔財務省〕主計局のうち給与にかかわる予算の機能について、総人件費の枠内の各府省への配分は人事局に移管する。

 【組織の在り方】
 内閣人事局のトップは特別職とし、高い識見を備えた人材を行政機関の内外から確保する。スタッフは民間から積極的に採用する。(了)
(2008/11/14-21:51 時事通信社)
」

閣僚が官僚に骨抜きにされたってこってしょ?
これ、分かり易い

「いよいよ天王山迎える公務員改革甘利大臣を追い込む官僚の権謀術数 【町田徹コラム】

ダイヤモンド・オンライン 2008年10月31日(金)10:45

 形ばかりの改革で終わるのか、それとも抜本策に踏み込めるのか――。

 安倍晋三内閣からの懸案となっている公務員制度改革が11月半ばにかけて、最大の山場を迎える。

 改革の目玉として新設することになっている「内閣人事局」について、甘利明公務員制度改革担当大臣が予想に反し、抜本改革を目指して中身まで踏み 込んだ制度設計を志向しているのに対し、抵抗勢力と呼ばれる官邸官僚たちが「(甘利大臣は)問題を先送りするつもりのようだ」との情報をメディアに流して かく乱しているという。

 このまま官僚ペースで進めば、内閣人事局は、改革とは名ばかりの存在に成り下がる。中身を決めずに官僚任せにするということが、「現在、総務省にある2局を分離・独立させて、事実上、旧・総務庁を復活させようという抵抗勢力を利するもの」に他ならないからだ。

 深刻さを増す世界的な金融危機が、日本に政治・経済の構造的な改革を迫っているにもかかわらず、その改革の一翼を担うべき公務員制度改革は「風前の灯火」になっている。

◇ 福田前首相以上に麻生首相は改革に不熱心

 10月3日付けの本コラムでもリポートした通り、公務員制度改革は、財政改革や規制改革と並ぶ重要な改革だ。官僚の抵抗は執拗で、あの小泉純一郎元首相でさえ在任中は取り上げることを嫌ったというほど実現が困難な改革だ。

 それでも、安倍晋三元首相、中川秀直元自民党幹事長らが火中の栗を拾い、一連の論議がスタートした。

 現在進められている改革の柱は、福田康夫政権下の今年6月に、渡辺喜美元公務員制度改革担当相が奔走して成立させた「国家公務員制度改革基本法」に規定されている。

 その中で最も重要なのが、現在、争点となっている「内閣人事局」だ。同局は、これまで各省別に縦割りに行われてきた人事を一元化するもので、総理直轄の内閣官房に設置され、各省庁の幹部職員人事を一手に担うことが期待されている。

 そんな中で、抵抗勢力が喜んだのが 福田康夫前首相の突然の辞意表明と麻生太郎首相の就任だった。安倍元首相に比べれば、福田前首相も決して公務員改革に熱心とは言えなかったが、麻生首相はそれ以上に公務員改革に熱心でないことで知られていたからだ。

 例えば、昨年3月。外務大臣だった麻生氏は閣僚懇談会で、抵抗勢力が泣いて喜ぶ発言をした。

 渡辺喜美公務員制度改革担当大臣(当時)が私的に天下り規制を提案し、内閣の内外に波紋が広がっていたことを批判して、「なぜ俺たちが竹中(前総務大臣)の小遣い稼ぎの手伝いをしなきゃいけないんだ」と噛み付いたのだ。この話は今も霞が関で語り継がれている。

◇ 抵抗官僚の期待に反し改革に意欲的だった甘利大臣

 そして、麻生内閣が誕生し、甘利氏が担当大臣に登用されたことも、抵抗勢力はおおいに喜んだのだった。

 自身の派閥のボスである麻生総理と同様に、甘利氏はこれまで、財務、経済産業、厚生労働、国土交通、農林水産など官僚の専門性を尊重する考えを広言していたからだ。

 ところが、本コラムやその他のメディアの記事を読んでいたのかもしれない。意外なことに、甘利大臣は、抜本改革に拘わる姿勢を見せた。

 甘利大臣が最初にその姿勢を見せたのは、10月14日に開かれた「国家公務員制度改革推進本部顧問会議」の第3回会合だった。大臣は冒頭の挨拶 で、「(内閣人事局をどう作るかという)『器』の議論に入る前に、(人事制度全体をどうするかなど)『中身』の議論をしっかりやるべきだ」と、抵抗勢力に フリーハンドを与えない考えを表明した。

 この甘利大臣発言には、まず、(1)国家戦略スタッフの規模、人材の供給源の決定、(2)公募による民間からの幹部への登用の規模の決定、(3) 幹部レベルの官民交流の推進目標の策定、(4)幹部職員の任用・給与の弾力化の具体化、(5)定年まで勤務できる環境整備の具体化――の5項目の中身をき ちんと議論・とりまとめたうえで、それから内閣人事局の陣容やリソースという器を議論せよとの指示も付いていた。顧問会議メンバーの改革派委員らは、好意 を持ってこの指示を受け止めたという。

 しかし、改革本部、顧問会議、ワーキンググループという3段階の会議のすべての事務局の座を押さえている抵抗勢力はパワフルだ。

◇ 大臣の指示を無視した上に逆に「抵抗勢力」呼ばわり

 翌15日のワーキンググループの会合で、甘利大臣が出席していなかったばかりか、会合がこの時点でマスコミに非公開だったことの隙をついて、事務 局のトップをつとめる総務事務次官OBの松田隆利内閣官房次長が、「通常は来年度設置。そのためには年末の予算編成に間に合わせる必要があり、11月中旬 までに内閣人事局の大枠を固めなければならない」と説明、甘利大臣の指示を完全に無視して、オーバーライドさせる作戦に出たわけだ。

 だが、この説明は、詭弁・曲解の類に他ならない。というのは、実際の基本法は、政府のオブリゲーションとして、「来年6月までに関係法案を出す」 ことしか規定していないからである。法案を成立させるかどうかは、国会の判断であり、基本法はそこまで政府に責任を負わせてなどいない。にもかかわらず、 松田次長は、その先の「通常は来年度設置」とまで言い切ったのだ。

 加えて、松田次長は水面下で、マスコミ関係者を捕まえて「甘利大臣は内閣人事局の早期設置を阻む抵抗勢力だ」と囁き、大臣のプレゼンスを下げることにも躍起という。

 これには、さすがの甘利大臣自身も「議論を急げば、拙速。きちんと進めれば、先送りと言われ、警戒されない方策は無い」と自嘲気味という。

 ただ、これまでにも内閣人事局について、「政府原案」なるものを報じた新聞があることは見逃せない。それによると、内閣人事局は、人員規模は 400人で、ちょうど総務省の旧総務庁系の2局(人事・恩給局と行政管理局)を切り出して、ミニ総務庁として再建するような内容だ。松田次長は、旧総務庁 出身だ。つまり、この案が実現すれば、これほど自分の出身母体を喜ばせる内閣人事局案は他にない。

 もちろん、顧問会議は、こうした事務局の野望を見抜けないメンバーばかりではない。この15日のワーキンググループでは作家の堺屋太一氏が「拙速な検討は不適当だ」と厳しく詰め寄ったという。

 また、出席者によると、24日のワーキンググループでは、評論家の屋山太郎氏が再三「11月の要綱というのは、官僚の陰謀だ」と容認しない考えを表明したらしい。

 しかし、抵抗勢力は官邸官僚だけにとどまらない。

 驚くべきことに、一見したところ、積極推進論に聞こえなくもない内閣人事局の早期設置論を掲げて、実際は骨抜きの人事局設置でお茶を濁そうという戦略で、抵抗勢力の官僚と足並みを揃える政治家も現れた。

 自民党の行政改革推進本部長をつとめる中馬弘毅氏が、その政治家だ。中馬氏は28日夜、首相官邸に麻生総理を訪ねて、内閣人事局の早期設置を目指すお墨付きを獲得した。

 この中馬氏の動きについて、永田町では「松田次長と麻生総理がソリが合わない事は、霞が関では有名な話。総務大臣時代の麻生氏の指示と逆の動きを して逆鱗に触れたとか、頭越しに小泉総理にすり寄ったとか、松田氏の総務事務次官昇格を外務大臣時代の麻生氏が阻もうとしたとか、その敵対ぶりを伝えるエ ピソードは枚挙に暇がない。

 そこで、今回は、中馬氏が松田氏の陳情を受けて、わざわざ松田氏の代わりに、首相官邸を訪ねたのではないか。中馬-松田のホットラインがあるに違いない」(関係者)というのだ。

◇ 中馬議員が推す「骨抜き」に自民党内から反発の声

 中馬本部長は10月30日の自民党・行政改革推進本部の公務員制度改革委員会で、総理のお墨付きを背景に、内閣人事局の早期設置方針を認めさせようと躍起だったという。これに対して、

「とんでもない骨抜きが検討されている。旧総務庁の2局がよみがえるだけというもの。これは看板の架け替えで、自民党が霞が関改革をできないと批判されかねない。予算関連法案だから11月までにやりたい。器だけ。とんでもない」(渡辺喜美・元公務員制度改革担当大臣)

「1ヵ月で制度設計はできない。総務省、財務省、人事院を統合するべきだ」(山本一太参議院議員)

「仏像つくって魂いれずはだめ」(小池百合子元防衛大臣)

 といった反発が強く、中馬氏はこの日の党の意見集約に失敗した。

 とはいえ、安心するのは早計だ。むしろ、官邸官僚の勢力は、依然として強大。公務員制度改革が形骸化の危機に瀕していることに変わりはない。

」

ほぼ、終わってるって考えた方が良かないか?

「内閣人事局の設置見送り 省庁間・与党内の調整進まず

朝日新聞 2008年11月22日(土)13:28

 政府は、国家公務員の幹部人事を一元管理する内閣人事局の来年度設置を見送る方針を固めた。省庁間の調整や、自民党内の意見をまとめるには時間が 足りず、予算措置をするのは難しいと判断した。麻生政権が、公務員制度改革を優先課題としてこなかったことが背景にある。設置は10年4月以降になる。

 甘利公務員制度担当相が週明けに麻生首相と会って了解を得る見通し。

 制度設計を担う国家公務員制度改革推進本部の顧問会議は14日、総務省や人事院の機能を移管するとした報告書をまとめた。しかし、人事院側は「公務員の 労働基本権が制約されている代償措置として第三者機関の人事院がある」などとして、移管に反対。会議のメンバーである高木剛・連合会長も「使用者(政府) である人事局が企画立案などを所管、関与することは許されない」と反対を表明した。自民党内でも渡辺喜美・元行革担当相を中心に、不十分な内容のままでの 設置には反対との声が上がっていた。

 福田前首相の辞任で顧問会議が実質的な議論に入れない状態が続いたうえ、公務員制度改革に積極的でないとされる麻生首相の姿勢が不明確だったことも影響した。1年先送りすることで、調整時間を稼ぎたい考えだ。

 政府は、来年3月までに調整を終えたうえで、通常国会への関連法案提出をめざす。内閣人事局へは、総務省人事・恩給局、内閣官房内閣総務官室の人 事行政を移管。顧問会議の報告書で両論併記となった総務省行政管理局の機構・定員管理機能も移管する方向で調整中だ。人事院については、代償措置にかかわ らない部分について移管が可能か協議を進める。

 改革の遅れに対する懸念を払拭(ふっしょく)するため、関連法案と同時に改革全体のスケジュールを1年程度、前倒しすることを盛り込んだ行程表を 閣議決定する方針。関連法案が成立すれば、予算措置をしたうえで早ければ10年4月に人事局が設置されることになる。ただ、関係省庁は移管に反発してお り、難航も予想される。

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」

木曜日, 11月 20, 2008

10兆円拠出してもコケにされ続ける、日本外交のいつもの敗北【週刊 上杉隆】

「
ダイヤモンド・オンライン 2008年11月20日(木)09:15

  先週末(11月14日)からワシントンで開かれていた「世界金融サミット」は、15日、閉幕した。G20と世界銀行、IMF(国際通貨基金)、UN(国 連)、FSF(金融安定化フォーラム)などの国際機関が参加して、未曾有の金融危機を救おうという試みは、金融安定化を謳った「首脳宣言」を採択してひと まず着地した。

 日本から出席した麻生首相は、会議冒頭、IMFへの1000億ドル(約10兆円)の融資を約束した。同日(14日)発行の「WSJ」(ウォールストリートジャーナル)に寄稿したものと同じ内容である。

 その前日(13日)、パキスタンへの5億ドル融資を発表した中国と比べても、日本の貢献は、金額・規模とともに十分すぎるほどのものであった。

 ブレトンウッズ体制の終焉が叫ばれているこの会議の中で、日本の「貢献」は、どのように評価されているのだろうか。

IMF・世界銀行こそ、同ブレトンウッズ体制の核だった。1944年に構築されたこの世界金融体制が、第二次世界大戦後の世界金融のルールを形作ってきたのは確かだ。

 しかし、初代IMF総裁のケインズ博士の理論が世界中で見直され始めているのが象徴するように、同体制の耐用年数も過ぎているという指摘が出始めていた。

 実際に、今回の会議でも、IMFの機能低下、同基金の改革について議論が集中している。

 G20、とくにG7以外の国々からのIMFへの不満は深刻だ。今年3月にクォータ制を導入し、新興国の役割を高めようと試みたものの、IMFへの不信は拭えていない。

 韓国などのアジア諸国にとっては、97年のアジア金融危機の際、IMFの融資が受けられず、国内経済がどん底にまで叩き落とされてしまったトラウマがある。それが10年たった現在でも、同体制への不信感となって、会議でも表出することになったのだ。

 だからこそ、日本政府のIMFへの貢献は際立っていた。〈麻生提案〉と銘打ったこの提言は、周到に準備され、今回のサミットで麻生首相を「スター」とするための高価な「武器」であったのだ。実際、政府・外務省の狙い通り、翌日の紙面には、次のような見出しが躍った。

〈首相、存在感を発揮〉(11月16日付/読売新聞)。

 しかし、不思議なことに、大活躍したはずの麻生首相だが、それは、日本国内のメディア報道に限られるようだ。海外のメディアが扱った日本のニュー スといえば、せいぜい「日本政府、IMFへの巨額融資を発表」(AP)などのストレートニュースに過ぎない。もっとも大きい扱いでも、〈日本と中国が巨額救済案を提示〉という「WSJ」の分析記事程度だ。

 海外の報道によれば、同会議で存在感を示したのは麻生首相ではない。それは、サルコジ仏大統領であり、オバマ次期米大統領の代理人オルブライト元 国務長官、あるいは胡錦涛中国国家主席、メドヴェージェフ・ロシア大統領、ルラ・ブラジル大統領などのBRICsの首脳たちであった。

◇ サミット開催地決めでも日本は敗北続き

 日本は存在感どころか、サミット開催地をめぐる駆け引きでも敗北を喫している。しかも続けてだ。

 開催前のことだ。洞爺湖サミットに引き続いて(札幌での仏中首脳会談など)、サルコジ大統領は、独自の外交路線を展開し、開催地を強引に日本から 奪い取ろうとしていた。サミット議長国で行うのが筋だという日本の主張を退け、代わりに金融危機の発生国でもある米国開催に同意を示した。

 ワシントンに奪われた日本は、戦略を変え、第2回金融サミットの日本開催を目指した。ところが、またしてもサルコジ大統領が独走し、記者会見でこう言い放ったのだ。

「来年3月までに開かれる第2回会合は、(来年の)サミット議長国でもある英国(ロンドン)で開かれることが望ましい」

 笑ってしまうほどの「ダブル・スタンダード」だが、驚くべきことに、この「サルコジ案」が次期開催地の主流となっている。

 今回のサミットで、サルコジ大統領は雄弁であり続けた。フランスのみならず、欧州議長としてヨーロッパを代表して、国家・地域の権益のために、叫び続けた。ブッシュ米大統領へ「ドル基軸通貨の終焉」を突きつけたのもサルコジだ。

 こうしてコケにされている間も、日本外交は現実を直視せず、「独自外交」(笑)を模索していた。オバマ次期大統領との会談が難しいと分かると、一転、ブッシュ大統領との「日米首脳会談」の可能性を探ったのだ。

 だが、それさえも困難を極める。各国が水面下で次期政権のオバマチームの面々との接触を模索している間にも、日本はブッシュ大統領との首脳会談を目指した。

 思えば、麻生首相はブッシュ大統領の米国に秋波を送り続けていた。所信表明での「日米同盟」重視宣言、給油法案の成立確約――。

 だが、結局は、ブッシュ大統領は、麻生首相との会談を拒否した。あの米大統領史上最悪のレームダッグ大統領と呼ばれるブッシュ大統領からである。

 ならば、麻生首相のこれまでの「ラブコール」はいったいなんだったのか。

◇ 国内メディアだけが麻生首相を持ち上げた

 対北朝鮮のテロ支援国家指定解除が示すように、日本外交は、今回もまた米国に袖にされている。麻生首相本人が、米国との緊密な関係をいくら誇ろうが、それが現実なのである。

 そうした不毛な「訪米」を終えて、麻生首相を待っていたのは、凱旋将軍のように温かく見守る日本のメディアであった。これだけコケにされて、「存在感を発揮」などという見出しが新聞に躍るのか、筆者にはどうしても理解できない。

 それにしても、デジャヴではないか。2年前のドイツでのハイリゲンダムサミットが終わった直後、安倍首相(当時)がこう誇ったのを思い出してしまう。

「私の提案が入って、日本がイニシアティヴを発揮し、それによって共同宣言が採択された」

 同行した世耕補佐官も、日本からの随行記者団に盛んにそれを誇った。その結果、〈温暖化対策で日本が主導権〉という文字が新聞紙面に躍ることになる。

 だが、実際は、この地球温暖化に対する「合意」は、議長であるメルケル独首相の手柄となっている。世界のメディアで、「日本のイニシアティヴによって――」、と報じたところはひとつもない。〈安倍首相の手柄〉は日本国内だけの報道だ。(拙著『官邸崩壊』に詳述)

今回も同様だ。同行した松本純官房副長官が盛んに麻生首相の「活躍」を喧伝すればするほど、2年前のあの悪夢を思い出してしまう。そしてまた、麻生首相自身が記者会見を開いて次のような言葉を発すれば発するほど、暗澹たるデジャヴを感じるのは私だけであろうか。

◇ 評価されない「夢想外交」はそろそろ終わりにすべき

「今回の会合で私は具体的な提言を行い、それが首脳宣言に反映された」

 確かに海外メディアで、日本の対IMF1000億ドル融資については報じられている。

 だが、その内容は、評価とは程遠いもので、「日本はやっぱり金があるな」という程度のものばかりだ。サミット期間中、記者会見で自主的に日本の名前を出して評価を与えたのは、ストロスカーンIMF専務理事ただひとりであった。 ただ、これも、お金をもらった「お礼」を述べただけの話にすぎない。

 日本外交は今回もいつものように、ひとりで夢を見ながら敗北していったのだ。

 麻生首相が誇った「WSJ」への寄稿文についても、じつは同記事は「アジア版」のみの掲載であった。つまり、金融サミットの当日、サミット参加国の多くは、麻生記事を読むことも、日本の貢献策の内容を知ることも出来なかったのである。

「夢想外交」はそろそろ終わりにするべきではないか。

」

結局この手のアナウンスも、選挙対策だったんでしょ?
それならそれで、冷徹に判断すりゃイイんだろうけど、その代償が10兆って洒落にならな過ぎ....。

火曜日, 11月 11, 2008

米国追従よりも英国との関係強化で、日本の外交能力は向上する

「
ダイヤモンド・オンライン

 米国の新大統領に民主党のバラク・オバマ上院議員が選出された。日本では、オバマ新大統領で日米関係がどう変化するかに焦点が向けられているよう だ。オバマ氏が中国重視だとする見方や、米民主党と日本政界との人脈の細さに対する懸念もあるようだ。今回は、今後の日米関係、もっと言えば今後の日本外 交はどうあるべきかについて論じてみたいと思う。

 日米関係というのは、日米2ヵ国だけではなく、その他の国々も加わった国際社会のパワーゲームに影響される。従って、今回は日米2ヵ国関係の分析は他の識者に任せて、米国以外の日本外交の課題を考えてみたい。

 日本外交の重要課題は、言うまでもなく中国。次にロシア(北方領土問題、資源・エネルギー問題)、インド(自由と繁栄の孤、対中国包囲網)、アフ リカ(資源・エネルギー問題、国連安保理常任理事国入りのため)などであろう。そして、結論から先に言えば、これらの国々との外交関係を改善するには、英国と信頼関係を築くことが重要だと考える。

◇ 英国に「ヒト・モノ・カネ」を押さえられている中国

 中国といえば、アフリカ諸国から石油を大量に購入し、アフリカに対する影響力を増大させているようだ。しかし、実は中国のアフリカでの石油購入で最も得をするのは、英国人である。

 アフリカには旧英国植民地が22ヵ国あるが、その石油やその他の鉱物資源の利権はいまだに英国人がしっかりと握っているからだ。その証拠に英国の政治家のスキャンダルは、なぜか遠く離れたアフリカで起こる。「利権あるところに政治家あり」である。

 また、高度経済成長期にある中国にとって鉄鋼生産が重要であるが、鉄鉱石は大手鉱山・金属メジャー3社が、英国系資本の「リオ・チント」「BHP ビリトン」と、ブラジル国籍だが英国系資本が買収した「リオドセ」が世界シェアの8割を占めている寡占業界だ。つまり、英国から鉄鉱石を買わないと、中国 は鉄を生産できないのだ。

 更に、香港上海銀行(HSBC)がある。HSBCは英国系資本のサッスーン財閥によって香港に創設された「植民地銀行」であり、97年に香港が中 国に返還された後も、香港ドルの発券銀行の1つである。香港最大の華人系銀行ハンセン銀行もグループ傘下に収めている。つまり、中国経済を動かす華僑の資 金を掌握しているのだ。

 要するに中国は、石油と鉄鉱石などの重要な資源は英国資本から買わねばならず、その資金を英国に押えられ、その資金を動かす華僑も押さえられてい る。いわば、「ヒト」「モノ」「カネ」をすべて英国に押さえられている。だから、中国は英国に対して「いいお客さん」であることに徹している。

 従って、日本の悲願である国連安保理常任理事国入りは、英国から日本を支持するよう中国を説得してもらえばいいのだ。中国も英国は無視できないからだ。

 また、アフリカ諸国への影響力拡大には、アフリカ要員を1000人増員するよりも、ロンドン日本大使館に50人増員したほうが、よほど効果的である。

◇ 非同盟の雄・インドも実は英国の「身内」

 近年、日本はインドとの関係強化に努めてきた。急成長する中国を包囲するためのパートナー関係構築するためだが、それは現状では難しいと思われ る。インドは、英国の植民地支配がトラウマになっており、どこの国からも独立した存在であることに拘っている。だから、日本と一緒に中国と対峙してくれる ことは期待できない。

 しかし、インドはいまだ英国との経済や人的関係が深い。インド最大財閥のタタ財閥は、ロスチャイルド財閥系で、上述したHSBCを創設したサッスーン財閥の利権後継者である。つまり、タタ財閥とは英国系そのものである。

 タタ財閥は2007年に世界第9位のイギリス・オランダ系鉄鋼メーカー「コーラス」を買収したが、ある意味、英国系同志が「身内」で金銭のやり取りをしたと言える。インドの「身内」英国の仲介を得られれば、日本はインドの頑なな心を開かせることができるかもしれない。

◇ ロシアに対して一歩も引かない英国

 近年、急激に大国化するロシアに対して、英国は一歩も引かない政治力を持っているようである。

 象徴的なのが英国に亡命中の反プーチン派リトビネンコ氏が急死した「リトビネンコ事件」。この暗殺にはロシアの関与がささやかれ、英国検察当局は FSBの前身・KGBの元職員ルゴボイ氏を容疑者と断定し、ロシアに引渡しを求めた。ロシア側はこれを拒否し、逆に英国に亡命中のボリス・ベレゾフスキー 氏の政治犯としての引渡しを英国に要求。英国がこれを拒否し、ロシアへの報復措置として英国駐在のロシア外交官4人を国外追放した。

 英国はベレゾフスキーを始め、サッカー・イングランド・プレミアリーグのチェルシーを買収したアブラモビッチなど「反プーチン」派のロシアの新興財閥を公然とサポートしている。更に、「チェチェン亡命政府」などもロンドンにある。

 英国がロシアに対して強気なのは、北海油田や中東・アフリカなどの利権によって資源・エネルギーでロシアに依存していないからだろう。英国は急速 に再大国化するロシアにとってもなかなか手の出せない相手。それゆえに日本が英国と信頼関係を構築することは、ロシアに対する強烈な牽制となる。

◇ 「米国にとって特別な存在」英国を押さえれば日米関係も変わる

 要するに、英国との関係を強化することは、日本の中・露・印・アフリカに対する外交交渉力を強化することにつながる。そして、それは日米関係を改善する。なぜなら、中・露・印・アフリカとの関係は、米国にとっても難しいもので、その外交交渉の舞台で日本が頼りになるならば、米国の日本に対する信頼感は確実に強くなるからだ。

 また、米国にとって英国は特別な存在である。米国は、英国の言うことには耳を傾けるのだ。その英国と信頼関係を結べば、日本は米国にとって無視できない存在となるだろう。

 足しげく米国に通ってご機嫌を取るだけが日米関係を強化する道ではない。米国が最も信頼する英国との緊密な関係を構築し、それを外交交渉の舞台で使うことも、日米関係を強化する1つの方法だと考える。

」

伊達にユーロに与さない訳じゃないんだね。
この辺は、知らないことだらけだ。 勉強させてもらおう!

水曜日, 10月 22, 2008

小沢の不誠実、麻生の構想力

面白がって全部引用しちゃう!!
「
2008年10月21日(火)21:10
福田政権を総括する

自民党総裁選は下馬評どおり、麻生太郎の勝利で決着した。候補者5人の全国ツアーは自民の一体感をアピールしたが、対立軸を乱して争点を喪失させた観もあ る。自民党の狙いは総裁選の余勢を駆って解散総選挙に打って出ることだった。目論見どおりになったかは別として、日本国民は、あらためて総理大臣を自民党 総裁の麻生太郎に委ねるのか、民主党代表の小沢一郎に任せるのか、という選択に迫られる。

選択の前にやるべきは、福田政権の総括である。閣僚の不祥事で足元をすくわれ、過去の年金未記録で叩かれ、どこからか浮上した格差問題で責任を問われ、参 院選で大敗北、KY扱いされた安倍総理の突然の辞任を受けて、福田政権は誕生した。自称「背水の陣」内閣の滑り出しは60%前後の支持率。支持理由の大半 は「安定感がある」だった。国民的人気を背景に颯爽と登場した橋本内閣の成立時とほぼ同じ数字を獲得したのは、逆風が吹き荒れるなかでは上出来だった。

「安定感」が小泉・安倍の改革路線にブレーキを踏むことだとすれば、福田政権は期待どおりの活躍をした。公務員制度改革、地方分権改革、独立行政法人改革 など引き継いだ改革は、角を削られたり、先送りされた。三位一体改革は中途半端でもともと高く評価できないが、「格差是正」が至上命題となり、「地方法人 特別譲与税」や「地方再生対策費」など政策的逆戻りもみられた。

小泉・安倍路線と大筋では同じ方向に走ってきた民主が、突然方向転換して「子ども手当」や「戸別所得補償制度」など「大きな政府」政策を掲げて参院選に勝利したのだから、自民がそれを追いかけるのは自然である。

だが、民意に従ったはずの福田政権を民意は評価しなかった。支持率は墜落寸前の低空飛行を続ける。国際的には福田総理のリーダーシップが高く評価された洞爺湖サミットも、福田色を出したといわれる内閣改造も支持率回復にはつながらず、解散総選挙の大合唱が湧き上がる。

ここで福田総理はキャパが一杯となり、少しでもましな状況で総選挙を闘うために、マウンドを国民的人気者に譲ることを最後の仕事と決める。参議院で少数派 である以上「ねじれ」は解消されぬし、「郵政選挙」で膨張した議席数も維持できぬが、自公合わせて過半数を取れば、地に落ちた正統性は回復できる。「私は ね、自分自身を客観的に見る事ができるんです。あなたとは違うんです」といって辞任した判断は、言葉どおり客観的であり、理性的といえる。

福田政権は民意に翻弄されたのである。「ねじれ」のなかでめざす方向を失い、動けなくなった。安定ではなく停滞、それが福田政権であった。

民意は政治の基盤である。民意に逆らった政治を行なってはならぬし、逆らっても長続きはしない。また、民意におもねっては政治は合成の誤謬に陥ってしま う。民意を無視する政治も、民意に従うだけの政治も機能不全を起こす。民意の「罠」にはまった福田政権ののちに求められるのは、日本が繁栄を続けるビジョ ンを示すとともに、国民合意の醸成に全力で取り組み、その実現に向けた政策を確実に実施することにほかならない。

企業で例えれば、経営者と従業員がビジョンを共有し、一丸となって事業に取り組む姿である。明治維新と戦後復興、日本はこれまで2回は経験したはずだ。ど ちらも日本は危機的状況にあり、指導者は日本の生存を懸けたビジョンを描かねばならなかったし、国民は生きるために必死で働いた。それがこの国を豊かにし た。対立がなかったわけではない。むしろ血を流すほどの激しい争いがあった。みな真剣だった証しである。

豊かになった日本はかつての姿を失った。ベンチャー企業が大企業になったようなものだ。安泰なら、それもよかろう。だが、現在の日本もまた内外ともに大転 換期を迎えている。皆気づいてはいるが、誰も本気にならない。危機に気づかず死を迎える茹で蛙になぞらえられた日本は、ジワジワだが確実に訪れる危機を知 りながら対応できないでいる。

「糖尿病」にかかっている日本

危機とは何か。日本は「糖尿病」にかかっているということだ。

日本の貿易収支は1990年代から一貫して黒字であった。2000年前後、安い労働力を武器にした中国の著しい経済発展とともに、日本の産業は空洞化する と思われたが、それは一時的な懸念に終わった。日本の高度技術によって製造される部品や素材を中国が必要としたからである。世界市場は中国製品で溢れてい るが、そのじつは「ジャパン・インサイド」であり、中国の輸出が増えれば日本の輸出も増える、という構造が形成された。

近年の貿易黒字はほぼ10兆円。多くは米国やアジア諸国などへの海外投資となっている。リスクを恐れる企業は投資にも個人所得としても分配せず、内部留保 を決め込んでいる。恩恵を受けるのは公債を連発する政府だけだ。国内企業への投資が進まず、家計も潤わず、もっともおカネの使い方が下手なところにおカネ が回る。だから経済成長は頭打ちとなる。せっかくの栄養を血肉に変えられぬ糖尿病と同じではないか。

生み出した利益を民間投資と個人消費に回るように制度的・慣習的障害を徹底的に排除すると同時に、非効率な国のあり方そのものをリストラする。「糖尿病」からの脱却こそが、わが国の根本的課題なのである。

この問題を一層深刻にしているのが、少子高齢化、すなわち、労働力人口の減少、貯蓄率の減少、社会保障負担の増加である。高齢者・女性に働いてもらうのは 言うに及ばず、移民も視野に入れねばなるまい。長期的には子供を増やせればいいのだが、大人になるまでその分負担は増える。「糖尿病」からの脱却は並大抵 の努力ではできない。

中国が儲かれば日本も儲かる構造を支えるのは、中国の主な輸出先となる米国だ。その米国は、9.11以降、テロと大量破壊兵器の結合を安全保障上の最大の 懸念と捉え、アフガン、イラクに対して軍事行動を展開するなど、攻撃的な側面をあらわしている。反米感情が国際的に広まる一方で、グローバル化によって中 国やインドが台頭し、資源国の中東諸国やロシアに富が集中するようになった。欧州もまた世界的規範づくりやユーロ高を通じて、存在感を高めている。米国の 相対的な優位性は軍事的にも経済的にも失われないにしても、米国以外の国が力を付け、多極化が一段と進んでいる。

日本は、米国の変化に合わせて「世界の中の日米同盟」という地平を開いたが、多極化の世界では複雑な力関係の均衡が求められる。「世界の中の日米同盟」を 維持すべきか、それとは異なった戦略をとるべきか、国内の体質改善を進める傍らで、国益を守る基本戦略の再確認に迫られている。ポスト福田には、そうした 認識をもって日本のあるべき姿を考え、具体的な政策を示し、国民ときっちり合意形成をしたうえで、確実に実行してもらいたいのである。

麻生太郎の道州制論

こうした観点から、麻生太郎か、小沢一郎か、を問われれば、彼らのこれまでの著述や発言を追うかぎり、麻生のほうに軍配を上げざるをえない。

麻生にはユーラシア大陸に沿って自由の輪を広げ、豊かで安定した開かれたアジアを形成することをめざす「自由と繁栄の弧」という構想がある。明らかに米国 支持の表明であり、相対的に力を弱めかつ孤立感を高める米国にとって歓迎すべきものとなっているが、価値を共有する欧州を排除するものではない。また一方 では、中国に対する期待と牽制にもなっている。米国を国際秩序の中心に位置づけながら欧州をも排除せず、中国の安定的発展を促すという多極対応で、安全保 障と経済という国益を確保する基本戦略を麻生は示している。少なくともそこには国際的大局観がうかがえる。

国内について麻生は、霞が関を中心とする中央集権システムを解体し、道州制を導入しようと主張している。中央集権は、明治維新や敗戦後の復興には大きな効 果があった。だが、ナショナルミニマムがほぼ達成され、豊かになった現在の日本にとっては中央集権では無理がある。その結果が、地方の衰退である。

日本の発展のためには道州制を導入し、公共事業、産業振興、社会福祉などの権限やそのための税源を移すことによって地域の経済的自立を図るとともに、中央 政府を小規模にして外交、国防、司法などに特化する。これが彼の道州制論である。細部にわたる議論はないが、「糖尿病」からの脱却をめざす基本戦略と読み 取れる。

麻生のもっとも大きな特性の1つが、小泉総理に勝るとも劣らない国民とのコミュニケーション能力だ。「失言」も懸念されるが、飾らない言葉、明るい表情、 マンガやアニメを好む大衆性が若者やオタクをも惹きつけている。小泉総理は「郵政選挙」を圧倒的な支持で勝利した。ポピュリズムと非難もされたが、国民と の合意形成がうまかったともいえる。民意に翻弄されることなく、難しい国の体質改善を進めるには、こうした国民とのコミュニケーション能力は不可欠であ る。

立派なアイディアがあっても、国民との合意形成ができなければ、何もできない。アイディアは借りてくることもできるが、コミュニケーション能力はそうはいかない。麻生には国の指導者として欠かせない能力があるようにみえる。

一方の小沢の議論は説得力に欠ける。国際社会に対しては、国連中心主義である。国連が認めない活動は行なってはならない、国連が決めたことなら「平和維持 活動や国連平和維持軍はもとより、多国籍軍にも日本は積極的に参加すべき」「危険地域であっても血を流す覚悟をもって行くべき」という立場だ。

そもそも国連は国際的な「主体」ではなく、国益を背負った加盟国による競争の「場」という性格をもつ。その「場」の意思に従うだけでは、日本が国際社会の なかで何を重視し、何を守ろうとしているか、誰にも伝わらない。会議で何も発言しないが、決まったことにはひたすら汗を流すお人よしのようなものだ。小沢 の国連中心主義は、一見、多極化の時代にふさわしい戦略に見えるし、日本的美学の匂いもするが、これでは複雑な力関係を背景に各国の駆け引きが行なわれる 国際社会において、国益を維持していくことは困難だ。長年マキャベリズムの世界に生きてきたはずの小沢にしてはナイーブすぎる。

小沢には『日本改造計画』という日本のあり方を示す代表的著作がある。基本理念は「自己責任」、前書きはその象徴となっている。いわく、グランドキャニオ ンには転落防止用の柵がない。断崖絶壁の向こうに落ちるも落ちないも自己責任である。実際に年に何人も転落して死亡しているが、誰も柵を付けろとはいわな い。日本をこうした自己責任の社会に変えなくてはならない……。

つまり、何でもかんでも国に依存する日本社会の体質を「自分でできることは自分でする」という理念で作り変えろということであり、麻生の道州制の議論と考え方は変わらない。「糖尿病」対策の基本思想として理解できる。

だが、昨年の参院選で「国民の生活が第一。」というスローガンの下に「子ども手当」の支給や農業の「戸別所得補償制度」の創設など、自己責任とは逆方向の 政策を示して以来、それを持論としている。状況が変われば政策も変わってしかるべきだが、現在のほうが『日本改造計画』当時より、国には余裕はない。自己 責任の追求というなら、自民党がめざしてきた方向性も同じであり、批判するなら、それが中途半端になっていることだろう。

「なにしろ私の生涯の政治目標は政権を代えることだから。それさえできれば何でもします」といって、小泉・安倍と続いた改革に疲れた有権者をさらい取るの は、選挙戦術としては合理的であっても、自ら描いたビジョンに誠実ではない。政権獲得後にさらにもう1度方向転換すると期待する向きもあるが、それでは有 権者に対する裏切りとなる。

自民を変えるといって自民を出奔し15年、政権交代の鬼と化した小沢は破壊者ではあっても創造者には見えない。いま必要なのは破壊と創造である。小沢の本 心はよくわからない。説明もよくわからない。わからないことがカリスマ性と同時に信用が置けないという雰囲気を醸し出している。愛想はずいぶんよくなった し、メディア露出も増えたにせよ、そうした小沢に小泉総理がやったような国民的合意形成ができるとは考えにくい。

総選挙後こそが正念場だ

政策の実行力については2人とも未知数だが、何をするにも、チーム力が必要である。チーム麻生とチーム小沢のどちらが優秀かわからないが、いずれも二大政 党のトップに上り詰めた政治家なのだから、性質は異なってもリーダーシップがないはずがない。重要なのは、彼らのチームが一体感を維持しながら困難な仕事 に突き進むためには、しっかりとしたサポーターが必要だということ、すなわち世論に訴えかけ、国民から直接的な支持を得なければならない。その重要性は小 泉政権で実証されている。この点でもやはり、コミュニケーション能力に長けた麻生のほうが分が良さそうだ。

もっとも総選挙に突入すれば、麻生もこれまで説いてきたビジョンや政策の方向性とは反する耳ざわりのよいことを訴えてくるかもしれない。事実、彼の財政出動の議論には、小沢の「子ども手当」や農業の「戸別所得補償制度」のような選挙対策の影が見える。

一方、「バラマキ」と批判された小沢のほうは、財源確保のための具体策を示し、筋を通そうという努力が窺える。いずれ両党はマニフェストを発表するだろうが、それぞれの理念とビジョンに基づいた体系性のある政策を示してもらいたいものである。

有権者は理性だけでは動かない。だが、政党がきっちりとしたマニフェストを示すならば、それを理性的に判断して選択するのが日本の民主主義の発展には重要である。そうしないかぎり、マニフェストは意味のないものになってしまい、有権者は政権選択の重要な指針を喪失する。

選挙の結果は、麻生になるか小沢になるかはわからない。明らかなのは、いずれになっても総選挙後こそがわが国の正念場、ということだ。

麻生が勝てば、与党としての正統性をアップデートできるが、「ねじれ」がある以上、世論の「罠」で停滞した福田政権とは異なるにせよ、そのビジョンと政策 を推し進めるにはそうとうの抵抗が予想される。小沢が勝てば「ねじれ」はなくなるが、彼のビジョンと政策がそのまま実行されることにはまだ不安がある。

どちらになっても日本丸の進路は険しいわけだが、それに業を煮やした勢力が自民と民主のバランスを崩す行動に出るかもしれない。政界再編などやっている時間的余裕はないようにも思えるが、それが日本を危機的状況から救う近道のようにもみえる。(文中敬称略)

」

「

常務取締役・国家経営研究本部長

永久 寿夫 (ながひさ・としお)

専門分野 【 政治問題 】

日本の政治行政制度、政治プロセス、公共政策、国政・地方選挙などの分析・研究を通じ、問題提起や政策提言を行なっている。


常務取締役・国家経営研究本部長 永久寿夫

経歴

  1982年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同年PHP総合研究所入社。88年、スタンフォード大学にてロシア・東欧学修士号(A.M.)取得。94 年、カリフォルニア大学(UCLA)にて政治学博士号(Ph.D.)取得。国家経営研究部長などを経て、現在に至る。杉並区行政評価検討委員会委員、神奈 川県「21世紀の県政を考える懇談会」委員、内閣府国際青年育成事業ハンガリー派遣団団長、東京外国語大学非常勤講師、熱海市行財政改革会議委員などを歴 任。NPO法人パンゲア理事、PHPマニフェスト検証委員会事務局長、「世界を考える京都座会」事務局長、「次代を考える東京座会」メンバーを務める。メ ルマガ『PHPリサーチニュース』でコラムを連載中。

【 主な著書 】

・ 『二十一世紀日本国憲法私案 新しい時代にあった国づくりのために』(江口克彦・永久寿夫編著 PHP研究所)

・ 『こんなのはじめて!スラスラ読める「日本政治原論」』(永久寿夫著 PHP研究所)

・ 『世界はこうして財政を立て直した-9カ国の成功事例を徹底研究-』(林宏昭・永久寿夫編著 PHP研究所)

・ 『いま「首相公選」を考える』(弘文堂編集部編)

・ 『地方分権への道標』(静岡県編)

・ 『日本の安全保障と憲法』(加藤秀治郎編 南窓社)

・ 『国際政治学の基礎知識』(加藤秀治郎・渡辺啓貴編 芦書房)

・ 『ゲーム理論の政治経済学――選挙制度と防衛政策』(PHP研究所)

【 近年の雑誌論文 】

・ 「もはや自民も民主も不要!」『Voice』(PHP研究所)2008年7月号

・ 「北海道道州制特区の悲惨」『Voice』(PHP研究所)2008年2月号

・ 「安倍政権へ『15の提言』」『Voice』(PHP研究所)2006年12月号

・ 「日本外交の新基軸は何か」 『改革者』(政策研究フォーラム)2005年3月号

・ 「二十一世紀日本国憲法私案」『Voice』(PHP研究所)2004年12月号

【 その他 】

・NEWS23、サンデー・モーニング、ブロードキャスター(TBS)、スーパーニュース(フジテレビ)、報道ステーション(テレビ朝日)、Channel News Asia(シンガポールTV)、夜エクスプレス(日経CNBC)など。

」

ちくちくやりながら、結論出さない辺りは、流石だおね。

土曜日, 10月 18, 2008

民主党〝生活が第一〟の盲点

論文載っけるのは抵抗あるかな。
けど、全文引用したいな。

「
2008年10月18日(土)14:23
経済政策の効果のほどは


現在、政権交代をめざしている民主党の経済政策は、日本の置かれた経済環境のなかでどの程度、効果を発揮するだろうか。

本稿執筆時点で民主党の新しいマニフェストは発表されていないが、経済政策のベースとして今年9月8日、小沢一郎氏が代表選立候補時に出した基本政策と、今年4月14日、民主党が国民新党と共同で発表した「緊急経済・生活対策」を挙げることができる。

ここでは具体的な記述の多い後者をもとに、民主党の経済政策について論じてみたい。

冒頭の「日本経済の現状認識」を見てみよう。民主党は、現状認識として第1に「内需低迷」を挙げており、「原油価格高騰などにより、消費者物価が前年比 1.0%と上昇し始めているほか、企業物価は過去数年間続いている上昇傾向が加速しつつあり、内需低迷に一層拍車がかかる蓋然性が高い」と記している。

現在は消費者物価指数が2%を超え、エンゲル係数(家計の消費に占める飲食費)の高い消費者にとっては、スーパーの食料品の値上げなどで、この数字以上の物価上昇を実感していることだろう。

一方、労働者の平均給与の支払い額は伸びておらず、有効求人倍率も低下気味である。いま勤め先のある人はよいが、今後、就職や転職をしようとする人には苦しい環境である。

景気の減速は福田前政権も認めていたことであり、政府の景気認識も下方修正された。

次に、現状の問題として「外需減速」を挙げている。「サブプライムローン問題の影響が拡大、長期化する様相を呈しており、米国経済が腰折れするリスクが高まっている」とある。

この認識も正しい。アメリカのサブプライムローン問題は、9月時点で収束の兆しがまったく見えない。かつての日本の山一證券倒産を思わせるようなリーマン・ブラザーズの倒産やメリルリンチの救済合併、AIGの公的資金投入による救済のような事態は、今後も続くだろう。

今回の金融危機の根本は、アメリカの不動産価格の下落にある。今年9月のリーマン・ブラザーズ破綻の際、アメリカのポールソン財務長官は不動産価格について、長期的には底打ちするはずだというものの「2、3カ月で片づく問題ではない」と率直に述べた。

たとえ金融機関に公的資金を投じようと、不動産のオーナーであるアメリカ国民は、従来のように旺盛な消費をすることはない。外需依存の日本経済にとっては痛手である。

中小企業対策への疑問

こうした現状への対策として、民主党案は「緊急経済・生活対策の5本柱」を掲げている。その筆頭にあったのが「2・6兆円減税」である。

この減税は、道路特定財源の暫定税率を廃止し、そのぶんを減税しようというものであり、この時点のアイデアとしては悪くなかったと思う。

地方の暮らしを考えれば、食料価格やガソリン価格が上がる一方、生活に車を使うことが多く、ガソリン使用をすぐには減らせない。

さらに、原料の仕入れ価格上昇が末端価格を押し上げている現状において、ガソリン価格の低下は輸送コストを下げ、末端の物価に好影響を与える。

もちろん、長期的に見てガソリン価格を下げることは、環境などの面から問題が大きいことは否めない。環境のコスト、将来の資源確保のリスクを反映させたう えで、環境税として位置づけ直すべきだろう。ただ、こと今年に関しては、効果的な場所に効く経済対策だったのではないか。

また産業政策については、5本柱の「地域活性化」のなかで「中小企業いじめ防止」として「大企業による下請・協力企業(中小企業)への一方的なコスト引き下げ要求、不当な押しつけ販売、サービス強要などの不公正取引を抑止する」と記している。

さらに「中小企業負担軽減・育成対策」の柱のなかで「中小企業減税」を挙げている。

だが、これらの「中小企業対策」には率直にいって疑問を感じる。

たとえば中小企業減税を行なうとして、「なぜ中小企業なのか」という疑問は拭えない。企業規模が小さければ税率が優遇されるならば、規模が拡大しつつある会社は自社を2つに分割して「中小企業になる」だろう。

所得の再分配をしたいなら、たとえば定額減税のような手法であれば、均等に配分ができ、低所得者へのインパクトも大きい。

もちろん高所得者の側もひたすらお金を取られるのは納得できないので、どの程度の所得移転がフェアかという議論は残る。しかし特定の産業を優遇するより、はるかにましだ。

農業や漁業を優遇するという政策は、あるいは国土の保全や文化の保存を念頭に置いているのかもしれない。だが農業に就いている人が、必ずしも国土や文化を 守るとはかぎらない。農地は未耕作のまま放置し、減反政策で補助金を貰い、実際は都会へ出稼ぎに行っているという農家も少なくない。

一方、政治的に見れば「票を買う」手段として特定の産業に対する保護を行なうのは分かりやすい話である。これは従来の自民党政権がやってきたことでもある。だが、特定産業の保護は所得配分の歪みをさらに増し、産業間のフェアネスを毀損する結果にしかならない。

金融・投資政策がない

では、現在のように物価高騰が日本の交易条件を悪化させ、景気の足を引っ張るなかで、日本経済を活性化させる政策は何だろうか。最も速効性があるのは、外国人に投資してもらうことである。

外国から投資を呼び込むと、投資したお金を日本人が使うから、さらなる設備投資につながり、かつ需要の喚起になる。

民主党は「【参考】『経済政策』10のメニュー」の9番目で、証券の配当に対する軽減税率の維持を謳っている。日本人自身の意識を「貯蓄から投資へ」と変えることも必要だが、実現性を考えた場合、外国からお金を入れる政策のほうが、景気対策としては効果が高いはずだ。

その際に障害となるのは、投資に伴う税制や配当の問題、それに株式取得に伴う経営権の問題である。

税制については、現在の証券取引をめぐる税制は複雑化しており、証券業界の人間でも即答できないほどだ。そのため、高齢者の資産家の申告漏れや、複数の証券口座をもつ人への対応が懸念されている。これは投資にとって大いにマイナスだ。

また、配当税率の軽減や撤廃、法人税の引き下げは、株式の価値を高めることにつながる。

さらに日本の課題として、株式取得による経営権の取得の制限に関して、外資による買収のアレルギーを取り除かなければならない。

日本にはライブドアショックに対する「過剰反応」の後遺症が残っている。今年1月にも、英国系投資ファンドによるJパワー(電源開発株式会社)の株式保有増が問題となった。

Jパワーの問題は、国防や国の資源政策に関わる部分を適切に規制監督すればよいだけのことだった。企業のオーナーシップを外国人が握ること自体は、何ら問 題ではない。日本人の株主だからといって安心できるという根拠もない。「外国人による日本企業の乗っ取り」という批判や「日本株を買っても、内実は経営を コントロールできない」という現実は、明らかに合理性を欠いている。

「日本を代表する企業がハゲタカの餌食になってもいいのか」という非難があるが、彼らが日本企業を買い取ろうとするのは、多少なりとも企業に魅力があるからだ。ハゲタカ呼ばわりされる彼らにしても、「腐った肉」は食べたがらない。買ってくれるうちが花ではないだろうか。

外国の投資を呼び込む政策は、いわば発展途上国型のビジネスモデルであり、日本としては格好のよいものではない。だが、かつては高度成長を遂げた国が、こ れほど長く停滞している現実を考えれば、再び発展途上国的な意気込みをもって、ドラスティックに挑戦する好機と捉えることもできる。

日本の将来を考えるうえで、外国の投資を呼び込む明確な投資政策と金融政策は不可欠である。その観点で民主党の経済政策を見ると、株式市場を中心とした資 金循環への認識、「資本市場をどうすべきか」という視点が見えない。現状認識でサブプライムローン問題を重大視しているにもかかわらず、明確な金融政策を 示していないのは致命的だ。

金融に関して「中小企業金融円滑化」の施策があるが、いくら中小企業への融資枠を拡充せよといっても、銀行の立場からすれば、返せない相手にお金は貸せない。審査能力を超えた融資の末路は、たとえば「石原銀行」を見ると明らかだ。

一方、金融政策の実行は主として日銀に委ねられており、その独立性は保たれるべきだ。だが、金融政策のあるべき姿については、民主党も明確に語るべきだ。

たとえば、日銀が総裁人事で武藤敏郎副総裁を就任させようとした際、民主党の仙谷由人議員は「日銀が低金利を続けたことで、国民の預金利子という所得を奪いつづけた責任をどう考えているのか」といって武藤氏就任に反発した。

だが、デフレの時代に政策金利を引き上げていたとしたら、日本経済はもっとひどいことになっていただろう。民主党が不景気の際に金利を上げる政策を望んでいるのだとしたら、これは危ない。

民主党に政権を渡すにあたっては、金融政策に関する素人同然の国会質問や、与党と喧嘩をするだけの議論では心もとない。民主党に金融に対する正しい認識と問題意識があることを形で示さないかぎり、政権への不安は消えない。

前述のように、現在の日本に必要なのは、外国から投資しやすい環境が経済成長にとってプラスという認識である。経済的ナショナリズムを排した経済を運営する覚悟が問われている。

しかし、その点でも民主党の政策には疑問符が付くものがある。たとえば「【参考】『経済政策』10のメニュー」の8番目に「農林漁業・農産漁村の再生」を掲げ、食料自給率を向上させるという。

だが、単純な国内保護で食料自給率を上げようとすれば、安価な輸入品が途絶えることになり、経済理論的には国民が貧しくなる。“国民の生活が第一”という のであれば、まずグローバル経済のなかで日本経済を位置づけ、国民が将来にわたり豊かに暮らすための方策を考えてほしい。

財源の心配は要らない

また、民主党の政策についてよく聞かれるのは「内容は良いが、財源をどうするのか」という点である。

小沢代表は9月8日の記者会見で「財源がないという議論は官僚の言い分そのまま。政治・行政を精査すれば財源は十分ある」と述べた。これは半ば正論でもあるし、現時点では「結果オーライ」をもたらす可能性が大きいのではないかと思う。

私は、必ずしも当面の財源に固執する必要はないと考えている。

そもそも財政とは、個々の支出に対して個々の財源を逐一結びつけなければならない類のものではない。最終的に問われるのは「お金が有効に使われているか」「国民から富を移転するに際してフェアかどうか」であり、3番目には財政収支を含めた資金繰りの問題だ。

われわれは未来永劫、財政を黒字化させなければいけないと思いがちだが、国家を大きな事業会社と見なせば、現在のファイナンス(資金調達)を考えればよい。その意味で民主党の掲げる、減税や補助金で地方の景気を良くするという「目先の」需要対策は間違っていない。

近年、自民党内で論じられてきたのは「2011年度にプライマリーバランスの黒字化をめざす」という話である。しかし端的にいって、この目標は先送りして 構わないと思う。プライマリーバランスの黒字化は2006年の「骨太の方針」に記されたものだが、当時は景気拡大局面だったし、現在のようにサブプライム 問題もなければ、資源価格の高騰も表面化していなかった。まったく異なる環境で立てた財政目標に固執するのは、賢明でない。

そもそも、現在の日本は財政再建を急がなければならない状況だろうか。私はそこに「常識の嘘」があると思う。

たとえば、現在の消費者物価指数は2.3%(今年7月、総合)の上昇だが、国債の利回りは1.4%台という低さである。金融機関も投資家も低利回りなのに 喜んで国債を求めている。つまり、日本の経済主体のポートフォリオ選択行動として、国債あるいは政府の債務は大いに選好されているということだ。素直に考 えると、政府の債務供給は過大ではなく、むしろ過小かもしれない、ということだ。

一方、生産者にとっての物価環境は「仕入れがインフレ、販売がデフレ」である。すなわち、日本は巷間いわれるようなインフレ経済ではなく、むしろデフレ的な環境にある。

経済がデフレということは、通貨(円)のモノに対する価値が高まっているということである。換言すれば、これは政府の債務に対する信認過剰の状態といえる。政府への信認が高いならば、日本の債務縮小を無理やり進める政策は、優先度が低いことになる。

むろん日本がインフレになり、金利が大きく上がった場合は、国の債務縮小が最優先課題になる。だが、いまの日本はインフレというより「デフレを抜けそこなった」状態である。

この現状認識から見て、増税による財政再建は喫緊の課題ではない。そして、財政再建を掲げた増税によって霞が関のファイナンス基盤を大きくして、既得権の拡大を望む官僚を変えるには、自民党政権を維持したままでは難しかろう。

いま多くの国民は「民主党を支持している」というより「政権交代を支持している」のだと思う。自民党政権は終わってほしいが、民主党の支持を決めたわけではない。

今回見たように、民主党の経済政策にはセンスに欠けるものも多いが、減税重視で官僚機構を縮小しようとする点は悪くない。民主党が政権を取った場合、当面 の財政赤字が拡大するかもしれないという点も含めて、自民党政権の経済政策よりもかなり良いのではないかと思われる。総合的に見て、経済政策の面からも、 筆者は1度民主党に政権を任せてもいいと考えている。

」


んでもって、敬意を表して...
山崎元の「ホンネの投資教室」

木曜日, 10月 09, 2008

日米同盟か国連主義か、 麻生vs小沢の激しい駆け引きが始まった

「
ダイヤモンド・オンライン

 予算委員会が始まった。国会はいよいよ本格的な論戦に入る。本臨時国会の会期は68日間。審議中の補正予算案のほかに、すでに給油継続法案、消費者庁設置法案などが提出されている。

 昨日(10月7日)、その予算委員会の席上で、菅直人民主党代表代行の質問に答える形で、麻生首相の注目すべき発言があった。

「民主党との間に争点を設定しないといけない。国際貢献への考え方など、きちんと正確にした上で、どちらが政権担当能力があるか明らかにすることが必要だ」

 結論から言おう。麻生首相が念頭におく国際貢献とは、給油継続法案である。本コラムでも再三指摘したとおり、麻生首相はこの法案の継続に政治家としての信念を賭けている。

 北東アジアから、中央アジア・コーカサス、トルコ、中・東欧、バルト諸国まで延びる線上の国々への積極的な国際貢献を通じて、日本外交の地位を高めようというのが、麻生首相の著書『自由と繁栄の弧』の真髄だ。当然ながらその中にはアフガニスタンへの支援も含まれている。

『自由と繁栄の弧』構想の屋台骨でもある同地域での国際貢献の必要性はまた、日米同盟を第一義とする「麻生外交」の最優先課題でもある。

◇ 給油法案継続は厳しいといまだに主張するマスコミ

 それは、総裁選の最中からのみならず、小泉内閣の外務大臣時代からずっと訴え続けてきたことだ。だからこそ、国会がどのような状況にあろうと、い くら「解散風」が吹こうと、同法案が提出されたことに驚きはないし、審議入り(未定)することにも何ら疑問を感じないのである。

 少なくとも、ダイヤモンドオンラインの読者ならば、麻生首相がそうした考えを持っていることはすでにご存知だろう。次は、もはや記すのも嫌になっているのだが、そうでない読者のために一応書いておく。

 新聞・テレビではいまだに、

〈解散が避けられない現在、同法案の審議入りは不可能だ〉
〈自衛隊の海外活動に批判的な公明党・創価学会の反対があるので審議入りは厳しい〉

といった論調が残っている。

 冒頭解散、早期解散の是非について、これ以上、本コラムで扱う必要もないだろう。1ヵ月前(9月11日)の記事を参照していただければ十分である。

 もうひとつのマスコミ論調に対しても、すでに結論は出ている。

 先月(9月)3日、山崎拓衆議院議員を座長とする自民・公明の与党合同プロジェクトチームは、臨時国会での給油法の継続を合意している。

 さらに9月19日、同法案の継続は閣議決定もされている。

 これらは共に福田政権時の出来事である。だが当然に、麻生幹事長(当時)の意向を無視しては為されない話だ。

◇ 給油法の成立が麻生首相の最重要課題

 また、9月25日には麻生首相自身が、国連演説で、次のように語っている。

「我が国は、アフガニスタンの復興支援に当初から力を注ぎ、インド洋では補給活動を続けてまいりました。私はここに、日本が今後とも国際社会と一体となり、テロとの闘いに積極参画してまいることを申し上げるものです」

 給油法案の前身のテロ特措法は、アフガニスタンにおける日本の貢献という点について言えば、確かに一定の評価は受けている。

 思えば、安倍首相は小沢民主党代表との党首討論を熱望し、その政治生命をかけてまで同法案を継続しようとした。

 福田首相も同じく、小沢代表との大連立構想を模索してまで、給油法案の継続を企図した。だが、ともに失敗に終わり、内閣の倒れる主要因となった。

 同法が、日米同盟を基軸とする自民党、とりわけ麻生首相にとって最重要であることに変わりはない。

 ということで、同法の成立を前提として、今後の国会を占ってみよう。

 同法は、来年1月15日でもって期限が切れる。

 答えから言ってしまえば、「ねじれ国会」の状況からして、同法案成立の可能性は2つだけである。衆議院での3分の2再議決か、あるいは民主党の賛成である。

 仮に、衆議院が解散されれば、期限内での同法案の成立はもはや不可能となる。日程的に政治空白が生じるばかりか、仮に選挙の結果、自公連立政権が 続いたとしても、現在の圧倒的な議席数は失い、再議決の権利も失ってしまうからだ。もちろん、同法に反対している民主党が総選挙に勝って政権を獲得すれ ば、自民党は下野することになり、同法は消滅するだろう。

『自由と繁栄の弧』の執筆者のひとりとも言われるのが、谷内正太郎前外務事務次官だ。その谷内氏は、9月30日の読売新聞とのインタビューで、次のよう語っている。

「(民主党と)自民党と外交政策で大きな違いがあるとは思っていない。ただ、小沢代表は、国連中心主義の傾向が強いと思う。世界中が賛成しても、常任理事国が1ヵ国でも反対すれば実現できないという国連の実態からすれば、国連至上主義的な考えは慎重であるべきだ」

 谷内氏の言葉は、麻生首相の予算委員会での答弁と見事に符号する。ついでに述べれば、麻生首相は所信表明演説(9月29日)の中でも次のように語っている。

「今後日本の外交は、日米同盟から国連に軸足を移すといった発言が、民主党の幹部諸氏から聞こえてまいります。わたしは、日本国と日本国民の安寧 にとって、日米同盟は、今日いささかもその重要性を失わないと考えます。事が国家・世界の安全保障に関わる場合、現在の国連は、少数国の方針で左右され得 るなど、国運をそのままゆだね得る状況ではありません。

 日米同盟と、国連と。両者をどう優先劣後させようとしているか。民主党には、日本国民と世界に対し、明確にする責任があると存じます。論拠と共に伺いたいと存じます。

 第二に伺います。海上自衛隊によるインド洋での補給支援活動を、わたしは、我が国が、我が国の国益をかけ、我が国自身のためにしてきたものと考え てきました。テロとの闘いは、まだ到底出口が見えてまいりません。尊い犠牲を出しながら、幾多の国々はアフガニスタンへの関わりを、むしろ増やそうとして おります。この時に当たって、国際社会の一員たる日本が、活動から手を引く選択はあり得ません。

 民主党は、それでもいいと考えるのでしょうか。見解を問うものであります」

■麻生総理の所信表明演説(首相官邸ホームページ)

◇ 外交政策をめぐって自民・民主の攻防が始まる

 麻生首相の狙いは、日米同盟を基軸とした「麻生外交」と、国連中心主義のISAFを唱える「小沢外交」との論争でもって、自民党と民主党の差異を見せ付けようということである。それが、昨日の予算委員会での麻生首相の発言に繋がっている。

 さらに進んで、この国際貢献策の違いを争点化したまま「総選挙」に突入、というシナリオこそ、麻生首相が思い描いてきた戦略なのだ。

 きょう(10月8日)、民主党は麻生首相の戦略のウラをかいたのだろうか、同法案の衆議院採決に同意する意向を明らかにした。

〈民主党の山岡賢次国対委員長は八日午前、インド洋での自衛隊の給油活動を来年一月以降も続けるための新テロ対策特別措置法改正案の処理で、週内の衆院通過を容認する姿勢を示した〉(10月8日付「東京新聞」夕刊)

 予算委員会の攻防の水面下では、与野党国対のこうした激しい駆け引きが始まっているのだ。

 臨時国会最大の焦点が、ようやく新聞・テレビにも登場しはじめたようだ。

」

どっこい、最大の焦点は、そんなもんじゃなかったって話。

金曜日, 10月 03, 2008

公務員制度改革は風前の灯火 政治空白につけ込む官僚の勝利か【町田徹コラム】

「
ダイヤモンド・オンライン2008年10月3日(金)09:15
 かねて懸念された通り、国家公務員の制度改革を骨抜きにしようとする動きが本格化してきた。
 抵抗勢力の官邸官僚たちはここへきて、解散・総選挙が11月半ばにずれ込み「政治の空白」が長引く可能性が高いことに付け込んで、この間に、改革の指針だったはずの基本法の精神を無視した杜撰な原案を早急にでっちあげて抜本改革を葬り去ってしまおうと暗躍している。
 このために、官邸官僚たちは、公的な会議の場で平然と詭弁を弄したり、動画配信する議事から不都合な部分をカットして世論の監視を阻んだり、権謀術数の限りを尽くしているのだ。

◇ 改革への情熱が乏しい麻生首相を歓迎する官僚

 公務員制度改革は財政改革などと並ぶ重要な課題とされるが、小泉純一郎元首相が在任中取り上げることを嫌ったとされるほど当初から官僚の抵抗が予想されていた。
 こうした中で、安倍晋三元首相が火中の栗を拾う形で、議論がスタート。
 現在進められている改革は、福田康夫政権下の今年6月に成立した「国家公務員制度改革基本法」が基本的な枠組みを成している。
 主な柱としては、(1)各省別の人事をやめて、内閣官房に内閣人事局を設置、幹部職員の一元管理を行う、(2)幹部候補が固定されがちだったキャリア制度の廃止、(3)国家戦略スタッフの設置――などがあげられる。
 そして、国家公務員制度改革推進本部(本部長・首相)の顧問会議(座長・御手洗冨士夫日本経団連会長)が、その具体案作りの監視役となっている。
 ただ、福田前首相の突然の辞任表明と、福田前首相以上に公務員制度改革に対する情熱の乏しい麻生太郎氏の政権獲得を好機と見て、官邸官僚が勢いを回復、改革の骨抜きに動くのではないか、とみられていた。


 そして、最初の鍔迫り合いが起きたのが、9月12日付けの本コラムで紹介した同5日の第1回顧問会議だ。

 まず、仕掛けたのは官邸官僚たちだ。会議の役割や議事の公開といった側面から改革を骨抜きにしようと試みた。

 具体的には、会議の冒頭で、官僚が行う「事務局説明」で、顧問会議の座長を設置するかしないか、報告書・提言書を作成するかしないか、懇談会で定 着していたインターネットによる会議の中継を行うか否か、といった項目にあえて言及せず、それらをすべて見送ろうと目論んだのだ。そうすれば、顧問会議は 単なる言いっ放しのお飾りの会議になり、世間の監視の目にさらされることもないからだ。

 ところが、こうした抵抗勢力の意図を見破った、顧問会議のメンバーは黙っていなかった。作家の堺屋太一氏、評論家の屋山太郎氏、桜井正光経済同友会代表幹事らが強く反発し、座長の設置やインターネット中継の実施を認めさせたのである。


◇ 総選挙の政治空白を利用し改革を止めようと画策


 9月23日の第2回会議も、官邸官僚たちは手練手管をいかんなく発揮した。

 まず、顧問会議メンバーから強い反発を受けて、この日からの実施を確約していた議事のインターネット中継が、「会議の開催直前に、インターネットへのアクセスが不能になった」ため、行われなかった。

 そして、官邸官僚は会議中、公務員改革基本法が定めた「内閣人事局の設置」について、詭弁を弄した。同法は、「法施行後1年以内(つまり来年6月 まで)に、内閣人事局を設置するために必要な法制上の措置を講じる」となっているが、これを強引に「早く作れということになるから、(平成)21年度中に 設置しないといけない。そうすると、年末の予算編成に間に合わせないといけない。つまり、11月に(内閣人事局の)要綱を決定する必要がある」と説明した のだ。


 だが、これは、詭弁・曲解の類に他ならない。実際の基本法に従えば、政府が持つオブリゲーションは、「来年6月までに法案を出す」ことだけなのだ。法案を成立させるかどうかは、国会の判断であり、基本法はそこまで政府に責任を負わせてなどいない。

 では、なぜ、官邸官僚は、「要綱の11月決定」に拘ったのか。まさに、この時期までに、解散・総選挙が想定されており、政治の空白期間にあたると みられているからだ。総選挙後はどんな政権が成立するかわからず、抵抗勢力にとってのリスクが小さいとは言い切れないから、さっさと骨抜き改革案を作って しまい、これで改革騒ぎにピリオドを打ってしまおうというのである。


 だが、この11月要綱決定案には、顧問会議メンバーの作家の堺屋太一氏、桜井正光・経済同友会代表幹事、高木剛・日本労働組合連合会会長、評論家 の屋山太郎氏、ジャーナリストの川戸恵子氏らが一斉に猛反発し、傍聴していた記者たちが「最後は紛糾だ」と話題にしたほどだった。


◇ 内閣が変われば担当大臣の発言も完全無視


 ところが、官僚の悪知恵は尽きるということがないらしい。中継でなく、録画になった今回の議事の配信動画をみると、この紛糾場面はカットされ、御手洗座長がメモでも読み上げるかのように淡々と議事をまとめたように編集されているからである。あの日のクライマックスの雰囲気はまったく伝わらない動画 となっている。

 そして、官邸官僚たちはこの日の会議の最後に、増田寛也総務大臣(当時)と茂木敏充公務員制度改革担当大臣(同)の2人が行った大臣発言も完全に 無視する構えだ。2人は、顧問会議メンバーたちが反発した11月要綱決定というスケジュールについて、「議論を尽くすことが大切だ。(スケジュールは)政 治的判断(で行う)」などと引き取ったのに、麻生政権の誕生によって、両大臣が交代したのをよいことに、この発言の無視を決め込んでいるのである。


 現在、官邸官僚たちは水面下で、顧問会議の下に設置が決まったワーキンググループ、顧問会議、公務員制度改革推進本部と議論を積み上げて、最終的に11月半ばに要綱を決定、これにより事実上、公務員制度改革を実質的に幕引きする計画を進めているという。


 長年にわたって、事実上、政府を牛耳り、日本を支配してきた官僚たちに改革を迫る試みは、頓挫の危機に瀕している。


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」
なまじ利害が一致し易いプロの政治家さん方に、官僚機構の改革は無理だって.... 政権交代でもして、勝手分からぬ手合いに、引っ掻き回される荒療治の方が、手っ取り早いとおもうなぁ....