月曜日, 12月 08, 2008

派遣切り・期間工切り 政治の責任で実効ある対策を


2008年12月7日(日)「しんぶん赤旗」
年の瀬を迎え、突然解雇を言い渡された労働者の苦境は、言葉で語り尽くせないものがあります。とりわけ派遣や期間工など非正規労働者は、解雇と同時に寮などを追い出され、生活の基盤そのものを崩壊させられます。文字通り路頭に迷う、深刻な事態です。
 派遣切りや期間工切りは、労働法制など雇用のルールを踏みにじる無法なもので、規制緩和で非正規労働を拡大してきた政府の責任も重大です。いまこそ政治の責任で無法・違法な解雇をやめさせ、生活と雇用を保障する、実効ある対策をとることが重要です。

◇ 雇用悪化は天災ではない
 深刻化する雇用問題に対し、日本共産党の志位和夫委員長は麻生太郎首相に緊急対策を申し入れ、党首会談でもその実行を求めました。自民党と公明党の与党は提言をまとめ、政府は週明けに対策を決定することにしています。
 麻生首相は国会答弁でも、雇用情勢の悪化は「アメリカ発の金融危機による『金融災害』というべきもの」といった答弁を繰り返します。しかし、トヨ タなどの大企業が派遣労働者や期間労働者を大量に解雇しているのは決して「天災」ではありません。トヨタでいえば、今年度六千億円もの利益を見込み、十三 兆円もの内部留保をため込んでいます。大量解雇は労働者に犠牲をしわ寄せし、企業だけがもうけを続けるためです。
 大量解雇による雇用の悪化は、これまでの景気の後退期に比べても異常に速いスピードです。大企業が景気のよいときは派遣など非正規の労働者を増や して利益を上げ、景気が悪くなりそうだとなると、率先して切り捨てているためです。背景には、労働法制の規制緩和で非正規労働者を拡大してきた政府の政策 があります。
 政府は「政治災害」だという批判にこたえるためにも、無法な解雇をやめさせ、雇用と生活を守る対策をとるべきです。正社員があたり前の働き方になるよう、派遣法などの抜本改正も不可欠です。
 麻生首相は志位委員長との党首会談でも財界団体などに「要請した」としか答えず、衆院予算委では首相や舛添要一厚労相が「介入できない」などと答弁しました。
 とんでもないことで、労働者の雇用と生活を守るために無法・違法な解雇をやめさせるのは政府の大事な仕事です。不当な解雇に反対する労働者のたた かいで、解雇以外方法がないなど「四要件」を満たさない整理解雇は無効だという判例が確立しています。非正規労働者も同じです。労働契約法では期間労働者 は契約期間中、解雇できないことにもなっています。
 無法・違法な解雇をやめさせるため、政府が指導・監督の責任を果たすのは当然であり、大企業に雇用のルールを守らせる、実効ある措置をとるべきです。

◇ 無法許さぬ政治の責任
 派遣切り・期間工切りが進めば、年末に多くのホームレスがちまたにあふれるとまで懸念されています。事態は切迫しています。政府が「行政不介入」などを口実に、対策の手をこまねいていることは無法の追認にしかなりません。
 雇用の不安を解決し、人間らしい労働を実現してこそ、経済も拡大できます。雇用対策を言葉だけにせず、派遣切り・期間工切りなど、無法な解雇をやめさせるかどうかが政府に問われています。

たまに引用して見るのも面白いかな。
そも共産党には論理武装させると強いよね。 よく調べてるしね。

キヤノン 「非正規切り」の一方 1年間で剰余金2800億円増 正社員7万人分

 大もうけし、一年間に増やした“余った金”(剰余金)だけで七万人の正社員の年収分もあるのに、財界トップ企業が「非正規社員切り」の先頭に立つなんて ―。日本経団連会長を務める御手洗冨士夫氏が会長のキヤノングループの派遣・請負社員の解雇に怒りが広がっています。御手洗会長は麻生太郎首相に「(経団 連として)雇用の安定に努力する」(一日)と約束したばかりでした。

 キヤノンの100%子会社である大分キヤノンと大分キヤノンマテリアル(いずれも大分県)あわせて約千二百人の派遣・請負の非正規社員の解雇が計 画されています。同じく100%子会社のキヤノンプレシジョン(青森県)では約五百人の「非正規切り」。非正規社員は時給千円、一日八時間、月二十一日勤 務として計算すると年収二百万円余(残業代含まず)です。非正規社員約千七百人の雇用を維持するには約三十四億円で可能です。また、生産現場での正社員の 年収は長浜キヤノン(滋賀県)で約四百万円程度(四十歳代)です。これをもとに計算すると、非正規社員約千七百人の正社員化も約六十八億円程度でできま す。
 一方、キヤノンは七―九月期決算でみると、社内にため込んだ剰余金は九月末で三兆三千億円を超えます。この一年間に増やした分だけで約二千八百億 円です。非正規社員十四万人の年収分、生産現場の正社員七万人の年収分に匹敵します。約千七百人の非正規社員の雇用維持に必要な額は、剰余金の一年の増加 分のわずか1・2%にすぎません。正社員化にも2・4%で足ります。
 また、キヤノンは「減益」だとしていますが、一―十二月の一年間で五千八百億円もの営業利益(連結)を見込んでおり、雇用を維持する十分な体力が あります。また、株主への中間配当(八月、一株当たり五十五円)だけで約七百十五億円にのぼります。非正規社員約千七百人の雇用維持に必要な額は、その 5%にもなりません。

 麻生首相は雇用の維持を経団連にも「要請」したとしています。しかし、「“要請”では足りない。政府として厳しい指導と監督によって(解雇計画 を)やめさせなくてはならない」(日本共産党の志位和夫委員長、五日の麻生首相との党首会談)ことが、ますます明らかになっています。

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 剰余金 利益剰余金と資本剰余金のこと。いずれも、企業のもうけをため込む内部留保の一部です。利益剰余金は、企業が得た利益による剰余 金で、社外に分配せず、社内にため込んだものです。積立金や繰越利益などで構成されます。資本剰余金は、新株発行など資本取引によって発生した剰余金のこ とです。
2008年12月7日(日)「しんぶん赤旗」

言ってることは、至ってまともだよね。

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