日曜日, 12月 21, 2008

【21年度予算 財務省原案】一般財源化 完全骨抜き 「特定財源」道路に9割


産経新聞2008年12月21日(日)08:05
 平成21年度予算の財務省原案に計上された道路予算は、前年度比11・2%減となる2兆7578億円。一方でこれまで道路特定財源に充てられていたガソリン税などの税収見込み額は3兆1416億円で、税収の9割近くが道路に回されることになる。使途を自由に設定できるという道路財源の一般財源化は、完全に骨抜きにされた形だ。
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 道路特定財源の一般財源化は、今年5月に閣議決定され、福田康夫前首相は「生活者財源」として活用する方針を表明した。このため、「環境」「少子化対策」「医療」など、多様な分野の財源として使われることが期待されていた。
 しかし、10月になって麻生太郎首相が地方に1兆円を配分する方針を表明すると、道路財源としての確保を目指して自民党の道路関係議員が攻勢に出た。首相の「使途が限定されない交付税にしたい」との意向を無視し、1兆円は道路関連の公共事業に使途を限る交付金とすることになった。
 一般財源化とともに、ガソリン税から自治体に配分されてきた「地方道路整備臨時交付金」(20年度予算で約7000億円)が廃止されるが、この新しい交付金は、まさに看板の掛け替えに終わった。
 現在、道路以外に確実に使われると断言できるのは、首相の指示を受け、1兆円の中から社会保障費に充てられることになった600億円のみ。
 さらに、これから配分が決まる3300億円の「重要課題推進枠」では、直轄事業が上積みされることになっており、21年度の道路予算はさらに膨らむ。衆 院選が近づく中、地方の票離れを恐れる道路関係議員のごり押しの前に道路特定財源の一般財源化は、完全に形骸(けいがい)化してしまった。実効性のある一 般財源化が今後の課題となる。

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【21年度予算 財務省原案】シーリング帳尻合わせ 「埋蔵金」の活用も限界
産経新聞 2008年12月21日(日)08:05
 景気下支えと歳出削減の取り組みが混在する平成21年度予算財務省原案が20日内示された。新規国債発行を抑制するために特別会計の積立金など「埋蔵金」の積極的な活用に踏み込んだが、すでに埋蔵金活用の限界も指摘されている。社会保障費の増加抑制や公共事業費の削減などを定める21年度予算の概算要求基準(シーリング)の維持にもほころびが生じるなど、財政健全化への道のりはさらに険しくなった。(坂本一之)

 ■9兆円近く依存

 麻生太郎首相は現在の世界的な景気後退に危機感を強め、政府による景気浮揚策の必要性を訴えてきた。第1次補正予算を含め、これまでにまとめた経済対策の事業規模合計は約75兆円に達し、そのうち財政出動は約12兆円で国内総生産(GDP)比は約2%にのぼる。

 20年度の第2次補正予算案は、生活対策や雇用対策の財源に財政投融資特別会計(財投特会)の積立金から4兆1580億円、地方公営企業等金融機構から 3000億円の埋蔵金をそれぞれ捻出(ねんしゅつ)した。今回の21年度予算財務省原案では財投特会の4兆2350億円と、特別保健福祉事業資金から 1570億円を財源に繰り入れた。

 こうした埋蔵金の活用額は2次補正と21年度予算で9兆円近くに達する。与党幹部は「借金するより、手持ちの資金を使う方が先だ」と政府による埋蔵金の活用を歓迎する。

 ただ、埋蔵金は無限ではない。基礎年金の国庫負担引き上げの財源として政府は21、22年度については財投特会から賄う予定だが、財務省幹部は「財投特会で2年以上も捻出するのは難しい」と指摘する。

 財投特会の積立金は、特会の総資産に対する比率で、確保すべきだとされる積み立て目安の5%を繰り入れで割り込み、21年度末には3・5%に落ち込む見込みだ。中川昭一財務相は20日の記者会見で、積極的に特会を用いたことを「ぎりぎりの判断」と強調した。


 ■削減230億円だけ

 一方、政府・与党は社会保障費2200億円の自然増抑制のため、たばこ税増税を検討したが、結局は見送りとなった。埋蔵金活用でシーリングの帳尻は合わ せたものの、安定財源は確保されず、実質的な歳出削減は後発医薬品(ジェネリック医薬品)利用拡大による230億円だけ。1兆円の経済緊急対応予備費新設 などもあり「シーリングは限界に達した」(政府関係者)とみられている。

 しかし、財務省幹部は「シーリングを撤廃したら無制限な歳出圧力にさらされる」とみており、多少のほころびがあってもシーリング維持が必要不可欠だと主張する。

 経済情勢が急速に悪化する中で、来年の22年度予算編成ではさらに難しい財源措置が予想される。歳出増圧力が一段と高まる中で政府は難しい財政運営を迫られそうだ。


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