土曜日, 1月 19, 2008

米大統領選の最大テーマは経済に

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フィナンシャル・タイムズ 2008年1月19日(土)12:07

(フィナンシャル・タイムズ 2008年1月14日初出 翻訳gooニュース) ワシントン=エドワード・ルース

今年の米大統領選のメインテーマはどうやら久しぶりに、「大事なのは経済なんだよバカモノ」になりそうだ。1992年の大統領選でクリントン陣営が掲げた (そしてそれによって勝利を獲得した)選挙テーマだ。とはいえウォール街ではもう数カ月前から、「(選挙で)大事なのは経済なんだよ」と心配されてきたの だが。

米国経済が不況に陥る危険は50%と多くの経済学者が警告する中、ここ数日来、3人の大統領候補が(民主党のバラク・オバマ上院議員とヒラリー・クリントン上院議員、共和党のルディ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長)相次いで、それぞれの景気刺激策を発表した。

これはつまり候補たちがみな、最新の世論調査結果を重視していることの現れだ。調査によると有権者がいま最も重視している政策テーマは、経済。2007年にはイラク戦争だったものが、経済に取って代わられたのだ。

1月8日のニューハンプシャー州予備選の出口調査によると、民主党支持者の38%と共和党支持者の31%が、ほかのテーマを大きく引き離して、最大の関心事は経済と答えている。

さらに目を引いたのは、共和党支持者の80%と民主党支持者の98%が、経済について「とても心配している」あるいは「やや心配している」と答えたこと だ。両党支持者が関心事として挙げた3大テーマはほかに、移民問題と医療だが、いずれもやはり経済的な要素を背景に抱えている。

「目新しいのは、今や共和党支持者たちさえもが経済の悪化をひどく恐れていることだ」 ワシントンの政治アナリスト、チャーリー・クック氏は言う。「つい最近まで、経済に警鐘を鳴らしていたのは民主党支持者だけだったのに」

米経済の悪化がどの候補に有利に働くか、憶測は危険だと世論調査の専門家たちは言う。しかし民主党候補のなかでは、クリントン候補が有利になるだろうと見 られている。たとえば、経済問題が最大の関心事と答えたニューハンプシャーの民主党支持者たちは、オバマ議員よりもクリントン議員を高く支持した。

平均世帯年収5万ドル(約600万円)未満の有権者たちが一番支持するのも、クリントン議員だ。これに対してオバマ議員は、「希望と変化」を唱え、より教 育レベルの高い有権者の支持を集めている。平均世帯年収10万ドル(約1200万円)以上の有権者は、圧倒的にオバマ議員を支持しているのだ。

「一般論として、希望や変革という選挙メッセージに有権者が好意的に反応するのは、経済が好調なとき」 インターナショナル・ストラテジー・アンド・イン ベストメントのワシントン事務所のトム・ギャラガー氏はこう言う。「私が思うに、不景気になれば、自分には実行力があると主張する候補が有利になる」

一方で、不景気になれば有利になる共和党候補は、経歴だけをとれば明らかに、ミット・ロムニー氏のはずだ。前マサチューセッツ州知事のロムニー氏はヘッジ ファンド運営で設けた2億ドル以上の個人資産をもつ、もっとも金持ちの候補だ。しかし政策テーマについてことあるごとに立場を変えてきた、風見鶏的な選挙 活動が広く批判されている。「イデオロギーではなく自分の実務能力を売り物にしてきたなら、ロムニーは今ごろ躍進しているはずだが、今までそうしてこな かった」とクック氏。

やはり共和党候補では、アリゾナ選出のジョン・マケイン上院議員もマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事も、経済に強いという定評はない。そして局地的 な不景気にずっと見舞われているミシガン州の予備選で、この3人がぶつかるわけだ(訳注・ミシガンではロムニー氏が勝った)。しかしハッカビー氏は一般受 けする経済ポピュリズムのメッセージを繰り返し展開するようになったし、マケイン氏はこれまでもずっと利権誘導型の政治を厳しく批判してきて、2人とも支 持率を上げている。

それでもほとんどの専門家は、本選のころになればイラク戦争がテーマとして再浮上しているはずだと見越しているが、それでも最重要テーマは経済のまま本選 にいくだろう。1992年大統領選を参考にするなら、選挙では政治テーマよりも経済が優先するものだ。1992年には米失業率が6月にピークに達し、そこ から減り始めた。しかし有権者たちは11月になってもまだ景気を心配し続けて、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領に2期目を与えずにビル・クリントン氏を大統領に選んだ。

1992年の大統領選はそのほかにも、やはり経済を主要テーマに掲げて出馬したロス・ペローという第3の候補の存在によって、混乱に拍車がかかった。 2008年に米経済が不況に陥れば、今回の大統領選も同じような展開になり得る。不況によって「最大の恩恵を受けるのは、もしかしたらマイケル・ブルーム バーグ(ニューヨーク市長)かもしれない。経営者としての経験を全面に打ち出す資格が、申し分なくあるわけだし」とギャラガー氏。「一方でイラクが主要 テーマだったとしても、市長の立場では大したことは言えないし」

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市場の動きのが、早かったね。

金曜日, 1月 18, 2008

官僚の埋蔵金隠匿を容認する福田政権の杜撰な予算編成

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ダイヤモンド・オンライン

 昨年来の株式相場の急落が一向に収まらず、景況感が厳しく冷え込む中で、18日、春の通常国会が召集され、年末にまとまった政府原案を軸にした予 算審議が始まることになった。ここで問題なのは、政府・与党が、この政府原案で、巨額の“埋蔵金”、つまり特別会計に秘匿されている剰余金の存在を有耶無耶にしたまま、一段と景気の足を引っ張る予算を押し通そうとしていることである。いったい、どこまで“官製不況”を増幅するつもりなのか。福田康夫内閣に 速やかな再考を求めたい。

 まず、霞が関の官僚たちが全容を明かそうとせず、福田首相が行政の長としての使命を果さずに、その“隠蔽”を黙認している埋蔵金の実体を推測して みたい。前回のこのコラムでも触れたデータだが、手掛かりとなるのは、2005年4月の経済財政諮問会議(当時の議長は小泉純一郎元首相)に提出された 「各特別会計の改革案」である。この改革案には、主要な31の特別会計の資産・負債状況がどうなるか、2005年度、2009年度、2014年度の3時点 について「現状維持ケース」と「改革ケース」に分けて6つの試算が明記されている。

◇ 特別会計の事業終了時には埋蔵金68兆円が見込まれる

 この中で、すでに完了した2005年度(現状維持ケース)について、資産から負債を引いた差額(剰余金)に着目。これを官僚たちが過去に溜め込ん できた埋蔵金と考えると、その金額が最も大きいのは、財務省所管の「財政融資資金特別会計」で、その剰余金額は実に26兆7291億円に達している。次い で、同じく財務省所管の「外国為替資金特別会計」に6兆2804億円、農林水産省の「国有林野事業特別会計」に5兆7120億円、厚生労働省所管の「労働 保険特別会計」に2兆5634億円、国土交通省所管の「空港整備特別会計」に2兆1400億円の剰余金が存在するという。これら5つの特別会計の合計だけ ですでに43兆4249億円の埋蔵金が溜まっている計算だ。

 そして、それぞれの特別会計で終了時点は異なるが、将来、事業を終了する際に、それぞれの特別会計が巨額の資産・負債差額を生むと見込まれてい る。この5つの特別会計でみると、その差額は、「財政融資資金特別会計」が2037年度に53兆4045億円、「外国為替資金特別会計」が2005年度に 4兆2803億円、「国有林野事業特別会計」が2006年度に4兆4961億円、「労働保険特別会計」が2014年度に4兆1523億円、「空港整備特別 会計」が2012年度に2兆3077億円といった具合である。これらを単純合計すると、実に68兆6409億円の埋蔵金が発生すると見込まれている計算だ。

◇ 政府原案の埋蔵金取崩額はたった10兆円足らず

 さて、そこで最も問題なのは、こうした43兆円とか68兆円といった規模の埋蔵金の蓄積や発生が2005年4月の段階で見込まれていたにもかかわらず、その実体の把握・公表がまったく行われないまま、今回も昨年末の政府原案が作成されてしまったことである。

 もちろん2005年度末段階の剰余金は、それぞれの特別会計が抱える様々なリスクを勘案すれば、直ちに全額を一般会計に戻してよいものとは言えま い。しかし、これほど巨額の剰余金をそっくりそのまま残しておく必要があるはずもない。むしろ、一般会計に比べて監視の眼が行き届かない特別会計に、これ ほどの剰余金があるとすれば、壮大な無駄遣いの温床となっても不思議はない。

 ちなみに、今通常国会で審議される2008年度予算の一般会計の歳入歳出規模は、83兆0613億円。第2の予算である特別会計で、43兆円とか68兆円といった埋蔵金が蓄積・発生しているならば、これを一般会計に戻すだけで、どれほど財政再建が進むかわからない。

 実は、今回の政府原案では、あの巨額の剰余金を抱える「財政投融資特別会計」から9兆8000億円の準備金を取り崩し、国債の償還に充当して国債 発行残高を圧縮することになっている。しかし、その金額はこの特別会計が2005年度末にかかえていたはずの剰余金(26兆7291億円)の4割にも満た ない。果たして、これで取崩額として妥当なのか。なぜ、他の特別会計からは一般会計への繰り入れをしないのか、まったくアカウンタビリティ(説明責任)が 果されていない。

◇ 埋蔵金を使えば消費税増税も不要

 補足しておくと、新規国債の発行額だが、過去3年間についてみると、2005年度に2兆2000億円、2006年度に4兆4000億円、そして 2007年度に4兆6000億円の削減を実現してきた。ところが、2008年度予算では、その削減額がわずか1000億円に縮小してしまった。

 さらに言えば、政府・与党は、今夏にも総選挙を終わらせたうえで、来年度に消費税を引き上げる構えを見せてきた。具体的には、政府は2009年度 に、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる方針を決定済みだ。そして、その財源として有力なのが消費税の税率引き上げである。政府は、現行5%の 消費税率を1%程度引き上げて、必要な財源の2兆3000億円あまりを補う腹とされている。だが、溜め込まれた巨額の埋蔵金を取り崩せるのならば、こうし た増税は必要が無いことになる。

 また、埋蔵金を有効活用することによって余裕が出てくるとすれば、企業の国際競争力に直結する課題とされながら、財源不足から先送りされてきた法 人税の引き下げ余地も出てくる。この問題では、日本経団連の御手洗冨士夫会長がかねて「現在の40%(程度の法人税実効税率)を30%に引き下げるべき だ」と要求してきた。実際に、ドイツや英国など欧州諸国で現在、法人税の28~29%程度への引き下げ競争も起きており、大きな懸案とされていた。が、や はり、歳入不足に陥ることが懸念されて、手付かずだったのである。

 ここで埋蔵金問題に対する姿勢が甘いという点で、政府だけでなく、 野党・民主党にも苦言を呈しておきたい。同党は16日の党大会で、今国会を「ガソリン値下げ国会」と名付けて、近く期限を迎えるガソリン税の上乗せ暫定税 率の延長を阻止することに全力をあげる構えを見せている。1リットルあたり155円前後に上昇してきたレギュラーガソリンを25円程度引き下げる効果があ るからだ。だが、道路特定財源全体としてみれば、この暫定税率の延長阻止は、国・地方をあわせて2兆6000億円程度の減税措置に過ぎない。

 ガソリン値下げ要求は、政権交代を目指す小沢一郎代表の肝煎りの戦略と言い、筆者は、そのことをかかげること自体にあえて異を唱える気はない。しかし、規模・効果から見て、もっと重要なのは埋蔵金論議であり、これを避けてよいとも思えない。

◇ 支持率下落を食い止めるには埋蔵金は避けて通れない課題

 昨年、日経平均株価が11%下落するなど、世界の主要市場で唯一2桁マイナスの“独り負け”市場となった東京株式市場。この東京市場では、今年に 入ってからも、日経平均株価がわずか8日間で昨年末より1800円以上も下げる急落が続いている。長年、低成長を放置してきた日本政府に対する市場の不信 感は非常に強いと言わざるを得ない。

 その一方、懸案の補給支援特措法が可決・成立したにもかかわらず、年初からの各種の世論調査における福田内閣の支持率が下がり、逆に、不支持率が 上がる傾向がどんどん強まっている。この傾向にも、通常国会に向けて、福田政権の経済運営手腕への不信感を強める大衆意識が見て取れるのが実情だ。

 まず、有耶無耶になりつつある埋蔵金論議にメスを入れ、個人消費、企業の設備投資、輸出と並ぶ4大経済主体の1つである政府部門の予算を正常化することが経済運営で避けて通れない大きな課題となっている。

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なめられっぱなし....

木曜日, 1月 17, 2008

ねじれ異常国会閉会で思う、福田長期政権の予感 【週刊・上杉隆】

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ダイヤモンド・オンライン

 今週(1月15日)、第165回国会が閉会した。

 振り返れば、なんと、まぁ、騒々しい臨時国会であったことだろうか。福田首相自身も、一昨日(火曜日)の記者会見で、その異常性について言及している。冒頭から、騒動続きの国会であったことは確かだ。

 昨年9月12日、取材を通じてある程度の予測はついていたものの、安倍前首相のあの突然の辞任には、筆者も驚きを禁じえなかった。『官邸崩壊』は免れないとは思っていたもの、新テロ特措法の成立を宣言した所信表明演説の直後の辞任など、いったい誰が想像できただろうか。

 すでに、遠い過去の話のようになっているが、じつは、あの前首相の「辞任劇」は、今回の臨時国会の中で起きた出来事だ。忘れそうになるのは、それほど、この国会がその後もドタバタ続きだったからであろう。

 臨時国会の終了によって、福田政権はとりあえず一つ目の関門を抜けたようだ。今後の政局を分析する上でも、この「未常識の世界」(中川秀直元幹事長)は重要だ。最初にこの越年国会を軽く振り返ってみる。

◇ 新テロ特措法のための国会

 辞任直後の自民党総裁選では、本命の麻生太郎候補が、「麻生クーデター」によって消えた。実際は、8派閥の談合による福田支持が麻生支持を上回っただけなのだが、陳腐な「陰謀論」が政治闘争に花を添えた。

 福田政権の誕生は、自民党の延命措置であったが、いざ国会が再会すると、やはり7月の参院選敗北の後遺症が大きく響く。

 参議院で野党が過半数を占めるという「ねじれ現象」によって、審議は事実上ストップした。福田政権は、11月までの法案通過がゼロという異常事態を余儀なくされる。

 その状況を打破するため、「福田=小沢」による党首会談が開かれた。しかし、唐突な「大連立」構想が持ち上がったため、与野党の関係はかえって膠 着化した。会談自体が否定されたうえに、小沢代表の辞任表明などの「茶番」もあり、「大連立」構想が陽の目をみることはなかった。

 窮した福田内閣は、再々延長による「越年国会」を決断、結局、憲法59条に基づく衆議院の3分の2による再議決を経て、懸案の新テロ特措法を成立させたのだ。

 このようにこの臨時国会は、まさしく新テロ特措法のための国会だったといっても過言ではないだろう。だが、もちろんそればかりではなく、他にも成果はあった。

◇ 小泉・安倍とは異質の「自ら旗を挙げない」政治手法

「薬害C型肝炎救済法」は、計26本通過した法律の中でも特記すべきものだ。12月25日に「議員立法」での成立を指示してから、わずか2週間での法制化は、福田首相が世論の動向を意識したからだといわれる。

 実際、他の通過法案も、たぶんに世論の動向に影響を受けた痕跡がうかがえる。

 たとえば、「振り込め詐欺救済法案」では、高齢者など裁判に訴える余裕のない被害者を速やかに救済するため、預金などを補償させる仕組みを創った。もちろん、多発するこの種の事件を反映して成立させた法案だ。

「改正温泉法」、「改正銃刀法」も、それぞれ、東京・渋谷の温泉施設での爆発事故、長崎・佐世保などでの銃乱射事件を意識して、成立を急いだ。

 さらに、国会議員の政治団体への原則1円以上の領収証公開を義務付けた「改正政治資金規正法」や、永住帰国した中国残留邦人への基礎年金の満額支給などを決めた「改正中国残留邦人支援法」は、薬害肝炎と同じく、世論に押されて成立したものだ。

 このように、前政権のKYぶりを「他山の石」としたのか、福田政権は、あくまで世論の動向を見極めながら、低姿勢の政権運営を選択しているように思われる。

 いわば、小泉=安倍政権が、「自ら旗を立てて、参集した賛同者とともに政治を行なう手法」であるとするならば、福田首相は「周囲の賛同者にそれぞれ旗を揚げさせて、その中から最善のものを選んで政権運営を行う手法」といった違いだろうか。

 こうして傾向は、福田首相の目指すものを見極めるうえで取材の格好の指針となる。

◇ マスコミは内閣改造断念と報じたが…

 たとえば、昨年末の訪中以来、各メディアが報じていた「年明けの内閣改造」も、福田首相のそうした政治手法を考えれば、そもそもが「誤報」だった可能性が高い。

 福田首相は、中国での内政懇(外遊中の首相が同行記者団に内政について懇談するもの)で、「内閣改造については白紙で、年明けにするかしないか、考える」としか語っていない。

 臨時国会閉会直後の17日には自民党大会が控え、18日には通常国会が始まる。さらに、本予算や日切れ法案(租税特別措置法改正案など)を抱えて 政治日程に余裕はない。そうした状況で、内閣改造などありえるだろうか。状況を十分見極めてからでしか決断しない福田首相が、支持率をさらに悪化させる可 能性のある内閣改造という賭けに出ることはあるのだろうか。

 筆者はきわめて懐疑的であった。じつは、訪中前、福田は閣僚の一人にこう語っている。

「内閣改造をすると、またしてもマスコミが『事務所費用だ』『身体検査だ』と書きます。そうすると、政権は無用な混乱をきたします。ここは、身綺麗な皆さんに、是非とも夏のサミットまで辛抱していただきたい」

 こうして筆者は年末に、「内閣改造はサミット後」という記事を『週刊文春』に寄せた。果たして、年明けの内閣改造はなかった。たまたま当たった結果を誇っているわけではない。福田首相の性格を考えれば、この時期の改造を見送るのは当然の帰結であったのだ。

 だが、各メディアは「福田首相 内閣改造を断念」と報じた。そもそも考えていないことを「断念」とされるのだから、首相もたまったものではないだ ろう。だからこそ、年頭の記者会見で、福田首相は「勝手にマスコミが(内閣改造に意欲と)書いただけです」とわざわざ苦言を呈したのだ。

「少なくとも、内閣改造や総選挙ということを、福田総理が考えたということはないと思います」

 昨日、福田首相の最側近で、毎日のように携帯電話で連絡を取り合っている衛藤征士郎衆議院議員も、筆者にこう述べた。

 じつは、内閣改造についてのメディアの「誤報」の例をあえて述べたのには理由がある。

 なぜなら、いま各マスコミはまたしても、今年中の「解散・総選挙は避けられない」といった報道を盛んに流しているからだ。

 本当にそうだろうか。福田首相の性格と、臨時国会での政権運営の方針を見ずして、そう語り、再び同じ過ちを繰り返そうとしている気がしてならない。

 あす(金曜日)から始まる通常国会の最大の関心事は、解散・総選挙の是非と「日切れ法案」等の成立の可否となっている。

 ねじれ国会によって、道路特定財源の暫定税率維持のための租税特別措置法改正は、年度内の日切れまでの成立は不可能だというのが大方のメディアの見方だ。その上で、追い詰められた福田首相は、解散を余儀なくされるといったストーリーを作っている。

 だが、筆者は、自ら旗を掲げない福田首相が、果断な決断を要する解散総選挙に踏み込むとはどうしても思えない。

◇ 福田首相は長期政権を視野に入れている?

 伊吹文明幹事長は、火曜日の記者会見で、通常国会の早い段階で予算関連法案を、本予算と同時に衆議院に提出する方針を明言している。ということ は、再び憲法59条を使って60日ルールに基づく3分の2議決による年度内成立が可能となるということだ。本予算は言うまでもなく、衆議院に先議権があ り、30日ルールが適用される。そしてこの難局を乗り切れば、当面、福田政権への大きな障害は消える。

 その場合、7月の洞爺湖サミットを控える福田首相が、衆議院の解散に打って出る可能性は極めて低いだろう。父・福田赳夫首相は東京サミットを決め たものの、「第2次角福戦争」に敗れて東京サミットにOBとしてしか出席できなかった。外交好きの福田首相が、国際会議の議長を目前で手放したくないとい う理由の他にも、こうした福田家の因縁が政治決断を左右させるかもしれない。

 付け加えるならば、通常国会の終盤の5月末には、第4回アフリカ開発会議が横浜で開かれる。火曜日の記者会見で、福田首相はその会議の成功にも並々ならぬ意欲を示している。

 このように、臨時国会を丁寧に振り返り、政権の政治手法を検証すれば、福田首相の慎重な方針が、通常国会で突然変わることはないと思われる。

 前出の衛藤議員は、約2年前に福田首相が彼に述べた次の言葉を教えてくれた。

「首相は、4年間できないような人ならば、ならないほうがいいでしょう。1年間全力投球なんていう人はだめですね。政策は予算を1回組めば済むも のではなく、3回、4回と予算を組んで初めて実行できるものです。首相になったら、予算を通し、きちんと執行されるかも監視しなければならない。それに付 随するさまざまな法律も通さなければならない。そうすれば、4年なんてあっという間です」

 メディアの報道とは違って、案外、福田首相は、すでに長期政権を視野に入れているのかもしれない。

」

残念ながら....

木曜日, 1月 10, 2008

官邸官僚の前に潰えた独立行政法人改革のお粗末

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ダイヤモンド・オンライン

 2007年12月に閣議決定された独立行政法人(独法)の整理合理化計画。現在102ある独法は86まで減るものの、その実態は、すべて同じ所管省庁内での統合にすぎない。福田内閣の一大テーマであった独法改革は骨抜きにされ、単なる数合わせに終わった。

 渡辺喜美行政改革担当相のひとり相撲となった「独立行政法人改革」は、年の瀬も迫った12月24日の整理合理化計画の閣議決定でようやく幕を引い た。結果は、官僚側の大勝利といってよい。マスコミの援護射撃のみを頼りにした渡辺行革相だったが、官邸を動かす内閣官房の「官邸官僚」の前になすすべは なかった。

 福田康夫内閣にとって今回の独法改革は、安倍晋三前内閣のいわば“置き土産”である。農林水産省所管の独法、緑資源機構の談合事件摘発、同事件へ の関与を疑われた松岡利勝農水相(当時、以下同)の自殺という安倍政権を直撃した激震のなかで、安倍首相は緑資源機構の廃止を決定。同時に独法全体の「ゼ ロベースからの抜本見直し」を佐田玄一郎行革担当相に命じたが、その佐田氏も架空の事務所費計上問題で辞任、後任に起用した渡辺氏に委ねたのである。

 渡辺行革相は、行革担当相就任直後から新人材バンク(官民人材交流センター)設立をめぐり霞が関の中央省庁と“戦闘状態”に入ったが、安倍首相、塩崎恭久官房長官などの「安倍チーム」のバックアップでなんとか乗り切った。

 しかし、このときの渡辺行革相に対する霞が関の抵抗は前例がないほど執拗だった。財務省が新人材バンク案に反対する冊子を公然と配布しただけでな く、経済産業省は行革担当相の事務局である内閣官房・行革推進本部事務局に出向していた審議官を異動させ、後任を出すのを拒否。また、財務、経産両省は行 革担当大臣室に出向させていた事務官を引き揚げるということまでしている。

 小泉純一郎内閣では、「官邸」に睨み殺しにされた霞が関だったが、安倍内閣ではほぼ完全に息を吹き返したのである。

◇ 渡辺行革相は蚊帳の外 官邸主導で改革骨抜き

 2007年7月の参院選での自民党惨敗から1ヵ月後、安倍首相の突然の辞意表明で政権は崩壊し、代わった福田内閣でも渡辺氏は行革担当相として留任。そして新人材バンクの次の一大テーマとして打ち上げたのが「独法整理」である。

 しかし、霞が関の全府省は行政改革推進本部のリスト提出の求めに、8月、9月の2度とも「廃止すべき法人はない」とゼロ回答で応じた。これに対し 渡辺行革相は、2004年に行革推進本部内に設置され、独法改革を検討してきた「行政減量・効率化有識者会議」(座長は茂木友三郎・キッコーマン会長)の 「報告書」提出を機に一気に反転攻勢に出ようとした。

 報告書には国土交通省所管の都市再生機構、住宅金融支援機構、経産省所管の日本貿易保険など「11法人の廃止・民営化」が明記されていた。また国 民生活センター(内閣府)、国立女性教育会館(文部科学省)など7法人の統合・移管や、統計センター(総務省)、国立病院機構(厚生労働省)の非公務員化 なども盛り込まれていた。

 2007年11月27日、渡辺行革相はこれら11法人の名を明記した関係資料を用意し、記者会見で「報告書」をぶち上げる算段を固めていた。とこ ろが茂木座長の会見寸前になって、資料は回収されてしまった。差し替えられた資料からは11法人の名が削除されていたのだった。渡辺、茂木両氏は記者会見 の前に町村信孝官房長官、その後、福田首相の執務室を訪れ「報告書」を説明している。官邸筋は、町村官房長官の段階で法人名公表にストップがかかったと見ており、福田首相もそれに同意したと考えてよい。

 記者会見に臨んだ茂木座長は、「この段階で特定の法人名を出さないほうがいいという政府の判断だ」と説明した。これは「独法改革」が渡辺、茂木両 氏から取り上げられ、官邸主導で行なう方向が動かしがたいものになったことを認める発言でもある。この段階ですでに勝敗は決していたのである。

 その後、渡辺行革相と関係省庁の大臣との交渉が相次ぎマスコミも連日のように派手に取り上げたが、それは「抜本改革はしない」という官邸が決めたシナリオの下での茶番劇だった。

 閣議決定された整理合理化計画の最終調整を実際に行なったのは、町村官房長官(旧通商産業省出身)、二橋正弘官房副長官(元自治事務次官)が取り 仕切る官僚の牙城・内閣官房である。小泉、安倍内閣時代の官邸主導、政治主導が、福田内閣では「官邸官僚」主導となったことを如実に示している。

◇ 単なる数合わせで実態に変化はなし

 そもそも独法は、2001年の中央省庁再編で、事務・事業にかかわる「現業部門」を分離し、透明で効率的な運営をするということで57法人が新設された。

 だが、小泉内閣の「特殊法人改革」でその性格は著しく変質した。小泉首相は石油公団、道路公団など各省の大黒柱ともいうべき大型特殊法人の「解 体」を行なったが、それら特殊法人の旧来の業務のほとんどが独法として生き残った。つまり、看板がかけ替えられたにすぎない。「独法は行政改革のゴミ 箱」(総務省幹部)とするボヤキが出るのも当然で、現在、その数は102法人、2007年度には約3兆5000億円の国費が投入され、約13万人の職員がいる。

 今回、閣議決定した整理合理化計画では、廃止・民営化や統合によって削減が決まったのは16法人、国費の投入も約1500億円縮減できるとしている。

 しかし、それらはあくまでも官僚お得意の“数合わせ”にすぎない。最終局面で福田首相は、“改革の本丸”とされた国交省所管の都市再生機構が行な う賃貸住宅事業の民営化と、住宅金融支援機構の組織見直しについて2~3年後に結論を出すと裁断したが、これは問題の先送りで、空手形に終わるだろう。経 産省所管の日本貿易保険も、政府全額出資の特殊会社化されるが、政府が持ち株放出を行なわないことが前提条件になっており、実態は変わらない。

 結局、今回の「独法改革」で実現した大型法人の廃止は、安倍内閣で決定ずみの緑資源機構だけだ。しかも、その緑資源機構にしても、水源林造成は農 水省所管の独法、森林総合研究所に吸収されて生き残る。まさに“モグラたたき”と同じで、たたかれて一時的に姿を消したようでも、衣装を変えて再び頭をも たげてくるのである。そして官僚たちは再び独法に対する批判が強くなると見れば、次なる新たな衣装(組織形態)を考え出すことだろう。

 経産省で「改革派」とされた有力OBは古巣への絶望を隠さない。

「優秀な官僚は見切りをつけて辞め、“でも・しか官僚”が国費を食い尽くすという最悪の状態だ」

(ジャーナリスト 生田忠秀)

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ここまでなめられても、なお、自公政治にしがみつく心理って、一般的じゃないと思う。
民主党に代わって、何が変わるんだ?って、少なくとも、官僚との癒着にメスをってなら、これまで接点のなかった人間に対応させた方がイイに決まってるじゃん。

情報を握る者に「富」が集中する中国

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「一党独裁」と「市場経済」の矛盾
ダイヤモンド・オンライン

 新年明けましておめでとうございます。私は、年末年始を東京で過ごしました。東京の元旦の青空は、本当に鮮やかな青でした。中国で長い間生活している私にとっては、中国では先ずお目にかかれない晴れ晴れとした青空でしたので、特に印象深いものでした。

 東京という日本の首都におけるこの青空は、経済と環境の両立への努力の結果として、積極的に評価していいのでしょう。この面では、日本は一歩も二歩も中国の先を行っているのだと思います。

 一方、経済の活力はあるけれど、混沌として、いつでもスモッグに覆われている中国。発展の段階、その特性の違う両国、新年はどんな展開、交わりをみせるのでしょうか。

◇ 共産党が情報を独占しながら市場経済化を進めることの歪み

 さて、本題にはいりますが、その中国の発展にとって諸刃の剣となっているのが、共産党の一党独裁です。独裁による強権に基づき、自らの方向性をダ イナミックに推進できるというプラスの側面があります。一方、マイナス面は、いうまでもなく、官僚の腐敗、社会の調整弁機能の弱さ、そして一党独裁と市場 経済とが結びついた経済の歪みがあります。

 この内、「一党独裁と市場経済とが結びついた経済の歪み」は、我々ビジネスマンにとって非常に重要な視点であると思います。ここで「一党独裁と市 場経済」を考える前に、そもそも、80年に改革開放が叫ばれるようになるまでの中国において存在した社会主義計画経済というものを見直してみると、この問 題が分かりやすくなります。

 社会主義計画経済とは、共産党が情報を独占することが肝になります。共産党が絶対神であるがごとく、まずは、共産党と共産党員が情報を独占する。 そして、市場の裁量ではなく、共産党員の恣意で全ての財が分配されるというのが計画経済なのです。何を言いたいかというと、現在の社会主義市場経済の「社 会主義」の意味は、すなわち「情報の独占」ということです。情報の独占は、引き続き共産党が維持し、一方で市場経済を導入していることです。

 本来、市場経済の前提は、先ず情報の公開があり、公開された情報を各プレーヤーが享受したうえで、競争し、社会全体が発展するということであると 思います。従って、社会主義市場経済は、同時に情報の独占が存在するという意味で大いなる歪みがあるわけです。中国のその歪みが、いたるところに噴出して いるのが、現在の中国ということです。

 中国共産党も、当然この問題を認識していると思いますし、どんどん情報の透明化をしようと体制を整えております。ただし、私が見ている限り、まだ まだ肝心な情報というのは共産党が握っていますし、それを入手できるのは、やはり周辺の共産党員であったり、その親族であったり。やっと公開されるころに は、ある程度既成事実になっているようなことがまだまだ多いと思います。

◇ 情報操作、市場操作は当たり前富める者がますます富む構造

 そんな状況のなかで、一方で市場があり、裏で最初に情報を得られる人が市場を操作したら、これは絶対勝てますよね。今、世界の商品相場で波乱要因は中国だと言われていますけど、それは需要が膨大という意味で当然だと思います。

 ただ、一方で、中国では、商品相場で何億ドルと運用する個人がいます。これは私の推測ですが、彼らはそれだけ資金を持っているから、共産党から内部情報を得られていることは想像に難くないと思います。彼らは、これから当面勝ち続けると思います。

 なぜかというと、中国の来年の需要がどうだとか、農作物の作付けがどうだとか、そんな情報は、多分、世界のだれよりも先に共産党から聞いている可 能性があるからです。ですから、中国に個人のスタープレーヤーがいるということは、そういう背景があるのではないかと推測されます。

 上は1つの極端な例ですが、さまざまな局面で情報の偏在が一部の富に結びついているというのが今の中国の現実です。誰かが先に豊かになるという、 先富論からすればいいのかもしれませんが、程度が過ぎると社会全体の発展の阻害要因となることは誰もが知っています。もちろん、日本でも米国でも、本当に 価値のある情報というのは、少数の人が握っているものかもしれません。ただし、この傾向が激しいのが今の中国と考えていただければいいと思います。

 結果、こうした情報を得られる人、企業は、当然、独占的な利益が得られますから、その力に乗って、世界戦略にも乗り出そうとしている。一方、そう いった情報に接することができない人は、やはり高度成長のメリットに浴することができなくて格差になってしまう。これが行き過ぎたので、そういう意味も含 めて情報の透明化を図らなければならない。情報の透明化というのは法制の運用面での安定化でもありますから、そういうことを一生懸命やろうとしているの が、今の胡錦濤さんの一連の動きであるというふうに見ていただければいいと思います。

◇ 西側並みの情報公開が可能になる日はいつか

 情報の透明化において、1つのターニングポイントは、2002年から2003年にがけて発生した、例のSARS問題だと思います。中国当局が、情 報を隠蔽したがために問題が大きくなってしまって、結局、衛生部長が解任されました。これは、おそらく、共産中国建国以来、役人が情報を公開しなかったこ とによって処分された初めての事例ではないかと思います。

 それまでは、情報を公開することによって処罰されてきました。それが、初めて情報を公開しないことによって処分をされたという意味で、あの SARS事件というのは、中国の情報公開元年じゃないかというふうに思います。そうすると情報公開元年からまだやっと5年あまりで、まだまだ緒についたと いうことかと思いますが、中国でビジネスする者としては、この勢いがこれからも少しずつ進んでいってもらえればと思います。

 では、どういうふうに進むかというと、これも私が体験的に感じているのですけど、やはり、いい情報というのは、人の周りから少しずつ出てゆくも の。共産党員の同僚だったり、その家族だったり。また、共産党の高官、次は国有企業があります。家族もビジネスをやっていますし、国営企業も当然その情報 を利用して儲けようとする。そして、情報が少しずつ伝わっていって、周辺の人からどんどん豊かになってくる。

 そして、情報がいつ西側並みに公開されるかというのは、おそらく、中国全体の富裕層がもう少し増えた段階。要するに、権力者の周りの人たちがおなかいっぱいにならないと、多分、情報の共有化、透明性というものは進まないのではないかと感じております。

 さらにその時は同時に、民主化を進めるうえでの機が熟した時期といえるかもしれません。そして、一党独裁が徐々になくなってくるのだと思います。 ただ、その時は、中国も安定成長に入り、リスクは減りますが、人民元も、人件費も高くなり、外資にとっても中国の位置付けが変わってくるというのが将来の 姿であると思います。

」

現代中国は掴み切れない....。

金曜日, 12月 21, 2007

福田政権、官僚に敗北! 骨抜きの独立行政法人改革 【町田徹の眼】

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ダイヤモンド・オンライン

 政府の独立行政法人改革が、すったもんだの末、成果があったかのように装う「数合わせ」の幕切れを迎えようとしている。本稿の執筆段階(20日 夜)では、国土交通省傘下の都市再生機構と住宅金融支援機構の2つについて、福田康夫首相が預かって21日中にも最終判断を下すことになっているが、その 選択肢に早期の民営化などの抜本策は含まれていない。

 先の年金問題を巡る首相自身の失言もあって、内閣支持率はすでに急落の様相をみせている。年末の独立行政法人改革の失敗は、官僚に弱く、経済政策に疎い福田政権の力量を改めて浮き彫りにしており、来年の政局運営に大きな影を落としている。

◇ 目玉になる大改革は無く数合わせのお粗末な結果に

 独立行政法人改革が大詰めを迎えた12月19日。この最後の最後の局面まで、渡辺喜美行革担当大臣は、はしごを外され続けていた。町村信孝官房長官に主導権を奪われ、5省の大臣との3大臣折衝で敗退を繰り返したのである。

 最初は、午前10時20分過ぎからの渡海紀三朗文部科学大臣との3大臣折衝だ。まず、町村長官が、学位授与機構と国立大学財務経営センター、国語 研究所と人間文化研究機構、防災科学研究所と海洋研究開発機構の統合を提案して合意を取り付けたものの、渡辺大臣が主張してきた青少年機構や学生支援機構 の他の法人との統合は見送られた。

 次いで、若林正俊農林水産大臣との3大臣折衝でも、渡辺大臣の研究6法人の統合要求が退けられた。

 午後のトップバッターとなった舛添要一厚生労働大臣との折衝でも、町村官房長官は換骨奪胎を繰り返した。労働健康福祉機構の統合相手を、国立病院機構から、労働安全衛生総合研究所に差し替えたのだ。

 そして、甘利明経済産業大臣は、「政府保有株を売却しない」という条件、つまり、「民営化しない」という趣旨の条件を突き付けて、これを認めさせたうえで、日本貿易保険を政府の100%出資会社にすることを受け入れた。

 極め付きは、この日、最後の3大臣折衝の相手となった冬柴鐵三国土交通大臣だ。町村官房長官は、渡辺大臣が今回の独立行政法人改革の最大の目玉と して要求してきた都市再生機構と住宅金融支援機構の早期民営化案を取り下げ、民営化を含めた経営形態のあり方を「3年かけて検討する」という代替案を提 示。冬柴大臣と押し切ろうとしたという。しかし、これに、渡辺大臣が納得せず、「5年以内の株式会社化」を求めて噛み付いたことから、両案の間での裁断 を、首相に仰ぐことになったとされる。いずれにせよ、こうして、早期民営化という抜本策は見送られてしまったのだ。

 できあがった改革案は、現在、102ある独立行政法人を、16減らして86に減らすというものだが、目玉になるような民営化は存在しない。それど ころか大半が、職員数十人規模の小さな法人の統合にとどまっており、「抜本的な天下りポストの削減などは望むべくもない」(関係者)と言うのだ。

 福田首相は24日に、この改革案を閣議決定する構えだが、政権として官僚に敗れたとの印象を拭えないお粗末な内容だ。

 いったい何故、こんなお粗末な結果になってしまったのだろうか。

◇ 渡辺大臣は諮問会議に全く出席できず

 振り返れば、一連の独立行政法人改革が俎上に乗ったのは、今年5月のこと。舞台は、安倍晋三前政権が議長をつとめていた経済財政諮問会議だった。 この場で、民間代表の議員が、看板の掛け替えだけに終わった特殊法人改革の反省を踏まえて、天下りの温床とされる独立行政法人の整理・合理化を年内に行う ように提案。これを受けて、安倍政権は、独立法人改革を公務員改革と並ぶ行政改革の目玉にする方針を打ち出し、渡辺行革担当大臣が、民間でできるものは民 営化することを大原則として、改革がスタートした経緯がある。

 しかし、小泉政権の後半から、経済財政諮問会議の主導権が官邸官僚の手に移っていたため、この改革には、当初から、暗雲が漂っていた。本来なら ば、渡辺大臣が折に触れて、この会議に出席し、主要閣僚に協力を求め、首相がそれを後押しすべきにもかかわらず、官邸官僚に阻まれて、5月の会議以降、渡辺大臣は一度も諮問会議に出席できないという事態に陥ったからだ。

 渡辺大臣に、焦りや苛立ちがなかったとは考えにくい。同大臣は頻繁にテレビ番組に出演し、世論に訴える手法で独立行政法人改革を進めようとした。しかし、これが、他の主要大臣の反発を買い、逆に、実現を困難にするジレンマを招いてしまった。

 こうした状況がくっきりと浮かびあがったのが、本来ならば、集中的に、渡辺大臣が所管大臣とサシの大臣折衝を進めるべき時期にあたった12月10日から12日の3日間の動きだ。驚くべきことに、一つも大臣折衝が入らなかったのである。

◇ 官邸官僚が諮問会議を牛耳り渡辺大臣を締め出した

 そこで、異例のことながら、渡辺大臣は局面を打開しようと、自ら、各省の大臣室に電話を入れた。ところが、電話に応対した大臣は、額賀福志郎財務大臣一人だけ。ほとんどの省は秘書官が対応したが、中には、秘書官まで居留守を使った役所があったという。

 12月13、14日になって、渡辺大臣は、ようやく2順目の大臣折衝に漕ぎ着けたが、どの大臣もゼロ回答ばかりで、進展はなかった。そして、迎えたのが、冒頭で記した町村官房長官を交えた3大臣折衝だったのである。

 実は、こうした表舞台の大臣折衝の不調を背後で演出した人たちがいる。財務省出身の坂篤郎官房副長官補を頂点とする官邸官僚の一群だ。彼らは、早くから、経済財政諮問会議の議事を牛耳り、渡辺大臣を締め出しただけではない。

 ある経済官庁の中堅幹部は、「坂氏ら官邸官僚たちは、12月に入ってからも『閣僚折衝は成果なしでよい。あとは官邸が引き取るので、悪いようには しない』と、我が省にも指示してきた」と証言する。こうした指示によって、まず渡辺大臣のサシの折衝を不調に終わらせておいて、町村官房長官を入れた3大 臣折衝で、骨抜き・数合わせの幕引きを図ったというのである。

 こうした官邸官僚の跋扈を許し、指導力の乏しさを露呈した町村長官と福田首相の責任が重いことは、言うまでもないだろう。

 共同通信が12月15日、16日に実施した世論調査によると、福田内閣の支持率は11月上旬より11・7ポイント低い35・3%に急落した。初めて、内閣を「支持しない」が内閣を「支持する」を上回ったのも、この時である。この急落の原因は、直接的には、年金記録問題の全面解決を事実上断念したこ とについて、福田首相が「公約違反というほど大袈裟なものか」と発言したことが大きいとみられている。

 しかし、今回の独立行政法人改革の失敗は、福田政権が、厚生労働官僚に限らず、お膝元の官邸官僚を含む全官僚に対して指導力を欠いていることを裏 付けてしまった。しかも、森喜朗内閣以来、旧清和会系の首相の経済政策オンチぶりは、定評のあるところ。来年、2008年の福田内閣の政策運営には、一段 と暗い影が立ち込めてきたと言わざるを得ない。

」

ため息しか出てこないね。
そのうち、官僚に天誅が下るぞ!

火曜日, 12月 11, 2007

道路特定財源-一般財源化を断固阻止する“抵抗勢力”

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ダイヤモンド・オンライン

 道路特定財源とは、自動車の利用者等が負担する揮発油税(基本的にガソリンに課される税金)や自動車重量税など、あらかじめ道路の建設や維持のた めに使われることが決められている税金のことを指す。この制度の基本には、当該施設を利用する受益者が、それを作ったり、維持するために必要なコストを負 担する、受益者負担の考え方がある。

 戦後の1950年代以降、道路という社会インフラの整備が遅れていたわが国は、道路特定財源の制度を使うことによって道路整備を進めた。その後、 道路網の整備が進んでも道路特定財源の制度が残り、その財源は、しだいに“道路族”と呼ばれる政治家が、自分の裁量に基づいて使うことの出来る一種の“資 金源”になっていたとの指摘もある。

 こうした状況を改革し財政の建て直しに貢献するため、特定使途の縛りをはずして、他の目的の支出にも使うことができる、いわゆる“一般財源化”が検討されている。

◇ 日本の道路整備の歴史は税金制度創出の歴史

 戦後の復興期、わが国の道路整備は遅れていた。道路を整備したくても、財源=資金がなかったことが最も大きな制約になっていた。その財源を捻出す るために、後の総理大臣・田中角栄議員(当時)が議員立法として作ったのが、「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」であった。

 翌年、揮発油税が道路特定財源化され、第1次道路整備5ヵ年計画がスタートした。58年には、臨時措置法が「道路整備緊急措置法」に改訂され、第 2次道路整備5ヵ年計画が策定されると同時に道路整備特別会計が創設された。このころから、わが国の本格的な道路整備が開始されたと考えてよいだろう。そ れに伴い、財源確保のために、66年に石油ガス税、68年に自動車取得税、71年に自動車重量税が相次いで創設された。

 こうした流れを振り返ると、わが国の道路整備の歴史は、新しい税金制度創出の歴史とも考えられる。しかも、74年以降、ほとんどの税金に関する税 率で、租税特別措置法によって、本来の約2倍近い税率が適用されている。揮発油税の本来の税率は1リットル当たり24.3円に対して、現行は同48.6円 になっている。この特別措置は、2007年度末に期限切れとなる。今後の国会の審議が注目される。

 積極的な道路整備の結果、わが国の道路整備はかなり進展したといわれている。その一方、数十年前に作られた道路に関する特定財源制度が残っており、「郵政の民営化と同じように、道路関係の特定財源制度を改革することが必要」との指摘が出てきた。

 この背景には、いわゆる“道路族”議員が、既得権益として、道路予算を支配しているとの批判が出ていることもある。そうした状況を改革するために は、族議員や一部地方の反対を押しきり、財源を“一般財源化”することによって、財政の効率化を図ることが必要になると見られる。

◇ 官僚と族議員の抵抗で“一般財源化”の議論は後退

 一応、郵政民営化の結果を出した小泉政権は、次の課題として道路特定財源問題を安倍政権にバトンタッチした。安倍政権下で様々な議論が戦わされた 後、2006年12月7日、政府・与党は、2008年の通常国会で、特定財源制度を全面的に見直す方針で合意した。具体的には、「道路歳出を上回る税収を 一般財源化する」ことが決められた。

 元々、道路特定財源の制度は、インフラ整備が遅れていた時期に、道路を作る財源を確保することを目的に作られた仕組みであり、整備の進んだ現在の 状況には適合しない部分が多い。その制度が残っているため、既得権益に固執する“道路族”や官僚などが上手く利用しているという面もある。そうしたデメ リットを改善するためには、制度自体の改革の必要性が生じることは避けられない。2006年末の合意は、相応の意義を持つものと考えられる。

 ところが、最近、そうした改革の動きが怪しくなってきた。

 まず、経済格差が進む地方や族議員から反対意見が出された。また、今年7月の参院選挙で、地方中心に安倍政権に対する批判が高まり、安倍首相率いる自民党が惨敗したこともあって、このところ、反対勢力の声が勢いを取り戻している。

◇ 不要不急の道路建設は続き増税も避けられない

 国土交通省も、今後10年間の道路建設に関わる中期計画の中で、税収をすべて道路建設等に使うことを素案としている。それが現実のものになると、一般財源化する対象がゼロということになってしまう。国土交通省は、道路特定財源の既得権を守る姿を鮮明化しているのである。

 さらに、一般財源から道路建設費用を捻出している地方公共団体や道路族議員の反対もあり、福田首相も、一般財源化には消極的といわれている。“一般財源化”の議論が大きく後退することは避けられないと見られる。

 そうした状況が続くと、これからも不要不急の道路建設が続き、道路族議員やそれに関連するファミリー企業等の既得権益が手厚く保護されることになるだろう。それでは、財政の効率化を図ることは難しい。

 その結果、増え続ける社会保障費負担を賄うため、消費税の引き上げが避けられなくなるのは明らかだ。友人の一人は、「最近、海外投資家が日本の改革に期待を抱かない理由がよく分かる」と指摘していた。残念だが、その通りだろう。 

」

水曜日, 11月 21, 2007

福田首相に聞く

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フィナンシャル・タイムズ

(フィナンシャル・タイムズ 2007年11月12日初出 翻訳gooニュース) FT東京支局長デビッド・ピリング

福田康夫首相は11月12日、首相官邸でフィナンシャル・タイムズの単独インタビューに応じた。以下はその一問一答 (gooニュース訳注:以下は英語記事からの翻訳です。福田首相自身が使った日本語表現ではありません)。

フィナンシャル・タイムズ(FT):
 最近の政局の動きについておうかがいする前に、今日の経済の動きに ついて質問させてください。今日、円が対ドルで110円をつけました。ずいぶん円が強くなってきています。町村内閣官房長官によると、円高は日本にとって 特に問題ではなく、むしろ「国の価値を上げることで良いこと」とおっしゃいました。首相もそう思われますか?

福田首相(以下、福田): 短期的には、円高は確かに問題となります。為替レートの急激な変化は、どういう形でも好ましくない。しかし長期的な視点に立つと、必ずしも円高に拒否反応を示すこともない。しかしこれはあくまでも、長期的な話です。

FT: でも今回の円高はかなり急激にやってきました。私が先週に日本を離れたときは対ドル115円だったのに、帰国したら110円になっていました。これは急すぎますか?

福田: はい、急すぎます。

FT: それについて、日本は何ができるでしょうか。

福田: 実際には、ただ日本経済の問題ではなく、米国経済の状況が反映されているわけです。私たちにできることは限られています。ただし、投機的な動きは抑える必要があると思います。

FT: どう抑えるのでしょうか。日本は介入に踏み切ることができますか。

福田: 私は「慎重に」と言っているのです。

FT:  しかし危機的な状況になれば、介入のおそれもあるということですか?

福田: 私が言っているのは、そういうことにならないよう、慎重に、ということです。

FT: ほかの話題に移る前に、経済についてもうひとつだけお聞かせください。ご承知の通り、米国では今サブプライ ムローン問題が起きていて、これが日本にも波及しつつあると一部で指摘されています。輸出の問題があるし、穏やかではあるけれどもデフレは続いているし、 GDP(国内総生産)の数字もあまり良くない。このサブプライム問題のせいで日本のとても長い景気拡大が打撃を受けて、拡大がついに終ってしまうかもしれ ないという懸念が、外国では起きています。その点について心配なさっていますか。

福田:
 米国や欧州ほど、サブプライム問題の影響は日本にはないだろうと考えています。もちろん、一部の企業は打撃を受けるでしょうが、全体的な影響は限定的なものにとどまると思っています。

もちろん、世界経済がこれからどう展開するだろうという疑問はあります。世界経済が下振れする可能性はもちろんあって、国際貿易と金融に日本がこれだけ深 く関わっている以上、日本が影響を受けるのは必至です。しかしほかの国と比べれば、日本への影響はそれほどひどくならないだろうと思います。

FT: それでは政治の話に移ります。先週の東京の動きを私はロンドンから見ていたのですが、周りからはさかんに 「これは昔への逆戻りなのか?」と言われました。日本は統治不可能なように見えます。このこう着状態はどうやって打開できるのでしょう? 早めに選挙に踏 み切って有権者からの支持基盤を固めるのか。衆院の3分の2議席を押さえている、その数の力を使うのか(それで法律を通していくのか)。あるいは民主党に 歩み寄って、大連立ではないにせよ、何らかの形で時には協力していくのでしょうか。

福田: ご承知の通り、衆院と参院ではねじれ現象がおきています。衆院では与党が過半数を占めるが、参院では野党が過半数です。こういう状況は私たちの予想外のことで、しかもしばらくは続く見通しです。これは戦後日本で初めてのことです。

なので私たちは今、かつてない経験をしているわけで、これからどうやって進むべきかまだ検討中」と首相はFTに語った。「連立を組む試みにはすでに失敗したので、当面できることは、個別案件ごとの政策協調くらいです」

なので私たちは今、前例のない経験をしているわけで、これからどうやって進むべきかまだ検討中です。個別の政策ごとに野党と協力することは、あり得るでしょう。いずれは、ドイツのような連立が生まれるかもしれません。

私たちはすでに一度、連立づくりに失敗しているので、当面は政策ごとの協力を模索するしか方策はない。法案ごとひとつひとつ、野党の合意をとりつけて政策を施行するのが、政権与党の役割です。

FT: 次の選挙のタイミングというのは、重要な秘密事項です。もしかしたら当の総理ご自身、まだ決めていないのか もしれません。しかし、主要8カ国(G8)の国の間には、これだけ政治が混乱している状態では、一体どの政府が来年の洞爺湖サミットを主催するのか予測も つかない、と懸念する声があがっています。洞爺湖サミットの時点でご自分がまだ政権を率いている、あるいは洞爺湖サミットが終るまで総選挙は行わないと保 証できますか? それを世界に約束できますでしょうか。

福田: ええ、かなりの確度で保証できますよ。総選挙の時期を決める権限は、私がもっているからです。言い換えると、衆院解散がない限り、G8サミットを主催するのは私たちだということです。

FT: おっしゃることはつまり、総理は早い選挙よりも遅い選挙の方がいいと考えていらっしゃると、そうはっきり示唆されたように聞こえますが。

福田: 全ては、野党がどう行動し、どう考えるかによります。もし野党が普通に行動すれば、あなたが今おっしゃったような展開になるでしょう。しかしいずれにしても、選挙がいつになろうと、私たちが勝てばいい。それが大事なポイントです。

FT: 総理は今週末にワシントンに行らっしゃいます。いざとなれば衆院の3分の2議席を使って対テロ法案を可決させる用意があると、ブッシュ大統領に言うことができますか。

福田: それは国内の政治問題なので、話題にするつもりはありません。言う必要があるのは、新法可決のために努力していくということだけでしょう。

FT: 民主党の小沢一郎代表は、日本は国際情勢に積極的な役割を果たすべきだが、それは米国流の善か悪かという枠組みによってではなく、国連の枠組みの中でやるべきだという立場です。総理はこれに共感なさいますか?

福田: 小沢さんは国連決議、あるいは国連決議に容認された活動という意味で、話をされています。これについて日本 国内ではさかんに議論されており、小沢さんの主張が大きな支持を集めているというわけでは、必ずしもない。それに、国連決議の下で果たして日本がどれだけ 活動できるのだろうか、という問題もあります。

ご承知の通り、日本には(平和)憲法がありますから、国連がどんな活動を認めたとしても、それが日本国憲法上どうか、という問題がある。また小沢さんはどうも、日本の憲法よりも国連決議が優先すると言いたいような、そんな印象を受けています。

日米安保で定められた色々な取り決めが、実際に速やかに実行できるのかという問題もあります。ですから私たちは、小沢さんが本当に何を考えているのか詳細に把握しない限り、彼の提案に同意することはできません。

FT: 今回の訪米では当然、北朝鮮について議論することになります。首相の訪米期間中にも、ブッシュ大統領が米国は北朝鮮をテロ支援国家リストから外すと言う可能性もあります。これは北朝鮮の核武装解除という大きな合意の利益を考慮して、日本が容認できることでしょうか。

福田: もちろん私たちは、米国が核武装解除を巡って北朝鮮と手緩い交渉をしているとは考えていません。北朝鮮の核 兵器は明らかに日本にとって大きな脅威であり、我々は米朝交渉の方向性を支持しています。我々はこうした交渉ができる限り完全な形で成立することを強く期 待しています。

FT: 拉致問題という観点から、日本が反対し、「交渉はやめるべきだ。我々は気に入らない」と言うことはないのでしょうか。日本が立場を後退させ、拉致問題が完全に解決されないままでも、交渉プロセスの続行を認めることはあり得ませんか。

福田: もちろん、北朝鮮の核開発計画が破棄されるのは望ましいことだし、我々は北朝鮮のミサイルの脅威が取り除か れることも非常に重視しています。そして拉致問題も解決する必要があります。我々としては、日本はこうした3つの問題をほぼ同時期に解決すべく、北朝鮮と 交渉する必要があると考えています。

FT: 選挙がいつになるかというのは極秘事項です。実際、総理ご自身もまだ分からないのかもしれません。しかし、主 要8カ国(G8)のメンバーの中には、これだけ政治が混乱する中で、一体どの政府が北海道のG8首脳会談(来年7月の洞爺湖サミット)を主催するのか分か らないという懸念があります。

あなたがその時点でまだ政権を率いている、あるいは洞爺湖サミット後まで総選挙は行わないと保証できますか?これは世界に向けて確約できることでしょうか。

福田: ええ、かなりの確度で保証できますよ。総選挙を行う権限は私にあるからです。言い換えると、衆院解散がなければ、我々がG8サミットを主催するということです。

FT: 選挙の時期は早いよりも遅い方が望ましいという、かなり強いヒントのように聞こえますが。

福田: 野党の動きと考え方次第です。もし野党が自然に振る舞えば、あなたが今おっしゃったような展開になるでしょうね。しかし、いずれにせよ、問題の核心は、選挙がいつになろうと、我々が勝てばいいということです。

FT: 総理は今週末、ワシントンを訪問されます。状況が差し迫れば、衆院の3分の2議席を使って対テロ法案を可決させるとブッシュ大統領に言うことができますか。

福田: これは国内の政治問題なので、話題にするつもりはありません。私が言わねばならないのは、我々は新法を可決するために最大限の努力をするということだけでしょう。

FT: 民主党の小沢一郎代表は、日本は国際問題に積極的な役割を果たすべきだが、それは米国の是か非かという枠組みではなく、国連の枠組みの中でやるべきだと主張しています。小沢氏のそうした立場に共感できますか。

福田: 小沢さんは国連決議、あるいは国連決議に容認された活動という観点で話されている。これについては日本で大きな議論があり、必ずしも彼の立場が大きな支持を得ているわけではありません。そして、国連決議の下で日本がどれだけの活動を行えるのか、という問題もあります。

ご承知の通り、日本には(平和)憲法がありますから、国連がどんな活動を認めようとも、それが日本国憲法にどう関係してくるかという問題がある。また、私が受けている印象では、小沢さんはどうも国連決議が日本国憲法より上であると言いたいようです。

日米安保で定められた様々な条項が実際スムーズに実行できるかどうかという問題もあります。ですから我々としては、小沢さんが本当に何を考えているのか具体的な内容が分からない限り、彼の言っていることに同意することはできません。
日米首脳会談で議論する北朝鮮問題

FT: 言うまでもなく、今回の訪米では北朝鮮について議論なさるでしょう。総理の訪米中にブッシュ大統領が、米国は 北朝鮮の「テロ支援国家」指定を解除する方向で動いていると発言する可能性もあります。北朝鮮の核武装解除という大きな合意実現のためになら、日本として も容認できることでしょうか。

福田: 北朝鮮の核武装解除について、米国が手緩い交渉をしているとはもちろん思っていません。北朝鮮の核兵器はもちろん日本にとって大きな脅威です。私たちは米朝交渉の方向性を支持しています。この交渉が、できるだけ完全な形で合意にたどりつくよう、強く期待しています。

FT: ということは、拉致問題を抱える立場から日本が米朝交渉について、「これはよくない。やめるべきだ」と反対したりしないということですか? 拉致問題への十分な対応がなくても、米朝交渉の継続を容認するということですか? 譲歩するというほどではなくても。

福田: もちろん、北朝鮮の核開発計画が廃棄されるのは望ましいことだし、北朝鮮のミサイルの脅威が排除されることも 重視しています。さらに、拉致問題は解決されなくてはならない。この3つの問題をほぼ同時に解決するためにも、日本は北朝鮮と交渉しなくてはならないと考 えています。

FT: 国内の問題に移ります。総理は小泉政権で大きな役割を果たされました。小泉時代に何が根本的に変わったとお考 えですか。そして後悔していることは何ですか。悪化したことは何だと思いますか? 総理はここ最近の演説で、小泉時代の悪影響に言及していらっしゃいま す。何が悪影響だったと考えていらっしゃるのか、そしてどうやって対処できるとお考えか、お聞きしたいです。

福田: 小泉改革と呼ばれているものは、日本でそれまで普通だった物事のやりかたを変えた。それ自体は、私はいいこと だったと思っています。当時、「官から民へ」や「中央から地方へ」というキャッチフレーズをよく聞いた。内容について言えば、方向性は間違っていなかっ た。しかし時によっては、(小泉元首相は)急ぎすぎたかもしれない、それによるマイナス影響がいくらかあったかもしれないと、私は思っているます。

日本はここ数年、大きく変化しています。人口が減っている。ご承知の通り、第2次世界大戦が終わってからの60年間、日本の人口は年々増え続けましたが、数年前にその流れが変わりました。

高齢者人口が急増する一方で、労働力人口はこれから減っていく。こうした変化に対応するために、やらなくてはならないことがたくさんあります。小泉改革は、こうした問題を念頭に行われたものです。

私たちは、いや、あなたもそうです。今生きている者は皆、環境とエネルギーの問題において、大きな変化に直面している。挑戦に打ち勝つため、私たちは自分たちを変えていかなくてはならない。そういう大きな変化が必要とされる時代に、私たちは生きているのです。

改革は進める必要がある。もしかしたら、もっと大規模な改革が必要になるかもしれません。

FT: どういう改革でしょうか。改革というのは、かなり曖昧な言葉です。具体的に何を想定されていますか。

福田: 日本人を見ると、今言ったように労働力人口が減っていきます。それはつまり、女性と高齢者を労働力人口に取り込んでいく必要があるということ。労働力が減るに従い、内需も減る恐れがある。とすると経済の規模も恐らくは縮小する。

その一方で私たちは、返済が必要な巨額の公的債務を抱えています。もし経済が縮小し続けたら、債務返済は簡単にはできなくなる。ですから私たちは経済を拡大し、国民の生活水準を向上させるという目的を維持しなくてはならない。そのためには、諸外国との絆を深めるしかない。

つまり私たちは、日本経済の国際化を今後も推進していく必要がある。これは基本的に、日本からの対外投資と、海外からの対日投資の両方をもっと促すという ことです。そして海外からの対日投資を促すためには、日本市場をもっと開かれたものにするため、大いに努力をする必要がある。大きな障害がいくつもありま す。障害を取り除くため、私たちは戦わなければなりません。

FT: 質問があと1つしかできないので、何をお聞きするのがいいか。そうですね、参院選で怒りをもって行動した有権 者をなだめるために、総理がやろうと考えていることには、お金がかかるものがあるかもしれません。そうなると、今はいったん棚上げされている、消費税の増 税問題が出てきます。数週間前と比べて野党が弱まっている今、増税への動きを加速させられるでしょうか? 必要だと考えていらっしゃる消費税引き上げにつ いて、発言しはじめられますか? タイミングの問題だと思うのです。以前よりも、議論開始を前倒しできる状態になったと思いますか?

福田: 日本国民は、消費税率引き上げの必要性を感じているし、理解しています。とは言っても、政府の無駄遣いに不満ですし、自由競争入札ではない随意契約が多すぎると不満満を抱いています。現時点で私たちが消費税の問題を持ち出したら、国民は激怒するはずです。

今しなければならないことは、まず私たちが、政府支出の削減にできる限り努力し、その後に、消費税引き上げを認めてもいいかなと国民が思ってくれる、そういう雰囲気作りを目指すことです。

そしてもう1点。高齢化社会において、社会保障に必要な出費が増え続けますから、今後どれだけの追加コストが必要になるのか計算しなければなりません。日 本国民は、個人個人が将来どれだけの社会保障を必要とするのか、議論をしなければならない。そして政府は、国民に選択肢を示す必要があります。

FT: 総理はすでに決まっていた歳出削減措置を一部撤回しました。いや、今はまだダメだとおっしゃったわけです。歳出削減策の中には、行きすぎたものもあったということですか。

福田: 政府が歳出削減を強調すると、どうしても横断的な削減案になってしまった。それを実行すると、すでに苦しんでいる人たちがいっそう苦しむことになる。なので、歳出削減には限度があると思っています。

」

ぼっちゃんよりは、まともでしょ?

土曜日, 11月 17, 2007

日本の新首相、国と党の進む道を見据える

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フィナンシャル・タイムズ

(フィナンシャル・タイムズ 2007年11月13日初出 翻訳gooニュース) FT東京支局長デビッド・ピリング

日本の安倍晋三前首相が今年9月にいきなり辞意を表明して世間を驚かせた後、自民党は大急ぎで後任として、福田康夫氏を首相官邸に押し込んだ。そのとき新首相は、トレードマークのドライな調子で「貧乏くじをひいた」とコメントしたものだ。

福田氏は実際、危機的状況の最中に首相となった。戦後初めて参院が野党に支配され、自民党の評判は7月の参院選以来どん底にあった。有権者は参院選で、所得格差の拡大と農村部を置き去りにする政策は、自民党のせいだと批判票を投じたのだ。

就任から1カ月半、福田新首相はテロ特措法をめぐる政局の膠着への対応にひたすら追われた。米国主導の「対テロ戦争」への日本式貢献としてのインド洋での 補給活動の継続に野党が反対したため、新首相は、海上自衛隊の撤退を命令せざるを得ないという、屈辱的な立場に立たされた。この給油活動を部分的に継続す るための新法案が衆院委員会で認められたが(訳注・13日には衆院本会議も通過し、参院送付された)、参院では否決される見通しだ。

その一方で先週には、びっくりするような大展開があった(結局は茶番で終わったのだが)。その中で福田首相は、国を治められるようにするためにと、対立する民主党に大連立をもちかけたのだ。

この申し出は結局、拒絶された。その過程において民主党の小沢一郎代表は、一時でも連立を検討したことの責任をとるためとして、いったんは辞意を表明し、そして撤回。民主党はほとんど内部崩壊しかかった。

この展開は、福田氏による見事な一手のなせる技だったのか、それとも単に運が良かったのか。いずれにしても野党の半崩壊状態によって、首相の立場は強化さ れた。それでもなお、福田首相は依然として、野党が(今回のことで勢力は弱まったが)あと6年は参院を支配するという問題を何とかしていかなくてはならな いのだ。

フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで福田首相は12日、今のこの困難な状況の中でどうやって首相として国を導くつもりか、そして自民党の支持を回復するために何ができるか、見通しを語り始めた。

「かつてない経験が始まっていて、どうやって進むべきかまだ検討中」と首相はFTに語った。「連立を組む試みにはすでに失敗したので、当面できることは、個別案件ごとの政策協調くらいです」

もっと長期的な話としては(たとえば衆院選の後に。衆院選は2009年までには必ず行われるが、来年実施の可能性が強い)、大連立を再度提案してみるかもしれないという、その可能性は否定しなかった。

福田氏は一部では、急場しのぎの一時的な総理大臣と言われている。しかしもし、自分はそれ以上の存在だと示すことができたとしても、福田氏は今や非常に不 人気になってしまった小泉改革の諸策について、国民の怒りを鎮めなくてはならない。福田氏は小泉政権の内閣官房長官として、小泉純一郎元首相の右腕だった のだから、なおさらだ。

「小泉改革と呼ばれているものは、日本でそれまで普通だった物事のやりかたを変えた。それ自体は、私はいいことだったと思っています。当時、『官から民 へ』や『中央から地方へ』というキャッチフレーズをよく聞いた。内容について言えば、方向性は間違っていなかった。しかし時によっては、(小泉元首相は) 急ぎすぎたかもしれない、それによるマイナス影響がいくらかあったかもしれないと、私は思っている」と福田首相は話した。

福田氏は、公共投資の拡大路線には戻らないと約束しているが、その一方で、計画されていた高齢者や身体障害者への給付削減は一部見送ると強調もしている。 高齢者社会で就労人口が減少していく中で日本は、規制緩和を進めて生産性を拡大する方向を、追及して行かなくてはならない。首相はこう言う。「改革は進め る必要がある。もしかしたら、もっとずっと大規模な改革が必要になるかもしれない」

福田首相は、日本をさらに外国投資に開く計画を追及するかもしれないと、示唆した。これはこれまで長いこと話題には上りつつも実現になかなか結びつかずにきたテーマだ。「大きな障害はいくつかある。障害物を除くために努力しなくてはならない」と首相は話した。

やはり前々から提案されては先送りされてきた、消費税引き上げについては(これは財政改革に必要な政策だという意見が多 い)、首相は、公共事業の不正入札に関する政府関与の疑惑に国民が怒っている今、そんなことを持ち出したら国民を「激怒させる」と説明。その上で首相は、 歳出拡大が必要だということは国民にも理解されているとの見解を示した。

「まず私たちが、政府支出の削減にできる限り努力し、その後に、消費税引き上げを認めてもいいかなと国民が思ってくれる、そういう雰囲気作りを目指す必要がある」と首相は話した。

」

志半ば...ってのも、強ち外れてないかもね。 この人のスマートな雰囲気は、悪くなかったのに....。

木曜日, 11月 01, 2007

守屋氏退職金返納よりも公務員を解雇できる制度を

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ダイヤモンド・オンライン

 守屋前防衛事務次官の問題で、政府が守屋氏に、給与と退職金の一部について自主返納を求める方針を決めたという報道が、少し前の新聞に載っていた。

 確かにゴルフ接待を200回以上も受ける神経は度し難く、懲戒に相当する不祥事とは思うので、自主返納を求めること自体は理解できる。しかし、そもそも自主返納という形式であることがおかしいのではないだろうか。

 現行の仕組みでは自主返納しか無理だというのなら、規定を一から作り直したほうがよい。一旦払った退職金は絶対に取り返せないという今の制度は、明らかに公務員法の不備であろう。

 守屋氏に返納を求めた今回のケースは、確かに納得できないこともないが、世間から批判を浴びたから返納を求めるというのは、いかがかと思う。その 時の世論のムードや政治家の気分によって、公務員の経済的条件が左右されるのは、中立忠誠を求める公務員法の精神にも反する。やはりこの際、懲戒規定を しっかりと作って、何年でも遡って懲戒を適用できるように法改正すべきだろう。

 規定の不備を正すことは、罰則を厳しくする方向でも必要であるし、公務員の権利を守るという意味でも必要である。

◇ 事務次官の生涯賃金5億円は高すぎるか

 また先日、夕刊紙に「守屋、生涯賃金5億円」という見出しが躍っていた。守屋氏が公務員として支給を受けた生涯給与・賞与の合計が5億円ほどにな るらしい。ちなみに記事によると、退官前までの事務次官の月給は136万8000円、ボーナスが年間651万5000円、年間給与が2293万5000円 ということだ。

 果たして公務員の5億円の生涯賃金は、高いのか安いのか。

 まあまあ出世した大企業のサラリーマンと比較すると、それほどは高くはない。仮に、30歳で年収1000万円、35歳で1500万円、40歳以降 60歳まで毎年2000万円稼いだサラリーマンの生涯賃金は30歳以降で5億2500万円になる。その程度の額は、大手商社で順調に出世したり、テレビ局 のキー局に勤めていれば、そう難しくなく確保される。そう考えると、公務員として出世のトップを走ってきてこれくらいなら、そう高くもないのかとも思え る。

 ただ、守屋氏の場合、50歳過ぎまで官舎に住んでいたらしい(その後、新宿区内に家を建てたそうだが)。官舎は公務員としてのフリンジベネフィッ ト(給与所得者が受ける経済的利益)でもあるし、おそらく接待漬けで飲食代が掛かりにくいこともあっただろう。その意味では、給料をそれほど生活費に回さ なくてもよい。つまり"丸貰い"だったにちがいない。

 通常だと、退職後も天下りがある。役人時代の最後の給与に近い額が確保され、3、4年に1度の割で退職金を2000~3000万円も、ほぼ無税で受け取れることをカウントすると、あと2、3億円は楽に稼げる計算になる。生涯収入で考えると、やっぱり"厚遇"に違いない。

◇ 倒産もクビもないでは民間とのリスクは桁違い

 しかし、キャリア官僚というのは結構忙しい仕事であるし、もう少し給料を貰ってもよいのではないか、という言い分が当事者の側にはあるらしい。こ れはキャリア官僚全員に話を聞いたわけではないが、民間企業の役員クラスの条件がないと、なかなかいい人材が集まらないではないかと、キャリアたちは主張 する。

 筆者は、この主張はいかがなものかと思う。大前提として、官僚には「倒産」がない。言ってみれば、国債と社債の利回りを比べるようなもので、民間のサラリーマンとはそもそもリスクが違うのだ。

 さらに、もう一歩突っ込んで考えると、キャリア公務員に原則的に「クビ」がないのも大いに問題である。政府は最近、ようやく公務員の給与に成果主義を反映させるようなことを不器用にやり始めてはいる(安倍内閣時代に始めた政策なので今は頓挫している感じだが)。

 ちなみに成果主義には、いわゆる“陽気な成果主義”と“陰気な成果主義”がある。日本の成果主義は、配分するパイが決まっていて、人事評価で差を つける陰気な成果主義だ。本来の成果主義というのは、たくさん働いたら、それは会社にとっても喜ばしいことだから、1億円でも2億円でも払ってあげようと いうものだ。陰気な成果主義をやっても、組織の空気が重くなるだけだ。

 もう一つ、公務員の弊害として、長く勤めようというインセンティブが強烈に生じることがある。長いこと勤めれば高額の退職金を受け取ることができ るし、天下りもある。退職金で貰うと税金が安くなり、さらに年金も貰えるわけで、定年まで勤めたほうが圧倒的に有利だ。勤務が長期化するおかげで保守的に もなるし、ごく短期間しか関わらない大臣との関係は、むしろ官僚側が強くなる。

◇ 官僚人事を自由化する仕組みが必要だ

 キャリア官僚の採用や解雇は、本来は自由であるべきではないだろうか。そして、そのとき払いの支給にして適材適所を常に図るべきだし、クビもあるというのでなければ、ボスである政治家の言うことを聞かないだろう。

 もちろん、言ってみればモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスに勤めるような解雇リスクが生じるわけだから、それなりの高給を支払い、個別に評価し個別に雇用していく。

 官民の人事交流ができる制度も作るべきだろう。現在の制度だと、片方をやめてもう片方にいくと、そこで退職金や年金を相当程度無駄にしないといけないが、短期間にその時々の働きに対する適正な賃金が支払われる形とし、人事交流しやすい制度を確立すべきだ。

 アメリカ式の、民間から公務員、公務員から民間という、回転ドアのような制度をやっていくと、日本とは別の形で官民の癒着は出てくるだろう。それ はそれで厳しく規制を設けないといけないとは思う。ただ、メンバーが固定していても入れ替わっても癒着は生じる。何れにせよ、公務員の不正に対する処罰は もっと厳罰であっていい。これは、人事制度の変更以前に必要なことだ。

 少なくとも政策の意思決定に関わる集団である以上、キャリア公務員人事の自由化は必要ではないだろうか。

◇ 実権を握り身分も安泰官僚は政治家より強し

 人材長期固定型の現行の人事制度では、仮に今、民主党が政権を取っても、官僚のトップを変えることはできない。

 今の政治の実態というのは、公務員が政治を動かし、あるいは政治が変わることに公務員が抵抗するという、公務員の意思が強固に反映されたものだ。身分が退職後まで確保され、かつ情報も権限も持っているとなると、明らかに集団としての公務員は政治家よりも強くなる。

 本来であれば、キャリア官僚は、政治的判断によって取り替える必要があるし、要職にあるべきトップ官僚はよほどの能力が必要なのだから、適材適所で人材を配置しないといけない。

 会社の経営に置き換えて考えてみると、管理職の人事をまったく自由にできない状況で経営者が交代していっても、会社の実質を変えることはできな い。つまり政権が変わろうと総理大臣が変わろうと何の意味もないわけで、生涯所得5億円うんぬんよりも、キャリア公務員がクビもなければ入れ替えもないと いう形で管理されていることが最大の問題ではないだろうか。

 守屋氏の国会証人喚問を見ながら、そんなことをしばし考えてみた。

◇ マスコミは接待疑惑をなぜ今まで報じなかったか

 それにしても、守屋氏のような“ガードの甘い”人がわが国の防衛を担う背広組のトップだったとは、冗談みたいな話である。相手が、たとえば敵国の工作員でなかったのは幸いというべきだろう。

 ところで、もう一点、本論とは関係ない話を付け加えたい。守屋次官の200回以上に及ぶ接待ゴルフを防衛省(かつては防衛庁)に出入りしていたメ ディアの記者が知らなかったということは、あり得そうにない。取材先の組織のトップが日々何をしているかを、見てないはずがない。例の偽名にごまかされた というのでは、素人同然で、記者落第だ。

 彼らの多くは、公務員の懲戒規定に十分引っ掛かりそうな防衛次官の行ないを知りながら、今まで報じないでいたのではないか。これは、たぶん、次官へのゴルフ接待を報じると、防衛省向けの取材がやりにくくなるだろうという配慮に基づくものだろうが、不適切な配慮だ。

 メディアのチェック機能というものは、しょせんこの程度のものだ、ということを心に留めておきたい。

」

ごもっとも