水曜日, 12月 24, 2008

予算案を閣議決定 予備費1兆円、公共事業膨らむ可能性


朝日新聞2008年12月24日(水)09:24
 政府は24日、一般会計総額が過去最大の88.5兆円にのぼる09年度政府予算案を閣議決定した。社会保障費を増やす一方、公共事業費を実質削減するな ど形の上では「財政規律」に配慮。だが、景気対策なら幅広く使える1兆円の予備費などの「抜け道」で公共事業費などが膨らむ可能性がある。
 政府案では、財務省原案では未定だった重点化枠など3530億円の配分を決め、予算額が確定。年明けの通常国会に提出する。
 社会保障費は前年度当初比14%増の24兆8344億円。70年代後半以来の高い伸び率だ。09年4月に基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げ る財源として約2.3兆円が加わった。また、小泉政権が定めた「骨太の方針06」の歳出削減
目標に基づき、自然増を2200億円抑制する目標も年金特別会 計からの資金などで抑制額を230億円にとどめた。重点化枠では関係予算に775億円がついた。
 他分野は骨太06に沿った。国立大運営費交付金・私学助成費を同1%減、科学技術振興費は同1.1%増の1兆3777億円。政府の途上国援助(ODA)は同4%減で6722億円。防衛費は同0.1%減の4兆7741億円。
 道路特定財源の一般財源化で注目された公共事業費は同5%増の7兆701億円だが、一般財源化で新たに一般会計に入る約7千億円を除けば、同5.2%減の6兆3876億円。ここ数年の3~4%程度の削減幅より大きい。
 ただ、総選挙を控えて歳出増を求める与党などに配慮し、「抜け道」も作った。
 景気対策として1兆円の経済緊急対応予備費を新設。予備費は本来、災害や選挙などに備える予算。あらかじめ使い道を決めず、必要になれば国会の事 前承認を得ずに政府が決める。例年は3500億円程度。09年度は例年と同額分も合わせ、過去最大の1兆3500億円に膨らむ。
 雇用対策や中小企業支援、公共事業などに使う方針。公共事業に数千億円規模をつぎ込めば、公共事業費が前年度当初より事実上増え、歳出削減目標は「骨抜き」になる。
 地方交付税など自治体向けの配分額も公共事業を含む「雇用創出」などのため、約1兆円増額。地方の公共事業増につながる可能性がある。
 一方、これらの財源は財政投融資特別会計の準備金を流用する「埋蔵金」頼み。本来、余った分は国の借金返済に回すお金だ。国の借金である国債の新規発行 額も当初では4年ぶりに30兆円を超え、33兆2940億円(赤字国債25兆7150億円、建設国債7兆5790億円)に。財政悪化が一層進むことにな る。(五郎丸健一)


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読売新聞2008年12月21日(日)01:32
 景気下支えや膨らむ社会保障費の手当てのため出費は増える。一方で税収は大幅に減少する。金融危機の直撃を受けた予算編成は、例年にない厳しいものになった。
 2009年度予算の財務省原案は、一般会計の歳出総額が88・5兆円と、08年度当初予算に比べ5・5兆円増える。基礎年金の国庫負担増加分や、景気対策の予備費1兆円などを計上したことで、過去最大を記録する。

 ◆国債発行額は33兆円◆
 逆に税収は、企業業績の悪化による法人税の落ち込みなどで約46兆円にとどまる。今年度当初予算より7兆円以上も少ない。
 08年度予算の第2次補正で、税収が7兆円減額修正され、その傾向が09年度も続くと想定した。
 この結果、国債の発行額は、08年度当初予算を約8兆円上回る33・3兆円となり、4年ぶりに30兆円の大台を超える。歳入に占める国債比率は4割に近づいた。
 政府は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を11年度に黒字化する目標を立てている。今回、財政赤字が一気に拡大し、目標達成は事実上不可能になったといえよう。
 これ以上、その目標にこだわる必要はあるまい。達成年度を先送りしてしかるべきだ。
 だが、巨額な財政赤字を放置しておいて構わないということではない。当面は国債発行でしのぐとしても、いずれ安定財源を確保し、財政再建に取り組むとの目標まで失ってはいけない。
 その場合、消費税に頼らざるを得ないのは明白だ。景気の動きを見れば、消費税率を直ちに引き上げる状況にはない。だが、今から議論を進め、景気回復後に速やかに引き上げが実現できるよう環境を整えておく必要がある。
 その点、与党の来年度税制改正大綱は消費税率引き上げの時期や幅に触れなかったが、政府・与党が近くまとめる中期プログラムでは、せめて税率引き上げの時期を明確にすべきだ。

 ◆目立つ埋蔵金の流用◆
 一連の予算編成で目立つのは、「埋蔵金」の流用だ。まず、今年度の第2次補正予算に4兆円投入する。09年度予算にも4兆円以上つぎ込む。さらに10年度予算でもあてにされている。
 景気対策の目玉とされる定額給付金や、基礎年金の国庫負担増に伴う09、10年度の2年分の財源になる。地方交付税の積み増しなどにも使われる。
 埋蔵金の大半は、財政投融資特別会計の積立金と毎年の余剰分だ。積立金は今年度末で約10兆円とされる。余剰分は、過去の高い貸付金利と現在の低い調達金利の差で生じるもので、今年度に約2兆円、来年度もそれに近い額が見込まれている。
 こうしたお金は本来、国債償還に回すべきものだ。流用は赤字国債の増発と変わらない。ある程度の流用は許容範囲だが、景気が回復すればすぐにやめるべきだ。
 来年度予算の焦点の一つだった道路特定財源の一般財源化は、実質、骨抜きに終わった。
 今年度予算で7000億円計上された「地方道路整備臨時交付金」を、新設する「地域活力基盤創造交付金」に衣替えし、9400億円に増額して地方に配る。8割が道路整備に使われるという。
 地方交付税等は、首相の指示で約1兆円近く増額され、16・6兆円となった。地方では公務員の割高な人件費など、まだ無駄な出費も多い。自治体は一段の歳出削減に取り組む必要がある。
 09年度予算では、歳出削減のための概算要求基準(シーリング)が7月末に決められた。
 社会保障費については、自然増分を2200億円抑制する例年通りの目標が課せられた。これをクリアするため、たばこ税の増税などが検討されたが、結局、埋蔵金などから財源をひねり出し、なんとかつじつまを合わせた。
 だが、実際に歳出を抑制するのは、後発医薬品の利用促進による200億円余りにとどまった。

 ◆限界に来たシーリング◆
 そのほかの歳出項目でも、きしみが生じている。これ以上、シーリング方式を続けるのは無理だろう。10年度予算では新しい手法を考えるべきだ。
 どうすればいいのか。自民党の財政改革研究会が昨年出した提言が参考になる。まず予算を、社会保障部門とその他部門に大きく2分割する。
 社会保障部門は、国民生活の不安解消のため、必要な伸びを認め、将来的には、社会保障目的税にする消費税で財源を確保する。その他部門は出来るだけスリム化を進めるというものだ。
 その他部門では、政府開発援助(ODA)など、戦略上、重要な予算は増額を認めるなど、柔軟に対応する姿勢が肝要となろう。

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1 件のコメント:

おっけぃ さんのコメント...

アソーさんちは火の車!税収など家計に例えると
読売新聞 2008年12月20日(土)23:53

 20日に内示された2009年度予算の財務省原案の1兆円を10万円に置き換えて家計の年収に例えてみた。「日本政府株式会社」で働くアソーさんの暮らしぶりは果たして……。

 アソーさんの年収(税収)は461万円。景気後退の影響で今年から75万円もカット(税収減)されたことが響き、家計は火の車だ。

 住宅ローンの元利返済(国債費)や田舎への仕送り(地方交付税)だけで、年収の8割にあたる360万円余りが消えてしまう。

 しかし、医療費など(社会保障費)は30万円も増え、妻におねだりされたリフォーム代(公共事業)の出費もばかにならない。生活費(一般歳出)は過去最高の517万円に膨らんでしまった。

 そこで妻のヘソクリ(埋蔵金)も取り崩して90万円余りを確保したが、それでも全く足りず、結局、カードローン(新規国債発行)で333万円も借りてしまった。

 積もり積もったローン残高は5800万円にも膨れ上がり、完済のメドは全く立たない。(小川直樹)

既に家庭崩壊じゃないの?....