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2008年10月24日3時8分
麻生首相は23日、新総合経済対策を取りまとめるにあたり、景気回復後の消費税増税を念頭に、社会保障などの安定財源を確保する「中期プログラム」を検 討するように自民、公明両党に指示した。一方で、地方対策として道路特定財源の約1兆円分を地方に回し、過去最大級の住宅ローン減税措置も講じるよう求 め、短期的には景気対策に全力を挙げる考えを示した。
首相としては総選挙の公約に掲げ、民主党との争点を明確にする狙いがあるようだ。
首相は23日、自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男両政調会長らと官邸で協議し、高速道路料金の引き下げや定額減税など、新総合経済対策の与党 案の説明を受けた。これに対し、首相は(1)消費税増税に向けた中期の税体系プログラムの作成(2)道路特定財源の一般化による約1兆円分を地方に交付 (3)過去最大規模の住宅ローン減税の実施(4)省エネ、新エネルギーへの投資は減価償却の対象を拡大して税負担を軽減――の4項目を盛り込むように指示 し、再考を促した。予算規模や財源についても政府・与党内で再調整したうえで、30日に新総合経済対策を正式に決定し、同日中に首相が記者会見して発表す る方針。
首相は協議後、消費税増税について「いま景気がどんどん落ちている時に消費税(増税)を考える人はいない」とする一方、「中期的に景気が治ってき た時には介護、福祉といった社会福祉関係を含めて(財源が)足りなくなることははっきりしている。そういった意味で消費税は考えられる」と記者団に語っ た。首相は「日本経済は全治3年」と唱えており、3年をめどに景気を回復させたうえで消費税の引き上げを検討する考えを示したものといえる。
出席者によると、首相は与党側に「景気回復して初めて増税できる環境が整う。消費税が安定財源になる。環境が整えば、増税をやるということをはっきりさせないといけない」と明言し、中期プログラムに消費税を含めた税制改革の道筋の明記を検討するように指示したという。
消費税増税に言及して税制改革に取り組む「責任政党」としての姿勢を示すことによって、「消費税」を封印している民主党との違いを浮き彫りにする狙いもあるようだ。
一方で首相は、最大160万円が所得控除される現行の住宅ローン減税について「単に延長するだけでなく、インパクトがあるように過去最大にしろ」と指示。これまで最大だったのは99、00年の最大587万5千円の減税だ。
地方対策についても「道路特定財源を使え。一般財源化すれば自由に使える。1兆円を地方に渡し、使い道は地方に任せる。地方が道路を造りたいというなら、造ればいい」と語ったという。
高速道路の料金引き下げについても「民主党は無料にすると言っている」と言い、総選挙に備えて踏み込んだ対抗策を講じるよう求めた。中小企業を対象にした法人税率の時限的な引き下げの実施は、政府・与党で合意した。
◇
〈麻生首相が指示した経済政策の骨子〉
・住宅ローン減税は過去最大に
・一般財源化する道路特定財源のうち1兆円を地方に回す
・中期の税体系のプログラムを示す
・省エネルギー、新エネルギーへの投資は、減価償却の対象を拡大し、税負担を軽減
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