水曜日, 12月 31, 2008

麻生政権


福島民報 あぶくま抄(12月20日)
 「民間で(環境対策を)銭にしちゃおう、しのぎにしようというのがすごい」。麻生太郎首相が14日に北九州市を視察した際の発言である。銭はともかく「しのぎ」を理解できた県民はどれほどいただろう。
 一般の辞書では分からない。しのぎは暴力団の隠語で「稼ぎ、経済活動、もうけ」を意味する(米川明彦編「集団語辞典」)。皇室につながりもある首相の生まれ・育ちは折り紙付きのはずだ。愛読書の漫画からでも覚えたのか。美しい日本語からはほど遠い。
 名作映画「マイ・フェア・レディ」は、ロンドン下町に住む花売り娘が淑女に変身する物語だ。華麗な衣装に身を包んだ主人公が話しぶりから、「お里」が露 見する場面もあった。欧米では、階級などで使う言葉が異なる。若き日の麻生首相も米国留学中に祖父・吉田茂元首相に俗っぽい会話をとがめられ、研修先を英 国に変えさせられたという。  幸い日本では、身分などによる言葉の格差は少ない。ただ「公の場で使うべきでない」言い回しがあるのも確かだ。国の最高指導者として、無法者の言葉を使うのはいただけない。「バカヤロー」の一言で衆院解散に追い込まれた先例だってある。


北海道新聞 卓上四季
麻生さんへ(12月18日)
麻生首相に申し上げます。失言にはあまり驚かなくなりましたが、これはいけません。先日、北九州市でリサイクルの施設を視察しましたね。その折の発 言が「民間で(環境対策を)銭にしちゃおう、しのぎにしようというのがすごい」というものでした▼しのぎと言われても、一般の人には耳慣れません。やくざ の世界の俗語なのですから。その意味は収入とか、資金を得る手段。むろん賭博や麻薬など非合法なものが含まれます▼あなたの地元・九州の筑豊には、侠客 (きょうかく)めいた気性の人が多くいたとか。石炭王の家に生まれ、外祖父は首相という特別な境遇だったため、かえって周りに悪ぶるくせがついたのかもし れません。「生まれはいいが育ちは悪い」と自らを語っているようですが今度の発言には首をかしげます▼ついでに言えば、サービス精神、あるいは「受け」を 狙う気持ちが強いのでしょうか。定額給付金について「一億円あっても、さもしく一万二千円欲しいという人もいるかもしれない」と述べました▼この文脈で使 う「さもしい」も、どぎつい言葉です。お金持ちの一部をさげすむ表現で実は庶民に迎合し、給付金への批判をそらしているように思えます▼あなたの話し方 は、べらんめえとは違います。下町の言葉は、少々乱暴でも粋なもの。普通の言葉遣いはできませんか。くるくると変わりさえしなければよいのです。

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