月曜日, 11月 17, 2008

金融サミット、成長回復に向けた財政出動に布石

世界的なヤバさと、日本の置かれた状況が、どうにもリンクしない状況が続いてる気がする。

トムソンロイター 2008年11月16日(日)13:10

 [ワシントン 15日 ロイター] 15日に閉幕した20カ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)は、成長を回復させるうえで財政政策が果たすべき役割を強調、今後数週間に各国が財政出動を伴う景気対策を打ち出す布石を打った。

 閉幕後に発表された首脳宣言は「世界的な経済状況の悪化を踏まえ、われわれは成長を回復するため、より緊密なマクロ経済面の協力に基づくさらに広範囲な政策対応が必要との認識で一致した」と表明。

 宣言は政策金利の引き下げを「国内の状況から適切と判断される場合に」重要な手段と位置づけたものの、各国首脳は、財政政策の役割がそれに勝ると強調した。

 カナダのハーパー首相は「金融政策だけでは世界経済は危機から脱却できないとの見解で一致した。財政政策、追加的な財政措置が必要になるだろう」と述べた。

 ブラウン英首相も、景気刺激に向けた財政政策で協調することが各国の内需を支援するとし、今後数週間に多くの国がこの路線にのっとり行動するとの見通しを示した。

 すでに中国が5600億ドル規模の景気対策を発表。米国では、民主党が17日に250億ドルの米自動車メーカー救済案を提出する見通し。

 次期米大統領のオバマ氏は、2009年1月20日の就任後、直ちにインフラ事業への大規模な政府支出を推し進めるとみられている。

 一方、欧州連合(EU)加盟国の財政は、財政赤字の上限を定めた安定・成長協定の縛りを受けている。首脳宣言は、財政政策は「持続可能性に資する政策枠組みを維持」すべきとしている。

 <国ごとに違う政策対応の段階>

 米政府筋は、財政政策の立案をめぐる状況は国ごとに異なり、それが金融サミットで具体的な提案を打ち出す障害になったとしている。

 米国の住宅市場崩壊に端を発した信用危機で世界需要は冷え込んだ。国際通貨基金(IMF)は2009年に先進国がリセッションに陥ると予想している。

 国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は、閉幕後の会見で「いまは協調する時だ。財政刺激策が強調されたことを歓迎する。それがいま世界成長を回復させるために不可欠と信じている」と表明。

 「一国の財政政策が国内総生産を押し上げる効果は、主要な貿易パートナーが財政政策を講じれば2倍になる。インフレが抑制されている国なら検討すべきだ」と述べた。

 ストロスカーン専務理事は、首脳宣言が金融政策に言及したことについては、金融緩和余地のある国・地域を対象にしており、1%まで下げた米連邦準備理事会(FRB)は対象でないとの見解。

 「金融政策でいくらか余裕のある国はある。どこもというわけではない。すでにかなり緩和した国もある。米国を考えてみるとよい」と述べた。

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景気対策が急務なんであれば、2兆円程度の支出で乗り切れるとする、見通しも根拠もよくわからないし、手を打つ前から批判しか受けない現状も釈然としない。 ついでに、この2兆円の使途の意味合いが、政府与党として統一見解としてまとめられている様子がないのはどーゆーことなんだろう?
後で読み返せばわかるのかな?
とりあえず、G20絡みの記事を集めとこうか....。


金融サミット 景気対策余力乏しい日本

産経新聞  2008年11月17日(月)08:05

 【ワシントン=坂本一之】先進国と新興国20カ国・地域(G20)のトップが一堂に会した今回の緊急首脳会合(金融サミット)では、世界経済の減速に対応し、景気刺激に向けて各国が財政・金融政策で協調姿勢を打ち出した。日本政府はサミットに対する自らの貢献を強調してみせたが、超低金利下の日本が新たな財政・金融政策を講じる余地は乏しいのも事実だ。輸出の低迷など日本経済の落ち込みが鮮明になる中で、政府は難しい経済運営を迫られる。

 「財政政策の枠組みを確保しつつ、即効的な内需刺激策を活用する」

 ブッシュ米大統領が発表した首脳宣言では、世界的な金融危機が世界経済に深刻なダメージを与えつつある中で、各国が景気を下支えするために積極的な財政 出動の必要性があることで一致した。首脳が参加する国際会議で具体的な景気刺激策が打ち出されるのは極めて異例で、各国首脳が強い危機感を共有した。

 日本も2兆円の定額給付金を柱とする事業規模約27兆円の追加経済対策を土産に乗り込み、景気下支えに努力している姿勢をアピールした。また、財政難に陥った新興国を支えるため、麻生太郎首相は国際通貨基金(IMF)に対して日本が最大1000億ドル(約10兆円)を拠出する用意があることも表明した。

 とくにIMFに対する資金支援をめぐっては、具体的な金額を約束しただけに「新興国の首脳たちが麻生首相に近寄って握手を求めてきた」(首相同行筋)と 高い評価を得たという。中川昭一財務・金融担当相は会合終了後の記者会見で「日本は中身でサミットを主導した」と自賛した。

 だが、日本経済の悪化懸念が強まる中で、政府が打ち出した追加経済対策による景気浮揚効果は限定的だ。民間シンクタンクによると、2兆円の定額給付金の国内総生産(GDP)成長率の押し上げ効果は0・1~0・2%程度にとどまると分析する。

 また、欧米が利下げに踏み切る中で日銀も歩調を合わせ、10月末に政策金利を7年7カ月ぶりに0・2%下げて0・3%とした。だが、市中は1%台の低金 利が続いており、中小企業の借り入れや住宅ローンに与える影響は限られる。銀行の融資姿勢は厳しくなっており、中小企業は悲鳴を上げている。

 IMFは、2009年の先進国全体の経済成長率をマイナス0・3%と第二次世界大戦後初のマイナス成長に落ち込むと予測しており、世界経済の悪化はこれから本格化する。

 金融サミットは来年4月までに次回会合を開く予定だが、日本に新たな景気対策を講じる余力は乏しく、外需依存の日本は海外経済の回復頼みになりかねない厳しい状況を迎えている。

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金融サミット 首脳宣言採択し閉幕 全市場・商品に規制

産経新聞  2008年11月17日(月)08:05

 【ワシントン=渡辺浩生】金融危機の克服と世界経済の安定に向け、ワシントンで開かれた緊急首脳会合(金融サミット)は15日午後(日本時間16日未明)、市場への監視・規制の強化や財政・金融政策による景気刺激策の実施などを盛り込んだ首脳宣言を採択して閉幕した。来年3月末までに実施すべき具体策をまとめた行動計画を打ち出し、進捗(しんちょく)状況を確認するため、4月末までに次回会合を開くことで一致した。

 宣言は、金融危機の原因について、「いくつかの先進国の政策・規制当局がリスクを適切に評価しなかった」とし、政策の誤りを認めた。その上で、「金融市 場と規制の枠組みを強化する改革を実施する」と明記し、金融安定化のための追加措置のほか、すべての市場、商品、参加者への適切な規制や格付け会社の監督 強化を打ち出した。

 また、危機が波及した新興国や途上国を支援するため、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の資金・機能強化で一致。成長回復に向け、各国の事情に応じた景気対策を実施することでも合意した。

 一方で、欧州が求める規制強化に消極的だった米国の主張を反映させ、保護主義を拒否し「成長を阻害する過剰規制を回避する」とも明言した。

 行動計画では、国際的な金融機関への監視団の設置のほか、ヘッジファンドなどを念頭に、当局の目が行き届いていない金融機関や商品、市場への監視強化を明示。新興国の発言力を強化するため、IMFなどの国際機関の改革や先進国で構成する「金融安定化フォーラム(FSF)」への参加を盛り込んだ。

 議長役のブッシュ大統領は会見で、「成長志向の経済政策を促進すべきだという共通の理解に達した」と語り、成果を強調した。

                   ◇

 ■新興国気勢、新秩序へ“一歩”

 米欧日の先進国と新興国の20カ国・地域(G20)の首脳が初めて集った金融サミットは、「市場への適切な規制」と「新興国の発言力拡大」という新しい 国際金融秩序の方向性を明示した。かつてのように先進国だけで世界経済のルールを決められないことが鮮明になったという点でも「歴史的」といえる。「自 由」にこだわる米国と「規制」を求める欧州の溝はなお深く、中国などの新興国は未成熟だが、G20は“一歩”を踏み出した。

 「提案のすべてが首脳宣言に含まれた」

 欧州連合(EU)議長国のフランスのサルコジ大統領は、会見で高らかに“勝利”を宣言した。

 首脳宣言は「適切な規制」と「自由市場の堅持」の両論併記で、懸念されていた欧米の対立を回避したが、内容的には欧州が米国を押し切った。

 その象徴が、マネーゲームで市場を混乱させたヘッジファンドと、複雑な金融商品を適切に評価できず泥沼の損失を招いた格付け会社への規制強化だ。サルコジ大統領は「アングロサクソン(米英)の世界では決して同意されなかった」と胸を張る。

 金融危機の原因をめぐっても、米国は「その責任を事実上認めた」(サミット交渉筋)。危機が波及した新興国にも“謝罪”する形となり、実権を握るIMF改革を受け入れた。

 急成長で新興国が存在感を増す一方、同時不況で先進国の地位低下に拍車がかかるなか、従来のG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の枠組みは「機能不全」に陥っている。

 「G20以外で決定を下しても意味がない」(ブラジルのルラ大統領)。「G20こそが国際金融システムの中枢を担うべきだ」(ロシアのメドベージェフ大統領)。新興国はこぞって気勢をあげた。

 ただ、今回のサミットは「100年に1度の大津波」を前に結束を保つことができた。G7の時代は終わり、G20という多極型のルールづくりが動き出したが、試行錯誤は続く。

 首脳宣言は、規制の枠外にあるヘッジファンドをどう監督するのかなどの具体論を先送りしたほか、自由と規制の両立という困難な課題にも踏み込めなかった。

 ブッシュ大統領は「市場を損なわない健全な規制の構築が課題だ」と語り、自由市場にこだわった。先進国には「今回の金融サミットがG7の代わりになるとは思っていない」(日本の財務省幹部)とし、新興国を交えた意思決定に不安を覚える声も多い。

 世界共通の利益のため、対立を乗り越え、規制やIMF改革の具体策を積み上げて新秩序を構築していけるのか。G20の真の結束が試されている。(ワシントン 坂本一之)

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