金曜日, 10月 24, 2008

日中平和友好条約締結30周年記念レセプション

麻生総理挨拶
~日中関係についての、私の所信表明~

平成20年10月24日
於:人民大会堂3階ホール

「胡錦濤 国家主席、
宋健 中日友好協会会長、
並びに、御列席の皆さま

ニィメンハォ ウォー シー アソウタロウ (皆さん、こんにちは!私が、麻生太郎です。)

 たかが30年、されど30年。
 この30年という歳月は、私の政治家としての歩みとも、軌を一にするものであります。先ほど胡錦濤国家主席からお話しがありましたように、1978年10月23日、福田赳夫総理は、来日された鄧小平副総理との間で、日中平和友好条約の批准書を交わしました。
 私が、国会議員として初当選したのは、その翌年のことであります。1979年、当時、日本青年会議所を代表して、訪中させていただきました。その際、全国青年連合会主席でいらした胡啓立氏にお目にかかったのを、つい昨日のことのように思い出します。
 あれから30年。日中両国は、幅広い分野で交流と協力を重ねてまいりました。過ぎ去りし日々に思いを馳せるとき、現在の良好な日中関係は、本日御来場の皆さまをはじめ、数多の尊い御努力に帰するものであることを、改めて痛感しないわけにはいきません。

 中国くらい、日本にとって重要な国は、ざらにはありません。
 30年前は、年間で4万人程度だった人の往来は、昨年は、5百万人を超えました。1日に、1万4千人もの人が、日中間を往来しています。経済面においても、昨年の日中貿易総額は、約2千4百億ドル。30年前の実に50倍です。
 日中関係の要諦は、「互いに欠くべからざるパートナー」であります。
 胡錦濤国家主席も述べられていました。「日中は、和すれば双方に利益をもたらし、争えば双方の利益を損なう」と。
 この根本的な心構えがあれば、困難があっても、必ずや克服できる。私が、日中「共益」の重要性を一貫して訴え続けてきたのも、こうした考えに基づくものです。
 日中「友好」というお題目のために、互いに遠慮するような関係ではなく、日中両国が切磋琢磨して協力していくことが、真の「戦略的互恵関係」で ありましょう。孔子が、「三十にして立つ」と述べたように、今や日中両国は国際舞台に立って、「共益」の精神を、世界に広げてゆかねばなりません。

 一方、日中関係に関する世論調査を見てみると、私は、若干の不安を感じざるを得ません。日中両国とも、互いに多少なりとも肯定的な感情を持っている人は、それぞれ3割にも満たないということであります。
 たとえ見解が異なっていても、相手が何を考えているかくらいは、常に正確に理解しておきたいものです。大事なことは、あらゆる層で対話と交流が積み重ねられ、相互理解が社会の広い面で深まることです。
 特に、青少年交流の重要性は論をまちません。「日本は軍国主義化していると聞いていたが、滞在中、軍服を着た人に一人も会わなかった。」「中国 では反日感情が強いと聞いていたが、実際は親切な人ばかりだった。」参加した日中の高校生から、こんな率直な感想を聞くたびに、私は、日中間の相互理解に は、大海原のような潜在性がまだあると、つくづく感じております。
 若者は皆、柔軟で鋭敏な感性を、そして無限の可能性を持っていると存じます。私は、日中関係について、「過去」を謙虚に振り返り、共に「未来」を築いていくことこそ、「現在」を生きる私たちの次の世代への使命である、そのように考えております。

 世界は今、極めて見通しをつけにくい時期に、差し掛かっています。米欧の金融システムに生じている危機は、まさに国境を越えて、各国の実体経済にも影響を及ぼさんとしております。
 現下の情勢を克服し、世界経済の安定と繁栄を取り戻すためには、国際社会が協調して行動していくことが不可欠であります。先ほども胡錦濤国家主 席、そして温家宝総理との間で、こうした国際的な取り組みに対して、日中両国として貢献していくことを確認させていただきました。
 環境や省エネルギーといった問題から、国連改革に至るまで、日中両国が協力して取り組み、アジアから積極的に世界に発信していくべき課題が、山積しています。
 こうした状況で大事なことは、首脳同士が、何かあればすぐにでも電話で意思疎通を図る、そういう関係を培うことであります。日中関係の発展の先 にこそ、アジア、ひいては世界の安定と繁栄があります。その意味で、私たちは、同じ未来を見据えています。日中関係の「底力」に、日中協力の可能性に、私 たちはもっと自信を持っていい、私はそう思います。

 日中両国は、引っ越しのできない、「永遠の隣人」であります。そして皆さんは、「戦略的互恵関係」の構築という、壮大なる日中共同プロジェクトの参加者でもあります。
 日中両国が、より活力ある、開かれたアジアのために、共に働き、共に伸びる。私は、そういう日中関係を築くために、胡錦濤国家主席、そして温家宝総理と共に、日本国総理大臣として、あらん限りの情熱と英知を注いでゆく決意であります。

 以上、記念すべき節目での、日中関係についての、私の所信とでも受け取っていただければ光栄です。
 最後に、日中平和友好条約締結30周年を、皆さまと共に祝福し、これまで日中関係発展のために尽力をされてこられたすべての方々に、心からの感謝を申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。
 御清聴いただき、ありがとうございました。


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