日曜日, 11月 16, 2008

IMFに外為特会より最大1000億ドル資金融通の用意=麻生首相提案


 [東京 14日 ロイター] 政府は、14日からワシントンで開催される緊急首脳会議(金融サミット)で、麻生太郎首相が提言する金融危機克服に向けた提案の概容を発表した。

国際通貨基金(IMF)に対し、外国為替資金特別会計から最大1000億ドルの資金融通を行う用意があることを正式表明し、IMFの新興国向け融資を側面支援する。金融危機防止策として、IMFの市場監視機能や早期警戒機能を向上させる必要性も提言する。

 一方、市場の一部で懸念されるドル基軸通貨体制維持に対して、ドル基軸通貨体制を支える努力を払うべきと強調。今回の金融危機の根底にグローバルな不均衡の問題があることをあらためて喚起し、ドル基軸通貨体制を支える努力として、各国が構造改善を推進する必要があると訴える。 

 <危機の根底にはグローバルな不均衡問題> 

  麻生首相は提言で、まず今回の金融危機の根底に「グローバルなインバランスの問題があり、基軸通貨国アメリカへの世界中からの資本流入という形でアメリカ の赤字がファイナンスされているという根本があることを忘れてはならない」と指摘。資本移動が瞬時に起こり得る現状では、金融危機防止のためには、「各国 の様々な政策努力を収れんさせ、いかに協調した行動をとるかが不可避の課題だ」と世界的な政策協調を訴える。 

 <外準活用の新興国支援策では、他の追随も呼びかけ> 

 そのうえで短期・中期・長期に分けて政策を提言。短期の金融市場安定化策では、90年代に日本が金融危機を乗り越えた教訓を踏まえ、資本注入策や企業再生の取り組みの重要性などを示す。

 金融危機防止のための中期的課題として、まずマクロ経済運 営で「過剰消費・借入依存の国における過剰消費抑制策と、外需依存度の大きな国における自律的な内需主導型成長モデルへの転換」を主張。各国が世界経済の 減速に対応する重要性を強調すると同時に、日本では10月30日に追加経済対策をまとめ取り組みを進めていることを表明する。

 また、金融 危機を未然に防ぐとともに支援体制を強化する狙いから、国際金融システムの機能強化を提言。具体的には、(1)IMFの市場モニタリング機能や早期警戒機 能の向上、(2)世界の成長のけん引役を期待される新興国に対しIMFが必要な支援を行うための増資の必要性──などIMFの機能強化を求める。

  IMFは約2000億ドルの余剰資金を抱え、ただちに資金難に陥る恐れはない。しかし、政治的な駆け引きがからむ増資には時間がかかることから、麻生首相 は増資が実現するまでの当面の対応として、新興国支援などでIMFが資金不足に陥った場合、IMFからの要請を前提に、外貨準備から最大1000億ドルの 融資を行う方針を表明する。

 日本の外貨準備高は10月末現在で9777億ドル程度で、中国に次ぐ世界第2位の規模。関係者によると、他の潤沢な外貨準備の国にも追随を呼びかける。

 また、金融危機の影響で民間資金の流入が細る一方で資金需要が高まった結果、融資余力が少なくなったアジア開発銀行に関して、早急な一般増資を提言する。 

 <FSFの機能強化> 

  今回の金融危機発生には、新たな金融商品の登場に対して各国の監督・規制が追いつかなかった問題を踏まえ、会議では、各国の金融監督や格付け、会計基準の あり方も議題になる見通し。これに対して麻生首相は金融監督では、「各国の金融監督局、財政当局、中央銀行の合議体である金融安定化フォーラム (FSF)」を、銀行、証券、保険監督をつなぐ上位組織として位置づけ、IMFとの協働を通じて機能を強化すべきと提言する。さらに、加盟国に偏りがある ことから、「新興国をメンバーに加え再構成」する必要性も示す。

 会計基準のあり方では、国際会計基準審議会に行政当局や企業、投資家の参 画を提言し、時価会計主義偏重からバランスのとれた議論を模索する。また、格付けの問題では、証券監督者国際機構(IOSCO)を中心に格付け機関の自主 ルールが強化されてきたが、法的権限をもたせる方向の議論も提案する。 

 <長期的な通貨体制、ドル基軸通貨体制を支える努力> 

 市場では、世界最大の債務国である米国のドル基軸通貨体制が今後とも安定的に持続するか懸念が存在する。この懸念に対して麻生首相は「ドル基軸通貨体制を支える努力を払うべき」と提言し、各国に構造改善努力を訴える。

 麻生首相提言は金融危機克服に向けた日本政府のスタンスを総括するものだが、金融サミットでは時間の制約から全てを提示出来ない場合も想定されている。

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意気込みはわかるものの、感覚的に対岸の火事から、どれだけ身近な話になったのかな?ってトコなのは、あんまり変わらない。 この人が国の危機を叫ぶ度に、空疎に感じるのだ。 世界的に問題ありそうなのと、日本が置かれた状況の真の危機感があるように思えない。


金融サミットで日本の経験示す、具体的宣言を評価=麻生首相

トムソンロイター 2008年11月16日(日)13:47

 [ワシントン 15日 ロイター] 麻生太郎首相は15日夕、緊急首脳会合(金融サミット)終了後に記者会見し、今回のサミットで日本が経験した金融危機時の対応策を示し、具体的な提言を行ったと述べた。

 また、金融サミット宣言が具体的な内容になったことを評価したいとの見解を示した。

 麻生首相は今回のサミットについて「100年に1度の大変な金融危機に見舞われたが、歴史は危機を克服して新しいチャンスとしたことを示している。1929年の大恐慌の際にはうろたえたが、今回は全く違う。協調の枠組みができている」と語った。

 また、1997─98年に金融危機に直面し、克服した日本への期待の大きさと役割の大きさを感じたと指摘。「日本の経験を示し、新しい枠組みを主導し、具体的な提言も行った。宣言にも反映された」と述べた。

 麻生首相は、今回のサミットが「歴史的なものと後世、評価される」と述べた上で、金融危機への短期的、中長期的対応に分けて「宣言で具体的になったことは評価できる」と語った。

 麻生首相は、日本の経験を踏まえ、銀行の不良債権を徹底的に開示し、不良債権を銀行のバランスシートから分離し、足りなくなった自己資本は公的資金の投入で対応するプロセスの重要性と適切さを強調した。

 同時に金融不安がマクロ経済に与えるマイナスのインパクトにも言及。中小国への支援に関連し、国際通貨基金(IMF)の資金基盤を強化する必要性があり「日本からIMFに1000億ドルを融通する用意があることを表明した」と述べた。

 他方、中国や産油国からは具体的な発言がなかったことについて、麻生首相は「発言がなかったからだめというわけでないと期待している」と語った。

 さらに規制・監督体制の見直しや時価会計の取り扱いについて、各国間で共通の取り組みをする方向で議論したと述べた。

 一方、保護主義は受け入れられないとの点で各国が一致したことを表明するとともに、通貨体制問題の根底には、貿易の不均衡があると分析。基軸通貨国には赤字体質の改善を求めるとともに、外需依存の国には内需拡大に努めることを求める議論があったことも示した。

  実体経済への悪影響が広がらないようにするためには、世界の成長センターであるアジアの成長維持が欠かせないとの認識を示し「各国が自律的成長に向け て、(政策対応を)やってもらわねばならない」とし、年内に開催されるASEANプラス3や、東アジア首脳会合などで議論を深めていく方針を示した。

 また、アジアでは決済システム問題があるとの問題意識も示した。

 記者団からオバマ次期米大統領に対する見方を聞かれ、すでに電話会談をしたことを披露した上で「アジアに関心を持っている人という印象だ」とし、日本にとって大きな意味があるとの見解を示した。

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当たり前の対策は、淡々とこなせば良い訳で、悪戯に国民の危機感を煽って、自身の保身に身を窶している印象が否めない。


金融サミットでは追加的措置強調、市場は即効性乏しいと評価

トムソンロイター 2008年11月16日(日)14:58

 [ワシントン 15日 ロイター] ワシントンで行われた20カ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)が15日閉幕。会議終了後に会見に臨んだ各国首脳は、口をそろえて成果を強調したが、市場では、課題解決に向けた即効性を疑問視する声が多い。

 サミットは、世界経済の成長回復や世界の金融システム改革に向けて協調することで合意するとともに、「必要なあらゆる追加的措置の実施」を盛り込んだ首脳宣言を採択した。

 宣言では内需刺激のための財政政策の活用のほか、金融政策による支援にも言及。監督・規制当局による国際連携の強化や国際通貨基金(IMF)、世界銀行など国際金融機関の機能強化を含めた金融市場改革の原則を確認し、実行の工程を明示した行動計画をとりまとめた。

 <金融システム安定に「あらゆる追加的措置」、金融政策にも期待感>

  首脳宣言では、現在の金融危機の原因について「この10年弱の世界経済の高い成長、資本フローの伸びおよび長期にわたる安定が続いた期間に、市場参加者は リスクの適正評価なしに高利回りを求め、適切なデュー・デリジェンスを怠っていた」と分析するとともに、「いくつかの先進国では、政策・規制当局はリスク を適切に評価せず、金融の技術革新についていけなかった」と当局サイドの対応にも問題があったことを認めた。

 こうした反省を踏まえ、宣言 では「努力の継続と金融システム安定に必要なあらゆる追加的措置の実施」を表明。金融危機が世界の実体経済に影響を与える中で「適切と判断される場合にお ける金融政策による支援の重要性を認識」と金融政策に期待感を示す一方で、「財政の持続可能性の維持に資する政策枠組みを確保しつつ、状況に応じ、即効的 な内需刺激の財政施策を活用」とさらなる財政政策の必要性に踏み込んだ。

 財政措置についてカナダのハーパー首相は会議終了後、「金融政策 だけで世界経済は危機から脱却できないとの見解で一致した。追加的な財政措置が必要になるだろう」との認識を示し、同国は財政黒字にあるが「世界経済の需 要拡大のためにわれわれができることは何でもする。追加の(財政)措置を検討している」ことを明らかにした。

 ブラウン英首相も景気刺激に向けた財政政策で協調することが各国の内需を支援するとし、「今後数週間に多くの国がこの路線にのっとり行動する」と指摘。

 オバマ政権への移行期間にあたる米国では、ブッシュ大統領から追加の景気刺激策に言及がなかったものの、ブラウン英首相は「財政政策の協調には、オバマ次期政権下の議会で審議される提案も含まれていると信じている」と期待感を表明した。

  一方、日本の麻生太郎首相は会見で、通貨体制問題の根底には貿易の不均衡があるとした上で、会議では基軸通貨国には赤字体質の改善を求めるとともに、外需 依存の国には内需拡大に努めることを求める議論があったと語った。日本は金融危機の直接的な影響は軽微で、経済構造は外需依存型だが、財政事情は先進国の 中で最も厳しい状況に置かれている。国費5兆円程度の追加経済対策に伴う第2次補正予算案の国会提出時期も決まっていない段階にあり、麻生首相に同行した 中川昭一財務相兼金融担当相は、追加財政措置について「財政出動をしようと思えばできるが、自ずと規律というものがある」と述べるにとどめた。

 <金融市場改革に向け「行動計画」、早期に会計基準見直しや主要行監督を強化>

  サミットでは現下の金融危機の克服と再発防止に向けた監督や規制の枠組みの強化で合意。金融市場改革について、1)透明性および説明責任の強化、2)健全 な規制の拡大、3)金融市場における公正性の促進、4)国際連携の強化、5)国際金融機関の改革──の5つの共通原則を確認した。これらの原則を「完全か つ精力的」に実行するため、各国財務相の責任に基づいて追加的な提言の策定を要請した行動計画もとりまとめた。

 具体的には、2009年3 月31日までに早急な対応が必要な措置として、複雑で流動性のない商品について国際会計基準の見直しと調整を求めるほか、信用格付会社の規範の採用とその 順守を監視するメカニズムの採用の検討など格付会社に対する強力な監督、国境を越えて活動する主要な金融機関すべてに対する監督、金融安定化フォーラム (FSF)加盟国の新興市場国への拡大や国際通貨基金(IMF)など国際金融機関の機能強化などを挙げた。

 こうした改革への取り組みについてブラウン英首相は「新たなブレトンウッズ体制への道」と表現し、「首脳宣言を見れば、われわれが将来に向けた新たな体制を構築しようとしていることは明確だ」と説明した。

 <各国首脳が成果を強調、市場は「総花的」の見方も>

 こうしたサミットの結果について、ブッシュ米大統領が「非常に生産的だった」と語ったように、各国首脳は異口同音に成果を強調した。

  特に、外貨準備を活用したIMFへの最大1000億ドルの資金融通など、国際機関の機能や資金基盤の強化などを会議に先立って表明していた麻生首相は 「(今回のサミットが)歴史的なものと後世、評価される」と指摘。1997─98年に金融危機に直面し、克服した日本への期待の大きさと役割の大きさを感 じたと語り、「日本の経験を示し、新しい枠組みを主導し、具体的な提言も行った。宣言にも反映された」と議論を主導できたと評価した。

 麻生首相は2009年4月末までに開催する予定の第2回会合の日本開催に意欲を示しているが、フランスのサルコジ大統領は会議終了後にロンドンで開催される可能性があると発言。次回会合に向けた各国の政治的な思惑も見え隠れするものとなった。

  市場からは、今回のサミットについて「新興国、途上国に対する支援や全体的な政治的理解、国際通貨基金(IMF)へのコミットメントなど、議論の方向性と してはよいもので、株安を防ぐ内容というイメージ」(野村証券・シニアストラテジストの冨永敦生氏)と一定の評価が聞かれるものの、「即効力のある政策は 出なかった。市場の事前期待が小さかったため特段の失望感はないが、サミットはポジティブサプライズも作れなかったといえる」(バンク・オブ・アメリカ・ 日本チーフエコノミスト兼ストラテジストの藤井知子氏)と即効性に疑問を呈する声も多い。

 JPモルガン・チェース銀行・チーフFXストラ テジストの佐々木融氏は「サミットでうたわれた透明性および説明責任の強化や健全な規制の拡大、公正性の促進などは、先行きに向けた理想論。サミット宣言 は総花的だ」とし、「現在の問題は『今をどうするか』だ。その観点から言えば、サミットは何もなかったに等しい」と厳しい評価を示している。

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結果、何が決まったんだろう?

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